保育士の志望動機|専門学校や短大の新卒から転職未経験の志望動機(2017/05/30)
夢の保育士になって、子供たちと身近に接する仕事に精一杯取り組みたい!…そんな意欲に満ちた学生でも、いざ就職活動に向けて準備を始めると、戸惑いを抱えることもたくさんあると思います。自己分析や筆記試験対策、履歴書作り、面接練習…と、しなければいけないことが山積する中、何故か「保育士という仕事や、受験する保育所に対する志望動機が上手く表現できない」という壁にぶつかるケースも、あるのではないでしょうか。そんな「保育士になりたい意志をどう表現したら良いのか分からない」という人のために、志望動機の表し方について、紹介したいと思います。志望動機は学生だけでなく、保育業界内で転職を希望したり、保育士勤務のブランクがあり再就職を目指す人、保育未経験ながらも就職を目指す人にとっても課題となり得ますので、参考にしていただけると幸いです。
目次
1、保育士という職種に対する志望動機
保育士に限らず、就職活動を進める中で、志望動機を伝えることは重要なポイントとなります。志望動機は履歴書に記載するだけでなく、面接試験の中でも質問項目に出てくることも多く、就職活動の局所で登場するキーワードとなるからです。
まずは実際に保育士として活躍したり、保育士勤務の内定を得た人が、「どのようなきっかけで保育士という職種を意識するようになったのか」という率直な理由を洗い出してみましょう。保育士としての就職を見据えているあなたにも「分かる!」と、思い当たる内容があるのではないでしょうか。
1-1、元々子供が好き
これは、保育士を目指す人の志望理由というよりは保育士になる人の前提とも言えるのではないでしょうか。「子供たちの笑顔を引き出せる仕事に就きたい」「子供と長時間接する仕事に就きたい」と思って、保育士を志すことになるというパターンは、多くの人が踏んでいると考えられます。ただ、当たり前過ぎる理由でもあるため、就職活動を進める上ではなぜ子供が好きになったのか、そのきっかけとなる出来事を掘り起こしてみたり、子供のどんなところが好きなのかということを深く分析してみることも、必要となってくるかもしれません。
1-2、自分の生い立ちから
「保育士をしていた親の影響を受けた」「自分が小さいころに親や親せきから可愛がられて育ったため、今度は自分が子供たちに愛情を持って接する仕事に就きたいと考えた」など、幼いころからの自身の記憶が影響して保育士を志すパターンです。親や親せきなど、子供を優しく世話したり、時には厳しく愛情を伝える大人たちの姿が強烈に印象に残っていて、「自分も同じ立場になりたい」という憧れを抱いたことから生じる志望理由と言えるでしょう。
1-3、保育に関する体験を通じて興味を持った
例えば中高生時代に職業体験やボランティア活動などで実際に保育園に行って子供たちの世話をするなど、保育士の疑似体験をしたことがきっかけで保育士への興味を抱くようになる、というパターンもあります。実際の保育現場に触れ、生の子供たちと接する機会を通じて保育士を志望するという動機は、リアリティーを感じさせることができます。また、保育の現場での体験談ではないにしても、例えば年齢の離れた弟妹が居る人が、少年・少女時代にまだ小さい弟や妹の世話をしていた時に、「自分は子供と接するのが好きだ」ということを思って保育士を志すケースも、このパターンと共通していると言えるでしょう。
出典:韮崎東保育園での活動|地域に学ぶ高校づくり 山梨県立韮崎高等学校
1-4、メディアの影響
子供たちの健やかな成長を支えようと懸命に取り組む保育士の姿をテレビ番組などで見て、「将来は自分もあんな風に子供たちを支えられる存在になれれば」と、憧れるパターンもあります。この場合、メディアが取り上げるタイプとしては男性保育士や病棟保育士など、ニーズはあるものの実際にはまだ数少ない形態の保育士が多いと考えられます。そのような現場での実際の仕事はもちろんやりがいを感じられると言えますが、同時に人手不足で大変過酷な内容であることも想定されます。それでも子供たちに寄り添い、奮闘する保育士の姿に心を打たれ、強烈なインパクトを与えられたことで保育士への夢を抱くことになったというケースが当てはまります。
