卒園式と保育園|祝辞や挨拶、服装などのマナーや壁面装飾、BGM(2017/02/15)
子どもたちが毎日を過ごした保育園を旅立つ卒園式は、保育園の年間行事の中でもいちばん大切な行事です。子ども自身、また子どもの成長を見守ってきた保護者が、思い出に想いを巡らせ、新たな一歩を踏み出す出発の日でもあります。楽しく子どもたちの心に残る卒園式にするにはどのような準備が必要なのか、ここで確認してみましょう。
目次
1、卒園式がステキな保育園とは
心に残るステキな卒園式とはどのようなものなのでしょう。卒園児がどのような想いで式の日を迎えるのか、まずは想像してみてください。ここまで大きく成長したくさんのことを頑張ってきた達成感、慣れ親しんだ友達や先生たちと別れる寂しさ、小学校に踏み出す希望や喜び、そして不安。さまざまな気持ちが入り混じっていることでしょう。また、そんな我が子を式に送り出す保護者の気持ちも想像してください。子どもの成長に喜びを感じる反面、やはり寂しい気持ちもあるようです。
卒園するにあたり、3年間を振り返り、娘は大きく成長しました。優しさ、強さ、思いやりと、先生には、きめ細やかに教えていただき感謝しております。卒園式を目前にして、お友だちと離れることや、環境の変化に寂しさや、戸惑いを感じているようですが、それを期待に変えて幼稚園で育んでもらえた心と共に小学校へ進んで欲しいと願っています。先生方、皆様ありがとうございました。 |
引用:学校法人明星学苑明星幼稚園 年長さんの保護者からの一言
卒園式がステキだったと子どもや保護者に感じてもらえる保育園は、このような想いに寄り添い親身に考えられる園なのではないでしょうか。卒園式の細かな設定を考えるまえに、まずは卒園児やその保護者の気持ちを感じとって大切にする心がけを忘れないようにしましょう。
2、保育園の卒園式「祝辞例文」
希望に満ちた卒園児たちに贈るメッセージ「祝辞」は、子どもたちを祝福するだけではなく、新たな旅立ちへ背中を押してあげる言葉でもあります。楽しかったことやつらかったことの思い出を語りながら保育園と笑顔でお別れできるよう、心に響く祝辞を贈りたいですね。子どもたちを送り出す保育園側からは、一般的に園長の祝辞挨拶があります。どのような内容の祝辞があるのか、例文をいくつか見てみましょう。
2-1、保育園の卒園式での園長挨拶
園児たちを毎日見守ってきた園長先生は、子どもたちにとって保育園という家の大黒柱のような存在です。園長先生から見た子どもたちのこれまでの成長や思い出、未来への期待や希望を、ストレートに自分の言葉で祝辞の挨拶として贈ることが大切です。
2-2、園長先生から卒園児へ
以下では、子どもたちの園を旅立つ不安な気持ちを思いやって、冒頭から勇気をあたえる言葉を贈っています。
年長組さん、ご卒園おめでとうございます。
年長組の皆さんは、すもも木幼稚園で先生たち、友達と一緒に様々なことを経験し、強く、たくましく、仲間を大切に思うことを学びました。 「君たちなら大丈夫!」自信を持って小学校へ入学して下さい。 そして、小学校ではたくさんの友達をつくってください。お友達は「宝物」です。 |
引用:すもも木幼稚園の園長先生の祝辞
子どもたち自身が、今日まで園で学んできたこと、育んできたことを勇気に変えることができるステキな言葉です。わかりやすく率直で、子どもにも伝わりやすいのではないでしょうか。
また、以下では旅立つ子どもたちに「大切にしてほしいこと」を一つだけ言葉にして伝えています。
皆さんには最後に一つお話をしたいことがあります。それは、この前の卒園式の練習の時に伝えておいた『あいさつの大切さ』です。 |
引用:熊谷県熊谷市、さくら幼稚園の園長先生の祝辞
子どもたちの道しるべとなるような言葉を、わかりやすくお話しています。園の方針や園長先生の考え方によってさまざまな祝辞の贈り方が考えられますが、なにより子どもたちが笑顔になれるような言葉をプレゼントしてあげたいものです。
2-3、園長先生から保護者へ
卒園児の保護者にも、お祝いの言葉を忘れずに贈りましょう。これまで毎日子育てに奮闘し、子どもの成長をあたたかく見守ってきました。そして、園のことを影で見守ってきたのも同じく保護者です。
あらためまして、保護者の皆様、本日は本当におめでとうございます。
子どもたち立派に成長しました。皆様同様、私たち教職員一同も子どもたちが立派に成長し、本日こうして卒園式を迎えられたことをとても嬉しく感じております。 園生活につきましては、いろいろと行き届かぬ点も多々あったかと存じますが、皆様の温かなご協力とご理解に深く感謝申し上げます。 ありがとうございました。 |
引用:すもも木幼稚園 園長先生お祝いのメッセージ
丁寧な祝辞は理想的ですが、真面目に原稿を読むというよりは、自分の言葉として卒園児一人ひとりと目を合わせながらお話をすることが重要です。より気持ちがしっかり伝わり子どもや保護者の印象に残るはずです。
3、保育園の卒園式に使用する壁面
