低出生体重児の看護|原因やリスクと看護問題、看護目標、看護計画(2017/06/19)
赤ちゃんが生まれてくる喜びは計り知れないものです。しかし、生まれてきた赤ちゃんが小さかったり、予定より早く生まれた場合、またすぐに保育器に入らなければいけない状態であった場合、お父さん、お母さんは大きな不安を抱えることになります。
ここでは、低出生体重児について説明していきます。その原因や特徴について理解を深め、実際のケアに生かしていけるよう、学習をしていきましょう。
1、低出生体重児とは
低出生体重児とは2500g未満で生まれた赤ちゃんのことを言います。以前は「未熟児」と呼ばれており、未熟児とは身体の発育が未熟のまま出生した乳児と定義されていますが、現在、その表現はあまり使われなくなってきています。
低出生体重児の中でも1500g未満の赤ちゃんを極低出生体重児、1000g未満の赤ちゃんを超低出生体重児、妊娠37週未満で生まれた赤ちゃんを早産児と言います。
母子保健法により、低出生体重児を出生した場合は乳児の現在地の市町村に届け出ることが義務付けられています。
2、低出生体重児の原因
低出生体重児が生まれる原因は様々ですが、妊娠高血圧症候群、常位胎盤早期剥離、子宮頚管無力症、前置胎盤、母体の感染などが原因となる場合があります。また、双胎や多胎妊娠、羊水過多症・過少症、子供の疾患などが早産の原因となることがあります。
妊娠中の喫煙や飲酒、過度なダイエットが原因となる場合もあるため、妊娠中の生活習慣にも注意が必要です。
3、低出生体重児のリスク
在胎週数が短い場合や小さく生まれた赤ちゃんは、身体機能が未熟なため合併症を引き起こしやすく、死亡率も高くなると言われています。
主な合併症として、生後数日の間に新生児仮死、低血糖、呼吸窮迫症候群、動脈管開存症などが起こるリスクが高く、生後数日から数週間にかけては慢性肺疾患や無呼吸発作、貧血、黄疸を引き起こすことがあります。
4、低出生体重児の特徴
低出生体重児は皮膚が薄く体重当たりの対表面積が大きいため、体温調節が難しく、呼吸機能も未熟なため、体温や呼吸状態が不安定になりやすいという特徴があります。また、免疫力も弱いため、感染症を引き起こす可能性が高く、重篤化しやすくなります。
消化器機能も未熟で、胃容量も少ないため直接母乳を与えることが困難な場合もあります。
5、低出生体重児の看護のポイント
低出生体重児の看護では、体温・呼吸・循環・栄養の管理および家族へのケアがポイントとなります。
■体温の管理
体温調節機能が十分でないため、熱喪失が大きく低体温になりやすく、また高温に対しても適応できないため、体温が上昇しやすい状態となります。体温調節は、新生児の状態に大きな影響を与えるため、体温を36.5℃から37℃(腋窩、頚部温)に維持できるよう、保育器内の温度を調整・管理していくことが大切です。
■呼吸の管理
新生児の状態により、薬剤や人工呼吸器による呼吸管理が必要となる場合があります。
人工呼吸器により呼吸の管理を行う場合は、機器が正しく動いているか、設定は正しいかなどの確認が必要となります。呼吸状態の変化は生命の危機に直結する留守区が高いため、十分な観察を行い、異常の早期発見・予防に努めましょう。
■循環の管理
先天性の異常や合併症の出現、早期発見のため、循環状態の観察が重要となります。授乳ができない場合や新生児の状態により輸液が必要となり、輸液の管理および体重変化や尿量の観察などインアウトのチェックを行っていくことが重要となります。
■栄養
直接、募集を与えられない場合は、胃チューブを挿入します。状態が安定し、胃内容や腹部運動などに問題がなければ栄養を開始します。可能な限り、母乳から開始し、嘔吐の有無や腹部の状態を観察します。同時にバイタルの変動にも注意し観察していきましょう。
■家族へのケア
家族は大きな不安と精神的ストレスを抱えていることが予測されます。医師からの説明や新生児との面会の際の家族の反応や表情などを観察し、必要な場合はフォローしていきます。
まとめ
低出生体重児は、少しの環境の変化でも生命を脅かす危険性があるため、厳密・慎重な管理が必要となります。また家族の不安を軽減し、家族の気持ちに寄り添ったケアができるよう、心がけていきましょう。
1983年生まれ。宮城県石巻市出身。正看護師歴10年。看護短大を経て、仙台市立病院の小児科で勤務。その後、小児科での経験を生かし、保育園看護師として同市内の保育園に就職。現在は1児のママとして、育児の傍らWEBライター・ブロガーとして活動している。
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