認定看護師になるには?種類や合格率、更新など詳しく紹介!

 

認定看護師

現在、看護職についている人の多くは認定看護師になりたいと思っているのではないでしょうか。現状では主に金銭的な面において優遇されているとは言えませんが、やりがいや自己のスキルアップを図れることから、年々、受講者数が増えています。

 

今後、認定看護師を目指そうと考えている方のために、当ページでは認定看護師に関する様々な事項を取り上げ、詳しく説明していきます。必ず参考になるので、最後までしっかりとお読みください。

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1、認定看護師とは

認定看護師とは

認定看護師というのは、日本看護協会が認定する、看護師の上位職にことを指します。

1987年に厚労省の「看護制度検討会報告書(21世紀に向けての看護制度のあり方)」において、看護師のさらなる育成が提言されたことがキッカケとなり、1995年に認定看護師制度が作られました。認定看護師

 

1-1、認定看護師の必要性

近年、医師不足が深刻化していることもあり、看護師の必要性は非常に高いものとなっています。医師を支える立場にある看護師ですが、業務内容は限られていることで、未だ医師の負担が大きいのが実情です。

認定看護師は、通常の看護師よりも特定の分野に特化した知識・経験をもって集中的なケアができ、さらに看護者に対する指導やなど、幅広い業務を行うことができます。医療技術の発展に伴い、各分野における治療法やケアは流動的であることから医師の負担が増々大きくなっているため、特定看護師の必要性は非常に大きなものとなっています。

また、患者にとっても知識と経験が豊富な認定看護師からケアを受けることで、安心して治療に専念できます。病院側にとっても医療や看護の質が向上するため、特定看護師は非常に優遇される職業であるとともに、現代医療においては欠かすことのできない人材なのです。

 

1-2、専門看護師との違い

日本看護協会が認定を行っている看護師の上位職には、認定看護師のほか、専門看護師もあります。この2つは似てるようで根本的な業務内容や役割が異なっているため、しっかりと区別しておく必要があります。

  • 認定看護師

特定の分野に特化した知識・経験をもって”集中的なケア”を行うのが認定看護師。つまり、各分野における治療のスペシャリストのことを指します。

  • 専門看護師

特定の分野において”幅広いケア”をマネージメントしていくのが専門看護師。円滑に治療を行うために率先して指示を与える業務が主となります。

専門看護師まとめ

 

特定看護師まとめ

 

1-3、認定看護師のメリット・デメリット

制度の導入から20年程と歴史が浅いため、病院によっては認定看護師を優遇せず、通常の看護師と区別しないところもあります。しかしながら、多くの病院が優遇していることも事実であるため、認定看護師になることのメリットは、デメリット以上と言えます。

 

≪メリット≫

  • スタッフの教育ができる
  • 給料が増える
  • 自己のスキルアップが図れる
  • 現場において信頼される

 

≪デメリット≫

  • 取得・更新に費用がかかる
  • 夜勤から外されることがある
  • 多忙を強いられる

 

主なメリットは自分自身のキャリアアップやスキル向上です。指導やコンサルテーションといった業務範囲が広がり、技術向上のためにスタッフの教育に携わるなど、より一層のやりがいを持てるようになります。

しかしながら、認定看護師になるには多くの費用を必要とし、5年おきに更新しなければならず、更新費も無料ではありません。また、病院によっては優遇していないところもあるため給料が上がらない場合もあります。夜勤を外されることで、給料が下がることもあります。

ただし、各医療機関における認定看護師の必要性が高くなるにつれて、これらのメリット・デメリットは今後大きく変わってくるかもしれません。

 

1-4、認定看護師の人数

認定看護師制度が制定されて約20年しか経っていないこともあり、2014年時点では約14000人ほどしかいません。しかしながら、認定看護師の必要性が高くなっていることで、年々、認定者数が増えています。

 認定看護師数

参照元:日本看護協会

 

 

