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大学病院で働く看護師の気になる給料事情と5つのメリット&デメリット(2017/11/07)

公開日: : 最終更新日:2024/06/06 お役立ち 東京都 全科共通 

大学病院看護師

スキルアップを目的に、あるいは数年後別の病院に転職して優遇されるための足台として、大学病院で働きたい看護師は数多くいます。大規模施設で最新の医療を学べ、また中途採用で入職しても研修制度が充実していることから、復職しやすい大学病院。憧れの大学病院で働くメリットから、実際の年収、大学病院からの転職事情まで詳しくお話しします。

 

1、大学病院で働くメリット

■知識が身につく

大学病院は教育機関でもあるので、月に何回か勉強会や発表会があります。新人研修・中途採用研修が充実しており、またレベルに合わせてプリセプターや育成担当がつくので、わからないこと、不安なことは逐一見てもらえるので安心です。その分先輩からの宿題や学びを毎回書き留めたノートを提出して見せるなど、プライベートな時間まで勉強に割かなければいけないので負担になることも。

 

■最新の医療を臨床で実施できる

大学病院は治験や最新の医療を積極的に実施しており、また原因不明の難病を抱える患者も多く入院しているため、常に新しい医療や看護に触れることができます。予測不能の事態や副作用が起こることもありプレッシャーを感じることもありますが、その経験は必ず役に立つものなので、経験値になります。

 

■看護体制が整っている

大学病院では各部署の勤務体制や残業時間を把握し改善する部署や職員カウンセリング、個人面談が設置されており、職員の負担が少なくなるよう日々労働環境が改善されています。看護師不足は今の時代どこの病院も深刻と言われますが、大学病院ではパートナーシップ制をとっていることが多く、ペアで行動して業務をこなしていくので一人にかかる負担が軽減されています。

 

公務員扱いの看護師の制度が充実している

国公立の病院や保健所などの看護師は公務員・教職員扱いとなり、大学が所有する図書館や食堂も、教員証を提示すれば使用することができたり、勤務年数が多くなるほど昇給する制度、公務員に定められた休暇制度などの制度が充実しています。しっかり働いて、その分休みが欲しい看護師には最適です。

 

■転職に強く、有利に働く

大学病院で一定年数の勤務経験があると、転職先で評価されます。民間の病院では、大学病院を退職した看護師を、高収入の条件で働いてもらおうとするところもあるため、ある程度の土台がしっかりしていれば、復職や転職に有利に働きます。

 

2、大学病院で働くデメリット

■部署によっては技術が身につかない

部署によっては採血点滴を研修医が行うところもあるため、手技がなかなか身につかないこともあります。「大学病院の看護師は採血が下手だ」というレッテルをはられることもあります。

 

■離職率が高い

労働環境が整っている大学病院ですが、日々の勉強、シビアな人間環境、勉強会参加でプライベートな時間を確保できないなどの原因で、離脱していく看護師が後をたえません。5年目までの看護師と、リーダーができる経験豊富な看護師で二極化しているため、中堅が育たず、またその二極の意識の差や実力の差でさらに人間関係がぎくしゃくすることもあります。

看護師の離職率は、日本看護協会が以下の算出方法に従って算出していますが、

常勤看護師離職率(%)=その年度の総退職者数÷常勤看護師の数×100

新卒看護師離職率(%)=その年の新卒退職者数÷新卒採用者数×100

毎年10人に1人が看護師を離職している状態が続いています。「看護師辞めたい」がいつの間にか口癖になっていませんか?体の危険信号を見逃してしんどくなってからでは遅いですよ。

 

■専門性が偏りすぎる

大学病院では患者の疾患別に部署が細分化されているため、疾患に応じた処置内容や知識が偏ってしまいます。採血や点滴があるのが珍しい部署もあれば、山ほどあり目が回りそうになる部署も。数年ごとの転科制度を利用しながら、まんべんなく知識・技術を磨いていきましょう。

 

■勤務年数を重ねるほど責任が重くなる

大学病院では勤務年数に応じて重症患者の受け持ちやリーダー業務、委員会や勉強会の調整、新人教育など、責任の重い仕事を任されるようになっていきます。それが精神的に負担になることも。

 

■委員会活動が忙しい

入職すると、リスク管理やサマリー、その他いろいろな委員会のどれか一つに入らなければいけません。勤務の終わりや休憩を割き、委員会活動を行わなければならないので、勤務時間外で奉仕活動をすることが負担になります。他委員会へのメール送信や発表など事務処理に時間がかかり、帰宅が遅れることはしばしば。

 

3、公務員看護師の気になる給与とは

■若い頃は高くないのが現実

制度が充実している大学病院の看護師の給与は高そうなイメージがありますが、労働環境が整っている分残業が少なく残業手当が少なかったり、個人病院に比べ夜勤手当が少なかったりと、長年の勤務で昇給制度が適応されるまでは、個人病院の給与を下回ることもあります。しかし、勤務10年を超え、副師長に任命されたり、さらには病棟師長、管理部、看護部長にもなれば年収600万~1000万という給与大幅アップのチャンスもあります。

 

■公務員が優遇される積み立てに入れる

銀行や保険を利用した積み立ての年利は、一般的に0.1~0.3%までが標準ですが、大学病院で働く看護師には、共済の積み立てが高金利(1%を超える)で行える制度があるところも。年収が少ない若い間に、コツコツ積み立てていけば、生活から綺麗なマンションに引っ越す資金もたまります。

 

4、大学病院を退職して転職したいときは

■大学病院での経験をわかりやすく伝える努力をする

大学病院での経験は、個人病院ではできない特別な経験です。最新の医療、確実な知識は必ず面接官に好印象を与えるので、あとは何を学んだか、ポジティブな転職理由(スキルアップなど)を面接官にわかりやすく伝える努力をしましょう。面接で役立つ情報や履歴書での志望動機の書き方は志望動機例文108選を参考にして下さい。

 

5、転職をする前に転科という選択肢がある

大学病院の中の今の部署で働きづらくなっても、違う部署に転科したり、外来で働くという手段があります。部署を変えたら想像以上に働きやすくなったり、外来で夜勤のない勤務で体調を整えるなど、退職してまた一から違う病院で働くよりかは、カルテの見方やシステムが同じ今の病院で働いてみるのも良い方法です。

 

まとめ

華々しいイメージの大学病院ですが、専門性が高まるというメリットが、逆に手技や知識を狭めてしまうというデメリットになってしまったり、勉強思考があだとなり疲労の蓄積、人間関係のシビア化に至ってしまったりと、うまく付き合っていかなければ長続きしないのが現実です。自分にあった病院、部署、勤務体制は必ず存在するので、もしも体を壊すほど疲れてしまったり、大学病院での勤務を少し休憩してみたいと思ったら、思い切って転職してみるという方法もあります。看護師という仕事は、どこで働いているから偉いということはなく、患者からどれだけ満足してもらえるか、どれだけ自分が気持ちよく働けているか、どれだけやりがいをもって良い看護ができているかが、良い結果を生みます。自分が一番輝いて働ける場所が必ずありますので、自分が働く環境を大事にして日々の看護を行っていってください。

山岸愛梨 看護師

東京都在住、正看護師。自身が幼少期にアトピー体質だったこともあり、看護学生の頃から皮膚科への就職を熱願。看護学校を経て、看護師国家資格取得後に都内の皮膚科クリニックへ就職。ネット上に間違った情報が散見することに疑問を感じ、現在は同クリニックで働きながら、正しい情報を広めるべく、ライターとしても活動している。

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