遊びと保育|集団、風船、ふれあい、ボール、正月(餅つき)、運動、水遊び(2017/06/29)
保育の現場における様々な遊びをこれから紹介していきます。普段の保育の中で体験していく遊びの他に水遊びやもちつき遊びといった季節限定の遊びも加え、子ども達がめいっぱい楽しめる遊びのアイディアの参考になるようなポイントを項目ごとにまとめていきます。是非、保育の遊びを考える際に活用してください。
目次
1、保育における集団遊び
集団遊びには期待できる様々な効果があるそうです。
例えば、遊びを通して自分の意見を言ったり相手の意見を聞くといったことはコミュニケーション能力を高めていくことに繋がります。また、集団で遊ぶことによりルールを守ったり、ルール違反を友達に教えることは規範意識を身に着けていくことが出来ます。他にも工夫して考え創造する力がついたり、負けたくない・我慢するといった次に繋がる意欲、友達を応援したり味方を守るといった集団意識の芽生えを培っていくことが出来ます。
集団遊びのポイントは、1人1人が「できるようになる」ことを主目的とするのではなく、その遊びを通して「人と人が繋がり、互いを認め合う人間関係を育むこと」が遊びの目的となることです。
友達と一緒に遊ぶからこそ身に着けていける力に着目し、伸ばしていけるよう保育者は子ども達の様子を観察しながら働きかけていきましょう。
こちらは福井市のはちまんこども園の年少クラスの子どもたちが「ぞうさんとくものす」で遊んでいる様子です。ジャンケンをして負けたら先頭の子どもの後ろに繋がっていくジャンケン列車の一種です。負けたら繋がり、を繰り返し最終的に先頭になった子どもの勝ちとなります。
大人数の方が盛り上がるので、クラスの枠を飛び越えみんなで遊ぶと楽しいです。
他にも楽しい遊びが紹介されているので参考にしてみてください。
2、保育における風船遊び
子どもたちが大好きな風船遊びを紹介していきます。
出典:堺市立新金岡こども園
こちらの堺市立新金岡こども園では、大きな風船を天井から吊るしています。
子どもたちは一生懸命にジャンプして、風船をタッチしようと楽しんでいます。
出典:メロディー保育園
こちらのメロディー保育園では、風船を繋げて大きな塊にしてボールの様に高く上げるなどして楽しんでいます。1つずつで楽しむのとはまた少し違う感覚で風船遊びをすることが出来るのでおもしろそうです。
出典:天白子ネット
こちらはママカフェの写真となりますが、段ボールで作った仕切りの中に風船をたくさん膨らませて入れ、ボールプールの感覚で集まった0~1歳の子ども達が楽しんだようです。
こちらも普段のボールプールとは違い、風船のふわふわとした触感を確かめることが出来て低年齢の子どもはもちろんのこと、年長クラスの子どもたちでも楽しむことが出来そうです。
3、保育におけるふれあい遊び
ふれあい遊びについてPHPファミリーの記事を見ていきましょう。
記事によると、親子の安定した関係を育む1つの方法としてスキンシップが重要であると言われています。また生後3~4ヶ月から幼児期において直接肌と肌が触れ合う皮膚感覚の気持ちよさが子どもの心身の発達に大切であるとも言われています。
これらのふれあいは、信頼関係のある保育者とも同様なので、特に低月齢の子どもに対して積極的にふれあい遊びを行っていきたいところです。
出典:子どもの心と体が育つ! 園で人気の「ふれあい」遊び (PHP研究所|田村忠夫|2015年)
記事内では、こちらの本も紹介されていました。
幼稚園や保育園で保育者の研修や保護者向けの講座を行っており、ユニークな遊びの提唱で
人気を得ている田村忠夫さんが執筆した本です。
本書では年齢別にふれあい遊びが紹介されており、遊びを行う上での注意ポイントや遊びから期待できる発達なども解説されているので大変分かりやすく参考になるかと思います。
また、アスク・ミュージック公式チャンネルによる、ふれあいが出来る手遊び歌の定番ともいえる「かわいいほっぺ」のように歌やリズムに合わせて子どもと触れ合うのもおススメです。