2、認定看護師の種類

認定看護師の種類

認定看護師は全部で21分野があり、それぞれの分野ごとに認定を受けます。各認定看護分野における3年以上の実務経験があれば、複数分野の認定看護師になることも可能です。

 

特定分野名(人数) 知識と技
救急看護926人 ・救急医療現場における病態に応じた迅速な救命技術、トリアージの実施
・災害時における急性期の医療ニーズに対するケア
・危機状況にある患者・家族への早期的介入および支援
皮膚・排泄ケア2054人 ・褥瘡などの創傷管理およびストーマ、失禁等の排泄管理
・患者・家族の自己管理およびセルフケア支援
集中ケア945人 ・生命の危機状態にある患者の病態変化を予測した重篤化の予防
・廃用症候群などの二次的合併症の予防および回復のための早期リハビリテーションの実施(体位調整、摂食嚥下訓練等)
緩和ケア1652人 ・疼痛、呼吸困難、全身倦怠感、浮腫などの苦痛症状の緩和
・患者・家族への喪失と悲嘆のケア
がん化学療法看護1288人 ・がん化学療法薬の安全な取り扱いと適切な投与管理
・副作用症状の緩和およびセルフケア支援
がん性疼痛看護747人 ・痛みの総合的な評価と個別的ケア
・薬剤の適切な使用および疼痛緩和
訪問看護446人 ・在宅療養者の主体性を尊重したセルフケア支援およびケースマネジメント看護技術の提供と管理
感染管理2069人 ・医療関連感染サーベイランスの実践
・各施設の状況の評価と感染予防・管理システムの構築
糖尿病看護673人 ・血糖パターンマネジメント、フットケア等の疾病管理および療養生活支援
不妊症看護138人 ・生殖医療を受けるカップルへの必要な情報提供および自己決定の支援
新生児集中ケア344人 ・ハイリスク新生児の病態変化を予測した重篤化の予防
・生理学的安定と発育促進のためのケアおよび親子関係形成のための支援
透析看護185人 ・安全かつ安楽な透析治療の管理
・長期療養生活におけるセルフケア支援および自己決定の支援
手術看護316人 ・手術侵襲を最小限にし、二次的合併症を予防するための安全管理(体温・体位管理、手術機材・機器の適切な管理等)
・周手術期(術前・中・後)における継続看護の実践
乳がん看護245人 ・集学的治療を受ける患者のセルフケアおよび自己決定の支援
・ボディイメージの変容による心理・社会的問題に対する支援
摂食・嚥下障害看護521人 ・摂食・嚥下機能の評価および誤嚥性肺炎、窒息、栄養低下、脱水の予防
・適切かつ安全な摂食・嚥下訓練の選択および実施
小児救急看護208人 ・救急時の子どもの病態に応じた迅速な救命技術、トリアージの実施
・育児不安、虐待への対応と子どもと親の権利擁護
認知症看護480人 ・認知症の各期に応じた療養環境の調整およびケア体制の構築
・行動心理症状の緩和・予防
脳卒中リハビリテーション看護494人 ・脳卒中患者の重篤化を予防するためのモニタリングとケア
・活動性維持・促進のための早期リハビリテーション
・急性期・回復期・維持期における生活再構築のための機能回復支援
がん放射線療法看護177人 ・がん放射線治療に伴う副作用症状の予防、緩和およびセルフケア支援
・安全・安楽な治療環境の提供
慢性呼吸器疾患看護171人 ・安定期、増悪期、終末期の各病期に応じた呼吸器機能の評価及び呼吸管理
・呼吸機能維持・向上のための呼吸リハビリテーションの実施
・急性増悪予防のためのセルフケア支援
慢性心不全看護184人 ・安定期、増悪期、終末期の各病期に応じた生活調整及びセルフケア支援
・心不全増悪因子の評価およびモニタリング

 

 

