写真で簡単製作|0歳・1歳・2歳児の保育で使える手作りおもちゃ工作(2016/06/27)
子どもは、遊びが仕事と言われるほど、1日の多くの時間を遊びに費やしています。遊びを通して五感が刺激され、心身ともにスクスクと成長していきます。しかし、好奇心旺盛な子どもたちは飽きやすいため、保育者はさまざまな遊びを考案し、子どもたちの成長を助けてあげる必要があります。
そこで今回は、簡単に作れる自作おもちゃをご紹介したいと思います。ひとえにおもちゃと言っても、その種類は非常に豊富に存在し、中にはアイデア作品とも言えるものもありますので、この機会にどのような自作おもちゃがあるのか、ぜひ知っておいてください。
目次
1、子どもにとって遊びの意味
まず、子どもにとっての遊びの意味についてご説明します。冒頭で述べたように、遊びを通して五感が刺激され、それは成長に良い影響を与えますが、それだけでなく、全身全霊で遊ぶことで、集中力が身に着くようになります。
また、感情を表現する力が備わったり、お友達と一緒に遊ぶことで人間関係を学んでいきます。このように、個人の能力だけでなく、社会で共存する能力も学んでいくのです。
■集中力
子どもたちは全身全霊を傾けて遊び、エネルギーの完全燃焼をしています。特に遊び盛りである2~3歳児の子どもたちが、手を抜いて遊んでいる姿は想像できないでしょう。時には遊びを中断させられることを拒んだり、お昼ご飯を抜いていいほどに遊び続けていたりと、私たちには考えられないほどに集中して遊びに没頭しています。
この過程は非常に大切で、遊びに集中することで自然に集中力が磨かれていきます。遊びを通して子どもたちの集中力が磨かれるというのは、さまざまな論文でも検証されており、幼少時代に集中力が乏しい子どもは、大人になっても集中力が乏しくなる傾向があります。受験勉強や仕事などで集中できない場合には、幼少時代の遊びが関係している可能性もあるのです。
■喜怒哀楽の表現力
子どもたちは好奇心が旺盛で、0歳児の赤ちゃんでも自分から何か言葉を発しようとしたり、お母さんが笑って声をかけると微笑みの表情を浮かべたりと、自分以外の人からさまざまなことを学ぼうとしています。
興味があればあるほど好奇心が湧き、さらに多くのことを学ぼうと努力し、これによって子どもたちは喜怒哀楽という感情の表現力を習得していきます。遊びに没頭するほど、感情が豊かになっていきますので、心を育むという意味でも、子どもにとって遊びは非常に大切なものなのです。
■想像力
子どもは遊びの天才と言われるように、大人では思いつかないアイデアを簡単に創造します。たとえば、何か1つの遊び道具を与えた際に、通常の使い方をせず、全く新しい使い方で遊ぶという感じです。時には、「わが子は天才かも!」と考えるほどに、驚くようなアイデアを創造したりします。
■分別力・状況判断力
お友達と一緒に遊ぶ際、傷つけたり、喜びあったり、それに対してどのように反応したらよいのかなど、感情表現とともに、分別力や状況判断力も学んでいきます。また、グループの中で、ポジションを得たり失ったりと、自分の立ち位置も学んでいきます。
分別力や状況判断力は、複数のお友達と遊ぶことでしか学べない力であり、共有する時間が長ければ長いほど、速く確実に身に着くものです。何をしたら傷つくのか、何をしたら喜ぶのか、そういった共存する上で必要な力は、遊びを通して自然に学んでいくのです。
2、手作りおもちゃの必要性
このように、子どもにとっての遊びには非常に大きな意味があり、健全な成長に欠かせない要素です。では、遊び道具を与えさえすれば、それでよいのでしょうか。
冒頭で述べたように、子どもは好奇心旺盛である反面、飽きやすいという特徴があります。それゆえ、子どもの好奇心を常にかき立てるためには、それ相応の数のおもちゃが必要になるわけです。
しかし、定期的におもちゃを買っていては出費が多くなり、家計に大きなダメージを与えることになりかねません。ですが、おもちゃを自作すれば出費を大きく抑えることができ、家計の心配はかなり減るはずです。
