自主保育|幼稚園や保育園での自主保育活動のメリット・デメリット(2017/02/28)
最近、各地域で急増中の「自主保育」という活動をご存知ですか?子どもを幼稚園や保育園に預けるのではなく、子育てママのグループ内でママが交代に子どもの保育を行うというものです。園に入園することすら難しくなっているいま、この保育スタイルはどのように行われているのでしょうか。また、園に通うことと比べるとどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
目次
1、自主保育とは
自主保育とは、「子どもを預ける園がみつからない」「自分たちで子どもの保育をしたい」というママたちの声から生まれた「自主保育」という保育の方法です。グループの規模は、十人未満のところもあれば、数十人の大規模なグループも存在しています。自主保育の活動は、子育て中のママであるグループメンバーをはじめ、幼稚園教諭や保育士経験のある人、保育士志望の学生さんなどによるボランティアによって運営されていて、定期的に公園や広場に集まり保育活動が行われているようです。
1-1、自主保育「ぽっぽ」
千葉県八千代市で活動する「ぽっぽ」は、1歳から就学前の子どもを対象とし、平日の10~14時頃まで活動している自主保育グループです。野外での遊びが多く、子どもたちは自然の中、自由で豊かに遊んでいます。子どもの保育をすると同時に、子どものよりよい未来のための運動も積極的に行っています。「脱原発おさんぽ会」と題した反原発デモ行進への参加、「外遊びをする人のための放射能学習会」など、子どもに関わる講演会も多く設けているようです。「ぽっぽ」の思いとして、
子どもたちの心に、たくさんの財宝を埋め込んでおいてあげたい。いつか、彼らが自分一人の力で旅立たなければならない日が来るから。一緒にいられる今だからこそ、たくさんの冒険を、子どもたちとともにしたい。その願いが、自主保育というカタチなのです。
という自主保育についての考えをブログにも綴っています。
1-2、自主保育「ゆうゆう」
東京都小金井市の公園を拠点とし、毎週火、木曜日に活動している「ゆうゆう」。持ち寄った野菜を使ったカレー作りや、施設を借りてバザーを開催するなどのイベントも積極的に行っています。親が当番で保育を行い、その日は何人が集まり何をして遊ぶのかを考え、保育終了後は一日の様子をメールで報告します。グループの方針として「ゆうゆう」のブログには、
おもちゃや遊具に頼らず、手作りの遊びを心がけています。こどもたちは枝や落ち葉、木の実なども遊び道具にします。「自主」保育の名のとおり、保育の内容はお母さんたちと子どもたちで考えています。少しだけ大変ですが、その分楽しさも大きくなります。とあります。
引用元:自主保育グループ「ゆうゆう」ブログ
1-3、自主保育「まつぼっくり」
千葉県千葉市稲毛区をベースに自主保育活動を行っているグループの「まつぼっくり」。毎週月、火、木、金曜日に保育を行い、公園、遠足、デイキャンプ、運動会、クリスマス会、もちつきなどのイベントも楽しんでいるようです。初めは2家族、子ども4人から始まったグループも、今は多くの登録者が集まる大きな自主保育グループの一つとなりました。
1-4、自主保育「風の子」
0~6歳の子どもの遊ぶ場を提供している「風の子」は、東京都世田谷区の玉川地域を拠点に活動しています。4~6歳児は親が交代で預け合いをし、毎週火、水、木、金曜日に保育を行います。「風の子」のブログには、
子供が自然の中でのびのびと遊び、自分の気持ちから動き出すのを見守ること、親も楽しみながら活動することを大切にしています。
とあり、自分たちで行動することの楽しさを子どもたちにも日々伝えているようです。
1-5、自主保育「おむすび」
0~3歳児を中心とした自主保育グループの「おむすび」は、東京都荒川区を拠点として活動しています。現在10家族ほどの人数が集まり、近所の公園でのびのび遊びを楽しんでいるようです。また、「おむすび」には地域の助人となるボランティアが100名ほど存在し、グループを応援しています。
おひさまの下で存分に遊ぶことが何よりも大切!自主保育おむすびは、風や太陽を感じながら、自然派の子育てを実践しています。
と「おむすび」のブログにもあるように、自然の環境で遊びながら人との関わりを深めているようです。
引用元:自主保育グループ「おむすび」ブログ
1-6、自主保育「あおぞら」