3、認定看護師の役割

認定看護師の役割

認定看護師の役割は「実践」、「相談」、「指導」の3つから構成されています。各分野における実践的処置だけでなく、患者や家族、看護師に対する指導や相談などコンサルテーション業務も加わることで、高度な看護知識と熟練の技術をもとに質の高い看護ケアを提供することを役割としています。

 

3-1、各役割の概要

実践 特定の看護分野において、個人、家族及び集団に対し、熟練した看護技術を用いて水準の高い看護を実践する。
指導 特定の看護分野において、看護実践を通して看護者に対し指導を行う。
相談 特定の看護分野において、看護者に対しコンサルテーションを行う。

 

 

4、認定看護師になるには

認定看護師になるには

認定看護師になるためには高度な看護知識と特定分野における豊富な実務経験が必要になります。また、教育機関で研修を受けることが義務付けられており、険しい道を辿って、ようやく認定鑑定師になることができます。

 

4-1、認定看護師の受験資格

①保健師、助産師、及び看護師のいずれかの免許を保有していること

②実務経験5年以上(うち3年以上は認定看護分野の経験)

③認定看護師教育課程の終了(6か月・615時間以上)

 

4-2、認定看護師の研修機関

救急看護

都道府県 教育機関名
青森県 青森県立保健大学
東京都 日本看護協会看護研修学校
愛知県 愛知医科大学
大阪府 大阪府看護協会
香川県 香川県看護協会
福岡県 日本赤十字九州国際看護大学

 

皮膚・排泄ケア

都道府県 教育機関名
北海道 北海道医療大学
宮城県 宮城認定看護師スクール
東京都 日本看護協会看護研修学校
新潟県 新潟青陵大学
長野県 長野県看護大学
静岡県 静岡県立静岡がんセンター
京都府 京都橘大学
岡山県 山陽学園大学
福岡県 福岡県看護協会

 

集中ケア

都道府県 教育機関名
東京都 日本看護協会看護研修学校
杏林大学医学部付属病院
神奈川県 神奈川県立保健福祉大学
福岡県 西南女学院大学

 

緩和ケア

都道府県 教育機関名
北海道 北海道医療大学
岩手県 岩手医科大学
埼玉県 埼玉県立大学
千葉県 国立がん研究センター東病院
神奈川県 神奈川県看護協会
山梨県 山梨県立大学
富山県 公益社団法人富山県看護協会
静岡県 静岡県立静岡がんセンター
兵庫県 日本看護協会神戸研修センター
香川県 香川大学医学部
福岡県 久留米大学認定看護師教育センター

 

がん化学療法看護

都道府県 教育機関名
北海道 日本赤十字北海道看護大学
北海道医療大学
青森県 青森県立保健大学
東京都 国立看護大学校研修部
首都大学
聖路加国際大学
静岡県 静岡県立静岡がんセンター
愛知県 愛知県立大学
兵庫県 日本看護協会神戸研修センター
鳥取県 鳥取大学医学部
福岡県 久留米大学

 

がん性疼痛看護

都道府県 教育機関名
埼玉県 目白大学
神奈川県 神奈川県立保健福祉大学実践教育センター
愛知県 愛知県立大学
大阪府 大阪府看護協会

 

訪問看護

都道府県 教育機関名
東京都 日本訪問看護財団
聖路加国際大学
愛知県 愛知県看護協会
兵庫県 兵庫県看護協会

 

感染管理

都道府県 教育機関名
北海道 北海道医療大学
東京都 国立看護大学校
日本看護協会看護研修学校
神奈川県 神奈川県立保健福祉大学
北里大学
長野県 長野県看護大学
石川県 石川県立看護大学
愛知県 愛知医科大学
三重県 三重県立看護大学
兵庫県 日本看護協会神戸研修センター
山口県 山口県立大学
福岡県 国際医療福祉大学
宮崎県 宮崎県立看護大学
沖縄県 公益社団法人沖縄県看護協会

 

糖尿病看護

都道府県 教育機関名
千葉県 地域医療機能推進機構本部
東京都 日本看護協会
日本赤十字看護大学
岡山県 岡山県立大学
福岡県 福岡県立大学

 

