保育経過記録の書き方|0、1、2歳児の保育経過記録の様式と例(2017/07/23)
保育園では保育日誌とは別に保育経過記録をつけています。保育経過記録とは何かを改めてまとめてみると共に、保育記録経過の年齢ごとの書き方のポイントについてもまとめていくので、是非参考にしてみてください。
目次
1、保育経過記録とは
保育経過記録とは、保育日誌などを元に、子どもの発達の変化や出来事などを個別に記録したもののことを指します。記入の仕方は保育日誌の書き方とは少し異なり、記録する項目は、「生活と健康に関するもの」「情緒面も含む人間関係」「言葉、理解力、運動、表現、感性」「家庭との相談、連絡事項」などで、後から見ても状況が分かるように具体的に書くことがポイントとなってきます。
保育経過記録を記すねらいを保育に活かす記録を参考にしてまとめると、保育理念に基づいた保育計画に実践過程で、子ども達がどのように発達を遂げているのかを観察して記録し、個人のプロフィールを明らかに示すためとなっています。全体的な流れを記録する保育日誌だけではカバーしきれない個人の動きを保育経過記録では記していくことになります。
2、保育経過記録の書き方
保育経過記録の書き方でポイントとなってくるのは、子どもの様子を具体的かつ端的に記していくこととなります。記したい出来事が起きた周辺の状況なども共にまとめておくと、後から読み返した時にどうしてそのようなことが起きたかをすぐに把握することが出来ます。また、記入者以外が読んでも記されている内容の意味や状況が分かるような表現を意識して記入していくようにしましょう。子どもの良さを捉える視点で記録するようにして、箇条書きで記していくことが状況も整理され、後から読み返した時にまとまった内容となり分かりやすくなります。
またあらかじめどのような流れで記していくのかシュミレーションをしてから記録を進めていくのが手早く記録を書くポイントとなります。子どもの人数分、記録をまとめていくことになるのでコツを掴んでいかないと膨大な時間を記録に費やしてしまって、他の仕事に割く時間がなくなってしまうということにもなりかねません。
これは記録に残したいと思う出来事が起きた時に、簡単にでもメモを取っておくと1から思い起こす手順を踏まずにスムーズに記録を作成していくことが出来るのでオススメです。
保育を変える記録の書き方評価のしかた (ひとなる書房|今井和子|2009年6月)
保育経過記録の書き方に迷ったときは上記のような本を参考にするのもオススメです。保育の記録を記すポイントが詳しくまとめられているので、何に焦点を当てて記録をまとめていけばいいのかなどコツを掴んでいくことが出来ます。
2-1、保育経過記録の例
出典:保育に活かす記録(日本保育協会)
保育経過記録の例を保育に活かす記録に掲載された実際の記録を元に見ていきましょう。5歳児の保育経過記録では、「健康生活」「対人関係(情緒面も含む)」「言語・理解」「運動」「表現(感覚)」という5つの項目に分けられて、2ヶ月ごとの様子を出来るようになったことを中心に記しています。
出典:保育に活かす記録(日本保育協会)
続いて紹介されている3歳児の保育経過記録は「食事の前に手を洗い、うがいをする」など事前に書かれている項目の中で出来たことをチェックする様式になっています。また指導経過記録として、指導目標を記して、1ヶ月ごとにどのくらい身につけていくことが出来たかどうかがまとめられています。
こうした保育記録をレベルアップするには、ベネッセ教育総合研究所による「保育記録」レベルアップ研修が参考になります。保育記録をレベルアップするポイントは、子どもの言葉 や表情、全体的な印象、保育者の思いなどを具体的に記 し、感情や気持ちも記録することを心がけると子どもの具体的な姿が見えてきて分かりやすい記録を作成することが出来ます。
そして、援助する前の子どもの様子、保育者がどのような働きかけを行ったかなどの具体的な援助の内容、それを受けた子どもの反応や変化、「どうしてそうなったか」「次は何をしたらいいか」など子どもの心に寄り添って今後の課題や援助方法を考えてまとめていくといったプロセスを踏んでいくと、後から見返した時に子どもの成長や変化の様子が分かる記録となるでしょう。このような講習会を定期的に行っているところもあるので、参加してみると保育の質の向上や、保育実習の準備に繋がるかもしれません。
2-2、保育経過記録の様式
保育経過記録の様式は決まっているものがあるわけではありません。
