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ANCA関連血管炎の看護|原因・症状・予後から考える4つの看護ケア(2018/09/22)

公開日: : 北海道 看護師 看護計画 

ANCA関連血管炎の看護

ANCA関連血管炎は自己免疫疾患のひとつで、近年、増加傾向にある疾患です。ANCA関連血管炎は種類やその重症度によって治療や看護に違いがあり、症状によっても看護ケアが変わってきます。ANCA関連血管炎について良く知り、看護ケアに活かしましょう。

 

1、ANCA関連血管炎とは

ANCAとは、抗好中球細胞質抗体(antineutrophil cytoplasmic antibody)という自己免疫抗体のことをいいます。ANCAには核周囲が染まるp-ANCA(perinuclear-ANCA)と細胞質が染まるc-ANCA(cytoplasmic-ANCA)があります。それぞれの抗体に対する抗原は、p-ANCAはMPO(myeloperoxidase)、c-ANCAはPR3(proteonase3)が代表的です。

 

p-ANCA

p-ANCA

 

c-ANCA

c-ANCA

引用:Apollo HOSPITALS

 

血管炎は罹患血管のサイズによって大型血管炎、中型血管炎、小型血管炎に分類され、小型血管炎は細動脈や毛細血管、細静脈、小動脈が対象になります。小型血管炎のうち、抗好中球細胞質抗体によって引き起こされる血管炎をANCA関連血管炎といいます。ANCA関連血管炎は、全身の臓器に発症する3種類の全身型と、一つの臓器のみに発症する1種類の臓器限局型に分けられます。

 

ANCA関連血管炎

全身型

 

・顕微鏡的多発血管炎(microscopic polyangiitis,MPA)
・多発血管炎性肉芽種症(granulomatosis with polyangiitis,GPA)
・好酸球性多発血管炎性肉芽種症(eosinophilic granulomatosis with polyangiitis,EGPA)
臓器限局型 ・腎限局血管炎(renal-limited vasculitis,RLV)

 

1-1、顕微鏡的多発血管炎

顕微鏡的多発血管炎は50歳代半ばから70歳代の高齢者に多く発症し、肉芽種を伴わない壊死性の小型血管炎で、中型血管炎の炎症を伴うことがあります。この血管炎では腎病変を伴うことが70〜80%と多く、壊死性糸球体腎炎が高頻度で出現します。この場合、発症後数週間から数ヶ月で腎不全になることが多く、早い対応が必要になります。また40〜50%に割合で肺障害があり、日本では間質性肺炎を伴うことが多くなっています。その他では、20%の割合で末梢神経障害が発症しています。臨床検査ではCRPの上昇、血清クレアチニンの上昇、MPO-ANCAの上昇がみられます。

 

1-2、多発血管炎性肉芽種症

多発血管炎性肉芽種症は、男性は30歳代〜60歳代、女性は50歳〜60歳代に多く発症します。上気道に肉芽種性の炎症が出現し、腎臓に壊死性半月体形成腎炎が起こります。壊死性の腎病変は、顕微鏡的多発血管炎でも出現するため、壊死性ということだけでは、どちらの血管炎かという指標にはなりません。多発血管炎性肉芽種症は、眼窩、副鼻腔、中耳などの炎症から始まり、気管、気管支、肺へ炎症が広がり、続いて腎臓へと広がります。上気道から腎臓障害へと進むのが特徴で、膿性鼻漏、鼻出血、鞍鼻、中耳炎、視力低下から血痰、呼吸困難へと進み、腎炎へと移行します。他に、紫斑や関節痛、しびれ、感覚異常、運動機能異常などの症状があります。臨床検査では、CRPの上昇、PR3-ANCAの上昇、レントゲンでは肺多発結節、CT・MRIでは服鼻腔の骨破壊性病変がみられます。

 

1-3、好酸球性多発血管炎性肉芽種症

好酸球性多発血管炎性肉芽種症は、平成27年に難病指定された疾患で、40歳〜70歳が好発年齢となっています。気管支喘息やアレルギー性鼻炎などのアレルギー性疾患から始まり、発熱、体重減少などの全身症状へと移行します。また、多発単神経炎による知覚障害、運動障害が80%発症し、皮膚血管炎による紫斑などが起こります。臨床検査では、好酸球数の上昇、CRPの上昇、MPO-ANCAの上昇がありますが、決定的な所見としては、好酸球浸潤を伴う細小血管の肉芽種や壊死性血管炎がみられることがあります。

呼吸器の病気

引用:呼吸器の病気(一般社団法人日本呼吸器学会)

 

1-4、臓器限局型の腎限局型血管炎

臓器限局型の腎限局型血管炎は、腎臓にのみ発症する顕微鏡的多発血管炎と考えられています。血管炎が腎臓のみに限局されていると診断されたものでも、ほかの箇所にも炎症初見が見つかることもあり、顕微鏡的多発血管炎と同じものであるという報告もあります。