不妊症看護

都道府県 教育機関名
東京都 聖路加国際大学

 

新生児集中ケア

都道府県 教育機関名
神奈川県 北里大学

 

透析看護

都道府県 教育機関名
東京都 東京女子医科大学

 

手術看護

都道府県 教育機関名
東京都 東京女子医科大学
福井県 福井大学
兵庫県 学校法人 兵庫医科大学

 

乳がん看護

都道府県 教育機関名
千葉県 千葉大学
静岡県 静岡県立静岡がんセンター
鳥取県 鳥取大学

 

摂食・嚥下障害看護

都道府県 教育機関名
茨城県 茨城県立医療大学
愛知県 愛知県看護協会認定
広島県 日本赤十字広島看護大学

 

小児救急看護

都道府県 教育機関名
東京都 日本看護協会看護研修学校

 

認知症看護

都道府県 教育機関名
北海道 北海道医療大学
秋田県 日本赤十字秋田看護大学
千葉県 地域医療機能推進機構本部研修センター
東京都 日本看護協会看護研修学校
日本赤十字看護大学
山梨県 山梨県立大学
長野県 長野県看護大学
兵庫県 兵庫県看護協会

 

脳卒中リハビリテーション看護

都道府県 教育機関名
埼玉県 国立障害者リハビリテーションセンター
目白大学
愛知県 愛知県看護協会
大阪府 大阪府看護協会
兵庫県 関西福祉大学
熊本県 熊本保健科学大学

 

がん放射線療法看護

都道府県 教育機関名
静岡県 静岡県立静岡がんセンター
京都府 京都府看護協会
福岡県 久留米大学

 

慢性呼吸器疾患看護

都道府県 教育機関名
東京都 日本赤十字看護大学
福井県 福井大学

 

慢性心不全看護

都道府県 教育機関名
神奈川県 北里大学
兵庫県 兵庫県看護協会
熊本県 熊本保健科学大学

 

2-1、入学時に推奨される能力と勤務条件

認定看護師は、特定分野における高い能力と豊富な経験が求められます。そのため、教育課程の入学時において望まれる能力や勤務状況が示されています。これらは必須条件ではありませんが、研修を円滑に進めるための指標として日本看護協会が提示しています。

 

救急看護

能力 救急看護においては、一刻を争う制限された時間の中で、患者の病態を瞬時に判断し、処置方法を適切に組み立てる必要があります。また、患者の苦痛を最小限におさえる配慮や、実践的かつ高度な処置技術が求められます。緊急を要するため、コミュニケーション能力、対人関係能力など、医師との無駄のない連携が必要になります。
勤務条件 救急看護分野では、初療において、CPA・重症外傷・意識障害・呼吸不全・循環不全・中毒・熱傷患者の看護のうち5例以上の実績を有し、さらに緊急手術の経験があり、ICUなどで2年以上の実績を有することが望ましいとされています。

 

皮膚・排泄ケア

能力 創傷ケア、ストーマケア、失禁ケアの3つにおいて、処置における豊富な知識と実践能力を有し、病棟だけでなく在宅ケア領域など、幅広く対処する能力が求められます。
勤務条件 ストーマ造設患者の看護を1例以上、創傷ケア・失禁ケアの看護を4例以上担当し、病棟、外来、在宅ケアでの経験を持っていることが入学基準として奨められています。

 

集中ケア

能力 重篤患者のケア領域であるため、病態の変化や治療の予想をアクセスメントにより的確に示す必要があります。また、合併症予防のケア、オーラルケア、体位管理、離床の促進など、幅広い領域を円滑に実践する能力が求められます。集中ケアはチーム医療の実践が不可欠であることから、コミュニケーション力や指導力も求められます。
勤務条件 手術、外傷、疾病などにより高度に侵襲を受けた患者の看護を5例以上担当した実績を有し、集中ケア部門、小児集中ケア部門、手術室での豊富な看護経験を持っていることが望ましいとされています。

