手袋シアター|保育園の出し物で使える手袋シアターの作り方(2017/05/23)
「手袋シアター」を演じたことはありますか?いつ、どこでも子どもたちをお話に引き込むことができる保育の優秀アイテムです。ここでは、手袋シアターの子どもへの影響と活用方法、そして簡単な作り方をご紹介します。明日からの保育にすぐ役立つので、さっそくチェックしてみましょう。
目次
1、保育で活かす「手袋シアター」
手袋シアターは、手袋を舞台として繰り広げられる人形劇です。保育士は手袋をはめ、うたを歌ったり物語を演じて、ストーリーを展開しています。手袋の中の人形劇は、子どもの注目を集めます。また、コンパクトなので持ち運びも便利。いつ、どこでも保育のちょっとしたスキマ時間に大活躍するアイテムなのです。
1-1、手袋シアターと子ども
保育で活用する人形劇は、手袋シアターのほかに、パネルシアターやエプロンシアターがあります。舞台の大きさや表現の方法は多少異なりますが、いずれも保育士が演じる物語が子どもの興味を引き付け、感受性や表現力を育むことにつながっていきます。また、劇中に子どもを参加させる機会をつくることで、言葉やうたをうたう楽しさを味わうこともできます。熊田武司氏の「保育士のパネルシアターおよびエプロンシアターへの意識について」には幼児は、人形に対して非常に興味を示す。さらに、幼児は人形を擬人化し、想像的同一化をして物語の世界に入り込むといった経験をしながら、一種の生活経験をしている。とあり、ただ物語やうたを楽しむだけのものでなく、子どもの感性に大きく影響するものであることがわかります。
1-2、手袋シアターと保育の現状
このように、手袋シアターは保育でとても大切な役割を果たすものなのですが、実際の現場では、あまり活かされていないのが現状のようです。その理由について同論文では、現状は、練習する時間を確保できない、演じる場所・機会がない、所有していない、演じ方を知らないなどの理由でパネルシアターおよびエプロンシアターは実践されていないのである。と述べています。たしかに、時間や教材の不足によって保育で実践できない環境にある保育士も多いようです。しかし、子どもの楽しい経験の幅を広げていくためにも、今後積極的に手袋シアターのような素材をとり入れていく必要がありそうです。
2、「手袋シアター」の種類と作り方
「手袋シアターを保育にとり入れたい!」と思ったら、まずはクラスの子どもにどのような内容の手袋シアターが適切なのかを考えることが重要です。パネルシアターの種類と簡単な作り方を確認して、楽しく準備をしてみましょう。
2-1、「手袋シアター」の種類
手袋シアターは、2つの種類に分けることができます。まず1つは、童謡や子どもの好きなうたをもとにした内容の手袋シアター。うたをうたいながら人形劇が展開されるので、幼い子どもでも参加しやすく、手袋シアターが初心者の保育士も簡単に演じられることができます。
そして、こちらは「おはながわらった」のうたをもとにした手袋シアターの例です。花が付いた手を広げながら、子どもと一緒に「おはながわらった」のうたを楽しみます。また、花の数や色を質問することで、子どもたちの言葉や数の獲得にもつなげることができます。作り方は、指先にフェルトで作った花をつけるだけの作業なので手作りにもおすすめです。
出典:tetote
簡単な内容の物語であれば、手袋シアターでも楽しく演じることが可能です。3歳からの幼児には、劇あそびの導入に活用することもできます。
こちらは「おおきなかぶ」の物語を手袋シアターにしたものです。登場人物が子どもたちに見やすいように工夫すれば、クラス全員でもお話を十分楽しむことができます。慣れてきたら子どもたちにも役を振り分けて、手袋の上で劇ごっこにチャレンジしてみましょう。
出典:tetote
このように、手袋シアターは種類によって楽しみ方が無限に広がります。もちろん、子どもたちのお気に入りの物語の手袋シアターを手作りしてあげてもよいでしょう。では次に、手袋シアターはどのように作られるのか、簡単に確認してみましょう。
2-2、「手袋シアター」の作り方
手袋シアターをどのような内容のものにするか決めたら、手作りにチャレンジしてみませんか?手袋シアターは、基本的に布やフェルトなどが素材となり、その温かみが子どもの心をつかみます。裁縫が苦手な人でも、材料や作り方を工夫すれば簡単に作ることができます。ここでは、保育士や保育士を目指す学生のために保育教材やネタを提供している「amico」さんのブログから、手作りのポイントをご紹介しましょう。
