保育士の履歴書|保育園・幼稚園に採用される履歴書の書き方(2017/06/06)
「保育士として理想の現場で働きたい」と願い、就職活動に励む人にとって、履歴書を作成することは避けて通れないタスクです。履歴書は就職試験の応募先事業所とあなたをつなぐ重要な書類です。それも就職試験の早期の段階から、応募先担当者にあなたの魅力を伝えることのできる貴重なツールでもあります。そのためには、あなたの人となりやバックグラウンドなどの情報を、きちんと伝わるような履歴書を作成しなければいけません。その上で魅力的な内容の履歴書を作っていく作業が、就職活動の中でも重要なカギとなります。どのように対処していけば良いか、ポイントをまとめてみました。
目次
1、保育士の就職活動に使われる履歴書の特徴
まず、就職活動をするにあたって使われる履歴書とはどのようなものなのか、特徴をつかみましょう。これから就職活動に取り組む人も、参考にしてみてください。
1-1、種類
保育士の就職試験の際に提出が求められる履歴書の種類としては、市販のものから応募者が選ぶケースと、応募者用に各事業所が用意している履歴書を入手して記入・提出するケースがあります。履歴書の種類を選べる場合、学生であれば在籍する学校の所定の履歴書を活用するという手段もあります。再就職で保育士での勤務を望んでいる人の場合は、転職者用向けの履歴書なども市販されていますので、自分に合いそうな種類のものを選びましょう。
1-2、記入項目
履歴書にもいろいろな種類があることが分かりましたが、記入しなければいけない項目自体は、共通しているものも多いです。具体的には住所や名前、連絡先などの基本情報を書く欄があり、続いて学歴・職歴などの経歴、取得資格・免許、特技、趣味を紹介する項目などが続きます。さらに志望動機や自身の長所を記入したり、研究課題や卒業論文のテーマ、学生生活で力を入れたこと、クラブ・サークル・ボランティアなどの課外活動について紹介する項目などが加わります。
1-3、写真
履歴書には写真を貼り付ける欄があります。応募先に提出する書類の中であなたを視覚的に認識させることができるのは、この写真のみとなり、採用担当者のあなたに対する第一印象を左右するのが写真と言っても過言ではありません。ですので、写真が与える印象は非常に重要となってきます。面接の際にも清潔感を与える身だしなみを心掛けることがポイントとなってきますが、写真も同様のことが言えます。履歴書に貼る写真を撮影する際には、スーツなどの正装で清潔感のあるヘアスタイルにして写るようにしましょう。
2、履歴書の書き方のポイント
「それでは、いよいよ履歴書作成!」というところで、良質で応募先担当者に好印象を与えることのできる履歴書を作るためのポイントをいくつか挙げてみたいと思います。いささか細かいことにはなりますが、以下の点をぬかりなく配慮することが就職活動のアドバンテージにつながってくると思われますので、チェックしてみてください。
2-1、記入は手書きで!
