3歳児保育のねらい|保育参観の製作の取り組み、3歳児の保育目標(2017/02/16)
3歳児は、さまざまな場面で自立していく大きな成長期です。身体的にはもちろん、精神的にもあらゆることが理解できるようになり、自発的にチャレンジするようになっていきます。そのような子どもたちに関わっていく保育者は、どのようなことを意識して日々の保育をしていけばよいのでしょうか。また、進級してすぐに行われる保育参観は、どういった内容にすればよいのでしょう。ここで、一つひとつ確認してみましょう。
目次
1、3歳児保育とは
とにかくチャレンジ精神で満ち溢れる3歳児の子どもたち。身体的、精神的に大きく成長がみられ、日々そのことを実感していきます。いままで保護者や保育者に手助けしてもらっていたことを自分でできるようになることで、達成感や喜びを感じ、さらに次の挑戦へとステップアップしていきます。この気持ちを後押しすることは、3歳児保育に携わる保育者にとって、とても重要になります。
また身体の運動能力が高まり、日々の外遊びや運動会でも身体を動かす遊びやゲームを楽しめるようになります。いままでの遊びとは動きがガラッと変わるため、怪我や事故への注意もしなければなりません。
さらに、大きく成長するのが精神面です。まず、周囲の友達の存在が大きくなり、いっしょに遊ぶことの楽しさや、みんなで協力することの嬉しさを学んでいきます。その反面、周囲の子を意識することが多くなるため、喧嘩やトラブルが増えてくるのもこの時期といえるでしょう。コミュニケーションをスムーズに行えるような保育者の援助が必要になります。
自分の気持ちや意見を言葉で主張することもできるようになり始めます。単語ではなく、文章で話すことができ、思っていることを話し、またそれを共有する楽しみを感じます。保育者はその意欲を大切にし、よい聞き手となってあげることが大切です。さらに、手本となる言葉遣いや話し方なども意識しなければなりません。
心も身体も大きく変化する時期は、保育者の関わりかたが重要なカギとなります。担当する保育者には、子どもたちがのびのびと成長していけるような環境づくりが求められます。子どものことをよく理解し、適切な保育目標を立てて保育を進めていきましょう。
2、3歳児保育の保育目標の立てかた
日々の保育を進めていくうえで、保育目標や計画を立てることはとても大切なことです。子どもの成長過程を見ながら、その子に合った目標を順次立てていけるように心がけましょう。また、目標はあくまで目標です。子どもたちの成長やペースを優先し、目標を優先し過ぎる無理な保育は避けましょう。特に3歳児の場合はその子によって成長の歩幅が違います。一人ひとりの成長過程を尊重できる目標を立てましょう。
2-1、3歳児の生活の目標
保育の中でまず基盤となるのが「生活」の自立です。3歳児の生活目標として、保育環境に慣れることと同時に、徐々に身支度や食事、排泄などの自立を促していくことをあげましょう。子どもの中には、自ら積極的に行おうとする子もいれば、まだ保育者の声掛けが必要な子もいます。個々の見極めをしながら、適切な対応をしていきましょう。
2-2、3歳児の遊びの目標
さまざまなことへの興味や関心をもち始める3歳児。遊びの環境はできるだけ豊かにしてあげたいものです。目標としては、遊びの中での心と身体の成長を考えていくことが必要になります。外遊びによる元気な身体の発育、遊びの中での友達との関わりや協調性、さらにはルールを守ることやトラブルを解決していく経験も、3歳児の子どもにとって大切な目標の一つとなります。
鳥取県鳥取市のこども園の幼稚部である鳥取第四幼稚園は、伝承遊びを遊びの中に多くとり入れている特徴があります。
引用元:鳥取第四幼稚園
子ども達のいろいろな発達を期待しながら、園生活の中に「伝承遊び」を多く取り入れ、友達と一緒に遊ぶ楽しさや面白さを十分味わい、子ども同士で誘い合って遊ぶ姿をたくさん見られるように遊びを計画しています。遊びの中で人と人との交流が深まり、ルールを守る、トラブルを解決するなど、子どもたちの成長や発達に欠かせない力が育ってきます。
引用元:認定こども園鳥取第四幼稚園
