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【2024年最新】沐浴の看護|看護手順・技術と看護目標、沐浴指導の観察項目(2017/09/05)

公開日: : 最終更新日:2023/05/15 宮城県 看護技術 産婦人科 

沐浴の看護

沐浴は新生児入浴させ、清潔を保ち、血行を促進するとともに、新生児の全身状態を観察するという目的があります。

産科では看護師が新生児の沐浴を行い、母親に指導する必要がありますので、沐浴の基礎知識や看護手順・技術、看護目標、看護計画、観察項目などを確認しておかなくてはいけません。

 

1、沐浴(もくよく)とは

出典:赤ちゃんが泣くことは大切なサイン ~ 泣きのピークに頼りになるパパの存在 ~(プレリリース発行No.722|東邦大学医療センター大森病院|2016年10月19日)

 

沐浴とは、新生児を入浴させることで、新陳代謝が盛んな新生児の体を清潔に保ち、血行を促進するなどの目的があります。

新生児は抵抗力が弱いため、大人と同じ浴槽で入浴させるのではなく、新生児専用のベビーバスで体を洗い沐浴させます。

産科では、まずは看護師が新生児の沐浴を行い、その後は母親に沐浴指導をすることになりますので、産科領域で働く看護師は習得しておくべき看護技術になります。

 

2、新生児の沐浴の看護手順や技術

新生児の沐浴の看護手順や技術について説明していきます。沐浴は5分以内に手早く済ませるようにしましょう。沐浴はなぜ5分以内で済ませるのか?それは新生児は体温調節が未熟だからです。体温が下がるのを防ぐためにも、手早く5分以内で済ませましょう。

■新生児の沐浴の禁忌

沐浴の準備をする前に、まずは新生児が沐浴できる状態かを確認しなければいけません。次の状態の場合は沐浴をするのは避け、医師へ報告し、保清の必要があるなら、ほかの方法を選択することになります。

・体温が37.5℃以上ある

・頻回に嘔吐している

・哺乳力が弱く活気がない

・全身に発疹が見られる時

また、授乳後すぐに沐浴すると嘔吐を誘発しますので、授乳後は30分以上経ってから沐浴をするようにしましょう。

 

■沐浴の準備物品

・沐浴槽(ベビーバス)

・石鹸やベビーソープ

・ガーゼ

・沐浴布(ガーゼで代用可)

・バスタオル

・湯温計

・綿棒

・臍処置セット

・ヘアブラシ

・着替え一式とオムツ

・洗面器

 

■沐浴の看護手順

①新生児の状態を観察して、沐浴できる状態かを確認する。

②看護師は沐浴をする前に手洗いをする。

③沐浴の環境を整える。

・室温は25度前後、湿度は40~60%を保ち、すき間風が入らないようにする。

・バスタオルやおむつ、洋服等を広げておく。上からバスタオル、オムツ、肌着、洋服のように重ねておくと、スムーズに湯上げできる。

・石鹸やガーゼは使いやすい場所にセットする。

・お湯の温度は38~40℃にする。

・かけ湯用のお湯を洗面器に用意しておく。

④新生児の服を脱がせて、ガーゼを胸にかける。

⑤片手の親指とほか4本の指で児の耳の下を持って、頸部をしっかりと支える。もう片方の手で足の付け根から臀部のあたりを手のひらと指を使って支えるようにして抱き上げる。

⑥足からゆっくりお湯につけて、首の下までお湯に入れる。

⑦ガーゼをお湯で濡らして、目頭から目尻にかけて顔を優しく拭く。その後、額の中央から左のこめかみを通って、左頬、左の口の周りを通って、顎の中央のように、数字の3を描くように拭く。右側も同じように拭く。

⑧顔に水がかからないように頭を濡らして、シャンプーをして、ガーゼで泡を落とす。

⑨頸部→胸→腋下→手→腕→腹部→脚の順に洗う。手のひらや首や腕、脚のくびれなど皮膚が密着している部分は皮脂が溜まりやすく、洗い残しが多いので、皮膚を伸ばして洗うようにする。おへそはこすらないように気を付ける。

