就職・転職に際する看護師の面接|適切な服装と質問・回答例

看護師の面接

看護師が就職・転職を行う時に避けては通れないのが面接です。間隔が空けば、どのような服装で挑めば良いのか、どのような質問が投げかけられ、どのような回答が望ましいのか、いろいろ考えてしまうことと思います。

当ページでは、「1、面接の心構え」「面接時の服装」「3、面接の流れと注意点」「4、良く聞かれる質問と回答例」」の4項目をもとに、好感が持たれる面接への挑み方について詳しくご説明しますので、最後までしっかりお読みいただき、参考にしていただければと思います。

 

1、面接の心構え

ご存知のように日本では看護師の人材不足が深刻で、新卒者の就職率はほぼ100%です。また、転職者においても入職は非常に容易で、基本的には転職に困ることはありません。

しかしながら、就職先に挙げられる医療施設の中には各都道府県の医療の中核を担う大型病院など看護師に人気の施設があり、看護師の人材不足は深刻でありながら、それらの医療施設においては全ての看護師が容易に入職できるわけではありません。よって、大型病院など人気の高い医療施設での就職を希望する場合には、それなりの準備が必要となります。

各医療施設の責任者は、「履歴書」「面接」「小論文」を基に新規入職者の採用の可否を決定しますが、この中で最も重要となるのが「面接」です。履歴書をどのように書けばよいのか、小論文が苦手だ、という方は多いと思いますが、実際には「面接」が採用決定の8割以上の割合を占めます。それゆえ、履歴書の書き方がおかしい、小論文がよく書けていない、という場合でも面接さえしっかり行えていれば採用されるでしょう。

医療施設が求める看護師というのは、勉学ができる者ではなく、“他の医療従事者と協調性を持って業務に取り組むことができる者”です。看護師としての知識や経験が乏しくても、それは業務の中で学ぶことができるため重要視されていません。それよりも、他の医療従事者と問題を起こすことなく業務を円滑に遂行できるかが重視され、それは履歴書や小論文では分かりません。よって、面接時の対応で判断するのです。

そのため、いかに面接時に質問に対してしっかり自分の答えを述べられるか(自主性)、いかに愛想よく振る舞えるか(コミュニケーション力)が重要であり、特に競合率が高い大型病院などではしっかりと面接の準備をしておく必要があるのです。

 

2、面接時の服装

新卒者にしろ転職者にしろ、就業する以上は1人の大人としてみられるため、社会人として適切な服装で面接に臨まなければいけません。ただし、それほど堅く考える必要はなく、一般的な大人としての身だしなみで十分です。どのような点に気をつければよいのかみていきましょう。

 

■髪型

清潔感の髪型を意識し、髪が長い方は後ろで一つにまとめましょう。また、お辞儀をした時に前髪が落ちないよう、耳にかけるかピンで留める工夫が必要です。髪色は黒。茶など明るい色はNGです。

 

■メイク

メイクは血色が良く見える程度のナチュラルメイクを意識しましょう。濃すぎるメイクは完全にNG。スッピンでも問題はありませんが、血色が悪く良い印象を与えない可能性があるため、出来る限りのメイクはしておきましょう。

 

■服

スーツやジャケットを基本とし、カラーは黒・紺・グレーなどダーク系にしましょう。パンツ・スカートどちらでも構いません。シャツは白、靴はローヒールにし、ストッキングはナチュラルな肌色を選択しましょう。

 

■アクセサリー

ブレスレットやピアスは完全にNG。ネックレスも外しておきましょう。腕時計はシンプルで落ち着いた色のものを選択してください。

 

■持ち物

書類などを持参するためにバッグを持っていくことでしょう。バッグは黒などダーク系の目立たない色を選びましょう。昨今ではリュックやハンドバッグも良しとされていますが、出来る限りA4サイズが入るビジネスバッグを選択してください。

 

3、面接の流れと注意点

次に、面接の流れと要所における注意点(ポイント)をご説明します。面接当日は、「訪問」→「訪室」→「面接」→「退室」という流れで進みますが、服装だけでなく、社会人として適切な行動をとることができるよう、マナーはきちん遵守しましょう。

