ナースのヒント
専門看護師・認定看護師のまとめ

CNS(専門看護師)とは|資格・領域の種類と実際の業務内容(2016/03/22)

公開日: : 最終更新日:2024/06/06 専門/認定看護師 東京都 全科共通 

CNS(専門看護師)

今や医療業界の間で注目されているCNS(専門看護師)。医療施設内の看護の質向上のための即戦力となる人材として、多くの医療機関が積極的に採用しているなど、今後はさらに大きな役割を果たすこと間違いありません。

ここでは、CNSの概要や領域、業務内容についてご説明しますので、CNSについてよく分からないという方は、ぜひ最後までしっかりお読みください。

 

1、CNSとは

CNSとは、「Certified Nurse Specialist」の略で、日本語では「専門看護師」のことです。CNSは、水準の高い看護ケアを提供するために、特定の看護領域(後述)の知識や技術を有する者のことを指し、日本看護協会により認められた者しかなることができませんが、

卓越した知識と技術を有していることで、看護実践において頼りになる存在として多くの医療施設で積極的に採用を行うなど、今やCNSは医療施設にとっても患者にとっても非常に重要な存在なのです。

 

2、資格の種類における違い

看護師の資格にはCNS(専門看護師)だけでなく、CN(認定看護師)やNP(特定看護師)といった資格もあります。どれも“専門性に特化した”認定資格ですが、それぞれの“専門性”は異なりますので、各資格の種類における違いを知っておきましょう。

 

■CNS(専門看護師)

特定の領域において”幅広いケア”をマネジメントしていくのが専門看護師。円滑に治療を行うために率先して指示を与える業務が主となります。

 

■CN(認定看護師)

特定の領域に特化した知識・経験をもって”集中的なケア”を行うのが認定看護師。つまり、各領域における看護のスペシャリストのことを指します。

 

■NP(特定看護師)

「診療の補助」の範囲をさらに拡大し、特定の領域における医療行為を実施できる看護師のことを指し、看護師でありながら医師に近い仕事をすることが出来ます。

特定看護師になるには?大学院や給料なども合わせて紹介!

 

このように、CNSは看護業務の実践よりも業務が円滑に行われるようマネジメントするのが主な役割であり、それに対してCNは看護実践に重点を置いた役割を担っています。また、NPはCNの上級職であり、危険度の高い看護行為を行うことができるため、看護実践におけるスペシャリストと言えます。

 

3、CNSの領域

CNSの認定が開始された1995年には「がん看護」「精神看護」の2つの領域しかありませんでしたが、1997年に「地域看護」、2002年に「小児看護」「老人看護」、2003年に「母性看護」、2004年に「慢性疾患看護」、2005年に「急性・重症患者看護」2006年に「感染症看護」、2008年に「家族看護」、2009年に「在宅看護」の認定が開始され、現在では計11つの領域が存在します。

また、1996年にはCNS認定者は6人だけであったものの、2016年3月時点においては1678人(全領域)が認定を受けています。それぞれの領域がどのような役割を果たしているのか、みていきましょう。

領域 領域の特徴
がん看護

(656人)

がん患者の身体的、精神的な苦痛を理解し、患者やその家族に対してQOLの視点に立った水準の高い看護を提供する。
精神看護

(231人)

精神疾患患者に対して水準の高い看護を提供する。また、一般病院でも、心のケアを行う「リエゾン精神看護」の役割を提供する。
地域看護

(25人)

産業保健、学校保健、保健行政、在宅ケアのいずれかの領域において水準の高い看護を提供し、地域の保健医療福祉の発展に貢献する。
老人看護

(93人)

高齢者が入院・入所・利用する施設において、認知症嚥下障害などをはじめとする複雑な健康問題を持つ高齢者のQOLを向上させるために水準の高い看護を提供する。
小児看護

(166人)

子どもたちが健やかに成長・発達していけるように療養生活を支援し、他の医療スタッフと連携して水準の高い看護を提供する。
母性看護

(61人)

女性と母子に対する専門看護を行う。主たる役割は、周産期母子援助、女性の健康への援助、地域母子保健援助に分けられる。
慢性疾患看護

(130人)

生活習慣病の予防や、慢性的な心身の不調とともに生きる人々に対する慢性疾患の管理、健康増進、療養支援などに関する水準の高い看護を行う。
急性・重症患者看護

(210人)

緊急度や重症度の高い患者に対して集中的な看護を提供し、患者本人とその家族の支援、医療スタッフ間の調整などを行い、最善の医療が提供されるよう支援する。
感染症看護

(36人)

施設や地域における個人や集団の感染予防と、発生時の適切な対策に従事するとともに、感染症の患者に対して水準の高い看護を提供する。
家族支援

(44人)

患者の回復を促進するために家族を支援する。患者を含む家族本来のセルフケア機能を高め、主体的に問題解決できるよう身体的、精神的、社会的に支援し、水準の高い看護を提供する。
在宅看護

(26人)

在宅で療養する対象者及びその家族が、個々の生活の場で日常生活を送りながら在宅療養を続けることを支援する。また、在宅看護における新たなケアシステムの構築や既存のケアサービスの連携促進を図り、水準の高い看護を提供する。

参照:資格認定制度 | 日本看護協会 » 専門看護師 ※認定者数は2016年3月時点

 

11ある領域の認定者数に大きな差が生じていますが、重症疾患やニーズの高い領域ほど認定者数が多い傾向にあります。

 

