NICUの看護|看護研究とその役割とは(2015/10/29)
NICUは特殊な場所なので、看護師でも入ったことのある人とない人がいます。ICUはよく知られていますが、NICUはあまり知られていません。特にNICUに入ったことのない人はあまりどのような場所なのかわからないのではないでしょうか。
NICUは必ずあるわけではありません。総合病院であったり、産婦人科がある病院ではNICUがあります。このように、病院によっても、NICUがある場所とない場所があります。今回は、NICUとはどのようなところなのかを紹介します。
1、NICUとは
NICUとはneonatal intensive care unitの略です。日本語で言うと、新生児集中治療室です。早産や小さく生まれた新生児、出生週数や体重は問題ないが、心疾患や染色体異常など何らかの疾患や障害を持った新生児が必要な時に過ごす病棟です。
ICUと同じように、生死に関わる部署です。機械としては、呼吸器やモニターやDiVなどがあります。更に、対象が新生児のため、保育器など新生児のためのモノが揃えられています。また、成人とは違い小さい新生児はシーネや挿管用の物品など使う医療機器も新生児用です。
そして、新生児のためすぐに状態がみれたり何かあった時にすぐに駆けつけられるようにワンフロアになっています。
2、NICUの役割
先ほども言ったように、対象は新生児です。成人のように気持ちを伝えることや移動や沐浴など自分で何でもすることが出来ません。
なので、児の全身状態を観察し必要なケアをしていきます。ですが、ただ児の病態だけを看護するだけではなく、新生児が過ごしやすいように環境を整えたり、新生児の成長発達をサポートしたりします。
また、新生児の場合必ず家族がいます。新生児だけではなく新生児に関わる家族のサポートもしなくてはいけません。何故ならば、NICUにいると家族は面会時間内しか児に合うことが出来ません。
産科であれば新生児と過ごし育児技術を身に付けていくことが出来、同室をしています。ですが、NICUに入院してしまうとその普通のことが出来ません。
このように家族、特に母親と離れている時間が長いこともあり、愛着形成がつきにくいことや育児について何もできないことから技術がなかなか習得できなかったりすることがあります。また、離れていることから児の状態を知ることが出来ず、今の状態が分からず不安な思いをしている家族に対してのケアも必要となります。
このように、新生児と家族との愛着形成をサポートしたり、育児技術の習得、心理的なことなどをサポートする役割も持っています。
3、NICUの看護研究
看護師にとって看護研究は、切っても切り離せないことです。どのようなことを研究テーマにしたらいいのかわからなくなります。では、どのような研究テーマにするといいのでしょうか。NICUの看護研究としては、次のようなテーマを取り組むことが多いです。
このように、色々な看護研究があります。
研究内容としては、自分が看護師としてどのように家族や新生児と関わったのか、NICUに入院したことで愛着形成はどのようになったのか、採血やDiVなどのケアをすることによってどれほどストレスがかかるのかなど、NICUに新生児が入院することで新生児や家族にはどのような影響があるのか、感染防止にはどのような対策をしているのか、NICUに入院している新生児がいる家族に対しての関わり方などを研究していることが多いです。
紹介したのはごく一部です。この他にも細かく言えばあります。
4、NICUとストレス
看護師のストレスとしては、ワンフロアというどこにいても人の目に見られているということが大きいのではないでしょうか。どのようなケアをしていても色々な人に見られているという感覚になります。
見られていても気にしない人もいると思いますが、毎日見られて自分には聞こえない声で話をしているのを見ると自分のことを話しているのではないかというような思い込みまで出てきてしまいます。
またその他にも、家族が面会時間中はほとんど来ることもあるので、疾患の軽い児は家族の都合に合わせてケアをしなくてはいけないこともあります。
そのため、家族が来る時間が遅くなってしまうとその分自分たちの仕事もずれてしまい、なかなか仕事が終わらないということもあります。
一日の計画を何度も立て直しながらケアをしていきます。そして、新生児の状態も常に観察しなくてはいけません。モニターや全身状態、泣きすぎやミルク量の調節など、新生児の1つ1つを気にしなくてはいけないので、神経質になりすぎてしまいストレスになります。
まとめ
NICUのことが分かったでしょうか。NICUは、新生児という新しい命の誕生をした場所に関わっています。そして命の誕生とともに、状態によっては死を見なければいけない場所です。
嬉しさと悲しさの混じった部署ですが、新生児の全身管理や家族のサポートなど幅広い知識が必要となります。その分やりがいがあり、退院する時の喜びや家族からの言葉でやる気が出る部署です。
1983年生まれ。宮城県石巻市出身。正看護師歴10年。看護短大を経て、仙台市立病院の小児科で勤務。その後、小児科での経験を生かし、保育園看護師として同市内の保育園に就職。現在は1児のママとして、育児の傍らWEBライター・ブロガーとして活動している。
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