運動遊びと保育|1、2歳児向けの運動遊び10のアイデア(2017/09/13)
子どもの運動不足が伝えられる中で、幼少期に運動不足が続いた場合による影響はその後どうなっていくのかについてまとめていきます。また、すぐに取り組むことの出来る運動遊びも年齢別に紹介していくので参考にしてみてください。
1、保育における運動遊びの意義
文部科学省の幼児期運動指針を参考に保育における運動遊びについて見ていきましょう。
近年、都市化や少子化の影響を受け、子どもたちが身体を動かして遊び機会が減っていると言われています。文部科学省による「体力向上の基礎を培うための幼児期における実践活動の在り方に関する調査研究報告書」でも、これらのことは報告されていて、幼児にとって運動をする機会が減少しているということは、その後の運動能力の獲得に影響が出るだけでなく、意欲や気力の減少、コミュニケーションをうまく行うことが出来ないなど、子どもの心の発達にも影響が及ぶことも懸念されています。
なぜ、運動をする機会が減少すると心の発達にまで影響が及ぶかというと、「運動有能感」が成長の支えになるからだとベネッセの教育情報サイトで解説されています。幼少期は自ら身体を動かして「出来た!」という経験が自信に繋がりやすいと言われています。ベネッセの研究でも、運動能力が高いほど社会性・がまん強さ・リーダーシップにポジティブな結果が表れていました。
これらのことから幼児の生活の中で、運動をする時間を確保していくことが重要だということが分かります。保育の活動の中でも積極的に身体を動かす運動遊びの時間を取り入れていきましょう。また、特別な用意をすることなくすぐに取り組むことの出来る運動遊びの10のアイディアも併せて紹介していくので参考にしてみてください。
2、保育の現場で行う1歳児の運動遊び
1歳児に適している運動遊びは、脳科学で子どもの育ちをサポートするこどもプラスのホームぺージの中で紹介されています。1歳頃は、言語の習得や運動機能の発達による行動範囲の拡大で周囲への関心や、大人と関わることに意欲が高まる時期です。これらを意識した運動遊びを行っていきましょう。
①お芋でコロコロ
子どもたちをお芋に見立ててマットの上でコロコロ転がって遊びます。そうすることにより、回転する感覚を身に着けることが出来ます。回転する感覚は将来的にマット運動の前転や鉄棒での逆上がりに必要な感覚へと繋がっていくので、小さい頃から楽しみながら身に着けていきたい感覚と言えます。
②マット歩き
マットを数枚用意して間隔を空けて並べます。マットの上だけを歩くというルールで進めていきます。マットがないところは足を上げて飛び越える必要がありバランス感覚を身に付けたり、マットの上のような不安定な場所を歩くことによって平衡感覚も養っていくことが出来ます。
③のぼったり、くぐったり
こちらは、1歳児の「運動遊び」で紹介されている遊びです。保育者が両足を伸ばした上を子どもたちによじ登ってもらいます。次に体操座りになり、立てた足の下をトンネルのようにくぐっていってもらいます。様々な体勢になるので、身体を自在に動かすことが出来るようになる練習となります。
3、保育の現場で行う2歳児の運動遊び
2歳児に適した遊びは、飯田女子短期大学のホームページの「親と子の運動遊び」ゼミによる家庭での遊びの紹介を参考に見ていきます。子どもが身体を動かし楽しい気持ちになった時こそ、子どもの行動力が大きく広がっていく時期だと解説されています。子どもと一緒に楽しみながら運動遊びを行っていきましょう。
④カエル跳びぴょん
カエルになりきり、様々なところをジャンプで飛び越えてみる遊びです。「小さな水たまりをぴょん!」など声をかけて、実際にはなくてもイメージを膨らませてカエルになりきって遊びましょう。両足を浮かせジャンプするといった動作は難易度も高く習得が難しいものですが、楽しみながら跳ねる経験を積んでいくことで、ジャンプの動作の習得へと繋がっていける遊びです。
