幼稚園教諭免許の更新|更新手続き、講習、期限、年齢について(2017/04/14)
保育園等で働く保育士さんは、当たり前ですが、保育士資格を取得されているかと思います。保育士資格には更新制度がないので、取得後も保育士資格をしっかりと管理しているという保育士さんは少ないのではないかと思います。一方、保育士となにかと比較されがちな幼稚園の幼稚園教諭の免許には、更新制度が設けられており、適切に更新手続きをしなければ、一定期間を経過すると免許の効力が喪失してしまいます。近年は、認定子ども園の創設等に伴って、幼稚園教諭免許を取得する保育士さんが増えてきたと感じます。保育士以外の資格や免許を取得し、ご自身のスキルアップや活動の幅の拡大を図ることはとても有意義なことですが、その一方で複数の資格・免許を取得している場合には、より一層のしっかりとした資格管理が必要となるといえます。
そのため、今回は、幼稚園教諭免許の更新制度について説明していきますので、資格・免許管理の役に立てて下さい。
目次
1、幼稚園教諭免許の更新制度の概要
幼稚園教諭の免許は、教育職員免許法に基づくものであり、文部科学省が管轄しています。教育職員免許法は、2007(平成19)年6月に改正され、2009(平成21)年4月から教員免許に更新制度が導入されています。この更新制度は、その時代で必要な資質や能力を保持することができるよう、定期的に最新の知識技能を身に付けることで、各教員が自信と誇りを持って教壇に立ち、社会の尊敬と信頼を得ることを目指すことを目的としています1)。
1-1、幼稚園教諭免許の更新の流れ
幼稚園教諭の免許の更新の大まかな流れとしては、定められた期間内に所定の講習(以下、免許状更新講習)を受講し、終了したうえで、免許管理者である都道府県教育委員会に申請することで、更新された免許状が交付されるという感じになります。一見すると「更新は簡単」と思われるかもしれませんが、この一連の流れについては、管轄の文部科学省や勤め先の幼稚園が計画や管理してくれるものではなく、基本的にご自身で計画して管理していかなければなりません。後ほど詳しく説明しますが、免許状更新講習もご自身で探して申し込んだり、更新費用も数万円単位で負担したりと、結構な労力が必要となります。とくに日々の業務に追われながら、休日などを活用して免許状更新講習することは、ご自身の負担もさることながら、ご家族の理解や協力も必要になるのではないでしょうか。
ですから、幼稚園教諭免許の更新制度の内容を理解し、しっかりとした計画を立ててのぞむことが大切です。
2、幼稚園教諭免許の免許状更新講習の特徴
幼稚園教諭免許を更新するには、小学校教諭や中学校教諭などと同様、免許状更新講習を受けなければなりません。
免許状更新講習は、最新の知識技能の修得を目的に、文部科学大臣の認定を受けた大学などで開設されています。具体的には、①大学・大学共同利用機関、②指定教員養成機関、③都道府県・政令指定都市・中核市教育委員会、④文部科学大臣が指定する法人が開設しています。
免許状更新講習の内容は、以下のように必修領域、選択必修領域、選択領域の3つに分けられており、それぞれ定められた時間を受講しなければなりません。なお、これまでの免許状更新講習は、必修領域講習と選択領域講習の2つで構成されていましたが、2016(平成28)年4月から、必修領域講習の一部が独立する形で、選択必修領域講習が設けられています。
■更新講習の領域と受講時間
講習の種類 | 講習の特徴 | 講習時間 |
必修領域講習 | 全ての受講生が受講する | 6時間以上 |
選択必修領域講習 | 免許の種類等によって異なる | 6時間以上 |
選択領域講習 | 任意に選択して受講する | 18時間以上 |
3、幼稚園教諭免許の免許状更新講習の手続き
免許状更新講習は、基本的に申請制(予約制)ですので、ご自身で講習の種類や日程などを探して、予約しなければなりません。実施する講習の種類や回数などは、その大学等によって異なりますので、あらかじめ下調べが必要となります。2017(平成29)年度に開催される講習は、文部科学省のホームページ上に「平成29年度 免許状更新講習の認定一覧」が掲載されていますので、参考にしてください。
免許状更新講習の開催は、基本的に長期休業期間中や土日に大学で開講されることが多いようです。また、通信教育やインターネットによる形態も認められています。
3-1、免許状更新講習に係る費用
幼稚園教諭免許の更新に向けて免許状更新講習の種類や内容と同様、免許状更新講習に係る費用も実施する機関や内容によって異なります。免許状更新講習の一覧表をざっと確認すると、「18時間:15,000円」や「6時間:9,600円」という講習もあるようですが、「6時間:6,000円」という講習が多いようです。免許更新には原則30時間以上の受講時間が必要ですので、概ね30,000円程度の費用が必要となります。講習の種類によっては、別途教材費がかかる場合もあるので、ホームページなどであらかじめ確認しておくとよいでしょう。
3-2、通信講座やオンラインによる免許状更新講習
先ほども述べましたが、幼稚園教諭免許の更新に向けて受講しなければならない免許状更新講習には、通信やオンラインによる受講も認められています。仕事が忙しくて時間が取れない方や開講している大学等が遠隔地で通学が難しい方は、通信やオンラインで免許状更新講習を利用することも視野に入れておくと良いでしょう2)。
4、幼稚園教諭免許の有効期間
幼稚園教諭などの教員免許は、教育職員免許法の改正に伴って有効期間が設けられていますが、この改正以前の免許には有効期間が設けられていません。そのため、平成21年4月1日以降に初めて授与された免許状を「新免許状」とし、平成21年3月31日以前に初めて授与された免許状を「旧免許状」として扱っています。
4-1、新免許状と旧免許状について
新免許状の有効期間は10年間であり、有効期間を更新して免許状の効力を維持するには、有効期間満了日の2年2か月前から2か月前までの2年間で30時間以上の免許状更新講習を受講して、修了する必要があります。一方、「旧免許状」も、「新免許状」と同様に更新制の基本的な枠組みが適用されますが、仮に更新した場合であっても旧免許状として授与され、その免許状には有効期間は付されません。そして、生年月日によって最初の修了確認期限が設定されます。「旧免許状」の効力を維持する場合も、「新免許状」と同様、2年2か月前から2か月前までの2年間で30時間以上の免許状更新講習を受講して、修了する必要があります3)。
どちらの教員免許であっても、免許状更新講習修了後に免許管理者である都道府県教育委員会に申請する必要があります。なお、有効期間や修了確認期限の延期、講習の受講免除は、免許管理者に申請することにより、適切な事由があれば認められることもあります。
まとめ
保育士のみなさんの中にも、すでに幼稚園教諭の免許を取得している方もいれば、これから取得しようと考えている方もいるかと思います。繰り返しになりますが、専門職としての質の向上や、ご自身の活躍の場を広げるために、複数の資格を取得することはとても有効です。是非、色々な資格に目を向けてください。そして、幼稚園教諭免許のように更新制度の有無や有効期限などを把握するなど、しっかりとした資格管理を行うことも忘れないでください。
参考文献
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