 

緩和ケア

能力 「トータルペインに視点をおいたアセスメントとケア」、「悲嘆の理解とグリーフケア」、「苦痛緩和に対するケア」、「チーム医療の促進」、「アドボカシー機能の発揮」、この5つの水準の高い実践技術のほか、患者と家族の支援に関する最新の知識が求められます。指導、相談、アドバイスが主な実践内容であることから、高い倫理観を持っている必要があります。
勤務条件 治療から死に至るまでの間、緩和ケアを受けた患者を5例以上担当した実績があるなど、病棟や在宅における緩和ケアにおける豊富な経験を有していることが望まれます。

 

がん化学療法看護

能力 がん化学療法の薬は、多剤併用療法として使用されることが多々あるため、薬物に関する理解はもちろん、患者や家族の適切なセルフケアを促すためのアドバイスやサポート、療法中に起こる問題に対するマネジメント能力が求められます。
勤務条件 がん化学療法薬の投与管理の実績を必須とし、がん化学療法を受ける患者の看護を5例以上担当した経験を持つことが望ましいとされています。さらに病棟だけでなく外来や在宅においても同分野におけるケア実績を有していれば、入学時に望まれる勤務条件であると言えます。

 

がん性疼痛看護

能力 がん性疼痛における概要的な知識はもちろん、薬物療法に使用する薬剤の薬理作用の深い知識や、がん性疼痛の適切な緩和ケア能力が必要。がん性疼痛を有する患者は、痛みや不安により精神的不安定に陥りやすいことから、精神症状における緩和ケア能力も必要です。
勤務条件 がん性疼痛を有する患者のトータルケアを5例以上実践した経験をもっていることが、入学推奨条件として提示されています。

 

訪問看護

能力 「訪問看護の質の向上」、「生活の場でのフィジカルアセスメント」、「在宅ターミナルケア」、「個別性をもった家族ケア」の4つの実践内容をもとに、利用者の生活背景の理解とコミュニケーションスキルが求められます。また、緩和ケアにおける基礎知識が必須であり、緊急時の迅速な対応能力も必要です。
勤務条件 在宅ケア領域における豊富な経験と、医療処置及び管理を要する患者の訪問看護を5例以上担当した実績を有する者が入学段階において推奨とされています。

 

感染管理

能力 感染予防における実践能力や感染管理プログラムを立案するための論理的・計画的思考能力が求められます。通常の看護経験では習得することが難しい疫学の知識やサーベイランスの実践技術を必要とすることから、感染管理において確かな知識と豊富な経験が重要となってきます。
勤務条件 自身が中心となって実施したケアの改善実績を1事例以上有するとともに、血流感染、尿路感染、肺炎、手術部位感染など医療関連感染サーベイランスに関する計画・実施・評価までを担当した実績が1例以上あることが望ましいとされています。

 

糖尿病看護

能力 「血糖パターンマネジメント」、「フットケア」、「糖尿病ケアシステムの立案」の3つに特化した技術に加え、糖尿病そのものの治療だけでなく、総合的なケアや指導技術が求められます。
勤務条件 合併症を有する糖尿病患者、もしくはインスリン療法を行っている糖尿病患者の看護を合わせて5例以上担当した経験を持っていることが奨められています。

 

不妊症看護

能力 「不妊症カップルの自己決定の支援」、「不妊専門外来におけるトリアージ」、「看護職へのコンサルテーション」の3つをもとに、不妊症治療はもちろん、患者の精神不安に対するケア能力も求められます。
勤務条件 不妊症患者の看護を5例以上担当した実績を有することが推奨されています。

 

新生児集中ケア

能力 新生児の病態の急激な変化を適切に予想し、重篤化を未然に予防する能力が求められます。また、体調の変化を見極めるため、的確なアセスメントも必要になってきます。
勤務条件 生後1週間以内の産児、あるいは在胎32週未満の早産児における重症集中ケア及び親・家族の看護を5例以上担当した実績を有していることが望ましいとされています。

