国際疾病分類

国際疾病分類とは

人間の健康を目的として活動している世界保健機関(WHO)によって定められた、疾病や傷害、死因などについて分類したリストの事です。このリストは日本だけでなく国際的に統一されたリストとなっています。正式な名称は「疾病及び関連保健問題の国際統計分類:international classification of disease」であり、頭文字を取ってICDとも呼ばれています。第1版は1990年に出版されており、以後、数年置きに改訂が行われています。疾病や死因について細かく分類し、アルファベットと数字を用いたコード番号を割り振り、リスト化することで、まとめられています。コード番号を振ることで各国ごとに呼び名の違う疾病や傷害についても国際比較が可能となっています。また、コード番号によって疾病の種類や部位、原因を表しています。例えばC16.1という番号があったとします。C16は疾病及び部位を表しており、この場合は胃の悪性新生物を表しています。1は詳細な発生部位を表しており、この場合は胃底部を表しています。つまりC16.1は胃の悪性新生物のうち胃底部にできたものについての情報となります。現在、最新のものは第10版であるICD-10となっており、全3巻で構成されています。第1巻は総論であり疾病や死因にコード番号を付ける際のルールと第2巻と3巻の使用方法が記載されています。第2巻には分類コードと項目の一覧が載っており、第3巻に疾病や死因などについての記載があります。

日本でのICDの利用

ICDの歴史はかなり古く、日本に導入されたのは1900年なので、明治時代にまで遡ります。現在では病院で医師が診察する際や、診療録を管理しているシステムなどにICD-10が利用されています。特に精神科の病院で診断の際に頻繁に使用されています。実は精神疾患による障害年金を申請する際にICDのコード番号が必要になるのです。コード番号を記載することによって傷害年金の審査を効率的に行うことができるのです。コード番号の記入漏れがあると、傷害年金を受け取れなくなってしまいます。また、このコード番号は死亡診断書にも記載されています。

次の改訂の予定について

これまでにも何度か改定はされてきましたが、ICD-10は1990年に採択されたもので随分と時間が経ってしまっています。19にも及ぶ協力センターが改定に参加することでWHOの支援を行っています。次に発行されるのは現在改定中のICD-11となりますが、2017年には承認を受け、2018年には各国が順次導入を始める予定となっています。様々な改善点や要望を加味しながら改定が進められていきます。疾患によっては詳細に分類されている疾患もあれば粗く分類されている疾患もあるので、そのような箇所の訂正がICD-11には期待されています。また、伝統医学についての記載も追加されるのではないかと言われています。これにより今後、更に伝統医学についての知識が浸透していき、より的確な医療を提供すると共に、副作用の少ない治療や医療過誤の防止にもなるのではと考えられています。「認知症」がICD-11からは除外されるのではという声もあり、改訂に関しての様々な動きが見られています。