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CT検査の看護|基礎知識と造影剤、画像の見方、8つの看護師の役割(2019/06/29)

公開日: : 最終更新日:2020/06/20 看護師 看護用語 東京都 全科共通 

CT検査は、X線の透過率のデータを再構成して画像にする検査のことです。画像診断は医師が行いますが、看護師もCTの見方の基礎的な知識を持っておくと、看護に役立てることができるでしょう。CT検査の基礎知識や造影剤について、画像の見方、看護師の役割をまとめましたので、実際の看護に役立ててください。

 

1、CT検査とは

CT検査とは、Computed Tomography検査の略で、日本語ではコンピュータ断層撮影検査と訳すことができます。

X線を発する管球とX線検出器によって、物体を通過したX線の量の差(透過率)をデータ収集し、コンピュータで処理して再構成することで、人体の断層画像を得ることができます。

 

CT検査

出典:放射線部(CT検査)(立正佼成会附属佼成病院)

 

CT検査というと、一般的には横断図の画像を診断に用いることが多いですが、冠状断、矢状断、斜位像などもコンピュータで再構成することが可能です。

放射線技師の業務

出典:診療放射線技師の業務 ~CT撮影編~(ときわ会グループ)

 

また、3D画像を作成することもできます。

 

CT検査

出典:CT検査(医療法人泰庸会 新潟脳外科病院)

CT検査では全身の断層画像を作成することができますが、特に心臓や肺、気管支等の胸部や肝臓・腎臓などの腹部の描出機能が高いことが特徴です。

 

2、CTでの造影剤の役割や副作用について

CT検査には単純CTと造影CTの2種類があり、造影CTは造影剤を用いて行われるCT検査になります。

 

2-1、CT検査での造影剤の役割

CT検査に用いられる一般的な造影剤は、水溶性ヨード造影剤です。静脈注射でヨード造影剤を体内に注入することで、造影剤が毛細血管から各臓器実質に広がります。ヨードはX線吸収率が高く、血流が豊富な部分はより白く撮影されるため、単純CTよりも画像のコントラストが明瞭になり、単純CTではわかりにくい病変の発見・診断に役立ちます。

造影剤を用いたCT検査は、主に次の2つの目的で行われることが多いです。

  • 腫瘍の描出
  • 血管の描出

検査の種類

出典:検査の種類について(天草地域医療センター)

 

最新のCTでできること

出典: 最新のCTで出来ること−3−(Fujimoto Medical System)

 

2-2、CT検査の造影剤の副作用

ヨード造影剤を静脈から注入すると、誰でも熱感や疼痛が起こります。

さらに、副作用が起こるリスクもあります。ヨード造影剤による副作用には嘔気嘔吐、発疹、動悸、血圧低下、ショック、呼吸困難意識障害、心停止などがあります。ヨード造影剤を用いた場合、何らかの副作用が起こる確率は3.13%、重篤な副作用は0.004~0.04%1とされています。また、造影剤アレルギーがある(以前、造影剤で副作用が出たことがある)、腎機能低下、気管支喘息の患者は造影剤が禁忌となっていることがあるので、注意が必要です。

 

3、CTの見方

CT検査の読影は医師が行いますが、看護師も基本的なCTの見方を知っておくと、看護に役立てることができます。CTの細かい見方まで説明しているとキリがないので、ここではCTの見方の基本的な事だけを説明します。

 

■CTを読影するには解剖を知る

CTの見方を学ぶためには、解剖学は必須です。頭部CT、胸部CT、腹部CTを見た時に、「この臓器は何?」となっていては、CTを読影することはできません。画像を見て、すぐに臓器がわかるように解剖を詳しく勉強しておくことはとても大切です。

 

■X線の透過度による見え方の違いを理解する

CTはX線の透過度の差を利用して、白と黒のコントラストの画像を作成します。どこが白く写り、どこが黒く写るのかを知っておくと、CTの見方のヒントになります。CT画像では、X線透過度が高い部分は低吸収領域と呼ばれ黒く写ります。逆に、X線透過度が低い部分は高吸収領域と呼ばれ、白く写ります。

・低吸収領域の一例=肺、梗塞部位、脂肪、脂肪肝、髄液

・高吸収領域の一例=骨、出血部位(血種)、炎症部位、石灰化した部分

 

■正常なCT画像を見ておく

CTを読影する上で、正常なCT、つまり病変がないCTを確認しておくことは大切です。正常なCT画像を知っておけば、病変があるCT画像を見た時に、詳しい病名はわからなくても、「ここが変。何かおかしい。」と気づくことができます。