日本では、ANCA関連血管炎の9割が顕微鏡的多発血管炎を占めていますが、欧米は多発血管炎性肉芽種症が多くを占めています。

 

2、ANCA関連血管炎の原因

ANCA関連血管炎の原因はわかってはおらず、何らかの原因によってANCAが自己の好中球と結合し、そのANCAと結合した好中球が血管を刺激して攻撃することによって血管炎を起こすことが発生機序となっています。顕微鏡的多発血管炎は環境因子であるシリカ、薬剤(抗甲状腺薬:プロピルチオウラシル、抗生剤:ミノサイクリン、降圧剤:ヒドララジン)、感染症(ウイルス、グラム陰性桿菌)などの関与と、日本人の遺伝的因子であるANCAの特異性が関与しているという報告もあります。しかし、いずれも確たる原因はわかってはいません。

 

3、ANCA関連血管炎の予後

ANCA関連血管炎のうち顕微鏡的多発血管炎は寛解率80%以上と高く、5年生存率は45〜76%と報告されてはいますが、長期生存率では死亡率は25%となっており、早期発見や治療方法が進歩してもなお予後不良な疾患であるといえます。ANCA関連血管炎全体としては、その多くは対症療法に関する感染症が最も多くなっており、敗血症やニューモシスチス肺炎などの重症感染症による死亡率が高くなっています。好酸球性多発血管炎性肉芽種症は、治療によって90%が寛解し、5年生存率は97%と報告されています1)

ANCA関連血管炎は自己免疫疾患なので、治療はステロイド療法など免疫を抑制する治療が多く、感染の危険性は高くなります。また、長期的に治療を行い、急性期、慢性期、寛解期と1年以上かけて治療を行なっていくこと、また、長期的に診ていくことが必要になります。

 

ANCA関連血管炎

引用:ANCA関連血管炎.com

 

4、ANCA関連血管炎の看護計画

ANCA関連血管炎は、疾患による症状に対する看護と、治療中の看護が必要になります。看護目標と計画は次の通りです。

 

〈看護目標〉

①症状による苦痛を軽減できる

②感染予防行動がとれる

③長期的な治療に対するストレスを軽減できる

 

4-1、ANCA関連血管炎の看護ケアの4つのポイント

看護目標に対する看護ケアのポイントは次の通りです。

①全身症状(倦怠感、発熱、呼吸困難、易疲労感など)に対する看護

安楽な体位の工夫や、ADLに対する援助を行います。

②感染症予防

治療中は易感染状態となるために、感染症にならないようケアを行う必要があります。環境を整えること、患者への手洗い、うがいなどの指導を行います。

③精神的看護

治療が1〜2年以上続くため、また、予後による不安があるために精神的なサポートが必要になります。安心して納得し、安全・安楽に治療を受けることができるように援助します。

④確実な治療を受けることができるよう支援

医師の指示に基づいて正しい時期に正しい量の薬剤を投与し、また患者が治療を十分に受けることができるように援助します。

 

4-2、ANCA関連血管炎の看護計画

看護ケアのポイントをふまえての看護計画はこのようになります。

 

看護計画

①観察項目<OP>

・血液検査データ(CRP、MPO-ANCA値、PR3-ANCA値、血清クレアチニンなど)

・CT、X-P、MRI

・苦痛の有無、種類、程度(倦怠感、痛みの部位・程度など)

・発熱の有無

・呼吸困難の有無、血中酸素濃度

・表情、日常生活動作

・バイタルサイン

・感染予防行動

・治療計画

 

②ケア項目(TP)

・安楽な体位の工夫

・ADL介助

・医師の指示により、的確に薬剤を投与する

・発熱時、クーリングや医師の指示により解熱剤を投与する

・バイタルサイン測定

・苦痛や不安が強い時には、寄り添って傾聴する

 

③教育項目(EP)

・手洗いの方法を説明する

・痛みや倦怠感などがあるときは、遠慮なく伝えるように説明する

・治療計画を確認し、必要時、説明する

・不安なことがあれば遠慮なく伝えるように説明する

 

まとめ

ANCA関連血管炎は自己免疫疾患のひとつで、原因は未だにわかってはいませんが、早期発見、早期治療によって寛解できる疾患です。治療中は免疫を抑える治療を行うので、感染に注意が必要です。また治療は長期にわたるため、不安やストレスをできるだけ軽減し、安全安楽に治療を受けることができるように援助していくことが必要です。

 

参考文献

1)血管炎症候群の診療ガイドライン2017年度改訂版(2018年3月23日|日本循環器学会、日本医学放射線学会等)

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岡本麻衣 看護師

1986年生まれ。北海道札幌市出身・在住。同市内の看護学校を卒業後、北海道大学病院の内科で2年勤務。その後、同市内の個人病院で6年間勤務し、結婚・出産を機に離職。現在は育児をしながら、看護師としての経験を生かし、WEBライターとして活動中。

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