また、一緒に創作することで、作ることへの楽しみや達成感を共有できるというのも大きなメリットと言えるでしょう。さらに、子どもが自分で創作することで、創造性が豊かになり、いわゆる情操教育に繋がります。
■出費が抑えられる
お店で売られている子どものおもちゃは、1000円以内で買えるものが多いものの、これが2つ3つ、10つと増えるほどに出費がかさんでいきます。しかし、普段捨てるようなものを活用すれば、場合によっては一切費用をかけずに手に入れることができます。
■楽しみや達成感を共有できる
短い時間でも、没頭している時に感じる楽しみや、1つのことをやり遂げた時に感じる達成感は、子どもの発育を促します。また、これらの感情を共有することで、信頼関係が構築されます。保育者も楽しめて、信頼関係が築けるというのは、手作りおもちゃの最も大きな利点と言えるのではないでしょうか。
■身体機能の向上・創造性が豊かになる
子どもの身体機能は、物を作るという過程の中で大きく成長していくものです。幼少時代に多くの創作を経験した子どもは手先が器用になり、これは大人になった時にも反映されます。
また、創作の過程を経て、こうしたらこうなるという原理を知り、創造性が豊かになります。
日常の遊びの中で、子どもたちは自然に物づくりを行っていますが、原理を知らなければ創造に時間がかかってしまいます。原理を教えるという意味でも、子どもが自分の力で創作するということは非常に大切であり、それを教えるのが保育者の大きな役割なのです。
3、年齢別にみる手作りおもちゃ
それでは、子どもの発達を促進し、遊び心をくすぐるおもちゃを年齢別に紹介したいと思います。子どもは年齢によって発達する身体的特徴が大きく異なりますので、それぞれの特徴に見合ったおもちゃを作るのがポイントです。
年齢(月齢) | 発達の特徴 | 感覚器官・運動機能の発達を促す遊び | 人との関わり・言葉の発達を促す遊び | 適する遊び・おもちゃの例 |
0~3か月頃 | 2か月後半あたりから焦点が合い、音に敏感になる。 | “目・耳”に刺激を与える遊び | 1対1のあやし遊び | オルゴール、モビール |
3~6か月頃 | 5か月あたりから見たものを掴んだり、欲しい物に手を伸ばして掴むようになる。 | “目・手”の協応を促す遊び | 1対1のあやし遊び | ガラガラ、歯がため、起き上がりこぼし |
6~9か月頃 | 両手を使う、持ち替える、打ち鳴らすなどの行動ができるようになる。 | “目・手”の協応を促す遊び | 1対1のあやし遊び | お手玉、コップ、人形、まり |
9~12か月頃 | つかむ、めくる、はがす、破る、吹いて音を出すなどの行動ができるようになる。 | “指先”を使った遊び | 1対1のあやし遊び | なぐり書き、シールをはがす、紙を破る、物の出し入れ(空き缶・お手玉など)、手押し車、引くおもちゃ |
1歳児 | 歩く、押す、つまむなどの行動ができるようになる。
他者への関心が生まれ、生活=遊びという認識を持つようになる。 |
“指先”を使った遊び
“体”を動かす運動遊び |
受容遊び(絵本・人形劇など)
子ども同士が意識できる遊び |
パズル、積み木、玉指し板、棒差し、お絵かき、 |
2歳児 | 走る、飛ぶなどの一般的な行動を完全にできるようになる。
言葉を覚え、自我が芽生え、友達への意識や喜びや楽しさなど、さまざまな感情が発達する。 |
“指先”を使った遊び
“体”を動かす運動遊び |
受容遊び(絵本・人形劇など)
見立て・つもり遊び 子ども同士が関わり合える遊び |
パズル、積み木、お絵かき、折り紙、簡単なままごと、電話、ぶらんこ、鉄棒、ボール遊び |
上表に示したように、0歳児は特に「音」に関するおもちゃを、1歳児・2歳児は「指先」や「体全体」を使えるおもちゃを作るようにしましょう。また、1歳児・2歳児では、お友達と一緒に遊べるものがおすすめです。
3-1、0歳児の手作りおもちゃ
参照元:簡単☆手作りおもちゃ8選。お家遊びを楽しくしよう♪
0歳児の赤ちゃんの定番おもちゃと言えるのが、ペットボトルを利用した「マラカス」です。すべて家にあるもので作れるので費用は一切かかりません。また、中に入れるものを変えるだけで音が変わるため、いろんな種類のマラカスを作ってみてください。ちなみに、あかちゃんの手のサイズは小さいので、握れるくらいの大きさのペットボトルを選びましょう。
