指導計画の書き方|1歳児と2歳児の保育を例に養護や食育を解説(2017/02/10)
指導計画は保育の基本と言われていますが、その作成に悩んだ経験は少なくないのではないかと思います。これから、そんな指導計画を書いていくコツやポイントを年齢別にまとめていくので、指導計画を立てる際に参考にしてみてください。
目次
1、保育における指導計画とは
保育を行うにあたって全体的な計画を指す「保育計画」と具体的な内容をまとめた「指導計画」を立てる必要があります。これらを保育の計画として、保育所保育指針(1では、すべての子どもが、常に適切な養護と教育を受け、安定した生活を送り、充実した活動ができるように柔軟で発展的なものとし、また、一貫性のあるものとなるように配慮することが重要である、としています。保育所保育指針を基に子どもの発達や家庭状況、また地域性なども考慮した上で計画を作成していきます。
指導計画は、年・期・月単位の長期的な計画と、週・日単位の短期的な計画を両方立てていき、具体的な狙いと目的を持って適切に保育が行われるように進めていきます。こうした目標を持って保育をしていくには指導計画は欠かせないものとなっています。
2、保育指導計画の書き方
まず、大切なのは「ねらい」をはっきりとさせることです。保育園で活動する1つ1つのことには必ずねらいがあると思います。食事の前に挨拶をして食の大切さを伝えるなど学んでいってほしいことがあるはずなので、まずはそういったねらいを立てて、達成していけるような計画作りをしていきます。
また、保育指導計画の書き方は、長期指導案を先に立てます。年間のねらいを大きく立ててからそれを月ごとの目標に落とし込んでいきます。更にそれを達成するための短期指導案の週ごとのねらい、1日ごとのねらいと振り分けていきます。
こうすることによって質の高い保育指導をしていくことが出来ます。
2-1、保育指導計画の例
それでもどうしても保育指導計画の作成に悩んだ場合に、保育指導計画の例としてChild Care Webにて、各種指導計画の自動作成で作られたものを参考にしてみることも出来ます。
身体機能の発達から精神発達などその年齢に応じた成長過程で押さえるべき保育のポイントをボタン1つで作成してくれます。自動作成されたものをベースに自分仕様に編集は自在なので、白紙の段階からどう埋めていくかを悩んで時間を取られるよりも効率的といえます。
各大学の児童学科の教授や小児総合医療センターの臨床心理士の先生からも確かな情報とのお墨付きなので安心して活用していけるのではないかと思います。
2-2、保育指導計画の月案
月案は、年間のねらいを達成するべく具体的な活動を示す非常に大きな役割となってきます。
年間計画にしっかり基づいて断片的にならずねらいに沿った流れのあるものとしていきましょう。
その月に応じた季節のものや行事を意識しながら取り入れると共に、先月までの子どもの様子から
、積極的に挨拶をするなど身につけさせていきたい内容を記し、それに対してどう保育者が関わっていけばいいかなどをまとめていきます。
それらを踏まえて、年間指導計画や年間カリキュラムに到達出来るように計画的に少しずつ進めていきましょう。
3、保育における指導計画
3-1、保育における指導計画~例:1歳児~
1歳児の指導計画について見ていきます。
1歳児は安定した生活リズムを確立していくことが大切です。安心できる環境の中で周囲への関心を広げながら身の回りのことを少しずつ自分でしていけるようになることをねらいとしていきましょう。
保育士の仕事を支援するポータルサイトももいくナビにて、詳しい月案などの紹介もされているので参考にしてみてください。
3-2、保育における指導計画~例:2歳児~
次に2歳児の指導計画について見ていきましょう。
2歳児のねらいとしては、保育者に見守られながら自分の身の回りのことをしたり、言葉のやり取りをしながら友達と関わっていけることを目標としていきたいです。言葉がどんどん増えてくる時期なので、ごっこ遊びなどを通して友達同士関わっていけるよう援助をしていきましょう。
こちらも、ももいくナビで2歳児の月案が紹介されているので参考にしてみてください。
3-3、保育における指導計画~養護について~
