リトミック保育|指導案とねらい、遊び方、本やCDなどの教材の紹介(2017/04/12)
近年、リトミックという言葉を盛んに耳にするようになり、子どもが初めてする習い事などとしても浸透してきています。そんな中、保育の現場の中でリトミックを取り入れていくにはどのようにしたらいいかなどを、これからまとめていくので、是非参考にしてみてください。
目次
1、リトミックとは何か
リトミックとは何かについて特定非営利活動法人リトミック研究センターを参考にまとめていきます。子どもの為のリトミックとは、音楽を使って身体的・感覚的・知的に優れた子どもたちの育成を図ることを指します。行うリトミックは場所によって様々で音楽に合わせてダンスのように身体を動かす場合もあれば、そこに数の認識の勉強も組み合わせて行うこともあります。
1-1、リトミックの歴史
リトミックの歴史は19世紀の末から20世紀初頭に遡り、新教育運動の絶頂期にスイスの音楽教育家で作曲家でもあったエミール・ジャック・ダルクローズが開発した音楽教育の手法のことを指します。別名「ダルクローズ音楽教育法」と言う場合もあります。当時、ハンブルクを中心に、子ども本人が自ら進んで学び、その感覚を体感的に身に着けていくための情操教育、芸術教育が叫ばれていて、それを受けダルクローズは、音を聞き、それを感じて理解し、その上で楽器に触ってみる、更に音を組み合わせて音楽を作ることの楽しさを身体全体で味わわせ、その喜びの中で音を出し奏でそこから旋律を作っていくことへの興味を育んでいこうというねらいでリトミックを生み出しました。
日本でも音楽教育の草分けであり「赤とんぼ」など数々の童謡の作曲家でも知られる山田耕作が自らダルクローズの元を訪れ、ダルクローズが生み出したリトミックの影響を受けたといいます。
1-2、リトミックを保育で取り入れる指導案とそのねらい
リトミックの指導案は聖徳学園がまとめた英才教育の追究の3歳児向けのリトミック指導案が参考になります。この指導案では「車に乗ってどこに行こうかな?」というテーマを設定しています。子どもはごっこ遊びが好きで、何かになりきるというイメージの世界で遊んでいることが多いです。そこに着目して子ども達のイメージしたものを大切にしながら、音を通して即時反応や音の聞き分け、音の高低などを体験しながら自由表現を楽しんでいくのが流れとなっています。この指導案のリトミックのねらいは、イメージの世界の中でのびのびと表現することと共に、音の種類を聞き分けてその違いを体験することになります。
実際のリトミックの進め方は、みんなで輪になって回りながら鳴らす音の長さによって歩く、ゆっくり歩く、駆け足と歩く速度を変えていきます。更に鳴らす音の高低によって、高いところの花をとったり、低いところの花をとるという動作も加えて楽しみます。ドライブの途中にはハチが出てきたりヘビが出てきたりと保育者の働きかけによって追い払ったりしゃがんだりといった運動も加わってきます。このように、保育者が先頭になり誘導して、音楽に合わせて身体を動かして表現することを楽しんでいけるような指導案を作成していくといいでしょう。
1-3、リトミックを行う効果とは
リトミックの効果についてですが、前述の特定非営利活動法人リトミック研究センターでは、リトミックを行うことにより「情操教育」「音感教育」「生活習慣」の三位一体の指導システムを通じて、子どもたちがこれからの社会や環境に柔軟に対処していけるような感性や感受性を持つこと、また、あらゆる試練に耐えうる基礎能力や「生きる力」を自然と身に着けていけるように、音楽を使って子どもたちの育成をしていくと謳っています。
また、近年では、東洋経済オンラインでも紹介されている通り、バーモント大学の脳の研究の結果、音楽が脳を刺激して注意力や感情のコントロール、不安の減少、更に記憶力や計画性などを身につけられるという、精神的な効果をもたらすことが明らかになってきたので、「音育」と称して、リトミックを保育園でも取り入れるところが増えてきています。
2、リトミックを遊びの中に取り入れてみよう
リトミックと聞くと構えてしまう保育者の方もいるかもしれません。ですが、余り構え過ぎずに、あくまで保育の中の遊びの一環で音遊びとして取り入れてみるのもいいと思います。上記の参考画像のようにシフォン生地を合わせて作ったものを音に合わせて上下させたり、持って回ったり、布を持ち上げてみんなで中に入ってみるのも楽しいです。他にも、タンバリンやカスタネットなどを持ち、身体を動かしながら思い思いに演奏してみるのもいいです。
