特定看護師になるには?大学院や給料なども合わせて紹介!(2015/03/20)
公開日:
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最終更新日:2020/06/05
専門/認定看護師
急速な高齢化が進む日本において、新たに法制化されようとしている特定看護師制度。医師の負担を減らすために、さらに治療を円滑に行うために設けられようとしている特定看護師制度ですが、賛否両論の声もあがっているのも事実。
しかしながら、キャリアアップを望む看護師にとっては嬉しい制度であることも事実の1つ。特定看護師に認定されることで、給料が上がるだけでなく、責任感が増えることで、看護師としてよりやりがいが持てるようになります。導入を検討されている特定看護師ですが、現段階では不透明なことも多く、「実際のところ特定看護師って何なの?」、「どんなメリット、デメリットがあるの?」など、現職の看護師でも分からないことがたくさんあると思います。
そこで当ページでは特定看護師における詳細を分かりやすく説明します。参考になること間違いありませんので、特定看護師について詳しく知りたいという方は最後までしっかりお読みください。
1、特定看護師とは?
特定看護師というのは、今まで医師の指示のもと行っていた「診療の補助」の範囲をさらに拡大し、特定分野における医療行為を実施できる看護師のことを指します。
現職の看護師でさえ不透明なこの”診療補助の範囲の拡大”ですが、日本看護協会が認定している「認定看護師」が行う業務に加え、より自分の判断により実践することができ、さらに医療チームをまとめ上げるなど、看護師でありながら医師に近い仕事をすることが出来ます。つまり、看護師という職業の中のリーダーという見方をすることも出来ます。
ただし、現段階ではまだ導入に至っていないこともあり、どこまでの範囲を実践できるかは不透明なまま。厚生労働省にとっても新たな取り組みゆえ、現段階では不透明であるものの、導入されれば実施内容が確立していくことは間違いありません。
1-1、ナースプラクティショナー
通称「NP」と言われているナースプラクティショナーは、主にアメリカにおける上級の看護職のことを指します。アメリカにおいては医師の給与が非常に高額であることから、医療コスト削減を主な目的として1960年代に導入されました。
医師の補助はもちろん自らも率先して診療行為を行うことが出来るナースプラクティショナーは、日本における「特定看護師」に当たります。全てが同じであるわけではなく、特定看護師は日本独自の制度です。しかしながら、類似している点が多いため厚生労働省がナースプラクティショナーを参照しているのは間違いないでしょう。
ただし、日本は他先進国と比較して、患者数に対する医師不足が顕著であるため、日本における特定看護師制度の導入は、医師コストの削減ではなく、医師の負担を減らすことが主な理由となっています。
1-2、専門看護師・認定看護師との違い
特定看護師と専門看護師・認定看護師の違いを述べるにあたり、まずは「専門看護師」と「認定看護師」の違いを知っておく必要があります。
■専門看護師
特定の分野において”幅広いケア”をマネージメントしていく看護師。
■認定看護師
”特定の分野に特化した”知識・経験をもって集中的にケアをする看護師。
つまり、専門看護師は円滑に治療を行うマネージメントのスペシャリスト、それに対し認定看護師は特定の分野における治療のスペシャリストです。そして、特定看護師は専門看護師の役割と認定看護師の役割を統合した、マネージメント&治療のスペシャリストのことを指します。
1-3、特定看護師になるには?