保育指導計画はねらいを立てて、そこに向けての活動内容を決めていく形になりますが、視点が「教育」と「養護」と大きく分けると2つに分かれます。
教育は手先を使って遊ぶなどねらいの対象が子どもが主体となってくるものに対して、養護は子どもに安心して遊べる環境を作るなどねらいの対象が保育者が主体となってきます。
養護とは、子どもの生命の保持や情緒の安定を図るために保育者が行う援助や関わりのことを指します。子どもたちが安心で快適に生活できるような環境を作り、健康状態も観察していく必要があります。また、子ども1人1人が主体として受け止められて自分を肯定する気持ちを持って育っていけるように養護のねらいを組んでいきましょう。
4、保育園での食育に関する指導計画
食に関する意識や食生活は一度身につけると生涯大きな変わりがなく持ち続けていくとされていて、早い時期からの食育の必要性が求められています。
厚生労働省が作成した保育所における食育に関する指針によると、「食を営む力」を培うことが重要とされています。
出典:楽しく食べる子どもに~保育所における食育に関する指針(平成16年3月)
保育園での食育の指導計画としては、「食を営む力」の育成に向けてまずは楽しい雰囲気の中で食事をしていける空間作りを大切にしていきましょう。保育者や友達と一緒に楽しく食事を摂ることがこの時期の一番の食育といえます。それを踏まえた上で、食事の前に「いただきます」の挨拶をするなど食事に対してありがたく思う心を育てていきたいです。
更に、保育園の行事で芋掘りや餅つき、また簡単な調理体験などを行うことで、見るだけでなく自ら体験していくことで食に対して興味を持ちもっと学んでいこうという気持ちが育まれるよう指導計画を立てていきましょう。
5、保育における指導計画~本について~
指導計画の立て方に迷った時は保育専門誌を参考にするのも手です。毎月発売されているので月案のサンプル例や月の歌や手遊びなど、その月々に応じた内容で掲載されているので保育の現場ですぐに活用することが出来ます。
■保育とカリキュラム(ひかりのくに)
出典:保育とカリキュラム(2016年2月)
保育指導計画案が更にリニューアルして書き方のポイント欄が新たに加わりました。また、0、1、2歳児に対応していけるよう保育現場からの声を踏まえて週案を細かく紹介しています。現場経験豊富な先生方が編集に携わっているのでとても活用的ですし、「異年齢児保育」「特別支援児の保育計画」も掲載されています。
■Piccolo(学研)
出典:保育CAN
こちらは保育指導計画がメインではなくて、壁面飾りなどのアイディアが主内容となっています。
保育指導計画は年に4回別冊付録としてついてくるようです。
こちらも保育士としては歴史ある1冊なので安心して使用してもらえるかと思います。
■PriPri(世界文化社)
出典:プリプリ
こちらも壁面制作の図案が主となっていて、保育指導計画はメインとはなってきません。ただ、最新号では自己評価も書き方が特集されているなどその号によって内容が変わってくるのでうまく活用してもらえたらと思います。
本誌ではなくて、PriPricafeというwebメディアで保育指導案についての紹介がされていました。
■指導計画の書き方
こういった指導計画についてまとめられた本も非常に多くでていますが、代表してこちらのU-CANから出ているものを紹介します。0・1・2歳のものと3・4・5歳のものも出版されています。
「年間指導計画」「月案」「週案」「日案」「個人案」の実例が掲載されているので参考にしやすいです。更に掲載された実例をCD-ROMに収録してあるのでPCで簡単に保育指導計画を作成することが出来ます。
まとめ
保育における指導は児童のその後の人生にかかわる重要なものです。特に食育は今後の児童のからだを作る食に関することですので学んでおいて損はないでしょう。先を見据えた計画をたてることで健やかに成長していけるよう、本章で紹介した本以外にもたくさんの種類が出版されているので、是非実物を手に取って自分と合いそうなものを選んでみてください。今回まとめた保育指導計画の書き方なども参考にしてもらえたら嬉しいです。
参考文献
(1 厚生労働省, 保育所保育指針, 1998
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