 

透析看護

能力 透析に用いる器械や器具はもちろん、透析液など薬剤の適切な使用、確かな知識を必須とし、ジェネラリストとしての高い臨床判断能力が求められます。
勤務条件 体外循環中の看護の実績があることを必須とし、透析導入期・維持期の患者の看護を5例以上の担当経験が推奨されています。

 

手術看護

能力 術中の適切な看護実践はもちろんのこと、手術医療運営のモニタリング、それに伴うコーディネートを行い、チームの一員として信頼を得ることが求められます。
勤務条件 手術看護における機械出しや、外回り看護師の実績を有することが望まれています。

 

乳がん看護

能力 治療はもちろん、術後のリハビリやリンパ浮腫予防の継続など、乳がん患者を完治までサポートする役割の中で、身体的・心理的、両方の側面から個別に指導するための高いカウンセリングケア能力が求められます。
勤務条件 乳がん患者の看護を5例以上担当した実績が入学条件として推奨されています。

 

摂食・嚥下障害看護

能力 嚥下障害の病態を適切にアセスメントし、最適な嚥下訓練を提案できるだけの知識と経験を持っていることが最低限必要。同分野における認定看護師に求められるものは、食の援助を通じた患者のQOLを向上させることができる包括的サポート能力です。
勤務条件 摂食・嚥下障害を有する患者を5例以上担当した実績を有することが、入学における推奨勤務条件となっています。

 

小児救急看護

能力 「小児救急におけるトリアージ」、「子どもの事故と予防」の2つをもとに、育児支援の観点も踏まえながら援助できる能力が求められます。
勤務条件 小児救急患者・家族の看護を5例以上担当した実績を有することが望ましいとされています。

 

認知症看護

能力 「行動障害の予防」、「適切なアセスメントと各期に対応したケア」、「生活・療養環境づくり」の観点から、認知症患者を身体的・精神的にサポートする能力が必須。さらに、患者・家族のより良い生活環境を提案するための想像力や計画性も求められます。
勤務条件 認知症患者の看護を5例以上担当した実績を有する者が入学段階において推奨されています。

 

脳卒中リハビリテーション看護

能力 「病態変化予測および重篤化を防ぐためのモニタリング技術」、「病態に応じた水準の高いリハビリテーション」、「生活の再構築支援技術」が求められます。また、チーム医療において円滑にケアするための連携技術も必要です。
勤務条件 急性期にある脳血管障害患者の看護を5例以上担当した実績と、放射療法における豊富な専門知識を有していることが望ましいとされています。

 

がん放射線療法看護

能力 「患者個人個人における適切な治療法の提案」、「放射線治療計画に際する副作用の予測」、「精神的ショックの緩和」など、包括的なケアを必要とするため、マネジメント・コンサルティング能力が要求されます。
勤務条件 がん放射線療法を受けている患者の看護を 5 例以上担当した実績を持っていることが推奨されています。

 

慢性呼吸器疾患看護

能力 慢性呼吸器疾患の患者の呼吸困難によるパニックを緩和させる適切なセルフコントロールの指導など、治療だけでなく精神的な支援が必要であることから、包括的にサポートできるだけの知識と経験が求められます。
勤務条件 慢性呼吸器疾患の増悪期から回復期にある患者の看護を5例以上担当し、入院から退院まで責任をもって担当した経験を有していることが推奨されています。

 

慢性心不全看護

能力 心不全増悪因子を的確に評価・モニタリングする技術に加え、心不全患者の心血管、疾患リハビリテーションにおける献身的なサポート能力が求められます。また、セルフケアにおける確実な服薬、食事管理、感染予防など個人に合わせた計画的かつ実践的な提案をするためのコンサルティング能力も必要不可欠です。
勤務条件 心不全の増悪期から回復期にある患者の看護を 5 例以上担当した実績を有していることが推奨勤務条件となっています。