【材料】
・ペットボトル(小さめのもの) を用意して、よく洗い乾かしておく。 ・中に入れるもの (お米、小豆、コーヒー豆、マカロニ、鈴、など自由に) ・ビニールテープ 【作り方】 ・乾いたペットボトルの中に、お米や鈴などを入れて蓋を閉める。 ・ビニールテープでしっかりとふたを巻いて止めておく。 |
ペットボトルを利用したマラカスと同じ要領で、風船の中にいろんなものを入れるだけで、赤ちゃんの遊び心をくすぐるおもちゃが完成します。風船は目の前で動くため、ペットボトルよりも興味をそそること間違いなし。ただし、中に入れるものは丸く軟らかいものを選ぶ必要があります。
【材料】
・大きめの風船、小さめの風船(必要あれば)、ハンドポンプ(必要あれば) ・中に入れるもの(小さめの風船、フェルト、くしゃくしゃにした折り紙など) 【作り方】 ・風船を膨らます前に、軽く伸ばして馴染ませておく。 ・フェルトや折り紙などを中に入れる。 ・風船を膨らまして、口の部分をしっかりと結ぶ。 |
参照元:チューブのガラガラ
ホースを利用したアイデアおもちゃです。小ぶりなので赤ちゃんの手にもフィットし、さらに軟らかいホースを使用しているため、当たっても安心です。
【材料】
・特殊耐寒チューブ、コルク ・中に入れるもの(ビーズ、お米、コーヒー豆、小鈴など) 【作り方】 ・チューブを適当な長さに切る。(15~20cm程度) ・ビーズや鈴などを中に入れ、コルクで両端に栓をする。 |
こちらは手作りメリー・モビールです。100均で手に入るカットフェルトやデコレーションボールを使用して簡単に作ることができます。さらに鈴など音がでるものをつけると、あかちゃんの好奇心をよりかき立てるはずです。
【材料】
・オーナメントハンガー(普通のハンガーなどでも代用可) ・カットフェルト、デコレーションボール、鈴など 【作り方】 ・デコレーションボールを太めの糸に通る。 ・カットフェルトをボンドでくっつけてハンガーに引っ掛ける。 |
3-2、1歳児の手作りおもちゃ
参照元:ダンボール製の自作パズル
1歳を過ぎると絵を認識できるため、パズルは非常に有益なおもちゃです。ダンボールなどで簡単に作ることができ、イラストを変えれば無限に遊ぶことができます。まずはピースを少なめにし、年齢を重ねるごとに増やしていきましょう。
【材料】
ダンボール、イラストが描かれた紙、カッター、のり、木工用ボンド 【作り方】 ・ダンボールを約20cm×15cmにカットする。 ・イラストが描かれた紙をダンボールに万遍なくのり付けする。 ・イラストに合わせてダンボールの外側・内側をカットする。 ・好みに合わせてピースをカットする。 |
参照元:磁石を使った釣りゲーム
磁石で簡単に作れる魚釣りおもちゃです。魚釣りが何なのか分からない子どもでも、楽しく遊んでくれます。また、魚の目や鱗などは子どもに書いてもらうことで、一緒に楽しく創作することができます。
【材料】
・磁石(大小)、工作用紙、糸、クレヨン、割りばし ・はさみ、セロハンテープ 【作り方】 ・工作用紙を2つに折り、魚の絵を書いて、切り取る。 ・2つ折りにして間に磁石を入れて、テープでとめる。 ・割りばしに糸を巻き、先端に磁石を取り付ける。 |
1歳児は出し入れする遊びが大好きです。市販で売られている同様のおもちゃは、質のよいものになると2000円程度になりますが、手作りすればかなり安く抑えられます。また、一緒に作ることで愛着が湧き、市販のものより楽しんでくれます。
【材料】
・食材保存タッパー、ビニールテープ、厚紙 【作り方】 ・タッパーの蓋の部分に細長い穴を空ける。(長め、短めの2本) ・空けた穴をテープでとめる。 ・中に入れる厚紙にイラストを書く。 |
3-2、2歳児の手作りおもちゃ
こちらは牛乳パックで簡単に作れるパペットです。イラストによって表情が変わるので、いろんな種類のパペットを作ってみてください。
【材料】
