幼稚園教諭の給料・年収|年齢別・都道府県別の比較と手取り額

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幼稚園教諭の給料・年収|年齢別・都道府県別の比較と手取り額(2016/10/03)

公開日: 2016/10/03 : 最終更新日:2017/06/25 お役立ち 保育士 

幼稚園教諭の給料

幼稚園教諭の給与は低く、労働に見合うだけの十分な給与を得られていないのが現状です。これは高い離職率(低い定着率)の大きな要因となっており、幼稚園教諭の職業離れがますます進行しています。

しかしながら、ひとえに幼稚園教諭と言っても、就業地域(都道府県)や就業する幼稚園(公立・私立)などによる大きな給与格差が存在するため、中には十分な給与を得ている方がいるのも事実です。

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目次

  • 1、幼稚園教諭の給与事情
  • 2、幼稚園教諭の年齢における給与比
  • 3、都道府県別の給与差
  • 4、非常勤の平均時間給
  • 5、各種税金などを差し引いた平均手取り額
  • 6、低給与問題における今後の展望
  • まとめ
    • 参照・出典資料

1、幼稚園教諭の給与事情

幼稚園教諭は、園児に生活上での知識や指導、教育などを教える、いわゆる「教育者」としての役割を担っていますが、職業上においては医療・福祉職に分類されることが多く、小学校や中学校、高校などの教師として区別されています。

きまって支給する現金給与額とは、労働契約、労働協約あるいは事業所の就業規則などによってあらかじめ定められている支給条件、算定方法によって6月分として支給された1か月あたりの現金給与額のことで、手取り額でなく、所得税、社会保険料などを控除する前の金額。現金給与額には、現金給与額には、基本給、職務手当、精皆勤手当、通勤手当、家族手当などが含まれるほか、超過労働給与額も含まれる。

上表1)は、全職業の平均給与と、幼稚園教諭を含めた医療・福祉職の平均給与を示しています。幼稚園教諭の男女計の平均給与月額は23.1万円(平均年齢32.4歳、勤続年数7.8年)で、男性が32.6万円(平均年齢40.9歳、勤続年数11.5年)、女性が22.7万円(平均年齢32.1歳、勤続年数7.7年)。

幼稚園教諭と比較されやすい保育士においては、男女計の平均給与月額が21.6万円(平均年齢34.8歳、勤続年数7.6年)、男性が23.9万円(平均年齢31.4歳、勤続年数6.3年)、女性が21.4万円(平均年齢35.1歳、勤続年数7.7年)で、幼稚園教諭とほぼ同額、わずかながら幼稚園教諭の方が高給与となっています。

保育士の詳しい給与や年収においては、「保育士の年収&ボーナス|男女別・年齢別・都道府県別における比較」をご覧ください。

しかしながら、幼稚園教諭の給与は数ある職業の中でも低水準であり、労働内容も過酷を極めるために、離職者数は9,662人2)(私立の場合)で、離職率は約11%の割合を占めています。離職の理由はさまざまですが、多くは給与と労働のバランス(低給与・重労働)がとれていないことが要因となっています。

 

2、幼稚園教諭の年齢における給与比

幼稚園教諭の年収の上昇率はそれほど高くはなく、就業年数が長くても年収400万円を超えることはそれほどなく、多くは350万円あたりで止まります。医療・福祉職の中でも最低水準に位置する保育士よりも、総体的に高年収になっていますが、それでも全職業と比較すると非常に低く、満足な給与を得ることができないのが現状です。

所定内給与額は、労働協約または就業規則などによって、あらかじめ定められている支給条件で、算定方法によって6月分として支給される現金給与額のうち、超過労働給与額(時間外勤務手当、深夜勤務手当、休日出勤手当、宿日直手当、交替手当)を差し引いた額のこと。

年間賞与その他特別給与額は、労働協約または就業規則などに則さず、一時的または突発的理由にもとづいて支給される給与額のことで、主に賞与(平均2~3.5か月)が該当。

上表3)は、10名以上の就業者で構成される幼稚園の、幼稚園教諭(女性)における年齢別の給与を表しています。賞与は経験年数(または年齢)によって上昇し、基本給(または手当含む)の2.5か月分が相場となっています。

20~24歳の平均年収は270.9万円(超過労働給与額を含まない)、25~29歳が321.2万円、30~34歳が350.5万円、35~39歳が365.1万円、40~44歳が357.7万円、45~49歳が359.9万円、50~54歳が394.4万円、55~59歳が487.8万円、60~64歳が567.9万円。

20代後半頃より年収は300万円に到達しますが、幼稚園保育士の給与の上昇率は低いため、30代・40代でも400万円には到達しません。しかしながら、公立や私立、就業地(都道府県)、就業する幼稚園によって、給与額や給与形態は大きく異なります。なお、全幼稚園教諭の平均年収は340.2万円です。

