ブランクや未経験の看護師が復帰する為の研修と6つの勉強方法(2017/10/22)
ブランクや未経験の看護師は、就職前後にしっかり勉強しておくと、スムーズに仕事に慣れることができるでしょう。ブランクや未経験の看護師が取り組むべき勉強方法や看護協会の復職支援研修、再就職の求人選びの注意点、履歴書のポイント、働き方をまとめました。
目次
1、ブランクや未経験の看護師におすすめの6つの勉強方法
ブランクから復職する看護師や未経験の診療科・分野に転職する看護師は、「事前に勉強しておかなくちゃ!」と不安になっていると思います。
ブランクや未経験の看護師におすすめの6つの勉強方法をご紹介します。
1-1、アプリを活用する
基礎的な看護知識や看護技術を勉強するためには、スマホアプリを活用しましょう。スマホアプリの中には、基礎看護技術を勉強できるものがあります。スマホで勉強できれば、ちょっとした空き時間にササっと勉強できますので、忙しい子持ち看護師でも苦なく勉強をすることができます。
まずは、スマホアプリで基礎看護技術を勉強できるものを探してみましょう。ただ、1つ気を付けなければいけないのは、信用できるアプリかどうかをチェックすることです。個人で作ったようなアプリは、内容が間違っている可能性が絶対にないとは言い切れませんので、信用できるアプリを使うようにしてください。
1-2、基礎看護技術の本を1冊購入する
ブランクや未経験の看護師は、基礎看護技術の本を1冊購入しましょう。清潔ケアや採血、点滴、吸引などの基礎看護技術が丁寧に説明されている参考書です。
アプリでおぼろげな記憶を取り戻したら、次は基礎看護技術の本を購入してください。出版されている参考書は、看護大学の教授や総合病院の看護部長など権威のある人が執筆・監修しているので、エビデンスがしっかりしているのです。
看護学生時代に買った基礎看護技術の参考書を持っている人もいると思いますが、できれば新しいものを買いなおしてください。看護知識・技術はどんどん新しくなっていますので、あなたが看護学生だった時代の常識と今の常識は違うことがあるからです。基礎看護技術の本は、隅から隅まで読んで覚える必要はありません。サーっと目を通して、「こういう技術があった」とか「この技術のポイントはこれ」と思い出すようにすればOKです。
あとは働きながら、参考書を見直して、少しずつ看護知識・技術を身につけておくようにしましょう。
1-3、専門分野の参考書を1冊購入する
3つ目の勉強方法は、専門分野の参考書を1冊購入してください。配属になる診療科が決まっている人は、その診療科の疾患やその看護についての参考書を、介護施設で働く人はアセスメントや老年看護の参考書を購入しましょう。
診療科によって患者さんの疾患は全く違います。疾患の知識がゼロだったら、いくら基礎看護の技術を身につけていても、良い看護はできません。
自分が働く職場では、どのような疾患が多いのか、どんな治療をして、どんなことに注意して看護をするのかを勉強しておくと良いと思います。
1-4、先輩看護師にどんどん質問する
ブランクや未経験の看護師は、先輩看護師にどんどん質問しましょう。「新人看護師でもあるまいし、質問しにくい」と思うかもしれませんが、そのようなプライドは捨ててしまいましょう。たとえ、先輩看護師が年下でも、遠慮せずに質問して下さい。質問された先輩看護師は快く説明してくれたり、考えるヒントをくれたりするはずです。
遠慮して質問しないのは、本当にもったいないので、わからないことや疑問に思ったことは、積極的に質問しましょう。自己学習の時間を短縮できるというメリットもあるのです。
1-5、その日の疑問はその日に解消
ブランクや未経験の看護師は、働いているといろいろわからないことが出てくると思います。わからないことが出てきたら、その日のうちに解消しましょう。その場で先輩看護師に聞いても良いですし、勤務後に自宅で勉強してもOKです。後回しにすると、わからないことがどんどん溜まっていくだけですし、また同じようなシチュエーションになった時に、「またできない」、「またわからない」、「また同じ失敗をする」ということになります。
そうならないように、その日の疑問はその日に解消しておくように心がけましょう。
1-6、職場の勉強会には積極的に参加
ブランクや未経験の看護師は、職場の勉強会に積極的に参加しましょう。職場の勉強会や研修は、無料で受けられますので、勉強が必要なブランクや未経験の看護師は積極的に参加しないと損なのです。
勉強会や研修は日勤後に行われることが多いので、参加すると退勤時間が遅くなりますが、その職場で戦力としてバリバリ働けるようになるまでは、積極的に参加しましょう。
職場の勉強会に参加すると、やる気があることを周囲の上司や先輩にアピールできるというメリットもあります。
2、ブランク・未経験の看護師は看護協会の研修に参加してみよう
ブランクがある看護師やほぼ未経験で看護スキルに自信がない看護師は、看護協会の復職支援研修に参加すると、自信を持って復職できるようになります。
各都道府県の看護協会は、潜在看護師向けに復職支援研修を行っています。具体的な研修プログラムは、各都道府県の看護協会によって異なります。
<復職支援研修の内容>
・採血や注射などの基礎看護技術
・体位交換や移譲介助 ・フィジカルアセスメント ・医療機器の取り扱い ・電子カルテの扱い方 |
これらのほかに、病棟での実習を行うプログラムを組んでいるところもあります。期間も1日~1週間といろいろあります。