特定看護師になるためには数ある条件をクリアすることが必須となっています。主に4つの条件が存在し、それらを全てクリアした後、晴れて特定看護師になることが出来ます。
①認定看護師の資格取得後、5年以上の経験を有すること
②医療分野における大学院修士課程を修了していること
③第三者機関から知識と能力の確認・評価を得ること
④出張および研修等で研修中の身分が保証されていること
特定看護師は認定看護師を土台とし、認定看護師としての実務経験が5年以上あり、さらに特定看護師養成指定を受けている大学院で修士課程を修了する必要があります。認定看護師になるには5年間の実務経験と6か月以上の研修が必須条件であるため、看護師免許を取得したばかりの人が特定看護師に認定されるには、最短でも12年~13年必要です。
1-4、2025年までには10万人超を想定
厚生労働省は2025年までに10万人超の特定看護師の養成をする意向を示しています。看護大学や看護学部の数が1991年の11校だったのに対し、2014年には226校に増え、それに伴い看護師の数も増えています。厚生労働省の統計によると、2001年時点、約119万人であったの看護師の数は2011年には約150万。2025年には約200万人にのぼると推測しています。つまり、200万人のうち5%もの看護師を特定看護師として養成する意向を示しているわけです。
しかしながら、専門性の高い「認定看護師」と「専門看護師」は全体の1万2000人程度であることから、10万人超というのは現実離れしすぎた数字なのです。試算ではありますが、特定看護師を強く求める厚生労働省が、知識と経験のある看護師を”強制的に”特定看護師に認定することも有り得るかもしれません。
2、特定行為とは
厚生労働省は看護師の業務の見直しを検討しており、「特定行為に係る看護師の研修制度」が法制化されました。特定行為に係る看護師の研修制度を受けることにより、以下に示す特定行為を医師の指示なく行うことが出来るのです。看護師が一人で訪問する訪問看護などでは特に大きな役割を果たすとされ、正式制定に向けて本格的に議論が行われています。
2-1、特定行為41項目一覧
- 直接動脈穿刺による採血
- 気管カニ ューレの交換
- 経口・経鼻気管挿管チューブの位置調節
- 経口・経鼻気管挿管の実施
- 経口・経鼻気管挿管チューブの抜管
- 人工呼吸器モードの設定条件の変更
- 人工呼吸管理下の鎮静管理
- 人工呼吸器装着中の患者のウィーニングの実施
- NPPV(非侵襲的陽圧換気療法 )モードの設定条件の変更)
- 褥瘡の血流のない壊死組織のシャープデブリードマン
- 創傷の陰圧閉鎖療法の実施
- 橈骨動脈ラインの確保
- PICC(末梢静脈挿入式静脈カテーテル)挿入
- 中心静脈カテーテルの抜去
- 腹腔ドレーン抜去(腹腔後の抜針穿刺含む)
- 胸腔ドレーンの抜去
- 胸腔ドレーン低圧持続吸引中の吸引圧の設定・変更
- 心囊ドレーン抜去
- 創部ドレーン抜去
- 「一時的ペースメーカー」の操作・管理
- 「一時的ペースメーカーリード」の操作・管理
- PCPS(経皮的心肺補助装置)等、補助循環の操作・管理
- 大静脈内バルーンパンピング離脱のための補助頻度の調整
- 胃ろう・腸ろうチューブ、胃ろうボタンの交換
- 膀胱ろうカテーテルの交換
- 病態に応じたインスリン投与量の調節
- 脱水の程度の判断と輸液による補正
- 急性血液浄化に係る透析・透析濾過装置の操作・管理
- 持続点滴投与中薬剤(降圧剤)の病態に応じた調整
- 持続点滴投与中薬剤(K、Cl、Na)の病態に応じた調整
- 持続点滴投与中薬剤(カテコラミン)の病態に応じた調整
- 持続点滴投与中薬剤(利尿剤)の病態に応じた調節
- 持続点滴投与中薬剤(高カロリー輸液)の病態に応じた調節
- 臨時薬剤(抗けいれん剤)の投与
- 臨時薬剤(抗精神病薬)の投与
- 臨時薬剤(抗不安薬)の投与
- 臨時薬剤(感染徴候時の薬物)の投与
- 持続点滴投与中薬剤(糖質輸液、電解質輸液)の病態に応じた調節
- 抗癌剤等の皮膚漏出時のステロイド薬の調整・局所注射の実施
- 硬膜外チューブからの鎮静剤の投与、投与量の調節
- 褥瘡・慢性創傷における腐骨除去
2-2、特定行為は未だ検討段階である
看護師がどこまで特定行為を行えるのか、これはまだ検討段階であり、気管挿管や抜管といった項目を削る動きもみられています。厚生労働省は「医道審議会看護師特定行為・研修部会」における意見聴取のみならず、その他外部の意見を取り込むなど、特定行為の制定に向けてあらゆる角度からの意見を求めています。
