保育園で新聞紙遊び|遊びのねらいや導入方法、新聞紙のスポーツ(2017/05/31)
保育の遊びの中で頻繁に活用されている「新聞紙」。すぐに手に入るため、雨の日や外で遊べない日には、子どもの遊びを盛り上げる救世主になってくれます。また、では実際に、保育士はどのような遊びのねらいを立て、新聞紙をどのように遊びにとり入れていけばよいのでしょう。ここでは、新聞紙遊びのねらいや内容をいくつかご紹介します。
目次
1、「新聞紙遊び」とは
新聞紙は、保育現場のさまざまな場面で活用されてきました。しかし、他の紙材でなくなぜ「新聞紙」を活用するのでしょう。それには、新聞紙のもつ特徴や、使うメリットがあるからなのです。
1-1、「新聞紙」の特徴
新聞紙は、質が柔らかく柔軟に形を変えることができるため、幼児はもちろん幼い乳児でも楽しく安全に遊ぶことができる素材です。江刺家由子氏、滝澤 真毅氏による「幼児への運動遊びの指導」には
新聞紙は素材として非常に多様な性質を持っている。破る、ちぎる、折る、丸める、ひねる、切る、貼る、ちらかす、などの素材そのものと関わるような活動の他に、その素材をもとに制作をしたり活動の小道具にしたりと、保育の中では幅広い用途に活用される
とあり、その用途の広さも保育に活かされるメリットのひとつといえそうです。
1-2、「リサイクル」を育む
読み終えるとただ捨てられてしまう新聞紙ですが、家庭にある新聞紙を園に集めて遊びに活用することで、子どもたち自身にも「リサイクル」の観念を育みます。「こんなことにも使える」という発見や「新聞紙を使って作ってみよう」という創造力が、子どもの遊びをさらに広げていくことにつながっていくのです。おうちに帰ってからも家で遊べるため、お母さんが家事をしている間などの一人遊びにもうってつけです。新聞紙でゴミ箱なども気軽に作れるため、家庭でリサイクルを実行できるところもいいですね。
1-3、造形だけでなく「運動」にも
新聞紙は、ただ造形遊びの素材として使うだけではありません。たとえば、ボール状に丸めれば、玉入れやサッカーといった運動遊びに活用することもできます。雨で屋外遊びができなくても、新聞紙で楽しく身体を動かすこともできます。
このように、新聞紙を使った遊びや子どもの学びは幅広いものがあります。保育士は、活動のねらいや計画を立てながら、新聞紙を遊びの中に積極的にとり入れていきましょう。
2、「新聞紙遊び」のねらい
まえにも述べたように、新聞紙遊びは方法によって、子どもの自由な発想や活動にあらゆる方面から働きかけることができる遊びです。保育士は、その内容や活用するねらいを計画してから保育にとり入れていきましょう。
2-1、新聞紙遊びの「造形」のねらい
まず考えられるのが新聞紙を用いた「造形遊び」です。新聞紙をちぎって紙吹雪のようにして遊んだり、切って貼ったり、丸めてボールのようにして遊んだり、折って遊んだりなどのさまざまな工程によって、作品を作り上げることができます。造形遊びのねらいとしては、保育所保育指針にあるように、
保育士と一緒に全身や手や指を使う遊びを楽しむ。感じたことや思ったこと、想像したことなどを様々な方法で自由に表現する
といった内容を考えることができます。
2-2、新聞紙遊びの「運動」のねらい
新聞紙遊びは「運動」にも活用することができます。ねらいには、身近な遊具や用具を使い、十分に体を動かして遊ぶことを楽しむ。とあり、新聞紙を使うことによって楽しい運動遊びに発展していくことができます。身体を動かすことはもちろん、子どもと一緒に新聞紙をどのように運動にとり入れていくかを考えることで、表現力や創造力を育むことにつながります。
2-3、「乳児」の新聞紙遊びのねらい
乳児は、新聞紙を使った複雑な造形や運動をすることができませんが、素材を触れる、握る、または保育士が丸める、破くのを見ることで、感触や形の変化、ビリビリ、くしゃくしゃという音で楽しむことができます。6ヶ月未満の乳児のねらいには安心できる人的、物的環境のもとで、聞く、見る、触れるなど感覚の働きが豊かになるようにする。とあり、新聞紙を通してさまざまな感覚の経験をすることができます。
3、「新聞紙遊び」の導入
