デイサービス(通所介護)とは?種類や看護師の仕事内容や役割を徹底解説(2021/09/02)
看護師が活躍する職場の1つにデイサービスがあります。デイサービスは介護施設の1つであることはわかっているけれど、看護師はどんな仕事をして、どんな役割があるのかよくわからないという人も多いと思います。
デイサービスの基本的な情報や種類、看護師の仕事内容と役割などをまとめました。デイサービスで働いてみたいという看護師は、ぜひ参考にしてください。
目次
1、デイサービス(通所介護)とは
デイサービスとは介護サービスの一種で、通所介護とも呼ばれています。
自宅で自立した日常生活を送るために必要な日常生活上のケアや生活機能・心身機能維持のための機能訓練などを提供しています。
デイサービスは要介護の高齢者が、自宅からデイサービスセンターに通って、1日もしくは半日、介護ケアや機能訓練などサービスを受けます。デイサービスで行っている主なサービスには、次のようなものがあります。
・食事
・排泄
・入浴
・機能訓練(簡単な体操やリハビリ)
・レクリエーション(生け花や書道、囲碁、折り紙、工作など)
自宅から施設までドアtoドアで送迎も行っています。
1-1、デイサービスの目的
デイサービスの主な目的は次のようなものです。
・要介護者の生活機能や心身機能を維持し、重度化を防止する
・利用者の自立支援をする
・利用者の孤立感を解消する
・家族の身体的・精神的な負担を軽減する
デイサービスは介護サービスを通じて、自立支援や介護度の重度化防止を行うだけでなく、デイサービスに通い利用者や介護者と接することで、引きこもりや孤独感を解消することができます。
また、自宅で介護をしている家族の負担軽減、レスパイトケアの役割も持っています。
1-2、デイサービスの種類
デイサービスには一般的なデイサービスのほかに、次のような特徴を持ったデイサービスがあります。
・リハビリ特化型デイサービス(機能特化型デイサービス)
・趣味特化型デイサービス
・認知症デイサービス
・療養通所介護
・お泊まりデイサービス
また、定員が18人以下の小規模なデイサービスは「地域密着型デイサービス(通所介護)」と呼ばれています。地域密着型デイサービスは基本的なサービスは一般的なデイサービスを同じですが、小規模な分、よりアットホームな雰囲気のところが多いという特徴があります。
1-3、デイサービスの人員配置
デイサービス(通所介護)では、人員配置基準が決められています。
デイサービスに必要な職員は、次の通りです。
職種名 | 配置条件 |
管理者 | 施設全体の統括管理者。常勤職員でなければならない |
生活相談員 | 社会福祉士や精神保健福祉士など。サービス提供時間数(開始時刻から終了時刻まで)に応じて1名以上 |
介護職員 | 利用者が15人まで1名。16人以上は+5人ごとに+1名。 |
看護職員 | 看護師または准看護師。専従として1名。 |
機能訓練指導員 | 機能訓練を指導するスタッフ。1名以上。看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師のいずれかの資格を持っている必要がある |
デイサービスでは、看護師(准看護師)は看護職員としてだけでなく、機能訓練指導員として働くこともあるのです。
2、デイサービスの看護師の仕事内容
デイサービスの看護師の主な仕事内容はこちらです。
・バイタルサインの確認
・体調の確認
・服薬管理
・血糖値の測定やインスリン注射
・食事の介助
・排泄介助
・入浴介助
・口腔ケア
・褥瘡や皮膚処置
・急変の対応
デイサービスの利用者は普段は自宅で過ごされていますので、医療的な治療が必要なことはほとんどありません。医療機器や医療器具もありませんので、デイサービスの看護師は病院・クリニックのような医療行為を行うことはありません。
2-1、デイサービスの看護師の1日の流れ
デイサービスで働く看護師の1日の流れを見ていきましょう。
9:00 出勤と情報収集、ミーティング
9:30 来所した利用者のバイタルチェックと入浴可否の判断
10:30 入浴後の皮膚処置や軟膏塗布、褥瘡処置
11:30 昼食前後の内服薬の確認と配薬
11:45 食前の血糖値の測定とインスリン注射