 

①訪問

必ず10分~15分前に到着できるよう余裕を持って家を出ましょう。万が一、電車の遅延などで到着が遅れる場合には必ず電話入れ、遅れる旨を伝えてください。受付時には、来訪の目的と明確に伝え担当者との面談をお願いしてください。

例:本日、面接でお伺いしました○○と申します。ご担当の□□様をお願い致します。

 

②訪室

面接担当者の面談時(入室時)には、ノックをゆっくり3回行い、「どうぞ」の一言を待って入室します。入室の際には「失礼します」と一言添えてください。閉扉後に置かれている椅子の脇に行き、「○○と申します、よろしくお願い致します。」と大きな声でハッキリ言い一礼します。

「どうぞ」と勧められた後に「失礼します」と一言告げ、静かに着席してください。バッグは椅子の脇に置いておきましょう。

 

③面接

面接では、「志望理由」や「転職理由」、「看護師を目指したキッカケ」「看護観」など、さまざまな質問が投げかけられます。面接担当者の目を見て1つ1つしっかり大きな声で答えましょう。質問内容に関しては次項の「4、良く聞かれる質問と回答例」でご説明しています。

 

④退室

面接が終わったら「本日はありがとうございました」と言い、お辞儀をしましょう。また、退室時にドアの前でもう一度お辞儀をして、静かにドアを開け退室します。ここで気を抜かず、病院を出た後もしっかりとした態度で帰路についてください。

 

4、良く聞かれる質問と回答例

面接の時間は医療施設によって異なりますが、概ね5分から10分程度と短時間で終わります。質問内容は基本的にどこの医療施設でもテンプレート化されているため、事前にある程度の質問内容と回答を用意することができます。

準備せず挑むのもアリですが、何を聞かれるのか分からないという状態では緊張もしますし、言葉を詰まらせ印象が悪くなってしまう可能性もあるため、ある程度はしっかり準備しておくことをお勧めします。

なお、各医療施設は当院のために誠実にそして問題なく働いてくれる人材を求めています。ただし、誠実と言っても何でもかんでも正直に回答していては印象が悪く映る可能性がありますので、時として嘘も必要です。以下に、良く聞かれる質問とその回答の一例をご紹介しますので、参考にしてください。

 

①なぜ当院で働きたいのですか?

昔から子供が好きで、以前の職場では子供の患者さんのために少しでも治療のお手伝いをしたいと思い、小児科に勤務していました。御院(おんいん)では小児の分野で県内でも有数の病院であり、これまでの経験を生かしながら、さらに小児看護の専門性を高めることができるのではないかと考えました。また、見学させていただいた時に子供の患者さんやそのご家族に温かなサポートをされている看護師の姿に感銘を受け、御院の一員として患者さんやご家族のために温かなサポートをしたいと思い、応募いたしました。

※ポイント

家から近い、夜勤がない、給与が高いなどはNG。また、自分主義の考えではなく、就業先にとって利益となるよう、ポジティブかつ支援の内容を伝えることが大切です。

 

②なぜ退職されたのですか?

以前の職場では一通り小児看護のスキルを学ぶことができましたが、さらなるスキルアップを図るために、より設備や教育環境が充実した病院へ転職することが最適だと思い、退職を決意しました。

※ポイント

家から遠かった、忙しかった、休みが少なかった、給与が安かった、人間関係が悪かったなどネガティブな回答はNG。可能な限り、退職理由と志望動機を統一させると“つじつま”が合い、より納得してくれるでしょう。なお、引っ越しや結婚・妊娠、病気、介護など、やむを得ない理由の場合は嘘偽りなくそのまま伝えましょう。

 

③なぜ看護師を目指そうと思ったのですか?

高校生の頃に医療ドラマの中で患者さんに親身になって看護を提供している看護師の姿をみて、私も人のためになる仕事がしたいと思い、看護師を目指しました。

※ポイント

理由は何でもOK。正直に答えましょう。

 

④実際に看護師になってみてどうですか?