 

3、都道府県別の給与差

医療・福祉職における都道府県ごとの給与差は大きく、幼稚園教諭も例外ではありません。都道府県によって地価・物価や世帯ごとの所得額などが異なるため、給与の地域差は必然と生じるものですが、幼稚園教諭の場合には地価・物価や世帯ごとの所得額に影響を受けやすいため、平均年収の最も高い東京都と最も低い沖縄県では、およそ200万円もの給与差が生じています。

上グラフ3)は、幼稚園教諭の平均年収(きまって支給する現金給与額×12か月+年間賞与その他特別給与額)を都道府県ごとに表しています。

下表は上グラフを数値化したものです。この統計データでは、都道府県ごとの幼稚園教諭の勤務状況(平均年齢や勤続年数、調査した労働者数など)が統一されていないため、勤務状況を統一した場合とでは年収が異なる場合がありますが、1つの指標として参考にできます。

都道府県 平均年収(万円) 都道府県 平均年収(万円)
全国 340.2 三重県 359.6
北海道 275.9 滋賀県 370.7
青森県 273.6 京都府 336.4
岩手県 286.9 大阪府 348.8
宮城県 314.6 兵庫県 379.9
秋田県 223.2 奈良県 372.1
山形県 289.9 和歌山県 323.7
福島県 294.9 鳥取県 286.7
茨城県 329.7 島根県 317.9
栃木県 320.5 岡山県 355.4
群馬県 321.1 広島県 349.2
埼玉県 356.2 山口県 301.4
千葉県 347.6 徳島県 316.5
東京都 383.8 香川県 358.9
神奈川県 357.2 愛媛県 284.4
新潟県 310.9 高知県 253.9
富山県 270.4 福岡県 334.3
石川県 310.8 佐賀県 282.8
福井県 312.6 長崎県 292.8
山梨県 268.5 熊本県 308.2
長野県 318.1 大分県 333.7
岐阜県 312.7 宮崎県 282.5
静岡県 331.0 鹿児島県 297.0
愛知県 341.1 沖縄県 181.9

47都道府県の中で、幼稚園教諭の平均年収が最も高いのは東京都の383.8万円。次いで兵庫県の379.9万円、奈良県の372.1万円、滋賀県の370.7万円、三重県の370.7万円であり、反対に平均年収が最も安いのは順に、沖縄県の181.9万円、秋田県の223.2万円、高知県の253.9万円、山梨県の268.5万円、富山県の270.4万円となっています。

このことから分かるように、一般的に、地価・物価や世帯ごとの所得額が高い都道府県では幼稚園教諭の年収が高く、地価・物価や世帯ごとの所得額が低い都道府県では年収が低い傾向にあります。

最も高い東京都(383.8万円)と最も低い沖縄県(181.9万円)では、およそ200万円の給与差がみられます。ただし、東京都(792人)、沖縄県(7人)というように、調査対象となった労働者数などに大きな開きがあり、またこれには公立と私立の両方が含まれているため、この統計データだけでは、都道府県別の正確な給与は判断できません。

 

4、非常勤の平均時間給

幼稚園教諭の勤務形態には、「常勤」と「非常勤」があります。パートやアルバイトは非常勤に分類され、休みがとりやすい、残業がない、家事・育児との両立を図りやすいなどの理由により、近年では非常勤の勤務形態に人気が集まっています。

  年齢 勤続年数 賃金
看護師 46.5歳 5.6年 1,685円
保育士 45.6歳 5.0年 1,017円
介護支援専門員 53.1歳 5.2年 1,435円
ホームヘルパー 55.2歳 5.6年 1,385円
福祉施設介護員 48.2歳 4.2年 1,057円
幼稚園教諭 44.4歳 5.8年 1,109円

上表3)は、幼稚園教諭を含めた医療・福祉職における男女計の時間給を示しています。幼稚園教諭の平均時間給は1,109円で、比較されやすい保育士よりわずかに高給与となっています。

 

5、各種税金などを差し引いた平均手取り額

幼稚園教諭の給与内訳は、「基本給+手当+賞与」が基本となり、これをもとに年収が決定されます。ただし、これらすべてが支給されるわけではなく、住民税や健康保険料、厚生年金保険料、所得税など各種税金を差し引いた額が、現金給料として支給されます。