保育園ごとに様式は異なりますが、大きく分けると1つの出来事を取り上げ掘り下げて記していく「エピソード形式」と、1日の保育の流れの中で起こったことを時系列に順を追って記していく「時系列形式」の2つのパターンが使用されていることが多いです。保育施設で使用する書類様式がダウンロード出来るサイトもあるので活用してみるのもスムーズに記録を作成していく手助けとなるかもしれません。
3、保育経過記録 0歳児
0歳児の記録は、子どもの動きが余りなく記す事柄がないと悩む保育士の方が多いそうです。子どもの発達や観察ポイントを押さえておくのがスムーズに保育成長記録を作成していく秘訣となります。保育所保育指針の年齢ごとによる保育に関わるねらい及び内容も参考になるので見ておきましょう。
0歳児から2歳児の発達過程を今回は参考に0歳児の観察ポイントを見ていきます。
0歳児は保育者の愛情豊かな受容によって、情緒が安定していく時期です。担当の保育者を決めて、愛着関係を育むとともに、一人一人の生活リズムに合わせて生理的要求を満たし、気持ちよく過ごせるようにしていきましょう。担当者以外が保育をしても普段の様子がすぐに分かるような記録を残しておくことが大切です。家庭での様子を聞いたり、保育中の睡眠、授乳、排せつ、機嫌、行動の様子などを保育経過観察に記録して、 保育者同士で情報を共有していくようにしましょう。また、保護者とのコミュニケーションも大切にしていきます。保護者の様子もよく見て、育児の楽しさや大変さなど、保護者の気持ちに寄り添い、支えるように気を配っていくようにします。
3-1、保育経過記録 1歳児
同様に、0歳児から2歳児の発達過程を参考にして1歳児の観察ポイントを見ていきます。
1歳児は、行動範囲も広がり探索活動が盛んになる時期なので、安全には十分に配慮しながら子どもの興味や関心を見守り、子どもの発見に共感していくことを大切にしていきます。子どもが自由に探索活動を楽しめるようにし、戸外では、土、砂、石、水、木の葉や虫等の自然物に触れ、諸感覚を十分に働かせる経験を重ねていきます。その際に子どもたちの様子や何に興味を持ったかなどをよく観察し、書き留めておきたいエピソードなどを見逃さないようにしましょう。
また授乳期に引き続き、離乳食への移行の際は、卵など初めて食べる食材は家庭で試してもらって状況を伝えてもらうとともに、そしゃくや飲み込みの状態を確認しながら完了食へ移行していくように記録をつけて情報共有していきます。睡眠時間や食事の時間、食べた量なども家庭と連絡し合い、安定したリズムで生活できるようにしていきます。
3-2、保育経過記録 2歳児
0歳児から2歳児の発達過程を参考にして2歳児の観察ポイントを見ていきます。平行遊びではありますが、友達と一緒に少しの間遊べるようになってくるので友達との関わりについても注意して見ていくようにします。記録したいエピソードが起こったらメモにとるといいでしょう。なりきって遊べるような玩具の準備や、コーナーの設定を工夫して、遊びが発展しやすい環境を保育士は整えていきます。
生活面では箸やスプーンなどの段階を追った持ち方、使い方やトイレットペーパーの切り方、たたみ方、 拭き方など、必要な情報を家庭とも連携を取りながら伝えていきます。基本的な生活習慣を身に付けていけるよう、家庭での方針を聞きながら、その子供に応じた時期 や方法を家庭と園で共に考えて進めていくようにしましょう。その際も担当の保育士が変わってもスムーズに引き継げるように記録に残すようにしていきます。
まとめ
保育園でつける記録の保育日誌とは別に個人の発達の記録などについて書き留めていく保育経過記録についてまとめてきました。保育記録経過の書き方や様式に正確なきまりがあるわけではありませんが、誰が子どもの担当を受け持ってもすぐにこれまでの流れを理解し引き続き保育を進めていけるような分かりやすい記録を作成していく必要があります。
年齢ごとの発達ポイントと照らし合わせながら記録していくべき箇所についてもまとめたので保育記録経過を作成する際にお役立てください。
参考文献及び参考サイト
保育に活かす記録(保育所保母業務の効率化に関する調査研究より保育に活かす記録|日本保育協会|平成9年)
0歳児から2歳児の発達過程(就学前教育カリキュラム|東京都教育委員会|平成28年3月)
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