虫歯予防を現役歯科医師が教える!確実に効果が期待できる予防法7選(2013/12/27)
公開日:
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最終更新日:2020/05/08
お役立ち
先日、日本人の成人男性の8割が虫歯患者だという大変興味深いデータが発表されました。永久歯28本のうち15本近くが虫歯になっているという統計データもあります。これは先進国の中でも突出して高いデータで、私たち日本人にとって虫歯は切っても切れない関わりがあることが分かります。
虫歯は万病のもと。しっかりとかみ合わせができなくなると、きちんと食事を取れなくなったり、様々なストレスを引き起こします。なるべく早めに治したいですし、そもそも虫歯にならないに越したことはありません。
そこで今回は、あなたの歯を虫歯から守る、「虫歯予防に効果的な方法」を、現役の歯医者さんに尋ねました。いずれも、今すぐ簡単にできる方法ばかりですよ。
目次
1、食事編
1-1.間食やダラダラ呑みは控える
「虫歯予防で大切なのは、口の中が常に食べ物のある状態にないことです」そう語るのは、千葉県の歯科医師・46歳男性。虫歯が発生するメカニズムは、糖分などに含まれる菌が歯に付着し、酸化させて歯を溶かすことにより虫歯が発生します。
ですから、酸の発生を防ぐために、口の中はなるべく物が入っていない綺麗な状態にしておきましょう。当然食事を摂らないといけませんから、24時間その状態にするということは不可能です。少しでも、食事を摂る時間と回数を減少させ、メリハリのある口内環境を作るのです。
「実は、人間の口内には自力で虫歯菌を死滅させられる働きがあるんですよ」と前出の歯科医師。食べ物を摂らないまま一定の時間が経つと、口の中には唾液が充満されるようになります。この唾液がアルカリ性なので、酸性の虫歯菌をやっつけてくれるのです。これによって、酸化した歯は唾液の力で元通り修復です。
唾液が蔓延していない状態ですぐにまた食べ物や飲み物を口に入れてしまうと、口の中がいつまでたっても酸性のままリセットされません。そうすると、歯がどんどん溶けて、虫歯になってしまいます。甘いものを食べるなということではなく、食べるタイミングが重要なのです。アルコールが大好きな人は、長時間ダラダラとお酒を呑んだりおつまみを食べたりするのも、歯をいじめていることになりますから、注意しましょう。
1-2.キシリトール入りガムを20分以上噛む
「それでもお菓子が好きでやめられない!という人には、キシリトール入りのガムをおすすめしたいです」そう語るのは、茨城県の歯科医師・41歳男性。歯科医の中でもここ十年ほどで非常に大きな注目を集めたのが、キシリトール。その役割が大変秀逸で、「酸を発生させないので虫歯菌を生まない」「噛むことで唾液を出して虫歯菌を殺す」「ガムそのものの歯磨き効果もある」と一石三鳥。それに加えて「ダイエット効果」「ストレス軽減」「(特に高齢者の)噛む力の衰えを防ぐ」など、いいことづくめ。
それでいて値段は10粒100円程度と経済的。ボトルタイプの商品を購入すれば、1日に3~4粒噛んだとして、1日あたり10円から20円程度です。「これほど安くて効果的な虫歯対策は他にない」と前出の歯科医師も太鼓判を押します。気に入った味のものを選んで、ガムを噛む習慣をつけましょう。
さらに、「ただガムを噛めばいいというわけではありません。より効果的な方法があります」と語るのは埼玉県の歯科医師・38歳女性。「まず、ガムはキシリトール配合が100%であるものを選びましょう。回数は、1日3回から4回。回数を分けて噛むと良いですね。そして、1回あたりに噛む時間は最低でも15分以上、できれば20分以上続けてください。もう味がなくなったと思っても、まだ口から出してはいけません。長い時間噛み続けることで、唾液の分泌が促進され、虫歯菌をよりいっそう死滅させることができるのです」とのことです。
1-3.紅茶を3杯飲んで虫歯予防
「イギリス人は伝統的に紅茶をたくさん飲む習慣があります。それが、知らず知らずのうちに虫歯予防になっているんですよ」とても興味深い話をしてくれたのは、東京都の歯科医師・39歳男性。これは決して言い伝えや都市伝説ではなく、きちんと科学的根拠に基づいた情報だそうです。
イギリスの「British Nutrition Foundation」という財団の報告によると、紅茶に含まれるフロボノイド、カテキン、タンニンといった抗酸化物質が、紅茶を定期的に飲むことによって歯の周りに付着し、酸性になりにくい口内環境を作ってくれるそうです。時々飲むのでは効果が薄く、1日3杯、朝昼晩の食事に合わせて摂取することが効果的なのだとか。何事も継続は力ですね。「紅茶が苦手という人は、緑茶にも類似の成分が含まれますので、効果があるかも」と前出の歯科医師。
1-4.チーズも虫歯予防に一役?
さらに驚きの情報を教えてくれたのは、山梨県の歯科医師・51歳男性。「私はチーズが大好きで2日に1回は食べているのですが、これが実は虫歯予防になるんですよ」。とのこと。いったいどういうことでしょうか?