手袋シアターは、基本的に舞台となる「手袋」と登場人物となる「人形」で構成されています。作り方の基本作業は、その手袋と人形を、「フェルトを切る」、「縫い合わせる」、「貼り付ける」こと。手袋は、うたやストーリーの雰囲気に合わせてカラーを選ぶとよいでしょう。手袋と人形は演じやすいよう貼り付けられるようにしておくのがポイント。こちらのブログで紹介している手袋シアターは、人形にマジックテープを、手袋には「トイクロス」というマジックテープがくっつく生地を使用しているようです。
マジックテープやフェルトは、100均や手芸店で手に入れることができます。ほかにも、縫い合わせず貼るだけでOKの接着剤や手袋シアターの手作りキットなども販売されています。自身の力量や作業工程に合わせて、便利なアイテムをゲットしましょう。
作り方のポイントは、子どもたちの目を引く彩りと楽しい仕掛け。演じたときの子どもの反応を想像しながら作ると、楽しいアイデアがたくさん浮かんでくるはずです。
作りたい手袋シアターは見つかりましたか?自身でデザインを考えるのが難しい場合は、ご紹介した手袋シアターの作者、「amico」さんの参考本があります。型紙付きなので、材料さえ用意すれば簡単に作ることができます。
出典:保育で使える!ワクワク手袋シアター (ナツメ社|amico著)
3、保育で活きる「○○シアター」
手袋シアターやパネルシアター、エプロンシアターは、いずれも保育で演じられることによって初めて活かされるものです。せっかくこれらの素材がたくさんあったとしても、保育士が楽しく演じなければ宝の持ち腐れになってしまいます。保育にとり入れる前日、鏡の前で少し練習して、劇の見え方を確認しておきましょう。演じ方や素材の使い方を工夫することで、子どもの反応はガラっと変わります。子どもが楽しめるシアターを演じるためには、どのようなことに配慮すればよいのか、ここでいくつかポイントもチェックしておきましょう。
3-1、シアターを演じるときのポイント
「乳幼児教育研究所」では、エプロンシアターを演じるときのポイントを紹介しています。これは、手袋シアターやパネルシアターを演じる際にも言えることなので、頭に入れておきましょう。
まず一つが子どもから「演じ手が見えている」ということです。保育士が見えていることで、子どもは安心して話を聞き入れます。そして、演じる保育士は子どもの反応を素早くキャッチすることができるので、劇の中で一緒にうたったり会話をするなどのコミュニケーションをとることもできます。あえて子どもたちをストーリーに巻き込んでいくことも、楽しい演じ方のポイントになりそうです。
二つ目が、「演じ手そのものが物語である」ことです。人形だけでなく演じる保育士も豊かな表現で劇を演じることで、子どもの感受性がさらに深まっていきます。
三つ目は「ポケットをはじめとした「しかけ」がある」ことです。エプロンシアターだけでなく、パネルシアターや手袋シアターにも、作る際に仕掛けを加えておくことで、子どもがびっくりする演出をしてあげましょう。子どもは「次に何が出てくるのだろう」とワクワクしながら劇を楽しみます。最後に「ひとつの作品をくり返し演じることができる」ということ。くり返し劇を演じていくうちに子どもたちも参加できるように保育が発展していきます。
発表会の劇あそびをするまえに、まずは手袋シアターで劇あそびをするのも楽しいかもしれません。「演じる」となると、保育士は台本や演じ方の手引きが欲しくなるところですが、ストーリーやうただけ頭に入っていれば大丈夫。子どもの反応を見ながら、保育士自身も演じる時間を楽しんでみましょう。
まとめ
手袋シアターをはじめとする人形劇の出し物は、子どもたちの大好きな時間です。日常の保育にもシアターを積極的にとり入れてみましょう。また、保育士の手作りのものであれば、子どもたちはさらに喜んでくれるはずです。子どもたちにも劇やうたの楽しさをどんどん伝えていきましょう
参考文献
「保育士のパネルシアターおよびエプロンシアターへの意識について(熊田武司|2011/03/31)
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