臨床看護|基礎看護技術の本・雑誌ガイド、臨床看護の本質と総論(2017/06/05)
臨床看護とは、どんな看護なのか具体的に知っていますか?臨床看護とは、病棟や外来などの臨床現場で実践する看護のことです。
臨床看護の基礎知識や臨床看護を学ぶためのおすすめの本や雑誌、臨床看護総論についてまとめました。これから臨床に出ていく看護学生も現在臨床で働いていて、もう一度基礎を見直したい看護師の方もぜひ参考にしてください。
1、臨床看護とは
臨床看護とは、病棟や外来で患者に接して行う看護のことです。医療施設での看護と言っても良いでしょう。
「臨床」という言葉は、医学や看護学の分野においては「現場」や「現場を重視する立場」という意味を持っています。
そのため、臨床看護は「現場で実際に行う看護」という意味になり、看護学においての現場は病院が主になりますので、病棟や外来で行う看護が臨床看護になるのです。また、病棟や外来で働く看護師を臨床看護師と呼ぶことがあります。
臨床看護の中には、急性期看護や慢性期看護、がん看護、ターミナルケア、クリティカルケアなどが含まれます。また、小児看護や母性看護なども臨床看護になります。
逆に、臨床看護に含まれないものは、地域看護や在宅看護などです。地域看護や在宅看護は、病院内で行う看護ではありませんので、臨床看護には含まれないのです。また、老年看護も臨床看護には含まれません。
そのため、病院で行う看護が臨床看護であり、保育園や訪問看護(在宅)、健診センター、介護施設、デイサービス等で行う看護は臨床看護ではないのです。
2、臨床看護の本・雑誌
臨床看護について勉強するためには、臨床看護の本や雑誌を購入することをおすすめします。臨床看護については、職場でその都度先輩看護師から教えてもらうことができますし、インターネット上にも様々な臨床看護に関する情報が溢れています。
そのため、わざわざお金を出して臨床看護の本や雑誌を購入することにためらいを持ったり、もったいないと思う人もいるかもしれません。
でも、本や雑誌は大学の教授など臨床看護学の専門家が執筆しているものです。先輩看護師の指導やインターネット上の情報は、間違っている可能性がありますが、本や雑誌はエビデンスに基づいて書かれていますので、信ぴょう性があるのです。
そのため、臨床で働く看護師は、1冊は臨床看護の本か雑誌を購入しておくと、安心だと思います。
ここでは、臨床看護のおすすめの本を3冊ご紹介します。
2-1、臨床看護の本質
出典:臨床看護の本質―患者援助の技術 | アーネスティン・ウィーデンバック, 外口 玉子, 池田 明子 |本 | 通販 | Amazon
「臨床看護の本質―患者援助の技術」は、1984年に現代社から出版された本で、著者のアーネスティン・ウィーデンバック(1900~1996)はアメリカの看護学者です。
臨床看護に固有な技術を明らかにするために、看護婦―患者の関係の中で行われている援助の技術に焦点を当てて展開されています。
臨床現場で用いる看護技術の説明というよりは、臨床看護を学問として捉え、臨床看護を実践していく上での考え方や哲学の基礎を築くための本と言えるでしょう。
「そもそも臨床看護とは何か?」と根本的なところから考えていきたい看護師におすすめの一冊です。
2-2、基礎・臨床看護技術
出典:根拠と事故防止からみた基礎・臨床看護技術 | 任 和子, 秋山 智弥, 京都大学医学部附属病院看護部 |本 | 通販 | Amazon
任和子、秋山智弥、京都大学医学部附属病院看護部著「根拠と事故防止から見た基礎・臨床看護技術」は、医学書院から2014年に出版された本です。
この基礎・臨床看護技術の特徴は3つあります。1つ目は、臨床で働いている看護師と学生を指導している看護教員が話し合い、両者ともに納得できる水準にしていることです。
2つ目が根拠と事故防止の観点から手順の根拠を説明していること、3つ目が写真をふんだんに取り入れているだけでなく、動画で説明していることです。170本の動画をインターネット上で公開しているので、いつでもどこでも閲覧できて、適切な技術を身につけることができます。
臨床現場で必要な看護技術が網羅されていますので、臨床看護師は必携の一冊と言えるかもしれません。
2-3、完全版ビジュアル臨床看護技術ガイド
この完全版ビジュアル臨床看護技術ガイドは、NTT東関東病院の看護部が執筆し、日本看護協会会長とNTT東関東病院の看護部長が監修し、急性・重症患者看護専門看護師と集中ケア認定看護師の資格を持つNTT東関東病院の副看護部長が編集した1冊で、2015年に照林社から出版されています。
この本では新人看護職員研修ガイドラインの範囲をほぼカバーする51項目の看護技術が解説されていて、写真と共に解説しているので、とてもわかりやすく、新人看護師はこの本を1冊持っておくことをおすすめします。
3、臨床看護総論
臨床看護総論とは、看護師の養成課程の教育内容の1つです。現在の看護師の養成課程は保健婦助産婦看護婦学校養成所指定規則で定められていて、その中の基礎看護学の教育内容は、「看護学概論」、「看護技術」と並んで「臨床看護総論」が提示されています。
そのため、看護師になるためには臨床看護総論を学ばなくてはいけないのです。臨床看護総論の大まかな内容は、次のようなものになります。
- 健康障害を持つ患者と家族のニーズと看護
- 健康レベルの概念について
- 健康状態の経過に伴う患者への看護
- 主要な症状を示す患者への看護
- 検査や治療を受ける患者への看護
- 医療機器の原理や医療機器を必要とする患者への看護
これらは臨床現場で看護師として働く上で基本中の基本となるものであり、必要不可欠なものです。また、看護の基礎的知識や技術が、実際に患者へ看護を実践する中でどのように統合されているのかを理解して、応用力を養うためにはとても大切なものになります。
臨床看護総論は、看護学生が臨床実習に出る前にも必要ですし、看護師が働いていく中でもう一度、看護の基礎を振り返るためにも必要なものになります。
臨床看護師が臨床看護総論をもう一度学び直すためには、次の2冊の本がおすすめです。
■臨床看護総論―基礎看護学<4>(系統看護学講座専門分野)
医学書院から出版されたこの本は、臨床看護総論の教科書としては定番の本で、健康障害を持つ対象者を理解し、状態に応じた看護を認識するための内容になっています。
■臨床看護総論(新体系看護学全書)
出典:臨床看護総論 (新体系看護学全書) | 宮脇 美保子 |本 | 通販 | Amazon
メヂカルフレンド社から出版されたこの本は、臨床という場の理解や患者と家族という対象者の理解に焦点を当てた内容になっています。
まとめ
臨床看護の基礎知識やおすすめの本・雑誌、臨床看護総論についてまとめました。臨床看護は病院で働く看護師が実践する看護のことです。
臨床現場では、基礎となる部分は変わらないものの、どんどん新しい知識や技術が導入されていきますので、本や雑誌を購入する時には、できるだけ最新版のものを購入するようにしましょう。
東京都在住、正看護師。自身が幼少期にアトピー体質だったこともあり、看護学生の頃から皮膚科への就職を熱願。看護学校を経て、看護師国家資格取得後に都内の皮膚科クリニックへ就職。ネット上に間違った情報が散見することに疑問を感じ、現在は同クリニックで働きながら、正しい情報を広めるべく、ライターとしても活動している。
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