遺伝子診断

遺伝子診断とは

遺伝子検査やDNA検査などの呼ばれ方もします。染色体にある遺伝子の違いを調べることにより、生まれつきかかりやすい病気や自分の体質を調べたり、出生前診断や親子鑑定などをしたりすることに用いられます。疾病には遺伝子が関係することもあるので、遺伝子型を調べることで傾向を知ることができるのです。DNAの解析技術が進んだことにより、現在では簡単に検査を受けることができます。病院に行く必要も採血をする必要もありません。ネットから遺伝子検査を行っている会社へ申し込みをし、自宅に届いた検査キットで唾液を採取します。それを送り返すだけで後日、検査結果が送られてきます。紙面だけでなくネットでも情報を閲覧することができます。

遺伝子診断の活用

疾病の種類によって割合は異なってきますが、一般に疾病の発生の約30%が遺伝要因、残り約70%が環境要因だと言われています。自分の遺伝子型を知ることで、かかりやすい疾病は何か、どういう傾向があるのかを確認できます。それにより、日ごろの生活習慣を改めることもできるので、病気の予防にも繋がります。この遺伝子診断はオーダーメイド療法への活用も期待されています。オーダーメイド療法とは遺伝子の違いを利用して各個人に適した医薬品で治療をすることです。同じ医薬品を同じタイミングで同じ量を投与しても、人によって異なる結果が現われるのは遺伝子が影響しているのです。人によって、住んでいる国によって持っている代謝酵素は違います。日本人には効く薬が外国の方には効かない場合もあります。あらかじめ、遺伝子のタイプを調べておけば、この薬は効くけどこれは効かないといった情報が分かります。最初からこの薬は効かないと分かることで、投与する手間も医療費も患者さんの負担も減らすことができます。ハイリスク薬など、特に安全管理の必要な薬物による副作用の回避も可能です。より安全で、尚且つ有効性の高い医療を提供することに繋がります。病気に関することだけでなく、身長や体重、瞳の色、髪質、痛みの感じやすさ、お酒の強さ、座高の高さなどの情報も知ることができます。

遺伝子診断の問題点

遺伝子診断をすることで自分、もしくは自分の子どもなどが将来どういった病気にかかりやすいのかが分かります。出生前に遺伝子検査をすれば、お腹の中にいる赤ちゃんにどういうリスクがあるのかも分かってしまいます。遺伝子診断が気軽にできるようになった今、この事が特に妊婦さんを悩ませているという現状があります。我が子に重い病気の可能性があると分かり、出産するかどうかを悩み、堕胎してしまう人もゼロではありません。人間には知る権利もあれば知らない権利もあるのです。遺伝子診断をしたことによって「知らないほうが良かった。」と思うこともあるかもしれません。また、検査の結果は100%必ず正しいとも限りません。100%ではないものを信用して一つの命を亡くしてしまう可能性があるのです。遺伝子診断は時に倫理的な問題を生むこともあり、良い点も悪い点も存在します。診断結果の使い方、結果に対するアフターフォローなど、まだまだ改善が必要な分野です。