⑤わんわん競争
出典:飯田女子短期大学
わんわん競争は、参考画像のような姿勢になり歩いたり走ったりしながら、競争をする遊びです。ハイハイのような動作は手足を協応させて動かす必要があるので、自在に身体を操る能力を鍛える練習になります。また、ただ競争するだけでなく、犬になりきって「ワンワン」と鳴いてみたり、「ご飯を探しに行こう」などテーマを設けて取りくんでみると、想像力を鍛えることも出来ます。
⑥バランス遊び
2歳児の「運動遊び」から紹介していきます。保育者が足を伸ばし、その上に子どもを立たせます。そしてそっと手を離し、子どもが1人で立っている状態で足を軽く揺らし不安定な状態を作ります。そうすることにより、バランスを取る力が身についていきます。
出典:0~5歳児の発達に合った 楽しい!運動あそび (ナツメ社|栁澤秋孝 栁澤友希|2014年)
子どもが「出来た!」という自信を身に着けていけるような運動遊びのアイディアが400個も収録されている本です。全身運動からマットやボールを使った遊びのアイディアなど幅広く紹介されており、また0歳から5歳までの発達に応じて細かく分類されているので、迷うことなくすぐ活用することが出来ます。このような育児書も多数販売されているので、是非参考にしてみてください。
4、保育の現場で行う室内での運動遊び
次に実際に室内で運動遊びをしている様子を紹介しながら、室内での運動遊びについてまとめていきます。
⑦サーキット遊び
出典:蓮美幼児学園ブログ
こちらは室内に飛び箱、マット、フラフープを用意しサーキットのようにして運動遊びを行っている様子です。サーキット遊びは室内での運動遊びとして取り組んでいるところが非常に多いです。保育園などにある運動具を並べていくだけでサーキットを作ることが出来るので手軽に遊べるところも魅力です。
外海まどか保育園ではサーキット遊びのねらいとして、「友達と共通のことに取り組み、共に活動することを楽しむ」「遊びの中でイメージや意見を出し合い、友達の良さを受け入れながら遊びを展開する」ことを挙げています。このねらいのように、運動機能を鍛えていくのと同時に、順番を守る、逆走をしないなどといった友達と一緒に道具を使う時のルールなども学んでいくことが出来ます。
⑧ジグザグ走り
出典:蓼川第二保育園
こちらは三角コーンを立ててその周りをジグザグに走っていくという遊びです。細やかな足の動かし方が必要となるので集中力が付くことも期待出来ます。コースを2つ作りリレーのようにすると一層盛り上がり楽しくなるでしょう。
⑨ロープ渡り
出典:蓼川第二保育園
こちらは、ロープを伸ばして床に置き、その上を落ちないようにバランスを取りながら渡っていく遊びとなります。バランス感覚が身についていくのでおススメです。こちらもリレー形式にするなど競争にしてみるとゲーム性も増し、より盛り上がります。
⑩鉄棒遊び
出典:アスク東比恵保育園
写真のように簡易式の鉄棒を室内に設置して鉄棒遊びを行っている保育園も多く見られました。下にマットを敷けば落ちた時の怪我のリスクも軽減できるので、下が固い床の場所でも鉄棒遊びを楽しむことが出来ます。雨の日が続き、なかなか園庭遊びが出来ない時などにこのような簡易の鉄棒を用意することが出来れば運動不足解消にも繋がりそうです。
まとめ
子どもの運動機能を鍛えるだけでなく、身体を動かすことは子どもの心の成長にも繋がるのだということが今回まとめてみて分かりました。都市化、少子化の影響を受け、子どもたちの運動量の低下が伝えられているので、保育の活動の中でも積極的に運動遊びを行っていきたいところです。
是非、今回紹介いたしました運動遊びのアイディアを日々の保育の中に取り入れてみてください。
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