室内遊びと保育|年齢別(乳児1歳2歳3歳4歳5歳児)室内遊び(2017/04/27)
室内遊びは外遊びの対義語として用いられます。近年では「外遊びが減って室内遊びが増えた」という研究も多くなっています。重松氏(1は
テレビ視聴やテレビゲームによる室内遊びの増加、車の増加や遊び場の消滅による外遊びの減少とその弊害が各地域の保育園や幼稚園から報告されている
と報告しています。もちろんテレビやゲームばかりしていては問題です。けれど保育所における室内遊びでは、工夫次第で魅力や効果をアップさせることが可能です。外遊びと室内遊びを上手く組み合わせ、子どもの成長を促してあげましょう。
目次
1、1歳児の室内遊び
1歳3ヵ月から2歳未満児について、保育所保育指針では
身近な人の興味ある行動を模倣し、活動の中に取り入れるようになる』『つまむ、めくる、通す、(中略)など運動の種類が確実に豊かになっていく』『対人関係が深まり、象徴機能が発達してくる
といった特徴が述べられています。手先の機能が発達してくる時期なので、手先の器用さを養うことのできる遊びを取り入れてあげましょう。また、少しずつ見立て遊びが出来るようになるので、活用しやすい素材をたくさん用意してあげると、遊びが広がっていくでしょう。
1−1、1歳児の室内遊び例
■積み木遊び
バランスを取りながら積み上げていく中で手先の巧緻性を養うこともできますし、積み木の形を何かに見立てて遊ぶ子どもも出てくるでしょう。基本的な直方体、立方体の形が使いやすいです。もしバリエーションをつけたいのであれば、球や円柱を加えても良いですね。
■手遊び
コミュニケーション能力が育まれる時期なので、手遊びで保育者や周りの子どもとの関わりを持つのも効果的です。パンダうさぎコアラなどの簡単で楽しい手遊びを、リズムを変えながら繰り返すと子どもたちも喜んでくれます。手遊びはリズム感や想像力の発達にも役立ちます。
2、2歳児の室内遊び
保育所保育指針によると、2歳児の特徴としては
基本的な運動機能や、指先の機能が発達する』『盛んに模倣し、物事の間の共通性を見いだすことができるようになる』『象徴機能の発達により、大人と一緒に簡単なごっこ遊びを楽しむようになる
などが挙げられます。指先の機能がますます発達していくため、紙をちぎったり、破いたり、貼ったりすることができるようになります。見立て機能も向上し、少しずつごっこ遊びができるようになってきます。
2−1、2歳児の室内遊び例
■新聞紙遊び
破く、丸めるなど様々な使い方ができるので、指先の巧緻性が高まります。また、新聞紙を細かくちぎって雪に見立てて遊ぶ、広げてマントや洋服に見立てて遊ぶなど、発達してきた象徴機能も十分に活かすことができます。
■粘土遊び
新聞紙遊び同様、丸めたり形を作ったり型抜きをしたりと、指先を使った活動ができます。粘土の場合は手触りや色などを通じて、子どもたちの五感にも働きかけます。紙粘土や小麦粉粘土など様々な粘土があるので、何種類か準備して手触りや造形のしやすさを比較しても面白いですね。
3、乳児の室内遊び
児童福祉法によると、乳児の定義は『満一才に満たない者』となっています。保育所保育指針で述べられているおおむね6ヵ月から1歳3ヵ月未満児については、
『座る、はう、立つ、つたい歩きといった運動機能が発達する』『腕や手先を意図的に動かせるようになる』『あやしてもらうと喜ぶなどやり取りが盛んになる』
という特徴があります。自由に動くことができるようになり、好奇心が旺盛になっていきます。そのため、触ってみたい、関わってみたいという欲求が高まります。また、大人とのやり取りを楽しみ、コミュニケーションの芽生えとなる時期でもあります。
3−1、乳児の室内遊び例
■音遊び
保健相談部(2が作成した事例集では、生活音や楽器、肉声を取り入れた音遊びが紹介されています。楽器といっても、必ずしも本物のピアノやタンバリンを使う必要はありません。缶や空き箱など叩くと音が出る素材を用意したり、ペットボトルやヤクルトの空き容器を活用した手作りマラカスを使うことで十分楽しむことができます。