このように、園の特色や方針に沿った目標を立てていくことも保育を進めていくうえで大切になります。
2-3、3歳児の人間関係の目標
3歳児は、一人遊びから徐々に周囲の友達との関係性を広げて行き、コミュニケーションをとる機会が一気に増えていきます。人間関係の形成をしていく中で、気持ちを言葉で伝えることや相手を思いやること、自己中心だった考えを社会的に変化していくことの重要性が目標の一部となるでしょう。しかし、3歳児のコミュニケーションの力は発達段階です。保育者は、子どもたちのやりとりを見守り、ときには仲介に入る役割が多くなります。どのようにすれば友達と楽しく遊べるのか、どのようにトラブルを解決していけばよいのかという援助を、わかりやすく伝えるように心がけましょう。人間関係は、生活や遊びなどのすべての事柄に関係しつながっています。ほかの目標項目とのつながりを大切にして、保育の中で自然に働きかけを進めていけるようにしましょう。
3、3歳児の保育参観
多くの園の場合、新年度のはじめの大きな行事として「保育参観」が行われるのではないでしょうか。子どもたちがやっと新たな生活に慣れてきた中で、保護者たちは園の環境や、子どもたちが園でどのように過ごしているか、さらには保育者の対応などを見学しに訪れます。参観日の保育内容は、保育者にとって悩めるところですが、どのようなことをすればよいのか、いくつか考えてみましょう。
3-1、3歳児の保育参観~「製作」~
まず考えられるのが「製作」です。3歳児クラスでは、新しい道具や教材を使い始める時期でもあるため、保育参観のような機会をきっかけにチャレンジしてもよいでしょう。例えば、「ハサミ」を使った製作をテーマとする場合、多くの子どもはハサミを使うことが初めてです。保育者だけで全員の手元を見守ることは難しいでしょう。そこで、保育参観の機会を利用し、子どもの保護者に積極的に保育参加をしてもらいます。保護者が自分の子どもにつき、いっしょにハサミを使って製作を進めることで、初めてでも安全に、そして親子のふれあいを楽しむこともできます。保育者は、その全体を見ながら援助や製作の進行をしていきます。
茨城県那珂市のこども園「大成学園幼稚園」では、保育参観の機会に、近日行われる夕涼み会のうちわを作っています。
引用元:大成学園幼稚園
7月8日(金)は保育参観日でした。
もうすぐ夕涼み会もあるので,お家の人とうちわ作りをしました。
まずは自由に絵を描いて…
それからスタンプをして…
世界に1つだけのうちわができあがりました☆
最後に夕涼み会で踊る“きのこ音頭”をみんなで踊りました。
引用元:認定こども園大成学園幼稚園
このように、園の行事を兼ねた製作を行っても楽しいです。ほかにも製作内容の幅はたくさんあります。園や子どもたちの状況に合わせた保育設定をしていきましょう。
3-2、3歳児の保育参観~「音遊び」~
子どもたちは音遊びが大好きです。広い部屋を使うことができるなら、保護者参加型のリトミックで楽しんでみてはいかがですか。例えば、子どもたちの親しんでいるダンスを踊る、ピアノの音に合わせて身体を動かす、さらに発展させて音楽に合わせて簡単な楽器を使ったリズム遊びをすることができます。保育参観は、親と子がゆっくりふれあえる貴重な時間でもあります。音を楽しみながら、親子がふれあえる機会をたくさんつくることも大切です。
まとめ
子ども一人ひとりがそれぞれのペースで大きく成長していく3歳児の保育。保育者は、その一人ひとりを大切に見守り援助していくことが求められます。保育目標をベースとして、子どもに寄り添った日々の保育を心がけていきましょう。また、保育参観などの行事はあらゆることを考えなければならず、子どもの思いを後回しにしてしまいがちです。まずは、子どもが楽しむことやのびのびと過ごせることを第一に考え、保護者に日頃の子どもの姿を見守ってもらいましょう。クラスの子どもを保育するのは、もちろん担当の保育者だけではありません。園の主任や他の保育者たちと協力して、子どもたちへのより良い保育を進めていきましょう。
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