安全?それとも危険?牛乳との上手なつきあい方

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安全?それとも危険?牛乳との上手なつきあい方
保育士なら知っておこう?こどもの心と体

安全?それとも危険?牛乳との上手なつきあい方(2015/12/15)

公開日: 2015/12/15 : 最終更新日:2018/01/09 保育士 病気 

成長期の子どもにとって大事な栄養素の一つがカルシウムですが、日本人の食生活では比較的不足しやすいことも知られています。そんなカルシウムを手軽にとることができる食品といえば牛乳や乳製品でしょう。しかし、子育てをしていると牛乳についての悪いウワサも耳に入ってくることもあります。中には、牛乳を飲むとアレルギーになる、牛乳のカルシウムは日本人だと吸収できないといわれ、子どもに与えないという親御さんもいらっしゃるようです。今回は牛乳についてのウワサを検証し、牛乳との上手なつきあい方を提案してみようと思います。

 

目次

  • 牛乳の気になるウワサを評価検証
    • 牛乳のカルシウムを日本人は吸収できない→×
    • 牛乳を飲むと子どもがアレルギー体質になる→×
    • 牛乳は牛の赤ちゃんのための栄養だから人間が飲むのはおかしい→×
    • 生活習慣病の原因になる→△
  • 上手につかおう

牛乳の気になるウワサを評価検証

前回の白砂糖と同じく、牛乳についてのウワサを○×で評価してみます。

牛乳のカルシウムを日本人は吸収できない→×

牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする人がおりますが、それは牛乳に含まれている乳糖という糖類を分解する酵素が大人になると少なくなることが関係しています。日本人は比較的この酵素を持たない人が多いというデータがあります。

そこで自信満々に「乳糖の分解が上手にできない日本人は牛乳の栄養素も上手く吸収できない」といわれてしまうと、なるほどと納得してしまいそうですが、実はそんなことはありません。お腹がゴロゴロするのは分解できなかった乳糖が小腸の下部や大腸での水分吸収をさまたげて下痢をさせるのですが、カルシウムは主に小腸の上部で吸収されるので、乳糖が分解できるかできないかはあまり関係がありません。

ちなみに、食物繊維など消化酵素で分解できないものをたくさん食べると便がゆるくなるのも同じような理由です。

もちろん、牛乳を飲むとお腹がゴロゴロするのが嫌な人が無理に飲む必要はありませんし、カルシウムをとるためにと、好きでない人に無理に飲ませなくても良いのではと思います。

 

牛乳を飲むと子どもがアレルギー体質になる→×

赤ちゃんのように消化管が十分に発達していない子どもが牛乳を飲むと、たんぱく質の一部が十分に分解されないまま吸収されてしまい、それがアレルゲンになってアレルギー反応を起こしてしまう、ということがあります。牛乳アレルギーは年齢とともに改善されるケースが多いのですが、アレルギーがある場合には専門医に相談し、必要に応じてアレルゲンを除去することが大切です。

ただし、牛乳自体が子どもをアレルギー体質にすることもありませんし、妊娠中や授乳中に牛乳を飲んだことで子どもがアレルギー体質になるようなこともありません。必要以上におそれる必要はありません。

 

牛乳は牛の赤ちゃんのための栄養だから人間が飲むのはおかしい→×

牛の赤ちゃんのための飲み物を人間が飲むのはおかしい、大人になっても飲んでいるのは不自然だ・・・だから牛乳はやめましょう、という話があるようです。なるほど、と納得してしまう前に本当にそうなのかしら?と考えてみるのは大切です。

私たちがよく食べる鶏卵を例に考えて見ましょう。タマゴの栄養はニワトリの赤ちゃんが成長するためのものであり、ヒヨコのための栄養なわけです。それを人間が食べるのは不自然だ!といわれたらどうでしょう。植物であっても同様で、野菜だって人間に食べられるために存在しているわけではありません。

良い物はなんでも採り入れる人間のたくましさであり、悪いことではないと私は思います。

 

生活習慣病の原因になる→△

牛乳ばかり飲んでいれば生活習慣病になる、というのは正しいです。もちろん、これは牛乳に限ったことではありませんが。

牛乳を多く飲む人が気をつけたいのは、飽和脂肪酸のとりすぎです。脂肪酸には飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸という種類があるのですが、健康のためにはこの脂肪酸のバランス良くとることが大事です。飽和脂肪酸のとりすぎは、高コレステロール血症など生活習慣病の危険性を高めます。

飽和脂肪酸は牛肉や豚肉、乳製品に多く含まれております。肉も魚も野菜もまんべんなく食べている人であれば、牛乳を多量に飲まなければあまり心配しなくても大丈夫です。もちろん、健康診断の結果問題がある人は食事に気をつけなければならないのはいうまでもありません。

 

上手につかおう

ネットには牛乳の悪口だけでなく、悪いウワサをばっさり切っているサイトもあってとても参考になるのですが、そういうサイトは牛乳の良さばかりがアピールされている傾向があるような気がします。牛乳は毒ではありませんが、万能な食品でもありません。カルシウムと同様、子どもにとって大事な栄養素の「鉄」ですが、牛乳にはほとんど含まれていないということが意外と知られておりません。

母乳や育児用ミルクのかわりに牛乳を与えていると鉄が欠乏する「牛乳貧血」がおこることがあります。1歳未満の子どもには飲み物として牛乳を与えない方が良いというのはこのためです。

牛乳に限らず色々な食材を上手に使って美味しく楽しい料理を子どもに食べさせて欲しいと思います。

成田 崇信 管理栄養士

成田 崇信 管理栄養士

東京都在住、根拠のない健康法や食事法で体を壊したり、子どもの成長が阻害されないことを願い、ネット上ではどらねこ名義で情報提供などの活動を行っている。著書:管理栄養士パパの親子の食育BOOK(メタモル出版)共著:謎解き超科学(彩図社)

jdepo

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