特別養護老人ホームで働く看護師に求められるのは、7つの役割とピンチの対応!(2018/02/13)
特別養護老人ホームは要介護高齢者のための施設で、ADL介助の全般に加え機能訓練や療養上の世話を行うものです。特別養護老人ホームの施設基準や入所基準を始め、看護師に求められる役割・実際の業務についてまとめました。
目次
1、特別養護老人ホームとは
特別養護老人ホームは全国で9500施設あり、サービス受給者は57万人にものぼります。これだけの施設数がありながら、待機者数の増加は歯止めがかかりません。そこで、平成27年4月より原則として新規入所者は要介護度3以上という条件がつけられるようになりました。その結果、平成29年3月27日発表の厚労省の統計によると、入所待機者数は前回(25年4月)の52万3584人の16万人減となる36万6139人に減少しました。しかし、これから第一次ベビーブーム世代の介護が増えるに従い、需要は高まる一方です。施設が増えるということは、それに伴い特別養護老人ホームで働く看護師の需要も高くなります。
特別養護老人ホームに入所可能なラインである「要介護3」というのは、食事・排泄・入浴などの日常生活全般に介助が必要な状態です。
引用:要介護認定の仕組みと手順(厚生労働省)
このように生活全般に介助の必要な高齢者が入所するのが特別養護老人ホームであり、看護師は主に健康管理・療養上の世話を主に担うことになります。
2、特別養護老人ホームにおける看護師の配置基準
特別養護老人ホームにおける看護師の配置基準は、特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準(第五十六条)によって定められています。『平成27年度介護報酬改定に向けて』内の介護老人福祉施設における看護職員の配置について にもう少し詳しく説明されていますので、参照してください。配置基準は、常勤看護師の数で計算することや入所者の数によって変動するなど細かい条件があるのですが、簡単に言うと「入所者100人に対し看護師3人・医師1人」となっています。
3、特別養護老人ホームで働く看護師に求められるのは、7つの役割とピンチの対応!?
特別養護老人ホームでは、大勢の入所者に対して少数の看護師しかいないため、入所者の直接的な介助は介護士に任せることになります。では、看護師はどのような仕事を任されるのでしょうか?
<特別養護老人ホームの看護師の役割>
①バイタルサインのチェック
②服薬管理(配薬、血糖測定含む) ④経管栄養の準備と注入 ⑤提携病院への付き添い(定期通院・状態悪化時) ⑥急変・突発的な出来事への対応 ⑦家族との連絡調整 |
などがあります。
①~④は日常のルーティンワークとなっているものですが、⑤~⑦に関してはイレギュラーに発生する業務です。⑦は事務サイドで完結してもらうことも可能ですから、負担に感じるのは恐らく⑤と⑥でしょう。夜間など看護師が自分しかいない状況下では、相談できる相手はいません。
<ピンチのときこそ、看護師の出番!?>
・突然の熱発や状態の変化に対し、受診するかどうかの判断
・突発的に抜けてしまったカテーテル類(経管栄養や膀胱留置カテーテルなど)の対応 ・転倒等による外傷の処置 ・DNRでない入所者の、突然の呼吸停止や心停止への対応 |
これらの危機的状況・イレギュラーな事態も、医師が不在のこともある特別養護老人ホームでは、自分が判断して応急処置をしなくてはなりません。そもそも、何十人もの入所者の既往歴や家族背景、ADL自立度など全て覚えていることは難しいものです。情報収集する時間のない中で、介護士に適切な指示を出しつつ患者の対応もするということが必要になるのです。看護師の力量が問われるのは、ピンチの対応かもしれませんね。
4、特別養護老人ホームの看護師の給料
特別養護老人ホームの入所者は、積極的な医療を行いません。しかし、昔よりも経管栄養やインスリン注射・膀胱留置カテーテルの管理等、医療ケアに対するニーズは年々高まっています。一方で、直接排泄介助や入浴介助・体位交換といった肉体労働に関与することが少ないので、看護師としての経験もあるのに腰痛や体力的な問題で現場から遠ざかっている人には、絶好の場となります。
一般的に特別養護老人ホームで働く看護師の年収は、看護師の給料の中で高い部類には入りません。年収は転職を検討する上では重要な要素ではありますが、どんな職場が自分に向いているのか、長く働くことができるかを考えましょう。少しばかり年収が低くても、身体の負担が少なくて長く働けるのならそれも正しい選択となるのではないでしょうか。
まとめ
看護師の働く場は総合病院を問わず、多方面に存在します。急性期病棟や救急で医療現場の最前線で働くのも、入所者の生活に密着してゆったりと特別養護老人ホームで働くのもあなた次第。自分に合った職場を探し、いつまでも現場で輝いていたいですね。
参考サイト
平成27年度介護報酬改定に向けて(介護福祉施設サービスについて)(厚生労働省|2014年7月23日)
特別養護老人ホームの入所申込者の状況(厚生労働省|2017年3月27日)
特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準(厚生労働省|2016年2月5日最終改正)
1986年生まれ。北海道札幌市出身・在住。同市内の看護学校を卒業後、北海道大学病院の内科で2年勤務。その後、同市内の個人病院で6年間勤務し、結婚・出産を機に離職。現在は育児をしながら、看護師としての経験を生かし、WEBライターとして活動中。
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