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消化器外科での勤務がもっと楽しくなる!知っておきたい看護知識29選(2022/12/09)

公開日: : お役立ち 愛知県 外科 消化器科 

消化器看護

看護師がキャリアを積みたい部署で圧倒的人気を誇る消化器外科。人気の理由はやはり、全身を診れるスキルが身に着くからでしょう。手術への送り出し、内視鏡へ出棟、ストマ交換、食事指導、血糖管理などをこなしつつ、業務が時間内に終わるようにケアスケジュールを組み立てるのは慣れるまで大変ですが、確実なスキルが身に着きます。今回は、消化器外科での勤務がさらに楽しくなるような、知っておきたい看護知識を紹介します。日々がなかなか忙しく復習できない!という方はぜひ目を通してくださいね。

 

1、消化器外科で多く取り扱う疾患と術式まとめ

潰瘍性大腸炎

厚生労働省が定める特定難治性疾患のうちの一つで、その中で最も多く発症すると言われている潰瘍性大腸炎。繰り返す粘血便、下痢、腹痛、発熱、体重減少を伴い、血液検査では貧血、CRPと赤沈の上昇を認めます。治療方針は重症度によって異なりますが、薬物療法、血球成分除去療法、外科的手術があります。潰瘍性大腸炎の看護計画は、「潰瘍性大腸炎の看護|原因・症状や食事療法などの看護計画」「下痢の看護計画、援助|原因と看護的観点から見た看護目標、観察項目について」「下血時の看護|早急なヒアリングと目視判断で有疾患の正確な特定を」をご覧ください。

 

胃潰瘍

胃潰瘍とは、胃粘膜に潰瘍が生じ、粘膜筋板をこえて深く組織が欠損した状態である。症状としては、心窩部痛、腹部膨満感、悪心嘔吐、胸やけ、食欲不振などがあります。原因としてはピロリ菌の感染とNSAIDS内服が二大要因です。治療としては、内視鏡治療、ピロリ菌除去療法、NSAUDSの内服の中止などがあります。胃潰瘍の看護計画、腹部膨満感の看護計画については、「胃潰瘍の看護|胃潰瘍の原因、症状、治療・薬と看護問題、看護過程」「腹部膨満感の看護|腹部膨満感を呈する3つの原因と症状緩和のヒント」をご覧ください。

 

大腸がん

大腸がんとは、大腸粘膜から生じる悪性腫瘍のことで、S状結腸や直腸に好発します。ほとんどが腺癌であり、癌が粘膜下層でとどまっている早期癌と、固有筋層以下に浸潤する進行がんに分類されます。初期は無症状ですが、進行するにつれ腹痛、腹部膨満感、便秘、下痢、血便を自覚するようになります。治療の基本は、内視鏡、注腸造影、超音波内視鏡(EUS)、CTで病変の深達度や転移の有無を調べ、方針を決定します。早期癌に対しては内視鏡的治療、外科的治療で切除し、遠隔転移がある進行がんに対しては化学療法を行います。外科的治療の場合、時には腸管切除に加え人工肛門(ストーマ)を造設する場合もあり、患者のボディイメージは大きく崩れるため術後の自分の状態をしばらく受け入れられないこともあります。大腸がん、直腸癌、超音波内視鏡(EUS)に対する看護計画は、「大腸がんの看護計画|症状やステージとその看護過程・看護問題」「直腸癌の看護|ステージ分類と術式、起こりやすい合併症や看護ケア」「EUSの看護|超音波内視鏡検査の目的や方法、看護のポイントを学ぶ」「ストーマの看護計画|ストマの種類と看護目標・観察項目、看護ケア」「術後イレウス(腸閉塞)の看護|早期診断のための観察と発症患者への看護ケア」をご覧ください。

 

食道がん

食道がんとは、食道に発生する上皮性悪性腫瘍で、その90%以上は扁平上皮癌です。飲酒歴、喫煙歴のある中高年の男性に好発し、好発部位は胸部中部食道です。基本的には無症状ですが、嚥下時にわずかにしみるなどの症状がある場合もあります。早期発見では生存率は改善してきているものの、消化管の癌の中では依然として予後不良です。早期癌の場合は内視鏡的治療(EMR、ESD)や外科的治療、切除不能な癌の場合は化学療法や放射線治療を行います。食道がんのステージや看護計画については「食道癌の看護計画|食道癌のステージにおける看護問題と観察ポイント」「胃ろう(PEG)手術の方法と管理、最適なケアのための観察・看護計画」を参考にしてください。

 

虫垂炎

小腸から大腸へ変わる部分の辺りに盲腸がありますが、虫垂とはその盲腸の後ろ内側から垂れ下がっている管のことをいいます。虫垂炎は、糞石や食物残渣、リンパ組織の腫大、腫瘍などにより虫垂の内腔が閉塞して内圧の上昇、循環障害が生じ、二次的に感染が加わることで発症します。10歳から20歳に好発し、最初は食欲不振、悪心嘔吐から始まり、数時間で右下腹部が急激に痛みます。治療としては開腹手術、腹腔鏡下手術、抗菌薬投与や絶食管理による保存加療などがあります。虫垂炎の治療と看護計画については「虫垂炎(アッペ)の看護計画|痛みの原因と看護観察項目、手術後看護」を参照してください。

 