 

4-3、授業の実施内容

1クラスにつき15~30名の生徒規模で学ぶことになります。科目は「共通科目」と「専門科目」に分かれており、看護全般に関することや、リーダーシップ論など幅広く学びます。講義方式だけでなく、グループワークや実践的な演習など、様々な形式の授業が行われていますが、主に自己主張型、つまり自分の意見や考えを発表する形式がとられています。

終盤になると、「隣地実習」と呼ばれる、各教育機関が保有もしくは提携を結んでいる施設で実際に患者を受け持ちながら、看護計画の立案からレポートの作成までの業務を行います。実習後は各自の看護実績の報告、成果・課題の発表を行います。

 

4-4、研修にかかる費用

日本看護協会が指定する教育機関で認定看護師の研修を受ける際、現状では多くの費用が必要となります。研修中にかかる費用としては、認定看護師入学検定料(約5万円)、入学金(約5万円)、授業料(約70万円)、実習費(約10万円)と、計90万ほどかかってきます。

また、認定審査を受けるために5万円、認定費用に5万円かかるため、入学から取得まで約100万程度の費用を必要とします。その他、通学する教育機関が遠方にある場合、引っ越し費用や生活費などもかかってきます。

 

4-5、認定看護師試験の内容

認定看護師試験は筆記のみで、マークシート形式で行います。

①客観式一般問題…20問(配点50点)

②客観式状況設定問題…20問(配点100点)

120点以上であれば「A評価」、105~120点以上であれば「B評価」、105点以下であれば「C評価」となり、A評価・B評価が合格となります。

 

 

5、認定試験の合格率

認定看護師の合格率

2014年度の各分野における受講者数と合格者数

参照元:日本看護協会

 

認定試験は毎年5月に開催され、約2か月後に合格発表が行われます。認定看護師試験はそれほど難しくはなく、認定看護師教育基準カリキュラムに沿った各分野における基礎知識が主に出題されるため、90%以上を誇る合格率となっています。

たとえ不合格になったとしても、再度研修を受ける必要はなく、同じ分野であれば翌年に再受験することができます。

 

 

6、認定看護師の認定更新

認定看護師の更新

日本看護協会は、認定看護師のレベル保持のため、認定から5年ごとに更新審査を実施しています。非常に面倒くさい作業になりますが、継続していく場合には必ずやらなければならず、不備があると再審査を受けることになりえるため、しっかりと手続きをする必要があります。

 

6-1、更新審査における受験資格

  • 日本国の看護師免許を有すること。
  • 申請時において、認定看護師であること。
  • 申請時において、過去5年間に下記の看護実践と自己研鑚の実績があること。

(①看護実践時間が2,000時間以上に達していること。②制度委員会で定めた学会及び研究会等への参加や発表、または雑誌発表等自己研鑽の実績が規定の内容で50点以上に達していること。)

 

6-2、更新審査の申請方法

認定看護師における更新申請は、下記の4つの手続きを全て行う必要があります。

 

  • WEB申請『資格認定制度 審査・申請システム』
  • 審査料振込:30,240円
  • オンライン書類提出
  • 申請書類提出

 

認定看護師の認定更新が実施されるようになってから、まだ歴史が浅く、完全に確立されているわけではないため、年によって申請方法は異なる場合があります。それゆえ、詳しくは日本看護協会で申請方法や必要な書類などを確認してください。

 

まとめ

認定看護師制度の歴史はまだ浅いため、多くの点において確立されておらず、それゆえ優遇されない場合もあります。しかしながら、医療技術の発展と医師・看護師不足の観点から、今後ますます認定看護師が重要視されること間違いありません。

これからは、医療関係者だけでなく患者や一般の人にとっても認定看護師の必要性は高まってくるため、認定看護師として頑張りたいと思っている方は業務や勉強など、ひたむきに取り組んでいきましょう。