千葉県にある若葉幼稚園では、2歳児のリトミックとして電車のように前の子どもの肩に手を置いて繋がりピアノの音に合わせてリズムに乗って動くのを楽しんでいました。このように特別な道具がなくてもアイディア次第でリトミックを取り入れながら遊ぶことが出来ます。
2-1、リトミックに関する本や教材
保育でリトミックを行う際に参考になりそうな本や教材を紹介していきます。
出典元:楽しみながらからだを動かす 1~5歳のかんたんリトミック(ナツメ社|神原 雅之|2013/3/18)
リトミックの基本から具体的な動きまで解説されています。
1歳児から5歳児までそれぞれの年齢に合わせた、曲に合った動きがピアノ譜と共に掲載されています。また季節に応じたテーマの曲が収録されているので、保育の現場でも活用しやすいです。
出典元:ステップ・アップ・リトミック(ドレミ楽譜出版社|石丸由理、輪嶋直幸、吉田紀子|2012/2/20)
幼児期に大切な、元気に遊ぶことや豊かな感受性・健康な身体・素直な表現力を育てることなど、全ての事を一冊にまとめた充実した内容となっています。
また、音楽に携わる方、保育でリトミックを取り入れている方たちから選曲が非常にいいと高評価です。それだけでなく、よりよくリトミックを行う為に身体の動かし方が非常に細かく解説されているので、参考にしやすいのではないでしょうか。
2-2、リトミックに関するCDやDVD
出典:個人でもグループでも使える ゴーゴー・リトミック 1(サーベル社|2015/8/11)
小さい子が初めて音楽と接する時に、本当に楽しいレッスンをしてほしいという思いから作られた先生の為のリトミック本です。CD付きとなっているので、保育者だけでなく子どもたちの自宅でも楽しむことが出来ます。保護者から尋ねられた時などに紹介してみてもいいかもしれません。シリーズで出版されています。
出典:子どもがときめく 名曲&人気曲でリトミック(自由現代社|2014/1/24)
童謡からアニメソングまで幅広く33曲が収録されています。
全曲ピアノ伴奏のCD付きなのでピアノの練習をしなくてもすぐにリトミックで取り入れることが出来ます。また、アニメソングが収録されているのが、子どもたちにとっても馴染みがあり、より楽しい気分で取り組めるのではないかと思います。
出典:1日10分 おうちでできるリトミック<DVD付き>(宝島社|2011/7/15)
リトピュアリトミックというリトミック教室を開催している代表講師が作成した本です。60分のDVD付きなので見様見真似でもリトミックに取り組むことが出来ます。
3、アンパンマンと行うリトミック
出典:それいけ!アンパンマン げんき100ばい!リトミックあそび(VAP|2003/09/25)
アンパンマンが動物のまねっこやリズム遊び、足じゃんけんなど歌ったり踊ったりを楽しみながら想像力や理解力を育てる8曲入りのDVDです。子どもたちに馴染みのあるアンパンマンと一緒に身体を動かすことが出来るので楽しく取り組めます。リトミック部分はリトミック研究センターが監修しています。
出典:アンパンマンとはじめよう! お歌と体操編 リズム DE できるかな (VAP|2009)
他にもアンパンマンのリズム遊びのDVDは多数販売されており、上記の「お歌と体操編」をはじめ、「お歌と手遊び編」などもシリーズ化されています。これらはリトミックと謳われてこそいないものの、歌に合わせてアンパンマンとエクササイズやストレッチを楽しく行うことが出来る仕掛けとなっているので、リトミックと同様に活用出来ると思います。
まとめ
リトミックとは何かから始まり、保育の現場でリトミックを取り入れる指導案などについてまとめてきました。リトミックを行うにはどうしたらいいんだろう、と難しく考えるより、まずは子どもたちと一緒に音を楽しんでみることがリトミックに繋がっていくのではないかと考えられます。音楽には、脳を刺激することにより記憶力の向上や精神の安定などの効果があることが研究から分かっていることからも、積極的に保育の現場でも取り入れていくといいでしょう。
参考文献
英才教育の追究|聖徳学園(2013/6/15)
東洋経済オンライン
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