こちらのチャンネルでは子どもと出来るふれあい遊びの動画も多数掲載されているのでチェックしてみてください。
4、保育におけるプール・水遊び
プールや水遊びは子どもたちにとってお待ちかねの遊びと言えるのではないでしょうか。
出典:真生きらきら保育園
こちらの真生きらきら保育園では、0歳児クラスは大きなたらいのプールに入り、1歳児クラスはビニールプールで水遊びを楽しみました。
ビニールプールには水に浮かぶおもちゃを入れて遊んだ他に、バンダナに空気を入れててるてる坊主のようなものを作り、膨らんでいるところをみんなで突いたりして楽しんだそうです。
こちらの保育所では、先生がシャワーを子どもたちにかけて楽しんでいる他に、遊具の滑り台で水の中に滑り込めるような仕掛けが作ってあります。
滑り台は必ず介助係がつくようにし、1人1人順番を守って滑るようにすれば安全に楽しむことが出来ます。
プールを出すのが難しい場合でも、下着などの濡れてもいい恰好になり水鉄砲やジョウロなどで水を楽しむのも気持ちよく遊べます。
5、保育におけるボール遊び
ボール遊びは、浦安市による保育・教育の具体的取り組みのボール遊びのページを参考にしながら進めていきましょう。
ボール遊びは0歳児クラスでは物の感触を楽しむ役割があったり、年齢が上がってくるとボールの使い方に馴染みながら体を思い切り動かすことの出来る遊びとなります。そんなボール遊びの1番の特徴は、他者が絡んでくることの多い遊びということです。ボールを投げたり蹴ったりのパスを相手と繰り返すことによって、自分の考えを分かるように相手に伝えるなどのコミュニケーション能力を高めていくことが期待出来ます。
出典:ふかいこどもえん
こちらのふかいこどもえんでは、2歳児クラスが的に向かってボールを投げたり、保育士とボールの投げ合いなどをして遊んでいます。
出典:キッズハウス保育園
こちらのキッズハウス保育園では、小さなボールを保育士が段ボールで作ったライオンの口の中に入れるゲームを楽しんでいます。
このようにゲームの要素を入れるとより盛り上がり、楽しくボール遊びを行うことが出来そうです。
小さなボールを使えば室内でも遊べるところもポイントとなってきます。
6、保育における正月遊び
正月遊びについて紹介していきます。
出典:コアラ保育園
正月遊びの定番ともいえるかるた遊びやすごろくなどが人気のようです。
参考画像のコアラ保育園による絵かるた遊びの様子ですが、動物のイラストが分かりやすく描かれたものを使用しているので、難しくなくかるたにチャレンジ出来そうです。
出典:尚志緑ヶ丘保育園
すごろくも細かいルールが難しいようなら、参考画像の様にぐるぐるに描かれた道を単純に進んでいくような仕掛けにしてみると、低月齢の子どもでも楽しむことが出来ます。
年齢別に難易度を分けて作成してみると、各クラスで盛り上がることが出来るかと思います。
出典:京都産業大学すみれ幼稚園
他にも大きな福笑いを1人ずつ前に出てきてみんなに披露するのもおもしろいです。
「もっと右!」などと周りが声を掛けてあげると、尚盛り上がります。
みんなで協力して顔を作っていくといいでしょう。
出典:尼崎市 杉の子保育園
また、参考画像の尼崎市杉の子保育園のように福笑いを工作にして持ち帰ってもらうのもおススメです。子どもたちが一生懸命福笑いで出来たおもしろい顔を持ち帰ることにより、保護者の方にも正月遊びを行った様子や楽しさが作品から感じることができ、喜ばれるのではないでしょうか。
6-1、保育におけるもちつき遊び
正月の伝承遊びの1つとして、保育園でもちつきを取り入れているところも多いです。
出典:むさししんじょう第2保育園
こちらのむさししんじょう第2保育園では、保育士と一緒に交代で子どもたちももちをついて、杵の重さを実感しました。
出典:むさししんじょう第2保育園
それぞれもちを手にして、伸ばしてみるなどもちの感触を存分に味わいます。
出典:むさししんじょう第2保育園
最後は自分たちの鏡餅を作りお飾りしたそうです。
