お泊り保育|お泊り保育のねらいとお風呂、オムツ問題について(2017/04/13)
パパやママといった大好きな家族と離れて過ごすお泊り保育は家族と離れる事が不安で嫌がる子どもも多く、保育士にとっても負担が大きい行事の一つです。それなのになぜ保育園ではお泊り保育を取り入れるのでしょうか。今回はお泊り保育のねらいや活動内容について詳しくご紹介したいと思います。
目次
1、お泊り保育とは
お泊り保育とはその名の通り、親元を離れて、友達や保育士と数日を過ごす活動を指します。気軽に参加できる1泊2日のものから、本格的な野外活動をする2泊3日のものがあり、一言でお泊り保育といってもその活動内容は様々です。
お泊り保育が出来る年齢は子どもの精神的な発達を考慮して、4歳児または5歳児の時に行う保育園が多いようです。
1-1、お泊り保育の種類
お泊り保育は大きく分けて二つのパターンに分かれているようです。一つは朝から翌朝まで保育園で過ごすスタイル、日中バスで動物園等に出かける事はありますが、最終的に保育園に帰ってきて保育園で一晩過ごすスタイルです。
もう一つが野外体験学習を兼ねたキャンプスタイルです。こちらはログハウス等を借り、お泊り保育中は野外炊飯や木登りといった自然体験を存分に楽しむスタイルです。
1-2、お泊り保育のねらいについて
子ども達を宿泊させる活動となると保育士の負担が大きい事はもちろん、子ども達にとっても未知の世界です。大好きな家族に一日会えないのですから、楽しみにしている子どもばかりとは限りませんし、日中は乗り切っても夜寝る時になると寂しくなって泣いてしまう子どももいる事でしょう。
そんな中、お泊り保育を行っている保育園ではどのようなねらいがあるのでしょうか。山本氏の資料1)では富山市にあるW保育園のお泊り保育の活動を紹介しています。お泊り保育を行う上でのねらいは3つです。「自然との触れ合いを通して、発見や感動の機会をもつ」、「生活の見直しをもち楽しく活動する」、「最後までやり遂げる満足感や達成感を味わい、ひとりひとりの自信へとつなげる」ねらいを明確にした上で、そのねらいに沿った活動が組まれていきます。
2、お泊り保育の活動内容
お泊り保育では具体的にどのような活動が行われているのでしょうか。野外活動を兼ねたキャンプスタイル、保育園に泊まるスタイルそれぞれの活動例をご紹介したいと思います。
2-1、キャンプスタイル
先ほどご紹介した富山市のW保育園では自然体験に力をいれた活動がメインになっています。例をあげると、森の中での葉っぱ探しゲームや、葉っぱのスタンプづくり、拾った葉っぱをお皿代わりにして五平餅づくりにも挑戦しています。森の中を歩き回る事で子ども達は足が鍛えられますし、葉っぱにも様々な色や形があるという事、スタンプにする時は表面にインクを付けた方がきれいなスタンプになるという事に気づく事も出来ます。また友達同士で協力して森の遊び場づくりなど、自分で考え、友達と協力し合い、工夫をする場面が多く、友達の大切さや協力して何かを成し遂げる事の素晴らしさを体験できる事となります。
現代の子ども達にとってこういった自然の中での体験は珍しいものです。宿泊と合わせてこのような貴重な体験をさせる事は子どもにとって刺激的であり、その後の成長につながっている事でしょう。
2-2、保育園で過ごすスタイル
野外キャンプをしなくてもお泊り保育で得られるメリットはたくさんあります。野外活動がないお泊り保育でも「いつもと違った特別な活動」を行っている保育園は多いです。例えば保育園の教室をおばけ屋敷にしてみたり、保育士が余興を披露したり、子ども達でレクリエーションを楽しんだりと、普段の保育園での保育とは異なった活動が多く見られます。キャンプスタイルと同様に親元から離れ、友達と一緒に遊び、お風呂に入り、一緒に寝る事になりますのでおのずと友達との距離も近づきますし、布団の準備や着替え等、「自分の事は自分でやる」という姿勢が身に付きやすいです。
保育園でのお泊り保育はキャンプスタイルのお泊り保育と比較すると、刺激は少ないかも知れませんが、ケガや事故の可能性も低く、保育士の負担や保護者の費用負担といった面でも気軽に参加しやすいといったメリットがあります。