 

■何を確認したいのかを知ることが重要

看護師がCTを読影するためには、何のためのCT検査なのかを把握しておく必要があります。医師は何を診断したいからCT検査をしたのでしょうか?例えば、急性期脳出血の有無を診断したいCT検査をしたなら、とにかく高吸収領域(黒く映る部分)を探せば良いのです。何のヒントもない状態からCTを読影するのは医師でも難しいです。CT検査の目的を把握してから、CT画像を確認すると、見やすいのでおすすめです。

 

■医師に確認する

看護師がCTの見方を学ぶには、医師にその都度確認するのが大切です。自分で「きっとこうだろう」と思っても、間違っている可能性があります。だから、まずは自分で画像を読影してから、それを医師に確認しましょう。それを繰り返していくことで、CTの見方がわかってきます。

 

4、CT検査での看護師の役割

CT検査における看護師の役割は、たくさんあります。ただ単に、患者に検査台に乗ってもらって、CT検査を見守るだけではないのです。

 

①検査台への移動介助

看護師は、患者が検査台へ移動する時の介助をする役割があります。ADLが自立しており、自力で検査台に乗ることができる患者なら、見守りだけで良いのですが、自力での移動が難しい患者も少なくありません。入院中の患者、特に集中治療を受けている患者は挿管していて、CVが入っていて、輸液ポンプとシリンジポンプが複数台ついていることもあります。そのような患者は全介助で検査台に移動させなければいけませんし、検査中にルート抜去が起こらないようにしなければいけません。

 

②不安の軽減

CT検査での看護師の役割の2つ目は、不安の軽減です。CT検査に不安を持つ患者は多いですし、閉所が苦手な人はCT検査に恐怖を感じることもあります。看護師は事前の説明や声掛けなどで、患者の不安を軽減できるように努める必要があります。

 

③持ち込めないもの、アレルギーや禁忌の再確認

CT検査では、次のようなものは持ち込むことができません。

・ヘアピン

・ブラジャーなどのワイヤーが入った下着

・補聴器

・ベルト

・メガネ

・ファスナー

CT検査前には、患者がこれらのものを身につけていないかを確認しておく必要があります。また、造影CTを行う際には、造影剤のアレルギーの有無や禁忌となっていないかを再確認しなければいけません。

 

④血管の確保

造影CTを行う時には、静脈から造影剤を注入しますので、静脈ラインの確保が必要です。入院患者だったら、病棟でルート確保をしてくれますが、外来患者が造影CT検査をする時には、検査直前に血管確保をCT室の看護師がすることになります。

 

⑤副作用の観察と早期発見

造影CTをする患者は、副作用のリスクがありますので、CT検査中も副作用が起こっていないかを観察し、早期発見できるようにしなければいけません。また、万が一副作用が起こったら、すぐに医師に報告し、対処する必要があります。

 

⑥安全・安楽な体位の確保

CT検査を受ける患者の安全で安楽な体位を確保することも、看護師の大切な役割になります。体動がある患者は転落しないように固定する必要がありますし、苦痛が少ない体位で検査が受けられるように体位を工夫しなければいけません。

 

⑦CT検査後の説明

造影CTをした患者には、検査後に関する説明をするのも看護師の役割になります。造影CT後は、早く造影剤を排出するために飲水を促す説明をします。また、数日経ってから出現する遅発性副作用もありますので、その点も説明しなければいけません。

 

⑧CT室の環境整備

CT室の看護師は、環境整備をすることも重要な役割の1つです。ルートが引っ張られて自己抜去が起こらないような点滴台の位置を工夫したり、副作用にすぐに対応するための救急カートを整備するなど、患者が安全に検査を受けられるように、環境整備を行うようにしましょう。

 

まとめ

CT検査の基礎知識や造影剤について、CTの見方の基礎、看護師の役割などをまとめました。

CT検査では看護師はただ患者をCT室に案内するだけでなく、様々な役割を果たす必要がありますので、役割を把握して、ケアに活かしていくようにしましょう。

 

参考文献

1)造影剤について(地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪急性期・総合医療センター画像診断科)

山岸愛梨 看護師

東京都在住、正看護師。自身が幼少期にアトピー体質だったこともあり、看護学生の頃から皮膚科への就職を熱願。看護学校を経て、看護師国家資格取得後に都内の皮膚科クリニックへ就職。ネット上に間違った情報が散見することに疑問を感じ、現在は同クリニックで働きながら、正しい情報を広めるべく、ライターとしても活動している。

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