このように自分たちで鏡餅を1から作ってみると、お店で売られているものがどのようにして作られるのかを知るきっかけとなり、食育としても充実していると言えます。
7、保育における0歳児クラスの遊び
0歳児クラスの遊びについて、日本保育者未来通信の室内活動(自由遊び) 0歳児ページを見ていきます。
0歳の時期は、スキンシップや反射運動、おもちゃでの遊びを通じて五感を育んでいくことが大切になってきます。保育者は、子どもの気持ちを受容することで信頼関係を築いていきましょう。身近な環境の中で、見る・聴く・触れるなどの感覚を一緒に楽しんでいくといいでしょう。
また、手遊び歌やわらべうたを歌ったり、触れ合い遊びを楽しむ機会を豊富に持つようにしていきます。その際には、子どもの喃語や発声、体の動きに応答的に関わるよう意識していきましょう。
出典:ゆう安中東こども園
0歳児クラスの遊びの様子をゆう安中東こども園の写真を参考に見ていきましょう。
ゆう安中東こども園は日替わりで様々な遊びを行い子どもたちが楽しめるような工夫がされています。
指に絵具を付けて握ったり広げたりして感触を確かめて遊んだり、保育士と共に絵具で雨を表現して画用紙に描いて楽しみました。
出典:ゆう安中東こども園
他の日にはマットをたくさん並べてマット遊びをしています。
段差をはいはいしてみたりマットに寝転んで感触を楽しんだりしたようです。
このように普段使用するおもちゃとは別に主活動としてこのように大々的にプログラムを組み、クラス全体で遊ぶのも友達や保育士と関わるきっかけとなり、いい刺激となります。
8、保育における運動遊び
保育園で行う運動遊びについて、「幼児の心身の健康に関する研究」の論文を見ていきます。
論文によると、経済的に豊かになったはずの日本で、子どもたちの心身の成長には偏りがあるといいます。文部科学省が毎年報告している「体力・運動能力調査」の結果でも、子どもたちの体格は良くなっているが運動の能力は年々低下し続けているという現状が明らかとなっています。
その理由の1つに、外遊びの減少が挙げられるのではないかとされています。
論文の調査では、6割以上の園児は「戸外での運動遊び」を最も好み、8割以上の親もそうさせたいと思っていることが分かりましたが、実際には「テレビ視聴」をしていることが最も多いという結果となりました。
子どもの心身の発達にとって戸外での遊びが不可欠であると、幼稚園教育要領や保育所保育指針でも強調されているので、積極的に運動遊びを行っていかなければなりません。
出典:0~5歳児の発達に合った 楽しい!運動あそび (ナツメ社|柳澤秋孝 柳澤友希|2014年)
子ども達は、戸外で思い思いに体を動かすのでも充分楽しむことが出来ますが、上記のように運動あそびの保育書を参考にすると、バリエーション豊かに戸外で活動することが出来ます。
上記の本には、子ども達が運動を好きになり、「出来た!」という達成感を味わえるような運動遊びのアイディアが400本も掲載されています。年齢別に分けられている為、担当児童の年齢に合わせて取り入れることが出来るので大変活用的です。
まとめ
保育園で行う様々な子どもたちの遊びについて紹介して参りました。
どの保育園もそれぞれ趣向を凝らし、子ども達が楽しめるようなアイディア満載で行事や保育活動を行っていることが分かりました。
また、参考になりそうな保育書なども紹介したので、保育園での遊びに活用してみてください。
参考文献及び参考サイト
みんなで遊ぼう!伝承遊び (なにわっ子わくわく未来プログラム|大阪市|2009年)
保育園・幼稚園で人気のふれあい遊び~心と体を育てましょう (PHP研究所|田村忠夫|2015年)
保育・教育の具体的取り組み「ボール遊び」の事例 (就学前「保育・教育」指針改訂|浦安市|2014年)
室内活動(自由遊び) 0歳児 (日本保育者未来通信)
幼児の心身の健康に関する研究 (実践女子大学人間社会学部紀要1巻 87-112|窪龍子、井狩芳子、野田耕|2005年)