4、CNSが行う業務

CNSは、1つの領域に関する豊富な知識を有していることにより、通常の看護業務はもちろん、コンサルテーションやコーディネーション、倫理調整、教育、看護研究など、さまざまな業務を並行して行っていきます。

特にコンサルテーションとコーディネーションは、部署やチームの看護の技術向上において非常に大きな役割を担っているため、CNSに欠かせない業務と言っても過言ではありません。

 

■看護業務

合併症の予防や予後の観察、コミュニケーションによる患者・家族の精神的負担の緩和など、卓越した看護技術やと豊富な知識をもって看護を実践します。また、患者・家族だけでなく、看護実践におけるリーダーとして集団単位で看護を提供します。

 

■コンサルテーション

要請に応じて、看護職員個人・チーム・部署を対象にカンファレンスや個人面接などを通して患者への対応・ケアに対する悩み・仕事に関するストレスなどの相談にのります。また、各専門領域の知識と経験を生かして、患者個人に対しても相談業務を行います。

看護コンサルテーションの相談事例とプロセス(依頼の仕方)

 

■コーディネーション

部署やチームが円滑に機能するよう、人員の配置や対人関係のトラブルなどの解決を図り、他職種間・病棟間・部門間の関係調整を行います。

 

■倫理調整

全ての活動において、医療ユーザー・スタッフの人権・倫理に関する問題の発見に努め、看護部管理者と協働して問題解決を図ります。

 

■教育

院内で行われる研修の企画・運営、評価の支援を行うとともに、看護職員個人に対して実際に教育活動を行います。また、要請に応じて研究活動の助言・指導など病院外の教育・研究活動の支援も並行して行います。

 

■看護研究

各専門領域の知識と経験を生かして、看護技術の発展・ケアの円滑化など、病院内外の研究活動に参画し、看護の質向上を図ります。

看護研究(論文)のテーマの決定法と効果的な書き方

 

このように、CNSはさまざまな役割を担っており、直接的な看護実践はもちろん、部署・チームなど団体単位のマネジメント業務を行います。看護師のキャリアには、看護部長・副看護部長・看護長・副看護長・主任などがありますが、各キャリアで院内の全てのマネジメントを行うのは容易ではありません。

そこで、CNSが代役として、コンサルテーション・コーディネーション・倫理調整・教育などを通して専門領域におけるマネジメント業務を行い、院内の看護の質向上に寄与していくのです。

 

まとめ

認定開始から約20年経った今、CNSは医療施設において、また患者にとって重要な役割を担っており、多くの医療施設がCNSの受け入れを強化しています。

CNSは非常に重宝される存在ですので、専門領域の資格取得を考えている方は前向きに検討しましょう。

山岸愛梨 看護師

東京都在住、正看護師。自身が幼少期にアトピー体質だったこともあり、看護学生の頃から皮膚科への就職を熱願。看護学校を経て、看護師国家資格取得後に都内の皮膚科クリニックへ就職。ネット上に間違った情報が散見することに疑問を感じ、現在は同クリニックで働きながら、正しい情報を広めるべく、ライターとしても活動している。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

ナースのヒント の最新記事を毎日お届けします

こちらの記事もおすすめ

看護師のブランク お役立ち

ブランク看護師の復職|復職支援研修や自己勉強でスムーズな復帰を

平成24年時点において、潜在看護師数は約70万人で、看護師免許取得者(准看護師含む)の30%

記事を読む

冠動脈バイパス術(CABG)の看護 看護用語

冠動脈バイパス術(CABG)の看護|適応と合併症、術前・術後のケア

日本では現在、毎年約5万例の心臓手術が行われていますが、その約3分1を心筋梗塞や狭心症患者を

記事を読む

EMR 看護用語

EMR(内視鏡的粘膜切除術)やESDの目的と術後における看護・観察

ポリープ切除の際に施行される手術の一つ、EMR。ここでは、EMR手術の実際や術後の看護についてご

記事を読む

ミルキング看護 看護技術

ミルキングとは|適切かつ効果的に行うための方法と注意点

ドレーンなどの内部に貯留した血液や排液の排出のために行われるミルキング。手技自体は簡単である

記事を読む

消化器看護 お役立ち

消化器外科での勤務がもっと楽しくなる!知っておきたい看護知識29選

看護師がキャリアを積みたい部署で圧倒的人気を誇る消化器外科。人気の理由はやはり、全身を診れる

記事を読む

風疹・麻疹看護 看護用語

【2024年最新】麻疹・風疹の看護|予防接種や症状・合併症、発熱時の看護

麻疹(はしか)や風疹は予防接種がありますので、そこまで感染者数

授乳看護 看護技術

【2024年最新】授乳の看護|目標や姿勢、観察項目と看護ポイント

産科病棟で勤務している看護師は、出産後の母親の授乳の看護ケアを

食中毒看護 看護用語

【2024年最新】食中毒の看護|原因・症状・看護・予防

食中毒は腹痛や嘔吐、下痢などを引き起こす疾患です。 以前

スキンケアの看護 看護計画

【2024年最新】スキンケアの看護|看護目標・計画と手順・資格

あなたはスキンケアに力を入れて看護していますか?入院中の患者さ

腹痛の看護 看護計画

【2024年最新】腹痛の看護|観察ポイントやアセスメント・部位別疾患と看護計画

腹痛の患者さんを看ることは多いと思いますが、あなたはきちんと腹