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産婦人科医が教えるオススメの避妊法とコンドームが破れた時の対処法(2015/09/08)

公開日: : 最終更新日:2020/10/18 お役立ち 埼玉県 産婦人科 

避妊

1、年間100万人の赤ちゃんのうち20万件が中絶

女性にとって妊娠や出産は大きな出来事です。年間100万人の新生児が生まれている一方で、実に20万件の中絶が行われています。産婦人科の現場のナースでさえも、不確実な避妊法に頼っているのが現状です。自分で自分の未来を決めていくためにも、自分の夢やライフプランを実現するためにも確実な避妊法を使いましょう。

昔一緒に働いていたナースは、看護学生の時に予定外に妊娠してしまい、学校を中退せざるを得なくなりました。出産後にがんばって他の学校に入学しなおしてナースになったものの、うまくいかなければ経済的にも精神的にも、後悔の多い人生になっていたでしょう。自らのキャリアを考えて後悔のない妊娠をするためにも、しっかりとした避妊が大事です。

 

2、状況によって変わるおすすめの避妊法

2-1. 絶対に妊娠したくない人=「低用量ピル」または「ミレーナ」

低用量ピルを毎日服用した場合、1年間での妊娠率は0.1%程度です(毎月2500~3,000円)。ピルを飲んでいれば、月経痛が劇的に軽くなりますし、いつ月経が来るのかがはっきりわかり、かつ、出血量もおりものシートで足りるくらい少なくなります。忙しいナースには、有利な点がいくつもある避妊法です。
また、ミレーナという女性ホルモン剤を含んだ器具を子宮内に挿入する方法があります(1回3万円、5年間有効=ひと月500円)。1回挿入すれば毎日薬を飲む必要もなく、かつ、ホルモンが血中に流れ出る量もごくごくわずかなので、血栓症などの全身への影響もほとんどありません。一昨年までは9万円だったものが、3分の1になり、とても使いやすくなりました。(それでも諸外国の2倍以上のようですが・・・)
もちろん、性感染症予防としてコンドームも使うことが大事です。避妊法と性感染症予防は別の話です。性感染症も未来に大きな影響を及ぼすことがあります。コンドームで全てを予防できるわけではありませんが、少しでもリスクを下げるようにしましょう。

 

2-2. 産んでもよいと思っている人=「コンドーム(+緊急避妊ピル)」

コンドームはどんなに上手に使ったとしても、破れたり抜けたりすることがあります。そのため、1年間に2~3%程度の人が妊娠する可能性があります。産婦人科で中絶手術をする人もコンドームのトラブルの結果という人が結構います。よって、コンドームはもし妊娠してしまったら産むつもりの人の避妊法だと考えています。避妊はしているけど赤ちゃんができたらできたでうれしいなあ、と思っているくらいの人におすすめです。

 

2-3. 72時間以内であれば緊急避妊ピルを飲めば妊娠の可能性を下げることができる

コンドームで避妊している人達には、もう一つ覚えておいて欲しいことがあります。緊急避妊ピルについてです。もしコンドームが破れてしまったときは、72時間以内に緊急避妊ピル(ノルレボ錠)を飲めば妊娠の確率を下げることができます(1回2万円程度)なるべく早く近所の産婦人科に行って、処方してもらってください。72時間を越えてしまった場合には、5日以内であれば、子宮内避妊リングを入れるという方法もあります。産婦人科で相談してください。

 

時間がたてばたつほど、選択できるオプションは少なくなります。早めに詳しい専門家(この場合は産婦人科医ですかね?)に相談しましょう。

 

3、各種避妊法の失敗率、費用

低用量ピル 0.1% 3000円/月

ミレーナ 0.1%      32000円/5年(一月あたり500円)

コンドーム 3%  30円/回

緊急避妊ピル(ノルレボ)      3% 一回のセックスでの妊娠率10%を3%まで下げる   20000円/回

オギノ式・リズム法 9~25% 妊娠法として考案された

避妊せず             85%

※低用量経口避妊薬の医師向け情報提供資料より

太田 寛 医師

慈桜会 瀬戸病院 産婦人科(埼玉県所沢市)

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