新人看護師あるある|先輩によって言うことが違う場合の対処法(2015/08/25)
公開日:
:
最終更新日:2022/11/24
看護師あるある
筆者は新人看護師です。世の中いろんな病院があるといえど、新人の、そして看護師の楽しみ苦しみは多くの方々に共通する部分があるのではないかと思います。
「これはきっと私だけじゃなくて新人なら経験するだろう…!」と思うエピソードをご紹介させてください。
新人看護師は患者よりも、先輩の目が気になる
医療職以外の皆様には大変申し訳ないのですが、新人看護師が入職直後に1番気にすることは、まず間違いなく患者様の体調では無く先輩看護師の目です。極限に意識高い新人看護師を除いたごく普通の新人看護師の皆さん、そうですね。
新人看護師は、病棟に配属されて数ヶ月は先輩看護師に見守られながら日々の業務を覚えます。先輩に質問したりされたり、新しいことを教えていただいたり自分の勉強不足を叱られたりしつつ1日を終えるわけです。
そんな時に新人が毎朝何を考えているかといえば
・今日の指導者さんは佐藤さん(仮名)だから検査値のこと詳しく訊かれるな…ちゃんとみておかなきゃ…。
・今日は山田さん(仮名)だからほぼ全部やってくれる…よっしゃ…!
・今日は北野さん(仮名)だから何やっても怒られるわ…帰りたい…。
ざっとこんな感じでしょうか。ベテラン看護師の方々が覚えているかどうかは分かりませんが、新しい環境、それも病院という、ルールでがらんじめにされている場所に慣れることは、最初の2ヶ月間くらいは毎晩深夜に目を覚まして「明日もきっと何もできない…叱られる…」と泣き出すくらいに大変なことです。少しでも自分が追い詰まらない環境を求めてしまうことを、この時期だけはどうか批判しないでください。
新人看護師が一番困る場面とは?
さて、そんな私達新人看護師にとっての困り度No.1の状況は、
先輩によって言うことが正反対
だった時でしょう。
例えばこんなシチュエーション。
輸液ポンプを使って患者様に投与しているTPN(栄養剤)の交換の時間です。私は輸液ポンプを患者様の前で使うことも、TPNの交換も初めてです。今日の指導者は佐藤さんです。
佐藤さんは輸液ポンプの電源を切らずに一旦停止ボタンを押して、それまで繋いでいたTPNの横に新しいTPNを引っさげてルート(点滴に繋がっているチューブ)を差し替え、交換の時間を短縮するよう教えてくださいました。なるほどこれは合理的だと思いながら私はその方法を覚えました。
翌日、同じ患者様のTPNの交換の時間になりました。今日の指導者は北野さんです。
私は昨日佐藤さんに教えていただいたように、輸液ポンプの電源を切らずに一旦停止ボタンを押し、TPNを繋ぎかえようとしました。
すると、佐藤さんの「何やってんの!横着しないで!」という鋭い声が後ろからとんできました。私、プチパニック。
佐藤さんによれば、一度ポンプの電源を切り、それまで繋いでいたTPNを点滴スタンドから外し、輸液バッグの口が横向きになるよう電子カルテワゴンの上に新しいTPNと並べて置いてから差し替え、改めてルート付きの新しいTPNを点滴スタンドに下げるべきで、
「輸液バッグ下向きにしたままルート外したら、中に残った薬液がドボッと出てきてポンプも、下手したら床も汚染されるじゃない」とのことです。それはそれでなるほどと思うのですが、
昨日教わった方法と正反対だ!どうしよう!!
と私の頭の中はもうパニック。昨日の教わった方法を伝えるべきか黙っておくべきか、さてどうしましょう。なんて。
新人生活、こんな矛盾は日常。
オムツ交換ひとつ取ったって、お尻は股の間から拭くと教えられた数分後には別の先輩から横向きにした時に拭くと教えられます。
電子カルテで抗癌剤投与の看護記録を書く時に「薬のグラム数とか流量とか書かないで!逆に記載ミスの元になるでしょう!『レジメン(医師からの、抗癌剤の量の指示が書いてある紙)に従って』って書けばみんなレジメンみればいいんだなって分かるから!」と叱られた3日後に“レジメンに従って”とカルテに書けば他の先輩から「投与量何mgだったっけ?時間何mlで落としたっけ?そんなことも覚えてないわけ?」と叱られる。“正しい方法とエビデンスを覚えなきゃ”と必死な新人であればあるほど、そういった矛盾にいちいち焦る。
https://j-depo.com/news/nursing-record.html
先輩によって指導内容が正反対の時の対処法
私はありがたいことに、個人的な気分や感情で新人を叱る先輩があまりいないチームに配属されているので、昨日言われたことと違うな?と思う度に「昨日は〇〇さんにこういう方法で教えていただいているのですが、どちらが正しいのでしょうか?」と訊けるし、むしろ矛盾していたらその場で訊けとチームの先輩全員から言われているので訊かなくてはいけないのですが、おそらくそうではない、板挟みになりながらもどうしたって訊けない新人看護師もいると思います。
とりあえず同期と飲みながら「理不尽!!」と叫んでみるも良し、
「新人のうちだから」とぐっと堪えてひとり立ちしたら自分のやりやすいようにするも良し(良いのかな?)、
2年目の先輩に「去年どうしてましたか?」と訊いてみるも良し、
なにかと良くしてくれるベテランさんに「どうしたら良いでしょう」と相談してみるも良しでしょう。
職場の先輩からは、「分からないことだらけだと思うし今が1番大変な時だけど、とにかく患者さんに危害与えなければ良いから!そこだけ必死になって後はちょっとくらい手抜きしても良いから!!」と指導されています。やはり1番大切なのは患者様の安全ですね。守るべきこと、勉強するべきことの優先順位がようやく見えてきかけている程度の、まだまだ新人の私達ですが、患者様にとっては新人だろうがベテランだろうが看護師は看護師だということは常に忘れないように心掛けていかねばと思います。
ストレス過多な新人看護師の仲間達よ、こんな原稿を書いている私も毎日辛いです。ほんの時々遭遇する素敵な出来事を大切に大切に温めながら毎日を過ごしています。
いつまでこんな気持ちが続くのかはわかりませんが、「看護師になって良かった」といつか言えるよう、とにかくこの時期を一緒に乗り切りましょう。
著者情報:依里楓(東京都出身の看護師)東京から電車で2時間くらいの場所にある総合病院の、内科系の病棟で1年目看護師をしています。看護師の仕事に慣れることに必死です。 |
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