2、勤務希望先に対する志望動機
保育士を志すきっかけには、いくつものパターンが存在することが分かりましたね。しかし、就職活動で問われる志望動機とは「なぜ保育士になりたいか」ということの答えのみでは、十分と言い切れないのです。「なぜ保育士としてこの事業所で勤務したいのか」といった理由も示す必要があるからです。勤務希望先に対する志望動機も、人それぞれでバリエーションが見られます。こちらも、パターン分けした上で紹介してみましょう。
2-1、環境
例えば「慣れ親しんだ場所で働きたい」「地元に恩返ししたい」と考え、保育士としてUターン就職を希望するケースがこれに当たります。他に考えられる環境的要因としては、「自然豊かな中で子供たちとじっくり付き合い、自然に親しむような保育に取り組める環境である」などのパターンが考えられます。
2-2、保育目標や方針
同じ保育士として働くにしても、それぞれの保育園によって保育に対する理念や方針、目標などが異なります。「小規模で、一人一人の子供たちとより身近に接しながら保育に取り組むことができる」など、自身の理想としている保育の内容に共通している事業所に対しては自ずと「こんな所で働きたい」という思いが沸き起こるでしょう。
2-3、事業所の特徴
例えば、「地域住民との交流が盛ん」「毎月、子供たちのための個性的で楽しそうな行事を企画している」など、事業所によって保育活動に特徴があり、そのような特徴に魅力を感じて勤務を志望するようになるケースが当てはまります。事業所ごとの特徴をつかんでおくと、自身がそこで就職した場合にどんな風に過ごすことになるか、イメージしやすくなり、共感できる特徴を有している事業所に対しては特に、魅力を感じるようになります。
出典:Fun Funルーナ(地域交流保育)|社会福祉法人あおい会星川ルーナ保育園
2-4、職場の雰囲気
こちらは事業所の説明会などに行った際に、実際に職員の様子を見たりして、その職場の雰囲気を肌で感じて「ここで働きたい」とひかれるパターンです。実際に現場に赴いて職員の話を聞いたりすることで、人間関係など職場の雰囲気を垣間見ることもできます。その上で「自分に合っている」と思われる事業所に出会うこともあるわけです。
3、より熱意の伝わりやすい志望動機とするために
就職活動で志望動機を説明する上で必要になる「保育士を志す理由」と「その勤務先に就職したい理由」の例を挙げてみましたが、あなたが経験した思いと共通したパターンもあったのではないでしょうか。まずは、これらのパターンを参考に、自身の志望動機について整理してみてください。これらのパターンが複数当てはまる場合も、あるでしょう。複数にまたがっても良いので、これらのパターンをもとに自分の志望動機について大まかにまとめることができたら、今度はそれらをより分かりやすく、魅力的に伝えることがカギとなります。以下のポイントに注意して、あなたの熱意を十分に表現できるような志望動機に仕立て上げていきましょう。
3-1、エピソードを詳細に盛り込む
これまでに例示していきたいずれの志望動機のパターンも、相当数の人に共通して当てはまります。つまり、あなたと同じような動機を持って保育士の就職試験を受ける人が、数多く存在するというわけです。ですので、特に保育士を志す理由については、他者との差異を持たせるため、もっと突っ込んで表現する必要があります。
例えば、保育士を志す理由に中高生時代の保育体験が含まれるなら、その体験から子供たちのどんなことを感じたか、困ったことが起きた場合はどのように考え、どう対処しようとしたか、といったことをエピソードを交えながら説明するのです。あるいは、家族など身近な人の影響で保育士になりたいと考えたのなら、その人のどんなところにひかれ、どういう考えや行動に感銘を受けたのか、といった詳細な描写を加えることも、ポイントになり得ます。
3-2、勤務先についてよく調べておくこと
