オレンジブック

オレンジブックとは

正式な名称は医療用医薬品品質情報集です。この呼び方で呼ぶ人は少なく、一般的にはオレンジブックという通称で呼ばれています。厚生労働省はジェネリック医薬品の品質を一定に保つために再評価という制度を平成9年2月から開始しました。品質再評価の対象となる医薬品は厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会によって決定されます。オレンジブックは再評価が必要だとされた医療用医薬品の溶出性に関する情報をまとめたものです。ジェネリック医薬品の品質に関する情報の基盤となる冊子です。年間でおよそ4回発行されています。しかしオレンジブックには情報量が不足している、掲載漏れがある、実用性がない、などの欠点があります。それを補うために「オレンジブック総合版」や「オレンジブック保険薬局版」なども発行されています。これらは品質再評価に関するデータを更に広範囲で取り纏めたものとなっています。オレンジブック総合版に掲載されている情報はネットでも閲覧することが可能です。

再評価をまとめたもの

溶出性が同じであれば吸収などにも大きな差はない、との考えからジェネリック医薬品の再評価の際の承認事項として溶出試験が設定されました。再評価とは簡単に言えばこの溶出性の確認のことです。厚生労働省の指示により製薬会社が試験を行います。この試験の判定結果をまとめたものがオレンジブックなのです。再評価の結果、先発医薬品ジェネリック医薬品の分析結果が一致した場合、対象のジェネリック医薬品は同等の有効性、安全性、品質ともに高いことが証明されます。再評価と似たような言葉に再審査というものがありますが、こちらは新医薬品、いわゆる先発医薬品を対象としているものとなっています。

オレンジブックの名前の由来

実はオレンジブックの起源はアメリカにあります。元々、アメリカ食品医薬品局(FDA)が先発品とジェネリック医薬品の有効性の比較結果をまとめた本が存在していました。その本の表紙の色がオレンジ色だったことにちなんで日本にある医療用医薬品品質情報集はオレンジブックと呼ばれるようになりました。

すべての医薬品が載っているわけではない

オレンジブックには先発医薬品ジェネリック医薬品との溶出性を比較し、同じ結果となり承認を取得した医薬品のみが掲載されます。しかし、承認を受けたからと言って必ずしもすべての医薬品が掲載されているわけではありません。掲載される医薬品は内用固形剤のみが対象となっています。そのため注射剤は含まれておりません。一方でオレンジブック保険薬局版は調剤現場でも十分に参考に出来る内容となっており、日本薬剤師会が発行しています。内用薬以外にも外用剤、注射剤などについても記載されており、薬価や一般名も記載されています。オレンジブックに掲載されている医薬品は公示順なので一覧性が無く、見づらいものとなっていますが、こちらは50音順に掲載されているので必要な方法をより速く取得することができます。