肝臓がん

肝臓癌は、肝臓自体で発生する原発性肝癌と、他の臓器から転移した転移性肝癌に分類されます。原発性肝癌のうち90%は、肝臓の細胞に由来する肝細胞癌であるため肝臓癌は肝細胞癌のことを言うのがほとんどです。そのうち肝炎ウイルスの感染が90%以上(60%がC型肝炎ウイルス、15%はB型肝炎ウイルス)を占めます。肝臓癌の治療は、肝臓の障害度、肝癌の個数、大きさをもとにして治療法が選ばれ、肝切除、TACE、化学療法、RFAなどがあります。肝臓がんの治療法と看護計画については「肝臓癌を有する患者への看護計画と、術前・術後における管理・ケア」「肝硬変の看護計画|原因、症状、観察項目から見る看護過程、看護問題」「肝臓癌と共に考える膵臓癌患者への看護計画と看護ケアのポイント」「腹水穿刺の看護|腹水穿刺の介助方法とリスクとその看護計画」を参考にしてください。

 

胆石症

胆石とは胆道系に形成された結石で、部位により胆嚢結石、総胆管結石、肝内結石に分けられます。患者は、中年以上に多く、女性は男性の2倍の発症率といわれます。最も発症率が高いのは、40歳代の肥満気味の女性です。治療が必要なのは、胆石発作や急性胆のう炎が起きた場合と、総胆管結石と診断された場合で、治療法にはまずMRCPERCPで結石を確認したうえで、抗菌薬投与、胆のうドレナージ術、内視鏡による胆管結石砕石術、外科的手術などを行います。胆石症で行われる検査と治療・看護計画については「胆石症患者への看護|術前・術後の看護計画と身体的・精神的ケア」「ERCP、ERBDの検査や合併症、適切な手技のための看護ケア・計画立案」「MRCPの看護|安全に検査を行うために知っておくこと」「胆嚢炎の看護|治療方針別にみる胆嚢炎患者への看護目標とケア」をご覧ください。

 

胆管炎

胆管炎とは、胆道の中の胆汁に細菌が感染した状態のことをいいます。健常者の胆汁は本来無菌ですが、十二指腸から総胆管への上行感染、もしくは門脈内細菌によって胆管内胆汁が感染し、急性胆管炎を引き起こします。症状は無症状もしくは黄疸掻痒感をみとめることもあります。胆管結石による胆管閉塞や、悪性腫瘍(胆道がん、膵がん、転移性腫瘍など)、良性疾患(慢性膵炎、胆嚢摘出術後など)による胆管狭窄などが原因です。治療は胆道ドレナージと輸液による電解質の補給です。胆管炎の治療と看護計画は「胆管炎の看護|症状からみる治療法と胆管炎患者に対する看護計画」「黄疸症状を呈する成人および新生児患者の看護とケアにおける注意点」をご覧ください。

 

膵炎

膵炎とは、何らかの要因により膵臓が炎症を起こした状態の総称を指します。症状としては嘔吐や下痢などの消化器症状や上腹部から左背部への痛みです。また膵炎には急性と慢性があり、急性膵炎とは、非活性型で分泌されていた膵消化酵素が何らかの要因で活性化され、膵臓自体を消化するという自己消化の症状が本態であるのに対し、慢性膵炎では膵実質の破壊と脱落がゆるやかなペースで進行し、その結果として生じた不規則な間質結合組織の増生が基本的な病変です。各膵炎で看護計画は異なるので注意が必要です。膵炎の治療と看護計画については「急性・慢性膵炎における看護の注意点と適切な看護計画」を参照してください。

 

胃がん

胃がんは、胃の粘膜に悪性腫瘍が発生する病態のことを指し、環境因子によるさまざまな遺伝子変化によるものが原因とされており、進行度に応じて『早期胃がん』と『進行胃がん』の2つに分けられます。症状としては悪心や嘔吐、食欲不振や胸やけのほかに、胃部腹満感や体重減少などがあります。胃がんの治療は、主に手術療法、化学療法、放射線治療法の3種類を状況に応じて適用することが多く、手術療法が一般的に適用される治療方法です。胃がんの看護については「胃がん患者への苦痛緩和・合併症対策における看護計画と終末期ケア「胃カメラ検査の看護|検査前~検査後における看護ケアと観察項目」をご覧ください。

 

食道静脈瘤

食道静脈瘤(Esophageal Varix)とは、食道の粘膜下層にある静脈が破裂する疾患のことで、肝硬変や慢性肝炎、門脈・肝静脈の狭窄・閉塞に伴う門脈圧の上昇(門脈圧亢進)が原因で起こり、特に肝硬変の合併症としてよく知られており、食道静脈瘤の90%以上が肝硬変の合併症です。治療として飲食物の制限や食事方法、排便管理、服薬管理に加えて内視鏡的硬化療法(EIS)や内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)などの予防的治療を行い、静脈瘤を閉塞または壊死・脱落させることで、症状発現の遅延または改善を図ります。食道静脈瘤に対する治療と看護計画は「食道静脈瘤の予防的看護・治療後(EIS・EVL)の看護実践」「出血性ショックの看護|観察のポイントと症状発現時の対処法」「吐血の看護|喀血の原因と対応方法、患者の看護計画について」をご覧ください。

 

まとめ

今さら聞くには恥ずかしい、だけど知りたい勉強したい消化器疾患と術式をまとめてみましたがいかがでしたか。消化器疾患をマスターすれば全身を診れる看護師に一歩近づけるので、この際にまとめて知識を定着させましょう!

 

参考文献

病気がみえるvol.1消化器(株式会社メディックメディア168、200|岡庭豊|平成28年3月26日)

豊田仁美 看護師

愛知県名古屋市在住、看護師歴5年。愛知県内の総合病院(消化器外科)で日勤常勤として勤務する傍ら、ライター・ブロガーとしても活動中。写真を撮ることが趣味で、その腕前からアマチュア写真家としても活躍している。

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