パソコンが広く普及されている現代でも、就職活動で応募先事業所に提出する履歴書は手書きで作成することが一般的と言えます。特に指示の無い限り、履歴書はあなた自身が手書きで完成させましょう。もちろん黒ボールペンや万年筆で書くことになりますので、作成する上で字の間違いなどがあったら、一から書き直さなければいけません。間違っても修正液や修正テープを使って間違えた部分を消し、その上から書き続けることはしないでください。
「手書きだと間違えた時に書き直すのが大変」という人は、下書きをパソコンで作ってみて、その内容を履歴書で清書するようにしましょう。また、採用担当者に読んでもらうことを念頭に、楷書体で丁寧に記入しましょう。住所や学校名、企業名などは省略せず、正式名称で書いてください。
出典:平成29年度第1回キャリアガイダンス|進路支援の部屋|埼玉純真短期大学純真ブログ
2-2、職務経歴書も同時に提出する場合
社会人経験のある人が再就職先として応募する場合、履歴書とは別に職務経歴書の提出を求められることがあります。職務経歴書は業務経験を紹介することで、あなたの実務能力をアピールするのに非常に有効な書類です。社会人経験を通して得た具体的なスキルや能力などはこの職務経歴書を利用して具体的にPRできますので、履歴書と職務経歴書の役割を踏まえた上で、記入する内容を書き分けると良いでしょう。
例えば、保育士としての勤務経験がある場合、勤務した事業所名を記すだけでなく、「どんな規模のどのような形態の事業所で働いていたか」「雇用形態や職種は何だったか」といったことも明記しましょう。そして、具体的に事業所内で果たしていた役割や、職場に貢献できたこと、得意分野などもアピールすると良いでしょう。
また、他職種から保育士への転職を目指している場合でも、前職で培われたコミュニケーション能力や事務のスキルなど、今後保育の現場で生かしていけそうな自身の能力を紹介するという方法があります。
以上のような点については、職務経歴書の中で存分にアピールできます。逆に言えば、履歴書にはそれ以外のあなたの魅力を伝えられるように書き方を工夫することで、アピールポイントに幅を持たせることができます。
2-3、面接用シートと併用する場合
就職試験の際に事業所に提出する資料の中には、履歴書のほかに面接用のシートが含まれることがあります。両方とも応募者自身のことを紹介する書類ですし、面接の際に面接官が質問する内容を引き出すツールになり得る資料です。ここで考えていただきたいのは、両方の書類を提出しなければいけない場合は、記載情報の書き分けを意識することです。
履歴書は応募者の基本的な情報やこれまでに過ごしてきたバックグラウンドが主に記載されます。一方、面接用シートの場合、「あなたがこの事業所で貢献できること」「保育士として仕事をする上で、何が大切と思うか」など、履歴書に比べると突っ込んだ記入項目が盛り込まれているケースもしばしば見受けられますし、一つの質問に対する記入スペースも広くとられています。ですので、同じ自分のことをPRする書類でも、履歴書は比較的簡潔で、面接用シートはより詳細に表現することができるととらえることができます。そのことを意識しながら両書類を作成していきましょう。
もしも履歴書と面接用シートの両方に共通した記入項目があった場合は、どうすれば良いでしょうか。例えば、両方の書類に性格や特技をアピールする欄があったとします。まず、記入スペースを確認してみてください。大抵の場合、面接用シートの方が広くとってあるのではないでしょうか。ということは、履歴書よりも面接用シートの方がより多くのことを書き込むことが可能というわけです。
そこで、履歴書にも面接用シートにも、同じニュアンスの回答を記載するのは結構ですが、面接用シートにはより補足的な情報を加えたり、具体的なエピソードを盛り込むなど、深みを持たせるようにすると、さらに効果的にあなたのことをアピールできると言えるでしょう。
2-4、応募先ごとに履歴書のコピーをとっておく
前述したように、履歴書に記入した事柄は、面接用シートと同様に採用面接試験を行う上で採用担当者が参考にすることが予想されます。つまり、あなたが履歴書に書いた内容の中から、面接での質問が出される可能性があることを考慮すれば、応募先に提出した履歴書はコピーをとって、手元に保管しておくことが得策です。履歴書だけでなく、職務経歴書や面接用シートのコピーもとる必要があります。そして、面接の前に履歴書や職務経歴書、面接用シートのコピーを見ながら内容を見返し、頭に入れておくようにしましょう。そうすれば、面接の場で事前に提出した書類の記載内容に関する質問が出てきたとしても、慌てず落ち着いて答えることができます。