壁面は、卒園式の日を彩る大切な準備の一つです。日常の季節感や安心感を演出するものとは一味違った、卒園児が「この園で過ごすことができてよかった」と思えるような美しい装飾を心がけてください。壁面の内容は、園の方針や卒園式のテーマによっても異なりますが、共通していえるポイントは統一感です。どのように会場を飾れば美しく、また子どもたちが喜ぶ式にできるのでしょう。
3-1、卒園式の壁面は「色」
華やかに飾ろうとして色を使いすぎるとゴチャゴチャした印象になり、式典の特別な雰囲気が薄れてしまいます。春らしい明るい色を中心に、統一感をもたせることを頭に入れておきましょう。また、強いはっきりとした色より淡い色を使うと、全体的にやさしい印象を持たせることができます。子どもや保護者があたたかな気持ちで卒園式に出席できるような色で会場を包み込みましょう。
3-2、「おめでとう」の花でいっぱいに
卒園式の壁面で欠かせないものが花のモチーフです。子どもたちのお祝いの席なので、積極的に花の壁面をとり入れましょう。所どころ装飾に物足りなさを感じたら、花の壁面を付け足すと簡単に豪華な印象になります。装飾はもちろん壁面だけでなく、玄関や廊下、階段や卒園児が座る椅子なども飾るとよいでしょう。保育士たちのちょっとした心遣いも、きっと子どもたちの心に響くはずです。壁面は保育士のアイデア一つでどこまでも美しくできるので、全員で意見を出し合い協力して作り上げましょう。
4、保育園の卒園式に使用する入場曲・歌・BGMの選び方
卒園式の準備で悩むものとして、入場曲やみんなでうたう歌、BGMがあります。どの保育園も、少しの緊張感と温かな雰囲気、そして思い出に残るような曲を選びたいと思っているはずです。ステキな卒園式にするためには、どのような音楽の演出が求められるのでしょう。
4-1、卒園児の「入場曲」
卒園児の入場は、子どもたちが保護者や来賓の方々に成長した姿を見せる大切なシーンです。また、子どもたちがスムーズに歩みを進めるために、曲のテンポにも配慮してあげましょう。入場曲は、その場の雰囲気をガラッと変えるものなので、式の出席者にどのような印象をもたせたいかによっても異なってきます。旅立つ子どもたちの背中を押すような堂々とした印象の曲には、例えばクラシックであればエルガーの「威風堂々」、J-POP曲であればスピッツの「空も飛べるはず」やコブクロの「桜」などが人気のようです。少ししっとりとした印象の曲にしたい場合は、パッヘルベル「カノン」やバッハ「主よ、人の望みの喜びよ」、J-POPであれば森山直太朗「さくら」などが人気となっています。このほかにも、卒園児にとっての思い出の曲や園の恒例の曲などを流しても子どもたちは自信をもって入場するはずです。そのときの様子を思い浮かべながら曲を選びましょう。
4-2、卒園児がうたう「歌」
卒園式でうたわれる歌は、園によってその目的やスタイルが異なります。卒園児を中心に、在園児や園の職員みんなで思い出の歌をうたうケースや、感謝を込めて卒園児のみでうたうケースなどさまざまです。いずれにしても、選びたい曲の印象としては、感謝の気持ちを込めた歌や明日へと踏み出す前向きな歌です。ハイレベルなものを選ぶというよりは、子どもたちの気持ちを大切にした歌選びを心がけましょう。J-POPで人気の歌は、いきものがかりの「YELL」やレミオロメン「3月9日」、Kiroroの「Best Friend」が人気です。また、合唱曲は卒園式に合うメッセージ性の強い歌が多い上、子どもたちが歌いやすいメロディなので、式の中でうたう歌選びにおすすめです。「旅立ちの日に」や「翼をください」、「BELIEVE」、「ひろい世界へ」などがよくうたわれる歌です。
4-3、式中に流す「BGM」
式の中で流すBGMは、なるべく式の進行の邪魔にならない控えめのものを選ぶことが大切です。しかし、流れる曲は、式自体の印象を左右する大切な要素の一つであることに間違いはありません。選ぶポイントとしては、曲にあまり大きな抑揚がないやさしい印象の曲にしましょう。一般的に使用されている曲はクラシックが多く、パッヘルベルの「カノン」やヴィヴァルディの「春」、バッハ「主よ、人の望みの喜びよ」、ショパン「別れの曲」などがあります。もちろん、J-POPや合唱曲を選んでもよいのですが、歌詞が頭に思い浮かびやすく式に集中できなくなることがあるので、アレンジされたものを選ぶなどの工夫をしてみましょう。
卒園式の音楽は、式の出席者たちの気持ちを大きく揺さぶる重要な役割を果たします。いくつかの候補を集めて、さまざまな意見の中から選ぶようにしましょう。
まとめ
保育園の卒園式は、卒園児にはもちろん、その保護者や園にとっていままでの集大成となる大切な日になります。事前の準備は余裕をもって行い、また、子どもたちが自信をもって式に参加できるようシミュレーションや練習も何度か行いましょう。当日は、確実な式の進行を優先することも大切ですが、なにより主役である卒園児への「おめでとう」の気持ちを忘れずにあたたかな雰囲気をつくるよう、園全体で心がけておきましょう。
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