お店屋さんごっこ|保育のねらいと品物・おもちゃ・財布で楽しむ(2017/06/08)
子どもたちの好きな遊びの1つに、ごっこ遊びがあります。中でもお店屋さんごっこは遊び方のバリエーションも広く、男女問わず楽しむことができます。また、遊びとして楽しいだけでなく、様々な学びにもつながります。より充実したお店屋さんごっこが展開できるよう、どんな工夫が出来るか考えてみましょう。
目次
1、保育園で行うお店屋さんごっことはどんなものか
1−1、お店屋さんごっこのねらい
お店屋さんごっこを通して、子どもたちは多くのことを学びます。保育所保育指針には教育内容として「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」の5領域が挙げられています。お店屋さんごっこは、この5領域を全体的にカバーできる総合的な遊びとしてねらいを立てることができます。
■健康
お店屋さんごっこをする上で、商品の準備は欠かせない活動です。このときにハサミやのりなどの文房具を安全に使用することが、健康の領域に関係してきます。時間が来たら遊びを止めて片付けるなど、見通しを持った活動をすることもここに含まれます。
■人間関係
子ども同士で相談する、自分の意見を人に伝える、友だちと協力して準備を進めるという活動を通し、人間関係を深めることができます。そのため、大人がお膳立てをし過ぎてしまうとせっかくの学びの機会を失うこととなってしまうので、気をつけてください。
■環境
お店という身近な存在に対する興味や関心を育て、それを自分の生活や遊びに取り入れていくことがこの領域のねらいです。そのために実際のお店をまねして、看板づくりや値段設定、仕組みづくりを行うことが必要です。
■言葉
「いらっしゃいませ」「○○円です」といった お店屋さんならではの言葉を使う、商品の説明をする、看板を書く、ということが言葉の学びにつながります。保育所保育指針解説書(1でも
お店屋さんごっこや郵便屋さんごっこのように、文字や記号のやり取りの ある遊びを楽しみながら、文字などに親しみ、保育士等や友達と文字で伝え 合う喜びが芽生えていくよう見守ることが大切
と述べられています。
■表現
お店屋さん、あるいはお客さんになりきって遊ぶことはまさに表現の学びです。また、自分たちが作ったものを商品として売ることもここに含まれます。保育士には子どもたちの創意工夫を大切にしてあげることが求められます。
1−2、お店屋さんごっこの流れ
園によって、あるいは年齢によって違いはありますが、まずはどんなお店を出したいのか子どもたちからの意見を聞きましょう。それからどんな商品を準備すれば良いのか、何を使って準備するか、といった話し合いに入っていきます。この段階では保育士も話に入りながら、調整を加えてあげる必要があるかもしれません。牛乳パックなどの廃材を家庭で準備してもらう場合もあるので、早めに取り組んだ方が良いでしょう。
その後は商品づくりと平行して、値段付けや看板づくりを進めます。値段付けには保育士も入り、お店によって値段の差が大きくなりすぎないように注意してください。呼び込み係、レジ係などの役割分担をする場合は、事前に考えておきます。
準備が整ったら、お店屋さんごっこを実践してください。年少さん以上がお店屋さんとなり、低年齢クラスがお客さんとなるのも良い異年齢交流となるでしょうし、前半と後半に分けてお店屋さんとお客さんを途中で入れ替えても良いですね。事前に子どもたちに話をしておき、時間になったら遊びを止めて片付けをするところまでしっかりやりましょう。
出典:江刺保育園 公開保育資料
2、お店屋さんごっこで使う品物
2−1、商品となるおもちゃ
お店屋さんごっこの中でも、おもちゃ屋さんは子どもたちに人気があります。ごっこ遊びが終わった後も、手に入れた品物で遊ぶことが出来るのも良いですね。廃材を使って楽しいおもちゃをいろいろ作ってみてください。
■マラカス