⑩背部を洗う。看護師の右手を児のわきの下に入れて、右手の手首に児の顎を乗せるようにして腹臥位にする。この時、顔にお湯がつからないように十分に注意する。腹臥位の状態でしっかり支えたら、ガーゼで背部から臀部にかけて優しく洗う。

⑪左手で児の頸部を支えながら、仰臥位に戻し、陰部を洗う。鼠経部は汚れが溜まりやすいので注意する。

⑫首から下をお湯につけて温める。

⑬かけ湯をして、泡をしっかり落とす。

⑭用意しておいたバスタオルの上に寝かせて体を包む。優しく押さえるようにしながら、体の水分をふき取る。

⑮バスタオルを外して、おむつを付け、服を着せる。

⑯臍処置セットで、臍の処置をする。

⑰髪の毛をブラシで整える。

⑱綿棒で鼻と耳の清拭をする。

 

3、沐浴の看護目標

沐浴は、主に次の8つの目的があります。

・新生児の清潔を保つ

・新生児の全身状態を観察する

・血行を促進する

・母子のスキンシップを促す

・新生児の心身の爽快につながる

・生活習慣を確立する

感染予防になる

・発育を促進する

 

ただ生後間もない産科で看護師が沐浴を行う場合は、特に、以下の4つを看護目標にして沐浴を行うと良いでしょう。

 

■新生児の清潔を保つ

新生児は新陳代謝が盛んで、皮脂の分泌量も多いため、汚れが溜まり、発疹などの皮膚トラブルが起こりやすくなります。

 

■異常の早期発見をする

新生児はまだ全身状態が不安定で、免疫力が弱く、皮膚トラブルが起こりやすいので、沐浴をすることで、全身状態をしっかりと観察することができ、異常の早期発見をすることができます。

 

■血行を促進する

沐浴で体を温め、血行を促進することで、新生児の新陳代謝を促します。

 

■母子のスキンシップを促す

看護師が母親に沐浴指導をし、退院後に母親が不安なく沐浴ができることで、母子のスキンシップや愛着形成を促すことができます。

 

4、沐浴の看護計画

沐浴をする上での看護計画の一例をご紹介します。

看護目標 ・新生児の清潔を保つ

・異常の早期発見をする

・血行を促進する

・母子のスキンシップを促す

観察項目(OP) ・新生児の全身状態

※詳細は以下に記載

ケア項目(TP) ・安全に配慮して沐浴をする

・言語的、非言語的コミュニケーションをとる

・母親に沐浴指導をする時には、母親の疲労度や知識、意欲などを考慮する

・母親以外の育児支援者(父親など)にも一緒に指導する機会を設ける

教育項目(EP) ・安全に配慮した沐浴方法を指導する

・沐浴時の観察項目や注意点を指導する

・沐浴は母親だけでなく父親も協力して行うことで、スキンシップや家族形成につながることを伝える

・不安なことはいつでも質問するように伝える

 

4-1、沐浴の観察項目

沐浴は新生児の全身状態を観察することができる貴重な機会です。沐浴で看護師が新生児の観察をしっかり行うことで、異常の早期発見をすることができます。

新生児の沐浴をする時には、次のようなことを観察して沐浴を行いましょう。

・全身の皮膚の状態

・発疹や落屑、発赤、浸出液等はあるか

・眼脂の有無

・外陰部や臀部の清潔状態

・臍の状態

・オムツかぶれの有無

母子同室で母親がオムツ替え等を行っている場合、うまくできていない時は外陰部や臀部が汚れていたり、オムツかぶれが起こりやすくなります。

看護師は新生児の沐浴をすることで、母親にオムツ交換のタイミングや注意点等の指導の必要性の有無を判断することができますし、新生児の皮膚トラブルを早期に発見することができます。

 

