産業看護師を目指す看護師に必要な4つの資格・資質とは(2018/01/28)
病棟で勤務する看護師にはなかなか馴染みがない産業看護師。一般企業で働く産業看護師になる方法や必要な資格なども一般的にも広く知られていませんが、土日祝日が休みで、病院ではないため夜勤がなく、さらには看護処置もないため体力的に自信がない一部の看護師から圧倒的な人気を誇っています。今回は、産業看護師に必要な資格・資質を紹介していきます。
1、産業看護師とは
産業看護師とは、一般企業、工場で働く看護師のことです。仕事内容はどのような企業で働くかにもよりますが、産業看護師の仕事の目的は以下の通りです。
①職業に起因する健康障害を予防すること
②健康と労働の調和を図ること ③健康および労働能力の保持増進を図ること ④安全と健康に関して好ましい風土を醸成し、生産性を高めることになるような作業組織、労働文化を発展させること |
出典:産業看護“新定義の”報告(日本産業衛生学会産業看護部会)
職員ひとりひとりのメンタルケアや健康診断・相談、職場でのけがの応急処置、職場環境の改善など多岐にわたります。
2、産業看護師になるメリット
■デスクワークが多いので体力に自信がなくても心配ない
病棟看護師はいつも走り回っていますが、産業看護師は職員の健康診断やメンタルケア、個別面談などの業務がメインのため、看護処置や清拭がなくデスクワークが中心です。病棟内を走っていたころと比べれば体力的にもかなり負担が減ることでしょう。
■夜勤がなく土日が休み
不規則な勤務がなく、土日が休みのため、生活リズムの乱れを起こさず体調を崩すことや、急な勤務変更でプライベートな時間を割いてしまうこともありません。週末はしっかりと自分だけの時間を確保できるのが魅力。
3、産業看護師になるデメリット
毎日のケアに入っているからこそ上達する看護技術は山ほどあります。しかし産業看護師はめったな事故がない限り応急処置を行わないため、ルート確保、採血、清拭などの毎日行う技術は必ずといっていいほど衰えてしまいます。また、産業看護師は大きな会社ではない限り当日の勤務が自分一人だけということもあり、緊急時には自信がない手技を一人で行わなければいけないので責任重大です。
4、産業看護師に必要な資格・資質
産業看護師に必要な資格は、看護師免許だけというのが意外なところ。しかしながら、産業看護師の求人は極めて少ないため、転職サイトに登録して空き枠が出たらすぐ連絡してもらうようにするなど工夫が必要です。また、少ない採用人数に看護師が集中した場合、適性を問われるため、以下の資格・資質があれば自信になります。
■パソコン基本技術
ワードやエクセルを用いたデスクワークがメインの産業看護師は、パソコンと向き合っている時間がほとんど。最低限のパソコン技術があれば、業務に困ることはありません。
■カウンセラー、保健師の資格
多くの職員と健康相談やメンタルケアを行う際、この資格があれば効率よく仕事ができ、また職員の悩みをさらに引き出し癒してあげることが可能になります。保健相談も保健師の資格があれば実施することができるため便利です。
■病棟でのリーダー経験
産業看護師は職員個別にアドバイスするだけではなく、面談の結果からその会社全体の職場改善を少人数でマネジメントしていく必要があります。一人一人がリーダーシップを発揮し、自分から率先して職場を変えていける能力が必要です。病棟でのリーダー経験があればさらに自信になるでしょう。
まとめ
産業看護師になるには特別な資格は特に必要ありませんが、少ない求人の中から採用を勝ち取るためには上記の資格や資質があれば採用の可能性はぐんと上がります。病棟での勤務に疲れ、プライベートな時間が欲しい、チームマネジメントに興味がある!という方はぜひ産業看護師の求人が出ているか確認してみましょう!
1986年生まれ。北海道札幌市出身・在住。同市内の看護学校を卒業後、北海道大学病院の内科で2年勤務。その後、同市内の個人病院で6年間勤務し、結婚・出産を機に離職。現在は育児をしながら、看護師としての経験を生かし、WEBライターとして活動中。
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