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いまさら聞けない!看護用語

クリティカルパスの看護計画や看護研究とその目的とは(2015/11/16)

公開日: : 最終更新日:2020/06/20 看護用語 

クリティカルパス

クリティカルパスって何か聞いた事があるけど、実際にどのような物で何のために使用しているのかご存じで無い方もいらっしゃると思います。

クリティカルパスとはどのようなものなのかについてお話ししていきます。

 

1、クリティカルパスとは

クリティカルパスの一般的な意味はプロジェクトの完成を遅らせないようにするためにスケジューリングする事です。

では、医療現場ではどのようなクリティカルパスを利用しているのか?病気や怪我の治療や検査、今後の日常生活をスケジュールを表にまとめたものです。正直、全ての医療機関がクリティカルパスを利用しているわけではありません。クリティカルパスを利用するのは、手術や検査などを行う病院で多く利用されます。

例えば、産婦人科で出産する場合です。出産の場合、一般的に3種類のクリティカルパスを使用しています。1つは、初産。2つは、経産婦。3つは、帝王切開です。出産の際に異常がない限り、このクリティカルパスに沿って援助します。

入院しているお母さんも、入院から退院日までの一連した流れを始めに把握している事で不安も少なく入院生活を送る事ができます。入院している患者さんの多くが、入院生活に対する不安を抱えていると思います。

 

  • いつご飯がたべれるのか?
  • お風呂はいつ入れるのか?
  • いつ退院できるのか?
  • 子供への授乳はいつすればいいのか?

 

と疑問に思う事が沢山あるけど、いちいち看護師に聞けないし、看護師自身も毎回同じ質問に答えている余裕はありません。そのため、始めからスケジューリングする事で、入院しているお母さんがたも聞かなくても把握する事ができますし、看護師の業務を効率化する事ができます。

 

2、地域連携クリティカルパス

地域連携クリティカルパスとは、言葉通り地域と連携したクリティカルパスです。

クリティカルパスとは、院内だけで使うものではなく、在宅に帰ってからも他の病院と連携を図りながら患者さんをフォローしていくために使用できる物もあります。それが、地域連携クリティカルパスです。

よく、地域連携クリティカルパスを使用するのが、癌患者です。総合病院などで、手術や抗がん剤の治療を行い、その後のフォローをクリニックなどのかかりつけ医でフォローをします。

このような方法をとるには理由があり、退院後のフォローまで総合病院が行っていると患者は溢れかえり、業務をこなす事ができなくなるからです。

また、治療が完治するまで入院し続ける事が困難だからです。ですが、クリティカルパスがなければ、スケジューリングが上手くいかず他の医療機関と連携も取りにくくなります。

医療機関が変わっていても患者さんに対して一連した説明や援助、フォローを行えますし、総合病院で長い待ち時間を待たずにクリニックで診察してもらえる事で患者さんの負担が少なくて済む事が、地域連携クリティカルパスのメリットです。

患者さんに対して一貫した援助を行うために地域連携クリティカルパスは重要な役割を持っています。

 

3、クリティカルパスの目的

クリティカルパスを使用するには幾つかの目的があります。

 

 

医師や看護師によって処置や援助に偏りがあったものを標準化し、医療従事者全ての者がクリティカルパスを使用する事で質の高い医療を患者さんに提供する事ができます。

クリティカルパスが、ある場合とない場合では、業務の効率化が全く違います。その理由として、医師によって指示の内容が異なってくるからです。そのため、毎回指示内容を確認しなけばいけないため業務が増えていきます。

 

4、クリティカルパスの看護計画、看護研究

一般的にクリティカルパスは、各医療機関で作成したものを使用します。そのため、看護研究の際にクリティカルパスを使用し、実際に使用してみてどうだったのかを試しています。その結果、そのパスがよければ病院で使用するという事もあります。

クリティカルパスがある事で、看護業務の統一と業務を効率化する事ができます。それは、看護師の経験のある診療科や年数によって技術や知識にばらつきがあります。

ですが、クリティカルパスを使用して看護計画を立てる事で誰が立てても同じレベルの計画を立てる事ができますし、業務を効率よくこなすことができます。

 

まとめ

クリティカルパスを使用する事で、患者さん個々の個別性がなくなるのではないか?と言われている時がありました。ですが、クリティカルパスを基本に援助する事で、医療の質を向上し、業務を効率化するメリットがあります。

また、個別性を出す事は無理ではありません。基本的なクリティカルパスに個々の患者さんが必要である事を書き加え修正していけば良いのです。

患者さん自身も、入院生活や今後の予定をスケジューリングされ把握できるのは、治療や入院生活を送るにあたって安心材料の一つになります。クリティカルパスを利用する事は、医療従事者だけではなく患者さんにとっても、とても便利な物です。

青井ミマコ 看護師

福岡生まれの東京都在住の正看護師。看護学校を卒業後、大学病院に就職、ICU、オペ室、循環器を経験し、美容クリニックを経て、現在はブロガーとして活躍。

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