住民税 住民税には、都道府県が徴収する都道府県民税と、市町村が徴収する市町村民税があり、これらを合算した金額が給与から差し引かれる。
健康保険料 会社(保育園)が半額負担し、従業員(保育士)が半額支払い。給与額によって、また就業地によって健康保険料は大きく変動する。
厚生年金保険料 会社(保育園)が半額負担し、従業員(保育士)が半額支払い。個人加入は任意であるものの、就業している場合は加入義務あり。
雇用保険料 雇用保険とは、失業時の再就職までの生活を支えるための保険。会社(保育園)が加入義務あり。従業員(保育士)も少額を負担する必要がある。
所得税 個人の所得に対して加算される税金で、所得額が高いほど税金も高くなる。12月の年末調整で過不足調整される。

これら税金の中で、健康保険料は市町村によって税率が大きく異なります。それゆえ、年収や月収が同額でも、就業地域によって手取り額に大きな差が生じることがあります。

一般的に各種税金の支払い割合は15~17%が相場となっているため、幼稚園教諭の月あたりの平均手取り額は約19.1万円(17%とした場合)、年収手取り額は約282.3万円。給与が最も低い20~24歳ではそれぞれ約15.8万円、約224.8万円となります。

なお、保育士の手取り額については、「保育士の給料事情|統計からみる手取り・初任給・時給などの平均額」にて詳しく紹介しています。

 

6、低給与問題における今後の展望

幼稚園教諭の離職率は保育士よりも低いものの、数ある職業の中でも高率であり、給与と労働のバランス(低給与・重労働)がとれないことが、高い離職率の大きな要因となっています。

また、待機児童問題や人材不足などにより、幼稚園教諭の低給与問題を懸念する声が多く挙がったことで、政府は幼稚園教諭の給与引き上げ(2~5%)の実施を検討していますが、未だ検討段階で実施の目途は立っていません。

医療・福祉職の中で低給与の観点から最も離職率の高い保育士においては、「保育士の給料が上がる!?政府提示の給与引き上げニュースまとめ」にて詳しく説明しているように、平成29年度より給与引き上げ(2%)の動きがみられているため、まずは保育士の給与引き上げの実施、効果の検討などを行った後に、本格的に幼稚園教諭の給与引き上げが行われると思われます。

ただし、実施されたとしても給与が大きく上昇するわけではありません。また、給与引き上げにおける法案は、勤務年数の長い人材へ向けた待遇の見直しであり、就業者数の増加ではなく離職率の低下(定着率の向上)を図るものであるため、新人の幼稚園教諭には該当しない可能性が高いと言えます。

なお、幼稚園教諭の給与引き上げの動きはみられていますが、同時に保育園で働く幼稚園教諭を増やす「代替保育」の動きもみられています。一般的に、幼稚園のよりも保育園の方が費用(保育料・学費)は安く、また保育園の方が託児形態に多様性(長時間・夜間など)を持っているため、父母ともに仕事をしている家庭の多くは、保育園を選ぶ傾向にあります。

これを受けて、保育士の人材不足は深刻となり、保育園における待機児童問題の解決のために、厚生労働省は保育園での人材配置を見直し、幼稚園教諭(小学校教諭含む)を保育士として配置できるようにする方針を平成27年11月に発表しました。これは幼稚園教諭及び小学校教諭並びに養護教諭の活用に係る特例4)として、すでに保育士の配置に適応されています。

離職率においては幼稚園教諭よりも保育士の方が高いものの、給与においては同水準。配置改定から分かるように、政府は保育士の人材確保に主眼を置き、幼稚園教諭は二の次としています。

これは、給与引き上げにも言えることで、保育士の給与引き上げを先決問題としているため、幼稚園教諭の給与の見直しは数年先になる可能性が高く、また引き上げられたとしてもわずかであり、当面は業務に見合うだけの給与が得られない状態が続くと考えておいた方がよいでしょう。

 

まとめ

現状における幼稚園教諭の平均年収は340.2万円であり、これには公立・私立の両方が含まれています。全職業の平均年収はおよそ480万円であることから、かなりの低水準と言え、これが高い離職率(低い定着率)に大きく影響しています。

また、一般的に、幼稚園教諭の経験年数に応じた給与の上昇率は低いため、30代・40代でも400万円の大台を突破することは難しく、私立勤務の場合には、さらにそれが顕著となります。

労働に応じた十分な給与を得られない現状ではありますが、保護者に代わって子供の教育を行えるのは幼稚園教諭だけであり、少子化に伴い、今後ますます幼稚園教諭の役割は大きくなっていきますので、子供の健全な成長のため、そして日本の健全な未来のために頑張っていきましょう。

 

参照・出典資料

1)保育士等に関する関係資料 保育士等確保対策検討会 厚生労働省 平成27年12月

2)平成25年度学校教員統計調査(確定値)の公表について 文部科学省

3)平成27年賃金構造基本統計調査 厚生労働省

4)保育所等における保育士配置に係る特例について 内閣府 平成28年2月

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