また、先に触れた通り、事業所によって提出書類の数も変わってきます。そのため、例え履歴書の種類を統一して各事業所に提出していたとしても、応募先によって記載内容に多少の差異が生じる場合も考えられます。ですので、履歴書などのコピーをとる際にはどこの事業所に提出した書類なのか分かるようにして、複写・保管するようにしてください。
3、履歴書の内容を充実させるポイント
ここからは、履歴書の記載内容を濃く、魅力的なものにするためにとるべき行動を述べていきたいと思います。履歴書で採用担当者の関心を少しでも多く引くために、実践してみてください。
3-1、自己分析を徹底する
履歴書に記入する内容のうち、氏名や住所、経歴については事実を正確に伝えることが必須となります。一方、学生生活に力を入れたことや自身の長所などそれ以外の項目は、項目内容に即して自身の特徴に当てはまると思える事柄を綴ることになります。ですので、自己分析をきちんとしておくことが重要です。自己分析とは言いますが、自分で自分のことを評価するのは、案外難しい作業です。そこで、友人ら第3者に客観的に自分の特徴をいくつか挙げてもらい、それらを材料にして自分のイメージを浮かび上がらせていくと、自己分析を進めやすくなります。
自己分析がきちんとできていれば、多くの記入項目をスムーズに埋めやすくなります。例え自身の短所について記入する項目だったとしても、単なるウェークポイントを披露するだけに終わらせず、その内容について冷静で具体的な説明を加えた上で「今後は改善していきたい」という意欲をアピールし、前向きな書き方に持っていくことも可能です。あるいは、短所は長所と抱き合わせてPRすることもできます。例えば、「周囲の反応に敏感で、グループで作業する際には先生や友人からニーズを上手に聞き出した上で、丁寧に対応することができる」という長所のある人にとって、それは見方を変えれば「指示待ちになることが多く、自分で決めて行動することが苦手」という短所にもなり得るわけです。この法則を逆手に取り、短所を記入する項目の中では誠実にウェークポイントを説明しつつも、さり気なくそのポイントの良い面もアピールするような書き方もできます。
このように、自分のことをしっかりと把握することができれば、就職活動を進める上で自信につながりますし、書類上でも面接の場でも、あまり迷うことなく自身のことを誠実かつ素直にPRできるようになります。
3-2、内容を見直してもらう
作成した履歴書が自分なりに渾身の作だったとしても、相手にとって分かりやすく、かつあなたの魅力が伝わりやすい内容に仕上がっているかどうか、見直す必要があります。学生であれば履歴書の書き方を学んだり、教職員や就職支援担当者から完成した履歴書の中身に対するフォードバックを受ける機会も恵まれていると思います。再就職先として保育の事業所への応募を検討している人も、社会福祉協議会などが企画する福祉関係の就職講習やフェアなどで、キャリアコンサルタントなど就職支援担当者から履歴書の作成やアドバイスを受ける場が設けられることもありますし、公的機関で各種就職相談をすることもできるので、履歴書の添削を依頼してみましょう。
まとめ
履歴書は書き方次第で就職活動を有利にサポートする武器になることが、お分かりいただけたでしょうか。採用担当者に好印象を与え、分かりやすく質の良い内容に仕上げるポイントを踏まえつつ、あなたらしさのにじんだ魅力的な資料として仕上げることができれば、履歴書だけで担当者の目を引くことも可能となり、面接の際にも有利に働くかもしれません。履歴書を完成させるために自己分析をしたり、自分の保育に関する考えを整理することで、将来の保育士としての目標を固めやすくなるなど、自分の指針のようなものが出来上がってくる可能性も十分考えられます。まさに、履歴書作りが理想の保育士としての活動に対するベースとなるかもしれません。「文章をまとめるのが苦手」「自分のことをどう表現したら良いのか分からない」と尻込みしている人もいるかもしれませんが、履歴書作りに真剣に取り組むことで、このような苦手意識を克服し、将来の自分の姿もイメージしやすくなるチャンスがやって来る可能性もあります。是非自分と向き合い、自分の魅力に気づき、履歴書を使ってあなたのアピールをしてみてください。
参考文献
保育者になりたい!採用試験対策BOOK(小学館|保育者採用試験委員会|2000年10月)
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