子どもたちが喜ぶおもちゃの1つが、音の出るおもちゃです。まずはビーズや切ったストロー、どんぐりなど、振ると音の出るものを準備します。これをガチャガチャやプリンなどの空き容器を2つ組み合わせた中に入れてボンドで止めると、マラカスが完成します。
■双眼鏡
トイレットペーパーの芯を2本くっつけ、片側の穴にカラーセロファンを貼り付けます。反対側のサイド部分に穴をあけ、紐を通せば双眼鏡の完成です。周りに色を塗ったり絵を描いたりと、子どもたちの工夫次第で様々なデザインの双眼鏡を作ることができます。
■おめん
画用紙と輪ゴム、クレヨンがあればすぐに製作することが出来ます。子どもたちに絵を描いてもらい、輪ゴムを付けるところは保育士がサポートしましょう。輪ゴムの代わりに厚紙で輪っかを作ってかぶるようにしても良いですね。
■折り紙作品
紙飛行機や紙鉄砲、手裏剣なども魅力的な商品になります。大きな紙で作る、色の組み合わせを変えるなどの工夫で、簡単に商品のバリエーションを増やすこともできます。
おもちゃ屋さん以外にもアイスクリーム屋さんやパン屋さん、楽器屋さんなどの意見が出てくることもあるでしょう。いずれの場合も折り紙やフェルト、画用紙や牛乳パックなどを使って様々な商品を作ることができます。子どもたちの意見を出来るだけ取り入れつつ、つばめのおうちなども参考にしてみてください。
2−2、お店屋さんごっこで使うお財布
お店屋さんごっこをする上で絶対に必要なのはお金ですが、それを入れるお財布も手作りしておきましょう。事前に自分が使うお財布を作り、名前も付けておくと良いですね。ポイントは簡単に作ることができ、お金の出し入れがしやすいことです。そのためには取り出し口が大きい方が良いですね。新聞紙を使ってコップを作る、画用紙やフェルトを3つ折りにするなど、いろいろな作り方があります。出来たお財布には絵を描いたり色を塗ったりと、子どもたちがオリジナリティを出せるようにします。首から下げられるタイプの方が使いやすいので、紐を付けられるようにしてあげてください。
出典:上横田よつば保育園
2−3、お金の準備
保育士が準備している園もあるかもしれませんが、ハサミが使える年齢の子どもたちであれば、紙にお金を印刷しておき、それを切り抜いてもらいましょう。「自分たちで準備した」という意識をより強く持ってもらうことができます。
お金を何種類準備するか、それを子どもたちに何枚ずつ渡すかという点は、事前に保育士間で話し合いをしておきましょう。なるべく複雑なおつりが出ないように配慮し、お店における値段設定も工夫してください。100円玉と10円玉を使う場合、お店の商品には「120円」「130円」といった値段設定をしておくと、比較的スムーズに進みます。50円玉も使う場合は「150円」「50円」といった値段設定も可能です。ただ、低年齢クラスの場合はお金の区別を付けるのが難しいため、引換券を渡しておいても良いでしょう。
いずれの場合も、お金のやり取りの場には保育士が付き、フォローを入れられる状態が望ましいです。自分でお金を出すことに慣れていない子どもたちはお金を払う時に戸惑ってしまうこともありますが、せっかくの機会なので正しくお金を使うことが出来るように声をかけてあげてください。
まとめ
保育園のちょっとしたイベントとなるお店屋さんごっこには、ある程度の時間をかけた事前の準備が大切です。自分の意見を出した上で友だちと協力して準備を進め、身近なお店の様子を再現し、しっかり片付けをする中で、5領域に渡る総合的な学びを得ることができます。
また、お店屋さんごっこは異年齢交流を深める機会でもあります。年長クラスが低年齢クラスの子どもたちを招く、あるいは異年齢の子どもたちがペアとなって一緒にお店を回るなど、交流の仕方は様々です。園の状況に合わせ、子どもたちが楽しみながらたくさんのことを学ぶことができるよう、環境作りをしてあげてください。
参考文献
保育所保育指針解説書(厚生労働省|平成20年4月)
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