新聞紙遊びは、まず家庭から新聞紙を集めることから導入が始まります。子どもに「新聞紙を使ってお楽しみをしたいから、おうちから持ってきてね」などと呼びかけ、身近な素材を活用する楽しさを知ってもらいましょう。もちろん、家庭に新聞紙がない子どもは無理に集める必要はありません。では、そこからどのような導入を行っていくのか、いくつかの例を確認してみましょう。
3-1、「ビリビリ」破いて引き付ける
普段「破く」ということは思う存分できないものです。子どものまえで保育士が新聞紙を大胆に破けば、子どももきっと楽しい気持ちになるでしょう。一人1枚の新聞紙を手に持ち、みんなで一斉に破いても気持ちがいいですね。また、新聞紙は片づける際も燃えるごみとしてまとめて捨てられるので後片付けも楽です。子どもたち普段なら怒られてしまいそう、と尻込みするようなことを思い切りできてストレス発散になるでしょう。
3-2、新聞紙の中身を見てみる
年齢が大きな子どもには、新聞紙にどのようなことが書かれているのか一緒に見てみるのもよいでしょう。「こんなことが書かれているよ」と、天気予報やテレビ欄などの親しみやすいページをみて、みんなで新聞紙の中の探検を楽しみます。最近の新聞は大きな写真なども使っているので、車の写真などは男の子が喜びそうですね。
4、新聞紙を使った「スポーツ遊び」
雨の日は、身体を思い切り動かすことができずに子どももウズウズしてしまいますよね。そのようなときにおすすめしたいのが、新聞紙を使ったスポーツ遊びです。身体を動かすことができることはもちろん、思い切り破いたりちぎったりすることで気持ちを発散することもできます。では、どのようなスポーツがあるのか見てみましょう。
4-1、新聞紙で「的当て」
的当ては、新聞紙を丸めたボールを、さまざまな的に当てて遊ぶものです。的の大きさを変えたり、距離を調節することで難易度をレベルアップしていくことで、子どもは飽きることなく挑戦することができます。また、「投げる」という動作をすることで腕をコントロールする力を育みます。ボールをたくさん作れば、玉入れやボール集めゲームなどに発展することもできますよ。
4-2、新聞紙で「ボクシング」
広げた新聞紙にパンチして、穴を開けて遊びます。ヒーローごっこが楽しくなる幼児が夢中になって楽しめる遊びです。ただ、パンチで新聞紙に穴を開けるのが難しい子には
新聞紙に切れ目や穴をあけておいてそこから破るような形にしたり、柔らかいマットなどを敷いた上で新聞紙にダイビングしたりすることもできる
とあるように他の動作につなげて遊ぶこともできます。
4-3、新聞紙で「新聞くぐり」
大きな新聞紙の穴をくぐったり、ちぎった新聞紙の山を抜けたりと、新聞紙の障害物をみんなで作り、新聞紙障害物競争をしてみましょう。子どもは探検や複雑な障害が大好きです。みんなで作ることで、大きな達成感や満足感を得ることもできるので、広いホールなどを使ってチャレンジしてみましょう。
4-4、新聞紙で「ボールリレー」
新聞紙で作ったボールをバトンにしてリレーをしてみましょう。広げた新聞紙にそのボールをのせて運ぶリレーや、ボールを転がして運ぶリレーなど、競争のアレンジはたくさんあります。しかし、年齢の低い年少さんにはルールに従ってリレーすることは難しいかもしれません。そのときは保育士や年長さんに協力してもらい、共同作業で力を合わせることの楽しさや大変さを体験してもらいましょう。飽きてしまう場合はボールをいくつか準備して複数のチーム対抗にしても楽しめますね。新聞紙のボールは柔らかく怪我の心配がいらないので、室内で行うサッカーやドッジボールなどにも適しています。
まとめ
新聞紙は、手軽に手に入れられるうえに遊んだあとの後片付けも楽なため、保育士にとっても負担の軽い手軽な遊び道具です。子どもたちも新聞紙を使って遊ぶことを覚えれば、家庭でも同様に遊ぶことが出来るため、家族間のつながりを深めるためにもよいのではないでしょうか。活用する環境や対象の年齢によってさまざまな遊びに広げていくことができます。普段から不要な新聞紙を集めておいて、保育にとり入れてみましょう。また、新聞紙のインクで手が汚れるので、遊んだあとはしっかりと手を洗うようにしましょう。
参考文献
幼児への運動遊びの指導(江刺家由子・滝澤 真毅|2015)
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