保育士の幼稚園での特例とは?│保育士と幼稚園教諭の免許の3つの違い(2018/03/08)
保育士と幼稚園教諭の資格・免許には違いはあるのでしょうか?それぞれの仕事内容の違いなどに迫ってみると共に、新たに設立された幼保連携型認定こども園についても調べてまとめていきます。保育士の幼稚園での特例とはどのようなことなのでしょうか。その全容について調べていくので参考にしてみてください。
1、幼稚園教諭と保育士の資格・免許の違い
まず幼稚園教諭と保育士の資格・免許の違いについて浦和大学のコラムを参考にまとめていきます。
①仕事内容
保育士の場合対象としているは乳児(1歳未満)から就学前の幼児、または18歳未満の少年であるのに対して、幼稚園教諭の場合は満3歳から就学前の幼児を対象としています。また保育園は原則として1日8時間から11時間保育を行うのに対して、幼稚園は1日4時間を基準としているなど、違いは他にもあります。両親と離れて過ごす時間の長い子どもの心の安定や基本的な生活習慣の確立を福祉的側面をメインに行っていく保育士に対して、幼稚園教諭の場合は教育をメインに、知育や運動発育、社会性の発達を目指して活動を行っていきます。
②必要な資格
保育士と幼稚園教諭では必要となる資格や免許も違います。保育士の場合は、保育士の国家試験に合格して保育士資格を取得する必要があります。それに対して幼稚園教諭の場合は、幼稚園教諭一種免許状、二種免許状、専修免許状のいずれかを所有していなければなりません。
③活動できる場所
幼稚園教諭は公立や私立の幼稚園で勤務をするのが一般的となります。それに対して保育士の場合は活動場所は多岐に渡り、保育所をはじめとした、児童養護施設、母子生活支援施設、企業内保育所など幅広いニーズに対応しているのが特徴となります。
2、幼稚園教諭と保育士の給料は
では、幼稚園教諭と保育士では給料面は異なってくるのでしょうか。求人サイトに掲載されている求人情報から見ていくと、保育士の求人情報は、時給850円から始まるものや、月給17万円くらいの求人が多くみられました。それに対して、幼稚園教諭の求人情報も、月給17万円が平均値と、保育士と幼稚園教諭の給料面には大差がないことが分かりました。
3、幼稚園教諭免許を所有して保育士資格を取得する場合の特例
次に保育士の幼稚園での特例とはどのようなことなのかをまとめていきます。まずは特例が出されることとなった認定こども園法の改正について解説していきます。認定こども園法の改正により、幼保連携型認定こども園が創設されました。保育士養成課程等検討会報告書をを参考に、認定こども園法の改正により、新しく創設された幼保連携型認定こども園は、従来の施設とはどう変わっていくのか見ていきましょう。これまで幼稚園は学校教育法に基づく認可となっており、保育園は児童福祉法に基づく認可と母体が異なる施設で成り立ってきていました。幼稚園は文部科学省の管轄で、保育園は厚生労働省の管轄と財政措置が異なるものでした。
ですが、幼保連携型認定こども園が新たに作られ、学校教育と保育を一体的に提供する施設となり、財政措置も施設型給付で一本化されることとなりました。新たに作られた幼保連携型認定こども園は、文部科学省による資料が参考になります。幼保連携型認定保育園は、学校かつ児童福祉施設として、単一の基準を持ち認定こども園法が作られました。認定こども園法は、全ての子どもに質の高い幼児期の学校教育及び保育の総合的な提供を行うことを基準とし、これまで別のものであった幼稚園教育要領と保育所保育指針の整合性を図っていきます。
そして、乳幼児期にふさわしい生活を通じて、創造的な思考や主体的な生活態度の基礎を培ったり、小学校児童との交流の機会を設けて、小学校の教師との意見交換や合同の研究の機会を設けて連携を取るといった小学校における教育との円滑な接続も目標とされています。幼保連携型認定こども園は、0歳から小学校就学前までの一貫した教育及び保育を発達の連続性を考慮して展開していきますが、生活の連続性や年齢に応じた生活リズムに配慮していくなど、一人一人の状況に応じて工夫していく必要があります。このように、幼保連携型認定こども園は、これまでの施設とは異なり、学校教育と保育を一体的に提供する施設である為、職員である保育教諭は、幼稚園教諭免許状となり保育士資格の両方の免許と資格を所有していることが求められます。
しかし、平成31年度末までの期間の間のみ幼稚園教諭免許状を有する者における保育士資格取得特例、また保育士資格を有する者の幼稚園教諭免許状取得の期限付特例について検討されることになりました。
それは、保育所または幼稚園における勤務経験を評価して、もう一方の免許・資格に必要な単位数を軽減するといったものです。具体的にどのくらい軽減されるのかというと、通常の保育士資格取得は68単位履修もしくは9科目の試験受験なのに対し、これまで幼稚園教諭免許を所有していれば34単位履修で試験免除となっていました。ですが、実務経験があり特例を適用出来たら8単位履修で試験免除となるなど、大幅な負担の軽減となるのです。
出典:認定こども園がわかる本(中山昌樹、汐見稔幸|風鳴舎|2015年)
幼保連携型認定こども園についてもっと知りたい場合は、専門書が参考になります。こちらは、実際のこども園に密着してまとめた内容となっており、1日のタイムスケジュールを把握することが出来ます。また保育者視点、保護者視点、地域視点とそれぞれの立場から捉えたこども園の実態も浮き彫りとなっています。こども園の現状やこれからの課題を学ぶのに適した一冊と言えます。
出典:幼保連携型認定こども園教育・保育要領解説(内閣府・文部科学省・厚生労働省|フレーベル館|2015年)
こちらは内閣府、文部科学省、厚生労働省による幼保連携型認定こども園教育・保育要領の公式解説書となっています。これまでまとめてきたことや、更に深彫りした内容が一冊に凝縮されている公式書なので、幼保連携型認定こども園について学ぶときの必携とも言える一冊です。
まとめ
保育士と幼稚園教諭の資格・免許の違いについてや、新たに創設された幼保連携型認定こども園についてまとめてきました。保育士、幼稚園教諭のそれぞれの働き方や、どちらの資格・免許も取得して幼保連携型認定こども園で保育教諭として働いていくなど、様々な選択肢があることが分かりました。仕事内容などもそれぞれ異なってくるので、当記事を参考に自分に合うのはどういった働き方なのかを考えてみてください。
参考文献
幼稚園教諭と保育士の違いとは(浦和大学 浦和大学短期大学部|2016年4月22日)
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