こちらは特に、勤務先に対する志望動機を作成する際にカギとなります。保育士として活躍できる数多くある職場の中で、「なぜ自分がその事業所で働きたいのか」ということをできるだけ詳細に表現することで、アピール度もぐんとアップします。なぜならば、予め職場のことを詳しく知ろうとする意欲が現されるという点が一つ挙げられます。ですので、応募する事業所の特徴をよく調べておいた上で志望動機を練りましょう、と言うよりは、むしろ就職活動をするにあたって逆に多くの事業所の保育理念や保育内容、特色を詳細に調べた上で、自身が共鳴・共感できる勤務先をチョイスすることが、理想的な職場に巡り合う近道となることを心得て、積極的に情報収集に努めることが重要です。
また、応募者が共感を抱くことができる事業所というのは、それだけ応募者自身がその職場にマッチしている可能性が高いと考えられます。ですので、「私にはこのような考えや性格があり、そのために御社のこのような理念や特色に共感を覚えました」という風に理由を付けて説明してみましょう。採用側としても、社風や職場の雰囲気に適合していそうな人材として、好印象を抱きやすくなるでしょう。
3-3、「具体的にやりたいこと」を通して自分をアピールする
こちらは特に、保育士経験者の人が業界内での転職を図ったり、勤務ブランクはあるけど再就職を目指す場合に有効な表現となります。言わば、志望動機の中に「どんな仕事をして、その事業所の役に立ちたいか」という点を含ませることで、自身の経験や能力を売り込む方法です。保育士としての勤務経験の中から、自身の得意な分野や強みなどの実績をさり気なく記載した上で、その事業所で働くことができた場合、「その強みや実績を生かしてどんな貢献ができるか」といったことを関連付けてアピールするのです。「保育士としての勤務経験はあるけどブランクが長い」という場合でも、ブランクをハンデとするのでなく、むしろ休職している間の育児経験や主婦経験なども、「保護者の考えや気持ちをよく理解できるようになった」「ますます子供を育てる上で、大切なことを学ぶようになった」などとPRすれば強みになり得ます。また、保育は未経験ながらも保育士としての転職を目指している場合も、「他業種での勤務経験は役に立たない」と決めつけるのでなく、これまでの社会人経験を通して培ってきたコミュニケーション能力や事務処理能力などをアピールポイントとして、「新たに保育の分野で自身の能力をどのように役立てることができるか」という点を志望動機に結び付けて表現するという手段があります。
3-4、最後は熱意で!
それぞれの志望動機を魅力的に掘り下げるためのコツを具体的に紹介してきましたが、志望動機は名称の通りモチベーションを示すものですから、やはり熱意や意欲を伝えることが重要になってきます。履歴書の中で文章で記入にしても、面接の場で声に出して表明するにしても、熱のこもった表現はその人のやる気が伝わりやすくなります。この点についてはテクニックやコツを駆使するというよりは、その人のやる気や意欲がそのまま自然に文章や話し方に出てくると考えて良いのではないでしょうか。そのためにも、「保育士の仕事で魅力に感じること」「自分の将来の保育士像」などを思い浮かべながら、じっくりと志望動機を練り上げてみてください。きっとあなた独自の思いが伝わる、オリジナリティーのあふれた志望動機が出来上がってくると思いますよ。
まとめ
就職活動の時に示した志望動機は、あなたが念願の保育士としての勤務を実現した後も生かされてくることがあります。実際に保育士としての業務に当たっていると、常にやりがいを感じて充実した状態が続くとは限りません。時には壁にぶち当たって躓くことも出てくるでしょうし、何のために仕事をしているのか分からなくなるほど戸惑うことも、起こってくるかもしれません。そのような時に、「自分はどんな保育士になりたくて就職したのか」「理想の保育を実現させるために、どんな努力が必要か」といったことを今一度思い出し、改めて業務に邁進していく気持ちを固めるきっかけとして、初心である就職活動期に頑張ってまとめてきた志望動機の内容を思い出すことが、カギとなるかもしれません。今一生懸命考え出している志望動機の内容は、あなたの将来の保育活動の軸となり得ることも念頭に置いた上で、就職活動に励んでください。
参考文献
保育者になりたい!採用試験対策BOOK(小学館|保育者採用試験委員会|2000年10月)
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