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クリティカルケア看護|定義や看護師の役割、キャリアアップ方法(2017/01/13)

公開日: : 最終更新日:2020/07/06 看護用語 茨城県 全科共通 

クリティカルケア看護

クリティカルケア看護という言葉を聞いたことがありますか?クリティカルケア看護は、2000年以降になって注目を集めるようになった看護領域の1つです。

当ページでは、クリティカルケア看護の定義や意味、クリティカルケア領域での看護師の仕事、キャリアアップの方法について解説しています。また、クリティカルケア看護をさらに深めたい方のために、クリティカルケア看護学会の情報もまとめました。

 

1、クリティカルケアの定義や意味

クリティカルケアとは、疾病や外傷、侵襲の大きな手術などで生命の危機に瀕している患者への看護のことです。

「クリティカルケア」というとわかりにくいかもしれませんが、「重症集中ケア」というとイメージしやすいと思います。クリティカルケアは「急性期」かつ「重症な」患者への看護ですので、具体的には、ICUCCU、救命救急センターで行われているような看護がクリティカルケアと言えるでしょう。

クリティカルケアは、日本よりも先にアメリカで発展した看護領域で、アメリカのクリティカルケア看護師協会(American Association of Critical-Care Nurses : AACN)は1969年に誕生しています。

その後、医療の発達とともに今までは助からなかった命が助かるようになり、集中治療の現場では、看護師にも高度先進治療や全身管理についての知識や経験が求められるようになったため、日本でも少しずつクリティカルケア看護の重要性が認識されるようになりました。

今まではICUやCCU、救命救急センターだけでクリティカルケアが行われてきましたが、急性期の一般病棟手術室救急外来、在宅医療の場でもクリティカルケア知識や経験が必要とされるようになってきています。

クリティカルケアは重症集中看護、急性期看護、周手術期看護、救急看護、在宅医療、終末期看護にまでまたがって、幅広く使われる看護領域なのです。

 

2、クリティカルケアの看護師の仕事と役割

クリティカルケアの看護師の仕事や役割を説明していきます。クリティカルケアが必要とされる場面では、患者は命の危機に瀕しています。そのような時、医師は患者の命を救うことだけに全力を傾けますが、看護師は違います。

患者の身体的な問題だけを扱うのではなく、全人的なかかわりを通してのケアが必要になりますので、精神面や社会面の問題への看護も行います。また、クリティカルケアでは命の危機に瀕した患者の看護だけではなく、その家族の看護もとても重要になるという特徴があります。

 

≪クリティカルケア看護の役割≫

・   異常の早期発見

・   患者の生命維持、生理的機能回復ための全身管理

・   苦痛の緩和

・   セルフケア能力の回復

・   家族への支援

・   患者や家族の倫理的な擁護者

 クリティカルケア看護の役割を見てわかるように、クリティカルケアだからといって、特別な看護をするわけではありません。

患者の重症度は高く、命の危機に瀕しているために、異常の早期発見や全身管理の比重が大きくなるものの、基本的な看護師としての役割は、他の看護領域と同じで、看護の本質的な部分に変わりはありません。

 

3、クリティカルケア看護のキャリアアップ

クリティカルケア看護におけるキャリアアップの方法には、急性・重症患者看護専門看護師、救急看護認定看護師、集中ケア認定看護師の3つがあります。

 

3-1、急性・重症患者看護専門看護師

急性・重症患者看護専門看護師は、日本看護協会が認定している資格で、日本におけるクリティカルケア看護の頂点の資格であり、クリティカルケア看護の専門家と言える資格です。2004年に「クリティカルケア看護」分野として特定されましたが、2007年に「急性・重症患者看護」と名称が変更されました。

急性・重症患者看護専門看護師になるためには、実務経験が通算5年以上(うちクリティカルケア看護での経験が3年以上)あり、看護系大学院の修士課程で、専門看護師教育課程基準の所定の単位(26単位または38単位)を取得する必要があります。修士課程を修了後、認定審査に合格して登録すると、急性・重症患者看護専門看護師になることができます。

 

3-2、救急看護認定看護師

救急看護認定看護師は日本看護協会が認定している資格で、クリティカルケアの中でも救急看護の分野に興味がある看護師さんにおすすめです。救急看護認定看護師になるためには、5年の看護師経験があり、さらに次の3つの条件を満たす必要があります。

1.   通算3年以上、救急部門での看護実績を有すること

2.   救急部門において、CPA・重症外傷・意識障害呼吸不全・循環不全・中毒・熱傷患者等の看護の中から5例以上担当した実績を有すること

3.   現在、救急部門で勤務していること、または救急部門での勤務が予定されていること

さらに、救急看護の認定看護師教育機関で6ヶ月以上660時間(+15時間)の研修を受け、認定審査に合格すると救急看護認定看護師になることができます。

救急の看護に必要な役割と資格|認定看護師とは

 

3-3、集中ケア認定看護師

集中ケア認定看護師は日本看護協会が認定している資格で、資格取得後は研究よりもとにかく臨床にこだわりたい方や、急性・重症患者看護専門看護師は修士課程を卒業しなければいけないのでハードルが高いと思っている方におすすめです。

集中ケア認定看護師になるためには、5年の看護師経験があり、さらに次の3つの条件を満たす必要があります。

1.   通算3年以上、集中ケア部門、または小児集中ケア部門(手術室・NICUは除く)での看護実績を有すること

2.   疾病、外傷、手術などにより高度に侵襲を受けた患者の看護を5例以上担当した実績を有すること

3.   現在、集中ケア部門で勤務していることが望ましい

この3つの条件を満たして、認定看護師教育機関で6ヶ月以上630時間(+30時間)の研修を受け、認定審査に合格すると、集中ケア認定看護師になることができます。

 

4、日本クリティカルケア看護学会について

クリティカルケアに関する知識を深めていきたい、さらに学びたいという看護師さんは、日本クリティカルケア看護学会の会員になることをおすすめします。

一般社団法人日本クリティカルケア看護学会は、2004年にクリティカルケアに携わる看護職が中心となって、クリティカルケア看護学の確立と発展を目的として設立された学会で、2016年8月時点で正会員数は1608名となっています。

年に1回の学術集会が開かれるだけでなく、クリティカルケアに関連する教育セミナーなどが開催されていますので、クリティカルケアについて学びたいと考えている看護師さんは、日本クリティカルケア看護学会の会員になって、積極的に学術集会や教育セミナーに参加すると良いでしょう。

学会に参加することで、専門的な知識を学べるだけでなく、他の病院でクリティカルケアに携わる看護師さんと交流できますので、いろいろな刺激を受けることができるはずです。

 

まとめ

クリティカルケア看護は、医療が進歩していく中で、今後さらにニーズが高まる看護領域と言えます。また、救急やICUなど医療施設内での勤務に止まらず、災害看護など外部でも非常に役に立つ知識・技術です。

クリティカルケア看護に関する書籍が数多く出版されていますので、認定看護師への挑戦や看護学会への入会において敷居が高いと感じている方は、まずは書籍で理解を深めてみてはいかがでしょうか。

岡崎里奈 看護師

茨城県出身で、看護大学への入学を機に上京。東京の大学病院に就職し、救命救急センターに配属になる。6年間働いた後、出産を機に退職して、現在は育児に奮闘しながらライターとして活動中。救命救急センター以外に、派遣やバイトとして一般病棟や療養型病棟、介護施設、健診センターなどの経験あり。

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