検討中の41項目は全て重要な事項であるため、一度制定された後も、削除もしくは追加といった変更が加えられるかもしれません。患者の命を守るためにも看護師はこの変更を柔軟に受け入れていかなければいけません。
3、特定看護師制度
特定看護師というと、「看護師の中でも華がある!」と思っている方がいらっしゃるでしょうが、実際のところそんな甘いものではありません。確かに給料が増え、円滑に患者の治療を行っていく、いわゆる看護師のリーダーになり得る立場にありますが、特定行為を行うということはそれだけ患者の命を危険に晒す可能性が増えるということでもあるのです。
つまり、経験や知識に加え、強い使命感と責任感を持っていなくては成り立たないのです。特定看護師になりたいという方はメリットもさることながらデメリットも多くなるなど、あらゆる諸問題をしっかり把握しておく必要があります。
3-1、医師の負担を減らすために
特定看護師制度の設立の背景には、顕著なほどの医師不足があります。他先進国と比べると日本は患者数に対する医師の数が圧倒的に少なく、さらに高齢化によって今後ますます医師不足が深刻化していきます。それゆえ、医師の負担を減らし円滑に治療を行っていけるようにと特定看護師制度が設立されたのです。
世界でも屈指の医療技術を持つ日本ですが、医師は人間であり、負担が大きくなればなるほど医療ミスが起きてしまいます。人間である以上、医療ミスを完全になくすことは不可能ですが、その可能性をより低くするため、特定看護師が医師の負担を軽くすべく、難しい特定行為を実施できるよう法制化されようとしているのです。
3-2、医療の高度化に伴う安全性の限界
医療技術の向上に伴い、一昔前と比べて円滑に短時間で行うことができる治療の数が増えました。しかしながら、これにより医師は新たな治療法に対応せざるを得ず、医師の裁量で行う業務が多様化しているのが現状です。つまり医療の高度化に伴い、医師の業務独占は患者の安全管理に対して限界がきているのです。
患者にとっては非常に嬉しい医療技術の向上ですが、医師にとっては大きな負担となっているのです。医師不足が深刻な上、医療技術向上に伴い医師の負担はますます増えていることで、補佐する人材が是が非でも必要となったわけです。
さらに現時点で通常の看護師が医師から特定行為を任されることもあるなど、医療現場においては法律よりも医師の先導が優先されてしまっているのが実情。「診療の補助」と「医行為」との線引きにはグレーゾーン存在するのも事実。医療の高度化に伴うこの事実もまた、特定看護師制度導入の背景にあるのです。
3-3、激務をさらに悪化させることに
しかしながら、通常の看護師でも夜勤を強いられたり、業務時間も他の職業と比べ長く、さらに様々な危険に晒されることで常に集中力を必要とします。さらに医師不足だけではなく、看護師不足も深刻化しており、2014年には看護師の全求人数5000人に対し、職を求める看護師の数は1600人程度。
医師不足の話題ばかり取り上げられていますが、医師よりも看護師不足の方がより深刻なのです。看護師が不足しているということは激務を強いられるということであり、特定看護師になると、通常の看護師以上の業務量になるため、激務をさらに悪化させることになってしまうのです。
3-4、看護師の法的責任は増えるのか
看護師が医療ミスを起こした場合でも、多くは先導する医師もしくは病院が責任を負うのが現状です。しかし、特定看護師は難しい「補佐行為」を行うという点で、特定看護師に対する法的責任が増える可能性も否めません。過去には看護師が法的責任を負う判例がたくさんあり、その数は年々増え、今後はさらに業務上過失致死罪もしくは業務上過失傷害罪が課される可能性があります。
この背景には「チーム医療の拡大」、「看護師の役割拡大」、「医師と同等の責任を問えるとの考え方」などがあり、時代と共に看護師の責任が重くなってきているのです。
上記3つの背景の中で、特に注目すべきは「看護師の役割拡大」。通常の看護師に至っても役割が増えてきており、特定看護師ともなれば非常に多くの役割が任されることになります。特定看護師制度の導入を受けて、特定看護師はもちろんのこと、通常の看護師まで法的責任が増える可能性が十分にあるのです。
3-5、患者を危険に晒す可能性