12:00 昼食介助
12:30 服薬介助と口腔ケア
13:00 昼休憩
14:00 レクリエーションの手伝いや看護記録の記載
15:00 おやつの介助
16:00 利用者のお見送り
17:30 片付けや翌日の準備
18:00 勤務終了
病棟やクリニックと比べると、ゆったりとした印象を持つかもしれませんが、デイサービスに看護師は1~2名しかおらず、1人で多く利用者さんの対応をしなければいけませんので、医療施設とはまた違った忙しさがあります。
2-2、デイサービスによって仕事内容は異なる
デイサービスの看護師の仕事内容は、デイサービスの事業所によって異なります。バイタルチェックや服薬管理、皮膚処置などの基本的な仕事内容はどのデイサービスでも変わりませんが、もっとも異なるのは介護業務の有無です。
デイサービスによって、看護師が介護業務を行うかどうかは変わります。看護師は基本的に介護業務は行わず、看護業務に専念して良いとするデイサービスがある一方で、看護師も積極的に入浴介助や排泄介助を行うとするデイサービスもあります。
デイサービスの方針によって、看護師の仕事内容・業務負担は大きく異なってきます。
2-3、デイサービスで機能訓練指導員としての仕事内容
先ほども説明したように、デイサービスでは看護師は機能訓練指導員として勤務することもあります。
機能訓練指導員は、利用者1人1人の生活環境・心身の状態を評価し、個別のリハビリプランを立てて、それを実行・評価していきます。機能訓練指導員はデイサービスにおけるリハビリ専門職です。
看護師はデイサービスではリハビリを請け負うこともあるのです。
3、デイサービスでの看護師の3つの役割
デイサービスでの看護師の役割は健康管理、急変時の対応・判断、介護職員への指導や連携の3つです。
■健康管理
デイサービスの利用者は病院での加療は必要なくても、何らかの基礎疾患を持っているケースが多いです。
看護師は専門職として、利用者の健康管理を行い、デイサービス中はもちろん、自宅でも安全・健康に過ごせるように配慮していく必要があります。
■急変時の対応・判断
デイサービスの利用者は要介護の高齢者です。デイサービスの利用中に何らかの急変を起こすこともあります。
また、「急変」とはいかなくても、「なんとなくいつもより意識レベルが低く、反応が鈍い」、「血圧がやや低め」等の状態になることは珍しくありません。
デイサービスには医師はいません。医療職者は基本的に看護師のみになります。
看護師は健康管理をして、利用者の状態変化を見逃さないようにするのと同時に、急変時は救急車を呼ぶのか、かかりつけ医にコンサルトするのかなど迅速で適切な判断をする役割を求められます。
■介護職員への指導
デイサービスは多職種が働いています。それぞれ専門職として尊重し合う必要はありますが、より良いケア・介護を提供するために看護師は介護職に対して、ケア方法・注意点などの指導を行うこともあります。
まとめ
デイサービスの基本的な情報や看護師の仕事内容・役割などを解説してきました。高齢化が進む中で、デイサービスなど介護施設での看護師のニーズはどんどん増加してきています。デイサービスは夜勤がなく、ワークライフバランスを取りやすい職場の1つですので、高齢者看護に興味のある方はデイサービスへの転職を考えてみてはいかがでしょうか。
参考文献
・「通所介護事業の手引き」熊本県健康福祉部長寿社会局高齢者支援課 熊本市健康福祉局福祉部介護保険課
・通所介護の基準・報酬について 社保審─介護給付費分科会 厚生労働省
・どんなサービスがあるの? – 通所介護(デイサービス) | 公表されている介護サービスについて | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」|厚生労働省
東京都在住、正看護師。自身が幼少期にアトピー体質だったこともあり、看護学生の頃から皮膚科への就職を熱願。看護学校を経て、看護師国家資格取得後に都内の皮膚科クリニックへ就職。ネット上に間違った情報が散見することに疑問を感じ、現在は同クリニックで働きながら、正しい情報を広めるべく、ライターとしても活動している。
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