保育士資格の更新|保母資格から保育士資格への免許更新手続き(2017/04/26)
現在は、「保育園で働く専門職=保育士」というイメージが定着してきていますが、20年くらい前までは、「保育士」というよりも「保母」という名称が用いられることが一般的になっていました。そして当時は「保育士(保母)資格証明書」を所持していれば、保育士として児童福祉施設に勤務することができました。しかし、2003(平成15)の児童福祉法改正によって、「保育士(保母)資格証明書」を所持しているだけでは、保育士として勤務できなくなり、保育士として勤務する前に保育士登録を受けなければならなくなりました。そこで今回は、「保育士(保母)資格証明書」のみを所持していて、いずれ保育園等で働こうと考えている方のために、保育士登録の手順を中心に説明していきます。
目次
1、保母から保育士への切り替え(更新)の必要性
「保母」から「保育士」に変更になった経緯を簡単に確認していきましょう。1999(平成11)年以前の資格名称は、「保育士」ではなく「保母」でした。それが1985(昭和60)年の男女雇用機会均等法、1999(平成11)年の男女共同参画社会基本法の制定、男女雇用機会均等法の大改正をきっかけに、児童福祉法も改正され、「保育士」に改称し、2003(平成15)年には厚生労働省が管轄する国家資格となりました。現行の児童福祉法上では「保育士登録簿への登録を受け、保育士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもって、児童の保育及び児童の保護者に対する保育に関する指導を行うことを業とする者」というような定義がなされています。
このような経緯があり、1999(平成11)年以前の「保母」とそれ以降の「保育士」とでは、資格の性質のほか、「保母」と「保育士」の資格取得ルートなども異なっているほか、1999(平成11)年以前の「保育士(保母)資格証明書」を所持しているだけでは、保育士として児童福祉施設で働くことができなくなっています。この「保育士(保母)資格証明書」を所持している方が保育士として働くためには、保育士登録の手続きを行わければなりません。なお、保育士登録の手続きは、あくまで保育士として働く場合に必要なものであり、義務ではありません。仮にこの登録を行わない場合であっても、「保育士(保母)資格証明書」の効力が喪失するということはありません。
2、保育士登録の申請先と保育士登録の手引きの流れ
保育士登録の申請先は、都道府県より委託を受けた社会福祉法人日本保育協会が運営する登録事務処理センターです。登録事務処理センターでは、①保育士登録申請、保育士証書換え交付申請、保育士証再交付申請の受け付け、②保育士証の交付事務、③保育士証交付に係る手数料の収納事務を中心に行っており、そのほか、保育士登録の手引きや、保育士登録の手続きに関する案内なども行っています。
保育士登録の申請から完了までの基本的な流れは、保育士登録の手引きの取り寄せ、手数料の支払い、必要書類の準備、申請書類の提出、保育士証の交付となっています。保育士登録に係る申請書や登録手数料の払込用紙は、保育士登録の手引きに同封されていますので、まずは保育士登録の手引きをセンターから取り寄せましょう。
2-1、郵送の注意点
保育士登録の手引きは、A4用紙が折らずに入るサイズ(角形2号)の返信用封筒、その封筒を入れる送信用封筒を各1枚用意します。送信用封筒には、下記の宛先のほか、赤字で「保育士登録の手引き○部」と明記し、郵便料金の切手を貼ります。
〒102-0083
東京都千代田区麹町1-6-2 アーバンネット麹町ビル6階 登録事務処理センター 御中 |
一方、返信用封筒にも、赤字で「保育士登録の手引き○部」と明記し、ご自身の住所、郵便番号、氏名を記入し、請求部数に応じた郵便料金の切手を貼ります。切手を貼った返信用封筒を送信用封筒に入れ、必ず封をしてから郵送します。返信用封筒は、折りたたんで入れても良いようです。後日、登録事務処理センターから保育士登録の手引きが郵送されてきます。
3、保育士登録の具体的な手続き手順について
保育士登録の手引きを入手したら、その中身を確認しましょう。保育士登録の手引きには、保育士登録に係る申請書類と専用の払込用紙も同封されています。この2点がしっかりあるかを必ず確認してください。