愛知県名古屋市で大高緑地公園を拠点として活動する自主保育グループ「あおぞら」。0~6才までの子どもたちが、木登りやどろんこ遊び、探検ごっこといった自然の遊びを中心に楽しんでいます。幼稚園や保育園のように、0歳児は「ありんこ組」1歳児は「ひよこ組」というように、グループの中でも組をつくり、よりよい保育環境を目指しています。
2、自主保育のメリット・デメリット
2-1、自主保育のメリットとは
子どもを自分たちの手で育てていく「自主保育」は、より親子の思いに柔軟に寄り添った保育方法といえます。「子どもの成長を見届けたい」「でも多くの友達や人との関わりも大切にしたい」。そのような親の切実な思いを実現させるために、この保育形態は生まれました。グループの仲間や地域の人と協力して子育てを行うことで、育児の悩みや問題にぶつかったときでも、お互いにサポートし合い解決に向かうことができます。また、自主保育の多くは自然豊かな環境を拠点とした保育が行われており、遊具や道具にとらわれず、自分から遊びを見つけていく力を育むことも自主保育ならではの保育のカタチといえるでしょう。
運営方法はグループによって異なりますが、会費がほとんどかからず幼児の場合は預け合いができることも、親の視点からみたら大きなメリットであることに間違いありません。気楽に、そして安心できる環境の中で自分たちがつくりあげる保育は、親にとってはもちろん、子どもにとっても豊かな環境になっているのかもしれません。
2-2、自主保育のデメリット
自主保育グループによっては、保育士経験のある人や地域の人の協力を得ながら活動しているケースもありますが、基本的には親が子どもの保育を行うことになります。まずいえることは、専門知識の中での保育ではないということです。もちろん、親の手で育てることほど充実した子育ての環境はないのですが、子どもの力の引き出しかたや遊びの幅、子どもへのより良い対応のしかたを知る幼稚園教諭や保育士による保育とは、良くも悪くも保育内容に違いが出てくる可能性があります。また、親同士の関わりが密になり過ぎることも、人によっては負担になることがあるかもしれません。グループの規模が小さいほど、顔を合わせる仲間との関係は親密になり、ママ友同士の関係を保とうとすることが反対に辛く感じることもあります。
まだまだ世間の認識が低い「自主保育」の形態は、行動範囲を広げ子どもとその親にとってより良い活動をしていける環境づくりが今後の課題といえそうです。
3、自主保育と幼稚園の保育
自主保育に参加している親子の中には、「来年度から幼稚園に通おうか」と悩む人もいます。今の子育て社会では、就学前は幼稚園か保育園に通うものという考えが一般的に広がっていることは間違いありません。自主保育で子育てをするのか、幼稚園に通わせたほうがよいのか、その葛藤に悩まされる会員も少なくないようです。
自主保育グループは、「みんなで育てる」という保育の考えがあります。幼稚園に子どもを預けてしまえば、安心に子育てを行ってくれることでしょう。しかし、その保育の現場に親が参加する場面は限られていて、子どもの生活や遊びも集団行動が基本となります。それに対し、自主保育は広い自然の中で子どもが自由に遊び、親はそこに加わって子育てを楽しみます。子どもが自分で遊びを見つけ、友達と関わりあうという自然体の生活環境を保育の中で大切にしているのです。
3-1、幼稚園での保育と比較して
幼稚園の多くは、子どもの経験やたくさんの友達との協調性を育むことが重要視されます。決まった生活リズムの中で、自主的に行動しながら、友達との関わりも大切にする保育です。運動会や発表会などの大きな行事を通して、協力することの大切さや努力の必要性を養う経験も、園ならではのものなのではないでしょうか。
我が子の子育てをどのように行っていくべきかを考えるとき、まずは自分やその子どもが何を重要視しているのかを見つめ直してみましょう。自主保育の豊かでのびのびとした遊び、幼稚園でのさまざまな経験や友達とのふれあい。どちらも施設やグループの方針によって保育方法は異なりますが、そこにあるメリット・デメリットは違います。子育てのスタイルがその親子、その環境や状況によって変わってくるのはあたりまえのこと。いましかない子どものこの瞬間を、どうしていきたいか考えてみましょう。
まとめ
自主保育は、最近グループ数が急増し、子育て中のママのよりどころにもなっているようです。悩みを抱えている、または遊びを充実させたいと思ったときは、積極的に参加してみるとよいかもしれませんね。子どもが育つ環境は、子どもの数だけさまざまあります。世間の言葉に流されず、子どもが楽しい毎日を送ることができる選択をしていきましょう。
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