復職支援研修を受けると、看護師として必要な基礎的なスキルを復習できますので、復職に対する不安を軽減することができるのです。
3、ブランクがある看護師が再就職(復職)する時の求人選びの5つの注意点
ブランクがある看護師が再就職する時には、給料やボーナス、年間休日数など基本的なこともチェックすべきですが、今から説明する5つのことを注意して求人を選ぶと、復職に失敗するリスクが少なくなります。
①体力的なこと
ブランクがある看護師は、体力的な不安を持っていると思います。看護師は力仕事が多いですし、ずっと立ちっぱなしのことが多いので、体力的についていけないのではと不安になるのです。体力的な不安がある看護師は、介護士が多く配置されていたり、自立した患者が多いなど、力仕事が少ない職場に復帰しましょう。また、バタバタせずにゆとりを持って働けるような職場もおすすめです。
②医療行為の量
医療行為の量も、ブランクから復職する時には注意しなければいけません。重症患者が多く、医療行為が多いところに再就職すると、知識も技術も追いつきませんし、精神的なプレッシャーが多いので、復職したことを後悔する可能性があります。
ブランクの年数にもよりますが、看護技術に自信がない人は、医療行為が少なめの職場を選びましょう。
③ブランク前の経験を活かせるか
ブランクがある看護師が再就職する時には、ブランク前の経験を活かせるかを確認しましょう。ブランク前と同じ診療科なら、以前の経験を活かせるので、比較的楽に仕事に慣れることができます。医療行為が少なめのところに復職するならともかく、急性期に復職する場合は同じ診療科で以前の経験を活かせるところに再就職したほうが無難だと思います。
④教育制度
ブランクから復帰するなら、教育制度を確認してください。ブランクがある看護師は、中途採用にもプリセプターをつけてくれる職場を選ぶと、仕事を早く覚えることができますので、復職に成功しやすいです。
「ブランク歓迎・未経験歓迎」の求人は、中途採用にプリセプターをつけてくれることが多いので、おすすめです。未経験・ブランク可の看護師求人を探してみてください。
また、最近増えてきているイPNS(パートナーシップナーシングシステム)の病院を選ぶのも良いと思います。
PNSは2人1組で働くので、ブランクや未経験の看護師でも常に先輩看護師と一緒に働くことができます。そのため、復職への不安を軽減することができるのです。
⑤家庭・育児との両立は可能か
ブランクから復職する看護師は、結婚や出産をきっかけに退職した人が多いですよね。そして、再就職後は家事や子育てと仕事を両立させる必要があると思います。家庭・育児と仕事を両立させる場合は、無理なく両立させることができるかを確認して下さい。
保育園や学童保育のお迎えに間に合うか、勤務後に家事を行う時間的・体力的余裕はあるかなどはチェックしなければいけません。勤務終了時間は早くても、残業が毎日のようにあることもありますので、残業時間も確認したほうが良いでしょう。
4、ブランクや未経験の看護師の履歴書のポイント
ブランクや未経験の看護師は、履歴書でしっかりとやる気をアピールしなければいけません。ブランクや未経験は、採用する職場側にとってはマイナスポイントになります。
採用側としては、即戦力になる看護師を採用したいので、ブランクや未経験は不利な要素になるのです。その不利な要素を少しでも小さくするためには、履歴書でやる気をアピールしましょう。
<ブランクや未経験の看護師の履歴書のポイント>
・志望動機や自己PRでやる気をアピール
・履歴書の欄は基本的に全部埋める ・手書きで丁寧に描く ・写真は好印象に見えるものを用意する |
これらに注意して、履歴書を書きましょう。履歴書の詳しい書き方は、「看護師の就職・転職|履歴書・封筒の書き方と手渡しマナー」を参考にしてください。
5、ブランクや未経験の看護師はパートで働くのもあり?
ブランクや未経験の看護師は、常勤ではなくパートで働くことを視野に入れるのも良いでしょう。パートだと勤務時間の融通が利きますので、週3回半日勤務のような働き方ができるのです。体力に自信がない看護師や子育て中の看護師は、パートという働き方を選択すると良いでしょう。
ただ、パートの場合は常勤として再就職した時のように、プリセプターをつけてくれることはなく、丁寧に指導してもらえないことが多いです。そのため、パートとして働くブランクや未経験の看護師は、自分からわからないことは積極的に聞きに行くようにし、自分から学ぶ姿勢を忘れないようにしてください。
興味がある方はパートの求人を探してみましょう。
まとめ
ブランクや未経験の看護師におすすめの6つの勉強方法や看護協会の復職支援研修、再就職の求人選びの5つの注意点、履歴書のポイントや働き方をまとめました。ブランクや未経験の看護師は、再就職への一歩を踏み出すのに勇気がいりますが、自分であらかじめ勉強をし、看護協会の復職支援研修を受けてから復職すると、きっとうまくいきます。
せっかく看護師免許を持っているのですから、また看護師として働きましょう!
東京都在住、正看護師。自身が幼少期にアトピー体質だったこともあり、看護学生の頃から皮膚科への就職を熱願。看護学校を経て、看護師国家資格取得後に都内の皮膚科クリニックへ就職。ネット上に間違った情報が散見することに疑問を感じ、現在は同クリニックで働きながら、正しい情報を広めるべく、ライターとしても活動している。
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