特定看護師制度の導入に対して反対意見が多数寄せられている背景には「患者の危険」があります。特定看護師は、高度な医療行為に携わることができますが、看護師は「看護学」を習得しているのであって、「医学」を習得しているわけではありません。医師不足のための即効性のある対策として特定看護師制度が本格的に導入されようとしていますが、看護学と医学は全くの別物なのです。
この点において医師と看護師には大きな違いがあり、看護師の業務拡大に伴い、患者の命を危険に晒す可能性が増大するという側面も存在しているのです。
4、特定看護師が取得できる大学院一覧
特定看護師になるためには大学院や養成機関で専門分野を受講する必要があります。以下に厚生労働省の指定を受けた大学院・養成機関を紹介します。
【修士課程】 調査試行事業 16大学院32課程
都道府県 | 大学院 | 学科 | 当該分野 |
北海道 | 北海道医療大学大学院 | 看護福祉学研究科 | プライマリ・ケア |
千葉県 | 千葉大学大学院 | 看護学研究科 | がん |
東京都 | 東京医療保健大学大学院 | 看護学研究科 | クリティカル |
聖路加看護大学大学院 | 看護学研究科 | 老年、小児、精神、在宅、周麻酔期 | |
順天堂大学大学院 | 医療看護学研究科 | 慢性期 | |
国際医療福祉大学大学院 | 医療福祉学研究科 | 慢性期 | |
日本赤十字看護大学大学院 | 看護学研究科 | 慢性期 | |
神奈川県 | 慶応義塾大学大学院 | 健康マネジメント研究科 | 老年 |
新潟県 | 新潟大学大学院 | 保健学研究科 | がん |
大阪府 | 大阪府立大学大学院 | 看護学研究科 | 急性期、がん |
兵庫県 | 兵庫県立大学大学院 | 看護学研究科 | 慢性期、がん、老人、小児、母性、精神、在宅 |
岡山県 | 岡山大学大学院 | 保健学研究科 | がん |
徳島県 | 徳島大学大学院 | 保健科学教育部 | がん |
高知県 | 高知県立大学大学院 | 看護学研究科 | がん、老人、小児、精神、在宅 |
熊本県 | 熊本大学大学院 | 保健学教育部 | 精神 |
大分県 | 大分県立看護科学大学大学院 | 看護学研究科 | 老年、小児 |
【研修課程】 調査試行事業 1研修期間3課程
都道府県 | 学校 | 当該分野 |
東京都 | 日本看護協会 看護研修学校 | 救急、皮膚・排泄ケア、感染管理 |
【養成課程】 情報収集事業 19大学院34課程+2研修期間2課程
都道府県 | 大学院 | 学科 | 当該分野 |
青森県 | 青森県立保健大学大学院 | 健康科学研究科 | クリティカルケア、小児、母性 |
宮城県 | 東北文化学園大学 | 周術期・救急 | |
千葉県 | 千葉大学大学院 | 看護学研究科 | がん・老人・小児・母性・精神:専門看護師強化コース |
東京都 | 東京女子医科大学大学院 | 看護学研究科 | クリティカルケア、がん、老年、小児、精神 |
神奈川県 | 北里大学大学院 | 看護学研究科 | クリティカル、がん、母性 |
北里大学 | 看護キャリア開発・研修センター | ||
慶応義塾大学大学院 | 健康マネジメント研究科 | がん、精神 | |
東海大学大学院 | 健康科学研究科 | クリティカル | |
群馬県 | 群馬大学大学院 | 医学系研究科 | がん、老年 |
静岡県 | 聖隷クリストファー大学大学院 | 看護学研究科 | がん |
石川県 | 石川県立看護大学大学院 | 看護学研究科 | がん、老人、子どもと家族 |
京都府 | 京都橘大学大学院 | 看護学研究科 | 老人、母性 |
大阪府 | 大阪大学大学院 | 医学系研究科 | がん |
大阪府立大学大学院 | 看護学研究科 | 母性:リプロダクティブヘルス | |
兵庫県 | 兵庫医療大学 | クリティカル | |
滋賀県 | 滋賀医科大学大学院 | 医学系研究科 | 皮膚・排泄ケア |
広島県 | 広島大学大学院 | 保健学研究科 | 慢性期、がん |
広島大学大学院 | 保健学研究科附属先駆的看護実践支援センター | 新生児集中ケア | |
高知県 | 高知女子大学大学院 | 看護学研究科 | 家族 |
高知大学大学院 | 総合人間自然科学研究科 | クリティカルケア、高齢者 | |
福岡県 | 久留米大学大学院 | 医学研究科 | がん |
参照元:特定看護師(仮称)養成調査試行事業の指定・情報提供一覧 厚生労働省
4-1、調査試行事業、情報収集事業とは?
