保育内容|指導案、ねらい、環境と研修、実習、懇談会、保育参観(2017/06/12)
指導案や実習日誌などでよく目にする「保育内容」という言葉。保育士を目指すための必修科目にもなっているこの保育内容とは、一体どのようなものなのでしょう。また、日常の保育との関係はどういったものなのでしょう。こちらでは、「保育内容」のことを詳しく確認していきます。
目次
1、「保育内容」とは
保育内容とは、簡単にいうと保育をしていくうえで重要になるポイントを示しています。「保育所保育指針」には、ねらいを達成するために、保育士が行うべきことや子どもへの具体的な働きかけと位置づけられています。このように、「保育内容」は、ねらいとともに子どもを保育するための基準となっていることがわかります。では、保育内容を考えていくうえで必要なことについて、具体的にいくつか確認してみましょう。
1-1、「保育内容」と指導案のねらい
保育内容は、指導案で立てる「ねらい」と大きく関係しています。ねらいは、保育を行うにあたり保育士が子どもに対して求める成長や発達の目標です。「保育所保育指針」にも、「ねらい」は、保育の目標をより具体化したものである。とあります。そして、まえにも述べたように、保育内容はこの目標を達成するための具体的な方法になります。ですから、指導案を書く際には、ねらいに沿った具体的な保育内容を考えていく必要があるのです。
1-2、「保育内容」と保育の環境
保育内容と保育の環境も密接に関係しているものです。保育をしていくうえで、その環境を考えることは保育士の重要な役割の一つです。施設や遊具、自然現象だけでなく、保育士やクラスの友達など、その子どもをとりまく全てが「環境」なのです。ですから、毎日の保育内容を考えていく中で、もちろん環境の設定も必要になってきます。「このときはどのような環境に整えるべきなのか」ということを常に考えることが、保育内容を考えることになるのです。
1-3、「保育内容」を高めるための研修
保育士は、園内研修や課外研修など就職後も保育の質を高めるための勉強会に参加する機会があります。このような研修は、保育士の「保育内容」を深めていくためにも実は大切なことなのです。ベネッセの「これからの幼児教育」でも、岡建氏は他の保育士との意見交換の場の重要性を述べています。就職した園で、担当となったクラスの中の保育だけを毎日していると、ついつい頭が固くなり思考がマンネリ化してしまう傾向にあります。子どものより良い成長のための保育内容は、幅広い考え方が重要です。できる限り研修には積極的に参加し、さまざまな保育士の意見やアイディアをとり入れ活かしていくように心がけておきましょう。
1-4、「保育内容」は実習で学ぶ
「保育内容」を学ぶことは、もちろん現在の保育士だけでなく保育士を目指す実習生にとっても欠かせないことです。「保育内容」は学生の必修科目となっていますが、授業のみならず、実習の中でもその意味をしっかり理解できるようにしましょう。たとえば、実習するクラスの担任保育士に、その日の活動のねらいを確認しておきます。そして、その日はどのような活動内容であったか、保育士は子どもにどのような働きかけをしていたかをチェックしましょう。保育を淡々と見学するのではなく、保育士の意としていることを理解することで、「保育内容」を知ることにつながっていきます。
2、保育園の「保育内容」を伝える懇談会
保育園の方針や保育内容を保護者たちに伝える機会となる「懇談会」。普段、保育の様子を確認できない保護者は、保育士たちが何を重要として保育をしているか気になっているはずです。できる限り明確に、どのような内容の保育を行っているのかを伝えていきましょう。
2-1、「保育内容」は懇談会で保護者が知りたいこと
懇談会で保護者がいちばん知りたいことは、普段の保育内容についてです。保育士はどのような人で、子どもたちはどのような環境の中でどのように毎日を過ごしているのか。日常の様子や大切にしていることなどを具体的に伝えることで、保護者との信頼関係やコミュニケーションができていきます。
2-2、保護者とつくる「保育内容」
保育内容は、園や保育士がつくりあげるものとは限りません。家庭で子どもの子育てをする保護者の意見も集め、園と家庭が連携して保育内容をつくっていくことも大切なことです。東内瑠里子氏の「保育における「共同」の思想と保育内容の展開」には、保育内容を保護者と共有することの重要性を述べています。きめ細かい保育内容を展開していくためには、保護者との保育の共有が大切です。保育参観や懇談会などの機会には、保護者にも積極的に意見を求め、園の保育に関わってもらえるような関係を築いておきましょう。
3、年齢別の「保育内容」の捉え方
3-1、保育内容の「5領域」とは
保育内容には「5領域」という、子どもの成長過程で望まれる事項があります。保育所保育指針にもあるように、「健康」、「人間関係」、「環境」、「言葉」、「表現」の5つから成っています。しかし、養護の役割をもつ保育園では、この5領域と共に、子どもの健康で安全に毎日を過ごすことが基準にあります。保育内容の5領域ばかりを優先させるのではなく、まずは「保育する意味」を頭に入れて保育計画をしていきましょう。「5領域」についてさらに詳しく知りたい方は、「五領域の保育|五領域の保育内容と保育所保育指針の五領域の定め」をご参考ください。
3-2、乳児の「保育内容」
乳児の保育内容は、他のクラスと比較しても特に特殊なものになります。子どもの生命の維持や発育に対して重点をおきながら保育内容を考えていきましょう。保育所保育指針でも、(1) 一人一人の子どもの健康状態を把握し、異常のある場合は適切に対応する。などといった健康面に関する内容が多くなっています。指導案や日誌に記述する際は、保育内容の重点をよく理解しておきましょう。また、乳児保育について、指導案の書き方などは「乳児保育の重要性と指導案|保育士の役割と課題、教科書やレポートの紹介」をご参考ください。
3-3、1~2歳児の「保育内容」
1~2歳児は、自身でできることが増え始め、保育内容の幅も広がっていく年齢です。ただし、まだ5領域を意識することは困難で、保育士の援助が未だ多く必要になる時期でもあります。ねらいや保育内容を計画する際には、子どもの発達段階や興味関心に沿ったものを考えるように心がけましょう。「保育のヒント」では、「1歳児保育のねらい」、「2歳児保育のねらい」、「3歳児保育のねらい」で詳しく公開しています。ぜひご参考ください。
3-4、3~6歳児の「保育内容」
2歳児までは、基本的な生活習慣が基盤となった保育内容になっていますが、3歳児以上になると生活のほとんどのことを自身で行うことができ、言葉や人間関係、表現力や身体能力など、多方面での能力も優れてきます。保育士は、5領域のねらいを定めた保育計画を立て、保育内容をさらに深めていくことで、子どもの成長をさらに促していくことにつながります。
まとめ
「保育内容」は、保育をしていくうえでの重要な基盤となります。保育計画では、目標となる「ねらい」を定めたら、それをどのようにして達成していくのかを具体的に考え、毎日の保育に活かしていきましょう。また、子どもに適切な保育をしていくためにも、子ども自身のことをよく理解するよう努めましょう。
参考文献
これからの幼児教育(ベネッセ|2013)
保育における「共同」の思想と保育内容の展開(東内瑠里子|2005)
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