3、お泊り保育の事前準備
すべての子どもがお泊り保育を楽しみにしているとは限りません。そこで、当日のタイムスケジュールを事前に子ども達に説明し、さらに見やすい場所に掲示しておきましょう。
一日の流れを知る事が出来れば、子ども達は当日タイムスケジュールを見ながら行動する事が出来ます。何をするかを事前に知る事が出来れば、家族と離れる不安な一日ではなく、友達や保育士と過ごす楽しい一日として前向きにとらえる事が出来るでしょう。また、キャンプスタイルの場合は、野外ですのでケガや事故がないよう十分注意しておかなくてはいけませんし、子ども達に体験させようと思ったものでも、実際に行ってみると難しくて出来なかったという事態も考えられます。お泊り保育に参加する保育士が事前に活動内容を体験し、幼児に出来る事、難しい事をしっかり把握し活動内容を改めて検討しなおすといった事も必要なのではないでしょうか。
4、お泊り保育における保護者の心配事
親元を離れて宿泊するとなると、当然本人も保護者も不安な気持ちになるでしょう。そこで具体的に保護者が心配する事柄についてご紹介したいと思います。
4-1、おねしょやおむつをしている子どもへの配慮
頻繁におねしょをしている子どもは夜だけおむつを着用している子どももいます。自宅なら気になりませんがお泊り保育ではどうしても友達の目が気になるものです。
子どもは感じた事、思った事をそのまま口に出すので「おむつをしてるのは赤ちゃんだ!」と馬鹿にされてしまう可能性もあるでしょう。
そんな事態になってしまうと、それまでの楽しい思い出はぶち壊しになってしまいます。
お泊り保育を苦い思い出にしないためにも保育士の配慮が必要となるでしょう。
お泊り保育を実施する前に事前アンケートを取っておくと保護者も安心かも知れません。保育士側もおむつをしている子どもやおねしょをしてしまう子どもを事前に把握しておく事で、こっそりおむつの着脱を出来るように配慮出来ますし、万が一おねしょをしてしまっても迅速な対応が出来るためです。またおねしょの可能性がある子どもには保護者に「おねしょ用の防水シート」等を用意してもらうと安心かも知れませんね。
4-2、お風呂はどうする
お風呂に関しては先ほどご紹介した富山市のW保育園のように「あせふきタイム」と称し、体の汚れをふき取るだけにとどめたり、近隣の銭湯にみんなで入浴したりするパターンがあります。
後者では社会勉強の一環として子ども達一人ひとりに入浴料金をわたして、自分で支払わせる経験をさせるところが多いようです。お風呂の中でも友達同士で体を洗いあったりして子どもにとっては楽しい思い出になります。引率する保育士も水着を着て子ども達を見守っていますので、入浴のルール等を学ぶ事も出来るでしょう。
5、お泊り保育の課題とお泊り保育終了後の子どもの変化
お泊り保育自体は子どもにとって自然を知り、また精神的にも成長する事が出来る絶好の機会ですが、お泊り保育を行う上での課題もあがっています。
鬼頭氏の資料2)を見ていただいてもお判りの通り、子どもの安全確保や保育士の労働時間等の課題があげられます。しかし自然体験やお泊り保育を中止にしないのはそれ以上に子どもが得られる知識や経験、また保護者が感じる成長の実感や子どもの変化があるからです。
まとめ
親元から離れる子ども達は不安でいっぱいです。しかしお泊り保育を乗り越えた子ども達は自信がつき、家族に対する感謝の気持ちが生まれやすいと言われています。家庭ではなかなか難しい自然体験を含んだお泊り保育の場合はその変化がより一層大きい事でしょう。保育士が強制してしまうのではなく、子どもの新しい発見を一緒に喜び、友人同士知恵を出し合って工夫する姿を見守り、楽しい思い出を作るため細やかな配慮を忘れる事なく臨みましょう。
参考文献
1)青少年教育施設における幼児の体験活動(実践実例)|山本裕美子(2007/03)
2)宿泊型自然体験(お泊り保育)の意義と具体的実践について|鬼頭弘子・田尻由美子(2013/05)
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