・牛乳パック、油性マジック、ハサミ 【作り方】 ・牛乳パックの角2面(両端)を、底から10cmほどのところまで切り込みを入れる。 ・牛乳パックを広げ、好きな絵を書き、絵の輪郭に沿って切る。 |
参照元:でんでん太鼓
お菓子の空き箱など、家にあるもので簡単に作れるでんでん太鼓です。2歳児の手作りおもちゃとして、ちょうどいい難易度ですので、一緒に作ってみてはいかがでしょうか。
【材料】
・お菓子の空き箱、色画用紙、割りばし、紐、ビーズ ・セロハンテープ、のり、ガムテープ、ペン、ビニールテープ 【作り方】 ・色画用紙に好きな絵を書いて、空き箱にのり付けする。 ・空き箱の中心に割りばしを通して、ガムテープで固定する。 ・両脇に穴を空けて紐を通し、紐の先にビーズを通す。 ・空き箱の内側でしっかりとめて、箱を閉じる。 |
お友達とも一緒に遊べる指人形。刺繍やフェルトの造形などは2歳児には難しいですが、顔の形を整えたり、イラストを考えてもらったりと、一緒に作ることも可能ですので、ぜひ一緒に楽しみながら作ってみてください。
【材料】
・フェルト、刺繍糸、縫い針、 ・はさみ、のり(布用) 【作り方】 ・胴体、顔、指を入れる部分でフェルトをカットする。 ・指に入れる部分が筒状になるように縫い合わせる。 ・指先部がふさがるように縫い、胴体と顔を指入れる部分にくっつける。 |
4、ほかにもたくさん!自作アイデアおもちゃ
■引っ張りチェーン
参照元:空のミルク缶で手作りおもちゃ♪
1歳・2歳頃になると、引っ張るという動作に楽しみを感じます。この引っ張りチェーンのように、ジャラジャラという音が伴うことで、さらに楽しく遊んでくれます。
■キラキラ光るスノードーム
参照元:きらきらスノードーム~イメージを膨らませて楽しむ冬の製作遊び~
空きビンを活用して、置物として視覚的に楽しむことができます。親子や保育者と子どもたちで一緒に簡単に作れるというのも、このおもちゃの大きな利点ではないでしょうか。
■歯磨きに興味が湧く!歯磨きかばくん
参照元:佐藤蕗さんの、ハミガキかばくん
見た目の割に作り方は簡単。一緒に作れますし、歯磨きに興味を持ってくれるようになるので、作って損はありません。
■手先の脳の運動に最適!ひも通し
参照元:あおむしくん
既成のフェルトを使ってもよし、自作しても良し。一緒に作る場合は、厚紙などに絵を書いてみるのも良いでしょう。紐を通すという遊びを通して、手先が器用になるだけでなく、脳にも良い影響を与えてくれます。
■トイレットロールでアニマル創作
参照元:Llama Craft DIY
トイレットロールはDIYの宝庫と言われるように、さまざまなものに活用できます。キリンのほか、ロバ、馬、犬など、ぜひ一緒にトライしてみてください。
■いろんな遊びに利用できるペットボトルビーズ
参照元:ペットボトルで作る簡単ビーズ・手作りオモチャの作り方
ビーズは市販でたくさんありますが、やはり自分で作るオリジナルは愛着が湧くものです。これをひも通しに利用したりと、いろいろ使い道がありますので、いろんな大きさのビーズを作ってみましょう。
■みんな大好き!ダンボールで隠れ家
参照元:ダンボールトンネルであそぼう!
子どもたちは隠れ家が大好きです。ダンボールの壁に絵を書いたり、工夫してダンボールの形を変えたりすれば、オリジナルの隠れ家に。室内が広ければ率先して作っていきたいおもちゃと言えるでしょう。
■夏に最適!ラムネのケースで水鉄砲
参照元:ラムネのケースで水鉄砲
夏に大活躍してくれる水鉄砲。簡単に作れて水圧も上々。プールや川で使いには少し迫力はありませんが、家のお風呂で活躍してくれること間違いありません。
まとめ
手作りおもちゃはお母さんや保育士など、保育者のアイデア作品とも言え、実にさまざまなおもちゃが考案されています。当ページで紹介した手作りおもちゃを参考するのもよいですし、ご自身で一から考えて作ってみるのもよいでしょう。
ただし、子どもたちと一緒に作ることを強くお勧めします。0歳児のあかちゃんは難しいですが、1歳後半くらいになるとモノづくりが出来るようになってきますので、一緒に楽しく創作してみてください。
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