■運動遊び
運動機能の発達に合わせて、体を使った遊びも取り入れてあげましょう。「はいはい鬼ごっこ」や、手押し車などがおすすめです。手押し車は段ボールで手作りするのも良いですね。1歳頃になると「トントントントンひげじいさん」「てをたたきましょう」などの手遊びも楽しめるようになります。
4、5歳児の室内遊び
5歳頃になると、『言葉によって共通のイメージを持って遊んだり、目的に向かって集団で行動することが増える』『遊びを発展させ、楽しむために、自分たちで決まりを作ったりする』という特徴が出てきます。ひもを結んだりぞうきんをしぼったりという動作もできるようになり、大人の援助のもとで様々な用具を扱うことも可能になります。集団活動のレベルも高まり、自分たちで考えて実行することができるようになってきます。
4−1、5歳児の室内遊び例
■ごっこ遊び
共通のイメージを持てるようになるので、広いスペースと、積み木や工作の材料など様々な素材を用意しておけば、自然とごっこ遊びが発展していくでしょう。保育者が入る場合は、仮想通貨を使ったお店やさんごっこをするのも面白いですね。お店の店員同士で話し合わせる時間をしっかり取り、どんどん遊びを展開させてあげましょう。
■連想ゲーム/伝言ゲーム
言葉遊びができ、ルールを守れるようになってきているので、こういったゲームを楽しむこともできます。連想ゲームは、例えば「赤いもの」を互いに言い合うところから始め、慣れてきたらその言葉から連想するものを言うなど、工夫してあげましょう。伝言ゲームも最初は簡単な単語で始め、徐々に文にしていくと良いですね。
5、4歳児の室内遊び
『想像力が豊かになり、目的を持って行動し、つくったり、かいたり、試したりするようになる』『仲間とのつながりが強くなる中で、けんかも増えてくる』『決まりの大切さに気づき、守ろうとするようになる』
というのが4歳児の特徴です。友だちとの間でイメージの共有ができるようになり、ごっこ遊びを楽しみ始めます。また、仲間とのつながりが深まっていく一方で、競争心の芽生えからけんかも起こりますが、決まりを守ることもできるようになります。
5−1、4歳児の室内遊び例
■製作活動
器用さが増してくるので、折り紙や画用紙、はさみやのりを使っての製作を楽しめるようになってきます。5月はこいのぼり、7月はたなばたなど、季節ごとにテーマを決めた活動も良いですね。特に刃物を使う際は、保育者が側にいて安全を確保してあげましょう。
■だるまさんが○○した
ルールのある遊びができるようになる時期なので、「だるまさんがころんだ」などの簡単なゲームを取り入れるのも面白いです。慣れてきたら「だるまさんがごはんを食べた」「だるまさんがトイレに入った」など、おにが指定した動きを全員が行うようにルールを変えてみるのも良いですね。
出典元:日本体育協会
また、この時期は遊びの中でけんかが発生することもあります。ですが、けんかは子どもたちが意見をぶつけ合い、社会性を学ぶきっかけともなるため、すぐに止めることが正しいとは限りません。危険を伴う場合を除き、様子をよく見て声をかけるようにしましょう。けんかの経験を重ねる中で、自分たちで解決することが出来るようになります。
まとめ
雨の日は外遊びができないため、子どもも保育者も憂鬱になりがちです。けれど、子どもの発達に合わせた室内遊びを取り入れることで、楽しみながら発達を促してあげることができます。また年齢が上がると、保育者が環境と材料を整えた後は、子どもたちの主体性・独創性に任せてみても遊びが発展していきます。子どもたちの様子をよく見ながら、魅力的な室内遊びを展開していってください。
参考文献
(1子どもの遊びと環境 –外遊び再生の視点から–/重松 三和子
(2 0・1・2歳児の聴覚活用を促す音あそび/保健相談部(2008)
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