大学院一覧の中で「調査試行事業」と「情報収集事業」という言葉が出てきました。特定看護師を目指す人に直接関わりはないにせよ、これらの意味を知っておいて損はないでしょう。
「調査試行事業」、「情報収集事業」というのは主に特定看護師の要件等を検討する際に必要となる情報や実証的なデータを収集することを目的として実施するもの。つまり、厚生労働省が各大学における特定看護師養成のための実施内容を収集しているのです。
(A)修士課程 調査試行事業
一定の基準を満たす修士課程を「特定看護師の養成調査試行事業実施課程(修士)」に指定し、当該課程からカリキュラムの内容や実習の実施状況等に関する情報の報告を受ける。 (B)研修課程 調査試行事業 一定の基準を満たす研修課程等(看護師(免許取得後)を対象として学会や研修センター等が実施するもの)を「特定看護師の養成調査試行事業実施課程(研修)」に指定し、当該課程からカリキュラムの内容や実習の実施状況等に関する情報の報告を受ける。 (C)養成課程 情報収集事業 (A)又は(B)以外の修士・研修課程を対象として、現在実施しているカリキュラムの実態に関する情報及び特定看護師(仮称)の養成のための新たなカリキュラムや実習の内容に関する提案を受け付ける。 |
参照元:(特定看護師(仮称)養成調査試行事業実施要綱) 厚生労働省
これらは各大学院が情報提供という名目で提出するものです。受講する看護師にとっては関係がないものの、このように厚生労働省は情報収集することにより、徹底した特定看護師の育成を図ろうとしているのです。
5、特定看護師の給与はどこまで上がるのか
特定看護師は認定看護師を土台とし、さらに高度な技術と知識・経験を必要とすることから、日本看護協会が認定している認定看護師や専門看護師以上の給与になることは間違いありません。
しかし、どこまで給与が上がるのかという部分に関しては未だ不透明なまま。さらに勤務先の状況にも左右されるため、推測すること自体難しいのが現状です。
5-1、現在における看護師の平均年収
大学病院であるか民間病院であるかで年収は異なってきますが、ここでは民間病院における看護師の平均年収についてお話します。
引用元:2009年 職業別民間給与実態調査 人事院
年齢を36~39歳とした時、決まった給与(月収)は約28万円。ここからさらに夜勤手当等がついて正式な給与となります。36~39歳の認定看護師や専門看護師は、通常の看護師の月収28万円に5000円~2万円ほどの認定手当てがつきます。つまり、同年代とした時の各看護師の平均給与は以下のようになります。
①看護師(年収:336万+ボーナス+夜勤手当)
②認定看護師(年収336万+ボーナス+夜勤手当+認定手当て6万~24万) ③専門看護師(年収336万+ボーナス+夜勤手当+認定手当て6万~24万) |
実際のところ、認定看護師や専門看護師の給与は通常の看護師と比べてもあまり差がないのが現状です。病院によっては認定手当てがないところもあるため、仕事量が増えるだけで給与が上がらないということもあるのです。
5-2、特定看護師の給与の推測
特定看護師は認定看護師や専門看護師の上位職であり、さらに管轄が厚生労働省であるため、大幅に給与が高くなることも十分ありえます。特定看護師になるためには厚生労働省が指定した大学院で専門分野を受講し、卒業しなければいけないため、認定看護師からそのまま特定看護師になれるわけではありません。
特定看護師は、様々な過程を経てやっと認定されるものであり、さらに厚生労働省は2025年までに10万人超の養成の意を示していることから、特定看護師の重要性が高くなるとともに、給与も大いに上がることが推測できます。
5-3、”やりがい”を求めるか、”給与”を求めるか
しかしながら、未だ不透明な上、病院によっては給与がまちまち。それゆえ、特定看護師を目指そうとしている方は“給与UP”を望むのではなく、“やりがい”または“使命感”を持って、認定に向けて尽力していくべきなのではないでしょうか。さらに認定された後も、“やりがい”と共に強い“使命感”を持って、患者の命を守る必要があるのではないでしょうか。
まとめ
特定看護師は医師に“近い”業務を任される立場にあり、専門看護師・認定看護師以上に責任感が必要となります。安定した生活を送るために特定看護師になりたいという考え方もあるでしょうが、よりいっそう責任が重くなり、マネージメントといったチームをまとめあげる業務が増えるため、生半可な気持ちでは特定看護師は務まりません。特定看護師になりたいという方は、これらを十分に踏まえた上で、認定に向けて邁進していってください。
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