3-1、手数料の支払いから保育士証交付までの流れ
手数料の支払いは、専用の払込用紙に氏名を記入(3か所)したうえで、必ず郵便局の窓口で手続きしてください。そして、手数料を支払うと、振替払込請求書兼受領証と振替払込受付証明書を受け取ります。振替払込受付証明書は申請する際に使用します。振替払込請求書兼受領証は、ご自身で保管してください。
手数料の支払いが終わったら、申請書類を準備しましょう。保育士登録申請に必要な書類は、
①保育士登録申請書
②振替払込受付証明書 ③保育士となる資格を証明する書類の原本 |
の以上3点です。保育士登録申請書や振替払込受付証明書(手数料払込用紙の一部)は、保育士登録の手引きに同封されています。具体的な記載方法は手引きに明記されているので確認しましょう。保育士となる資格を証明する書類の原本については、「保母」であった方の場合、平成15年11月28日までの資格取得者に交付されていた保育士(保母)資格証明書の原本を添付してください。また、婚姻や引っ越しなどで、保育士(保母)資格証明書の氏名や住所地が異なる場合には、現在の戸籍抄本(戸籍の個人事項証明書)も同封する必要があります。その際、発行日が申請書送付日から6か月以内であるものを使用しましょう。
申請書類に必要事項を記載し、必要書類を用意したら、申請書類等一式を登録事務処理センターに郵送します。郵送は、必ず郵便局の窓口で簡易書留郵便によって行ってください。その際、書留郵便物受領書が発行されます。申請書類が届かない等の事故の際にこの受領書を提示する場合があるので、保育士証が届くまでの間は保管して下さい。申請書類等に問題がなければ、概ね2か月程度で登録事務処理センターより簡易書留郵便で届きます。
3-2、保育士登録に係る費用負担について
保育士登録に係る費用としては、基本的に返信用封筒に貼る切手代、送料、手数料(登録手数料など)を負担します。返信用封筒に貼る切手代は、請求部数によって異なります。例えば1部であれば140円切手、2~3部であれば250円切手、4~6部であれば400円切手を貼ります。速達の場合には、赤色のボールペンなどで速達である旨を返信用封筒の表側上部に記載し、速達料金を上乗せした額の切手を貼ります。一方、送料は、送る封筒の大きさや重さによって異なりますし、申請書類の送付は簡易書留郵便で送る必要があるので、郵便局の窓口で計測してもらって郵送しましょう。
上記のほか、登録手数料が登録1人当たり4,200円かかりますので、保育士登録全体では5,000~7,000円程度の費用を負担すると想定しておきましょう。
4、保育士証の更新期限
保育士と比較されることが多い幼稚園教諭の場合には、その免許の有効期間を10年ごとに更新する必要があります。一方、保育士の場合には、保育士証に有効期間などの期限が設けられていません。つまり、一度保育士登録を行って保育士証が交付されれば、その後、更新の必要がないのです。
ただし、保育士証の交付を受けた後に、氏名や本籍地都道府県が変更した場合には、保育士証書換え交付申請手続きが必要となり、また、保育士証を紛失・汚損した場合には保育士証再交付手続きが必要となります。保育士証書換え交付申請手続きは、書換え交付1人当たり1,600円の手数料が発生し、保育士証 再交付申請手続きは、再交付1人当たり1,100円の手数料が発生します。保育士証の取り扱いには十分留意してください。
まとめ
保母から保育士への切り替え(更新)の必要性を確認したうえで、保育士の登録の手順を中心に説明しましたが、いかがでしたでしょうか。
保育士として働かないのであれば、登録をする必要はありませんが、保育士として働く可能性が少しでもあるのであれば、今後、現状の制度が絶対に変更しないとは言い切れませんので、お早めに登録だけ済ましてしまうことをお勧めします。どうぞご検討ください。
参考文献
保育士登録申請手続き(新規登録) (登録事務処理センター,2017年4月3日現在)
保育士証 書換え交付申請手続き (登録事務処理センター,2017年4月3日現在)
保育士証 再交付申請手続き (登録事務処理センター,2017年4月3日現在)
保育士登録のご案内 (埼玉県,2017年4月3日現在)