一見虫歯予防には何の関係もなさそうなチーズ。実は、チーズには口の中のアルカリ性を強める働きがあることが、アメリカの研究機関が行った調査で明らかにされています。唾液の分泌が他の食物に比べて起こりやすいことがその一因と見られます。
これにより、虫歯菌をやっつけてくれることに加えて、歯の表面にチーズが保護膜を作ってくれます。これも虫歯を防ぐために効果的だということです。ヨーグルトや牛乳でも良さそうですが、「チーズにしかこの働きはないそうです」と前出の歯科医師。科学的な解明はこれからさらに進むようですし、無理にチーズを摂取すれば虫歯が減るというものでもなさそうですが、元々チーズ好きだという人にとっては嬉しい話かもしれませんね。
2、歯磨き編
続いては歯磨きに関するちょっとしたワンポイントを、歯科医師に尋ねました。虫歯予防に歯を磨くのは当然と言われる一方、「磨きすぎも良くない」なんていう話もあります。何が正しい情報なのか。そして、普段の歯磨きにもう1手間加えるだけで、いっそう虫歯予防に効果的なものもあるということで、こちらも必見です。
2-1.フッ素を賢く活用
「フッ素」という名前を聞いたことのある人も多いでしょう。虫歯予防に効果絶大であるとして、アメリカでは今から70年ほど前から水道水にフッ素を入れる取り組みが始まり、現在アメリカ国内の水道水のおよそ3分の2がフッ素化されているそうです。
フッ素は海産物や干しシイタケにも含まれている成分で、歯のエナメル質を強化してくれるほか、酸によって溶けた歯の修復を助けてくれる役割、さらには虫歯菌を減滅させる役割もあります。
冒頭にご紹介したアメリカ以外にもイギリス、ニュージーランド、韓国、カナダなど世界各国で水道水へのフッ素導入が進んでいます。しかし日本では「過剰に摂取することで吐き気や腹痛、下痢、けいれんなどを引き起こす」として慎重論が根強く、未だ導入がされていません。
とは言え「それは大げさですよ」と断言する意見も。東京都の歯科医師・33歳女性によると、フッ素がそうした症状を引き起こすのは、一度に大量摂取した場合のみ。「水道水を何リットルもがぶ飲みしない限り、大丈夫です」とのこと。何リットルもとなると、フッ素以前にそもそも水の飲み過ぎで腹を下しそうです。
では、私たち日本人はどのようにしてフッ素を取り入れればよいのでしょうか?「実は多くの日本人が既にフッ素に触れていますよ」と、前出の歯科医師。実は、市販の歯磨き粉の8割以上は、成分にフッ素が含まれているのです。ですから、歯を磨くときに歯磨き粉を使用して歯を磨くだけで、知らず知らずのうちに虫歯予防ができているのです。
この他、最近では歯に塗るフッ素入りのジェルなども市販されています。前出の歯科医師によると、「せっかく付着したフッ素がはがれてしまわないように、口をゆすぎすぎには注意です」とのこと。
2-2.重曹うがいもオススメ!
さらに虫歯予防を極めたいという人のために、埼玉の歯科医師・44歳男性がオススメするのは重曹。「掃除グッズとしても再び脚光を集める重曹ですが、あなたの歯の掃除にも最適なんですよ」と話します。
重曹には、水に溶かすと電離して酸を中和する働きがあります。唾液と同じような役割を持っているのです。さらに、歯の再石灰化も防いでくれ、歯科医師によれば「歯がつるつるになって気持ちが良い」「歯を白くさせるホワイトニング効果もある」といった効果もあるそうです。
使い方は簡単。水1リットルに対して重曹5グラムほどを入れて薄めた重曹水でうがいをしましょう。500ミリペットボトルに水を入れ、そこに小さじ半分(2~3グラム)の重曹を入れてよく振れば、うがい用の重曹水が完成します。あとは、これを使ってうがいをするだけです。
ただし注意事項として、濃度が高すぎると粘膜を痛めてしまう危険性がありますから、口内炎ができているという人は控えた方が良さそうです。また、前出の歯科医師によると「重曹を直接歯に付けて磨くと、歯の表面のエナメル質を削り落してしまい、かえって虫歯になりやすい状況を作ってしまいますので、うがいだけにとどめておきましょう」とのことです。
2-3.一日一回、歯間掃除を欠かさない
歯ブラシを持っていない人はおそらく一人もいないのではないかと思いますが、歯間ブラシを持っているという人は案外少ないのではないでしょうか。
神奈川県の歯科医師、37歳女性によると、「歯と歯の隙間は虫歯菌が増殖しやすいので要注意です。目に見えない部分に歯垢が残るなどして、普通の歯ブラシを使っても5割から6割の歯垢は取り除くことができないのです」とのこと。
そこで歯科医師がオススメするのが、歯間ブラシ。糸状のものが使いやすいでしょう。1日1回、歯と歯の間や歯の側面、歯ぐきの間もしっかりと磨くことで、虫歯予防を行いましょう。市販のものなら100円程度で売られているものもありますから、冒頭にご紹介したキシリトールガムと同様、安価で手軽にできるこうしたグッズをしっかりと活用しましょう。
「数百円程度の虫歯予防グッズを買うことをためらって、後で虫歯になってしまって治療費に何千円、何万円もかけるのは得策じゃないですよね」と前出の歯科医師も背中を押してくれました。
まとめ
1.間食やダラダラ呑みは控える
2.キシリトール入りガムを20分以上噛む
3.紅茶を3杯飲んで虫歯予防
4.チーズも虫歯予防に一役?
5.フッ素を賢く活用
6.重曹うがいもオススメ!
7.一日一回、歯間掃除を欠かさない
ちなみに、今回話を聞いた歯科ではいずれも、歯医者でも正しい歯磨きの仕方や虫歯予防チェックなどを行っています。1回1万円程度で隠れた虫歯がないかなどの検査も含めてトータルケアを行ってくれますので、虫歯予防を何から始めたら良いか分からないという人は、まずは手ぶらで町の歯医者さんに行ってみるのも良いかもしれませんね。
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