折り紙と保育|プレゼントや製作でのねらい、お雛様・クリスマス等(2017/05/16)
細谷氏・松井氏(1が
幼児期の折り紙遊びは楽しみながら手指の巧緻性や集中力、理解力、形態認識力等を育むのに有益な教材として位置づけられている
と述べているように、折り紙遊びは子どもたちの発達に良い効果を及ぼすと考えられています。そして保育士の関わり方や取り組み方次第で、折り紙の魅力はさらに増します。
目次
1、保育園で行う折り紙遊び
1−1、折り紙遊びのねらい
■基本のねらい
ある程度手先が器用になってきたら、ねらいを立てて折り紙遊びに取り組んでみましょう。「楽しみながら折り方を身につける」「角を合わせる、辺を合わせるといった動作を繰り返すことで集中力を養う」「完成した喜びを味わう」といったねらいを立てることができます。さらにクラスの状況によっては、「友だち同士教え合い、完成の喜びを分かち合う」といったねらい立ても可能かもしれません。
■活動に合わせたねらい
折り紙遊びのテーマによっては、「完成した作品を使って他活動(ごっこ遊びやゲーム、壁面装飾など)に発展させていく」というねらいを立てることもできるでしょう。例えばみんなで折り紙のアイスクリームを作り、その後はアイスクリーム屋さんごっこを楽しむ、お花を作って行事の際に壁面装飾として貼る、といった活動が挙げられます。また、季節に合わせた取り組みを行う場合は、「季節の行事に親しみながら作ることを楽しむ」というねらいを加えても良いでしょう。基本のねらいと活動に合わせたねらいを上手く組み合わせてください。
1−2、折り紙遊び時の留意点
折り紙遊びの中では、上手く折れる子となかなか折ることのできない子が出てしまいます。上田氏・梶氏が行ったアンケート調査でも、保育時に折り紙遊びをしている際の子どもの姿として
「泣いている子、ぐしゃぐしゃにしてしまう子もいる」「苦手な子どもは、折り紙が少しでもわからなくなるとすぐに諦める」
などといった回答があったとしています。そのため、保育士がどのように援助するか、という点が大切になります。
まず、折り方の基本である「角と角、辺と辺をしっかり合わせる」「折り目をしっかりつける(指でアイロンをかける)」ことをきちんと伝えましょう。ここが上手くできないまま進み、途中でぐしゃぐしゃになってしまう子どもが多いです。また、口だけで説明するのは難しいため、保育士が見本を見せるのも効果的です。見本は新聞紙などの大きな紙で作るのもわかりやすいですね。それでも上手く折れない子どもには、隣で一緒に折ってあげたり、手を添えて作ってあげても良いでしょう。可能であれば、折り紙が苦手な子を1つのテーブルにかためてあげると効率的に指導ができます。子どもたちが「できた」という達成感を味わえるよう、援助方法も工夫していってください。
2、折り紙で作るプレゼント・製作
2−1、お雛様製作
ひな祭り、桃の節句は女の子のイベントと言われますが、保育園では男女いっせいに活動する方が良いでしょう。折り紙でひな人形を作る方法はたくさんあるので、年齢に合ったものを選んでください。簡単なものなら1・2歳でも取り組むことができますよ。1枚の折り紙でお雛様が完成するパターンだけでなく、体を折り紙で作って顔は画用紙に書くパターンもあります。その場合は、顔のパーツを事前に準備しておきましょう。折り紙で作ったお雛様を画用紙に貼り付け、背景に模様を書いても可愛く仕上がります。
2−2、クリスマス製作
子どもたちが楽しみにしているクリスマスも、折り紙を使った製作でさらに気分を盛り上げることができます。クリスマスの飾りにはいろいろな種類があるので、毎日の保育で少しずつ作っていくのも良いでしょう。
サンタクロースやトナカイ、ツリー、リースなどが定番ですが、やる気のある子にはベルやブーツ、星などの飾りにも挑戦させてあげたいですね。おりがみくらぶなどで分かりやすい折り方が紹介されています。折り紙を紙皿や画用紙などに貼り付け、モールや綿で飾っても可愛いですよ。折り方は同じでも、工夫次第でいろいろな飾りになります。できた飾りは教室や玄関に飾り、ぜひ保護者にも見てもらってください。