4-2、母親・父親への沐浴指導の観察項目

看護師が母親・父親に沐浴指導する時には、児を観察することはもちろんですが、母親・父親の観察も必要になります。

・安全に沐浴できているか
・笑いかけたり、話しかけたりしながら沐浴できているか
・細部まできちんと洗えているか
・母親の体力消耗や疲労度
・新生児への愛着の程度
・父親の育児への意欲や理解度
・父親と母親の関係性

 

母親・父親への沐浴指導の目的は、次の4点です。

・退院後も安全に沐浴を行えるようにすること
・育児への不安を抽出すること
・児への愛着を促すこと
・父親の育児意欲を促すこと

 

退院後は母親や家族が沐浴を行わなければいけませんので、安全に自宅で沐浴を行えるスキルを身につけられるように、看護師は母親に沐浴の手順・注意点などを指導します。
また、沐浴指導時に母親と看護師がコミュニケーションをとり、会話しながら沐浴指導を行うことで、母親の育児への考え方を理解できますし、母親が持つ退院後の育児への不安(沐浴の不安も沐浴以外の不安も)を把握しやすくなります。母親の疲労度なども把握できます。それらをケアに生かしていき、退院時に母親の育児への不安を少しでも軽減できるようにしていきましょう。

沐浴指導をすると、母親は児とスキンシップを取ることができますし、自ら主導で笑いかけたり話しかけたりしながら児の世話をすることで、児への愛着を促す効果があります。また、出生直後から父親や家族を巻き込んで沐浴指導をすることで、父親の育児参加を自然に促すことができ、父親も児とスキンシップを取ることで、愛着形成を促進することができます。

 

5、沐浴指導の注意点

沐浴指導の注意点を確認しておきましょう。

・個別性のあるケアを心掛ける
・準備をしっかりしておく
・安全第一で行う
・母親の疲労度に注意する
・自宅の状況に配慮する
・家族全員を巻き込んで行う
・きちんとコミュニケーションをとる

沐浴自体の注意点は、前述の「新生児の沐浴の看護手順や技術」を一読すればわかると思います。

看護師が沐浴指導をする時には、まずは個別性のあるケアを心掛けましょう。
母親の疲労度や新生児の健康状態はもちろん、自宅ではどこでどのように沐浴を行う予定なのか?誰が沐浴を行う予定なのか?母親以外にも沐浴を担当する人はいるか?などを考慮して、沐浴指導を行いましょう。
また、沐浴指導の時に母親・家族としっかりコミュニケーションをとり、疑問点や不安点を抽出することや不安なことや悩みを吐露できる雰囲気を作ることなどが大切です。

 

まとめ

新生児の沐浴の基礎知識や看護手順・技術、看護目標や看護計画、観察項目をまとめました。産科領域で働く看護師にとって、沐浴は必須の看護技術になります。

安全に沐浴できるようになるのは当然のことですが、新生児の全身状態をしっかり観察して、より良い看護ができるようにしましょう。

 

参考文献

沐浴の目的と実施準備に関するテキスト記載の検討(山陽論叢第19巻|加藤裕美子、妹尾未妃、富岡美佳|2012年)

赤ちゃんが泣くことは大切なサイン ~ 泣きのピークに頼りになるパパの存在 ~(プレリリース発行No.722|東邦大学医療センター大森病院|2016年10月19日)

新生児および乳児の入浴に関する文献検討(大阪医科大学看護研究雑誌 第7巻|近藤幸|2017年3月)

加藤裕美子、妹尾未妃、富岡美佳「沐浴の目的と実施準備に関するテキストの記載内容の検討」山陽論叢第19巻

山下佳代 看護師

1983年生まれ。宮城県石巻市出身。正看護師歴10年。看護短大を経て、仙台市立病院の小児科で勤務。その後、小児科での経験を生かし、保育園看護師として同市内の保育園に就職。現在は1児のママとして、育児の傍らWEBライター・ブロガーとして活動している。

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