実際に看護師になってみて、看護の難しさを肌で感じ、くじけそうになる時もありました。しかし、患者さんの「ありがとう」という言葉や体調が良くなっていく姿をみて、看護師としての“やりがい”を感じ、今では看護師になって良かったなと心から思っています。今後も患者さんのためにより良い看護が提供できるよう、切磋琢磨していきたいと考えています。

※ポイント

③の延長で聞かれる質問です。理想と現実のギャップを正直に話すと説得力があります。また、今後どのようにしていきたいのかを加えると尚良し。

 

⑤あなたの看護観を教えてください

患者さんが信頼でき、円滑に治療を行えるよう精神的にサポートを行うことが看護師の大きな役割だと思っています。疾患により不安を感じる患者さんが、この人なら安心できると感じられるよう、患者さんの気持ちや想いを理解し、寄り添う看護を提供することを心がけています。

※ポイント

看護観とは、自分にとって“看護とは何か”、“どのように看護を行うのか”ということです。看護師の役割は患者さんへの“援助”であるため、そのことに紐づけて自分なりの考えを伝えましょう。

 

⑥インシデントの経験はありますか?

車椅子移乗の際に、介助が不適切で危うく患者さんが前に倒れそうになったことがあります。体が傾いている段階で気づいて大事には至りませんでしたが、それ以来は転倒や転落を防止すべく、細心の注意を払って介護しています。また、介護時の体勢や注意を払うことなどを他の看護師と話合い、院内全体で予防策を講じました。

※ポイント

インシデント(ヒヤリハット)の有無を問われているのではなく、“対応”が本意であるため、経験がある場合にはどのように対処し、どのように改善(予防)を図ったのかを詳しく説明しましょう。

 

⑦自己PRをお願いします

私は人と接するのが好きで、誰とでも気さくにコミュニケーションを図ることができます。以前の職場でもムードメーカーとして居心地の良い職場環境を作れたのではないかと思っています。また、多くの患者さんやご家族から“あなたのような看護師さんが側にいてくれて安心できる”と嬉しい言葉を頂きました。明るい性格や気さくなコミュニケーションは私の強みであると感じておりますが、今後はさらなる向上を図り、患者さんやご家族にとって心から信頼できる看護師になることを目指して日々邁進していきたいと思っています。

※ポイント

回答は何でも構いませんが、必ず自分の“長所”や看護における“強み”について回答しましょう。その“長所”や“強み”がどのように反映されたのかを詳しく述べるとさらに好印象を与えることができます。

 

4-1、逆質問で印象UPを!

面接の最後には「何か質問はありますか?」と必ず聞かれます。この際、あなたの方から質問することで好印象を与えられ、また入職への積極性が評価され、合格に一歩近づけます。

この逆質問は入職への“意思表示”ですので、積極的に質問することをお勧めします。面接担当者からの説明が不十分な場合にはその点について尋ね、説明が十分の場合には以下のように職場の雰囲気などの質問を投げかけると良いでしょう。

 

○以前の職場で患者さんやご家族、他の医療従事者と積極的にコミュニケーションを図ってきましたが、配属予定先はどのような雰囲気でしょうか?

○差支えなければ配属予定先の1日の業務の流れを教えていただけますか?

○もし採用して頂ける場合、入職までに何か勉強しておくべきことはありますでしょうか?

○御院では小児看護に関して深く学びたいと思っております。研修内容について教えていただけますか?

 

なお、ホームページやパンフレットにすでに記載されていること、給与や有給休暇など待遇面は深く聞かない方が無難です。多くの場合は求人情報に待遇が記載されていますので、記載されていない場合のみ、やんわりと聞くと良いでしょう。

 

まとめ

看護師の就職・転職における面接は何も特別ではなく、一般的な面接と変わりはありません。大人としてマナーを遵守するのは当然とし、好印象を与えられるよう、胸を張って自身を持って挑んでください。

就職や転職は人生の大一番であるため、誰もが緊張するものです。当日にあたふたすることのないよう、また不安のない状態で挑めるよう、面接マナーや質問に対する回答など事前にしっかりと準備しておきましょう。