出典:柏幼稚園
2−3、七夕飾り製作
のりづけができる年齢であれば、ひしがたつなぎや三角つなぎ、輪飾りに挑戦してみましょう。簡単にできるのに華やかで、七夕ムードが盛り上がります。慣れないうちは、のりづけする箇所に印をつけてあげるとわかりやすいですね。
はさみが使えるようになったら、あみかざりやふきながし、貝かざりを作ることもできます。どれも折る、切る、広げる(+貼る)という作業で出来るので難しくはありません。ただ、切るときの幅や向きを間違えると上手くいかないですし、広げるときに力を入れすぎてしまうと、簡単に破けてしまいます。そのため、しっかりと見本を見せてあげましょう。失敗例も示してあげるとより伝わりやすくなります。
そして七夕の定番、短冊飾りもぜひ行ってみましょう。折り紙で作った短冊に一人ずつお願いごとを書き、七夕飾りと一緒に飾るととても華やかになりますよ。
出典:砂川市 ひまわり保育園
2−4、4月・5月にふさわしい折り紙
■4月 入園式
子どもたちはもちろん、保護者にとっても大切な入園式を、折り紙作品でさらに素敵なものにしてあげましょう。桜やチューリップをたくさんのカラーで作り、壁に飾るだけでも春らしくなります。年中さん以上であれば、うぐいすなども作ることができるでしょう。
また、新入園児に折り紙で作ったメダルやチューリップ名札をプレゼントするのも良いですね。保育士が凝ったものを作っても良いですし、年長さんが作ったものをプレゼントしても喜ばれるでしょう。
出典:はなぶさ保育園
■5月 こどもの日
かぶとやこいのぼり、アヤメなどが定番ですね。特にかぶとは作りやすく、アレンジの幅も広いのでおすすめです。新聞紙やチラシなどの大きな紙で作り、色を塗ったり絵を描いたりするだけで一人ひとりのオリジナルかぶとができますよ。実際にかぶって遊ぶこともできます。また、折り紙で作ったかぶとに絵や写真を組み合わせれば、素敵な飾りにもなりますね。こいのぼりも簡単なものから凝ったものまで様々な折り方があります。普通の折り紙で作っても良いですし、模様付きの紙を使っても面白いです。出来たものは台紙に貼り付ける、絵を書き加えるなどのアレンジもできます。
出典:龍泉寺保育園
■5月 母の日
5月の第2日曜日は母の日なので、子どもたちからお母さんへ心のこもった作品をプレゼントさせてあげたいところです。折り紙で作ったカーネーションを、いくつか合わせて花束にする、カードに貼り付けるなど一工夫加えて渡してみてはいかがでしょうか。また、ハートなどの形を折って画用紙に貼り、首から下げられるようにするのも可愛いですね。
3、保育士向けの折り紙検定
「子供理解・保育に関する知識と技術・学習意欲・コミニケーション力・創造力・豊かな心」
を育てるため、保育技術検定を行っています。そして造形表現技術の内容として折り紙が出題されており、鳥や植物、動物など様々な折り方をマスターしていることが求められます。
この検定は保育士資格とは別物ですが、実際の保育に当たる上で、身につけておきたい技術を学ぶきっかけになるでしょう。高校生が対象となる検定ですが、検定の内容を自分で学ぶことでもスキルアップにつながるのではないでしょうか。
まとめ
折って楽しむことができ、プレゼントにもなるという便利な折り紙は、保育園の中でも取り組みやすい遊びの1つです。だからこそ自由遊びの中でやりたい子どもたちが取り組むだけでなく、季節の行事に合わせていっせいに取り組む時間を作ってみるのも良いですね。自らのスキルアップも合わせて行っていけば、より充実した内容の保育となるでしょう。
参考文献
(1 幼児の折り紙技術の発達|細谷里香・松井あずさ(2014)
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