インフルエンザと保育園|登園許可と出席停止処置、送迎や兄弟の対応(2017/03/16)
冬になるとどうしても流行してしまうのがインフルエンザです。厚生労働省のホームページによると、インフルエンザは『38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感等の症状が比較的急速に現れる』という特徴に加えて、『お子様ではまれに急性脳症を、御高齢の方や免疫力の低下している方では肺炎を伴う等、重症になることがあり得る』としています。そのため、保育園はインフルエンザの流行を予防する環境づくりや、かかってしまった子どもや家族への配慮、各家庭への情報提供など様々な役目を担うこととなります。
目次
1、保育園児がインフルエンザにかかった場合の基礎知識
1−1、保育園への登園許可は出るのか?
インフルエンザは感染力の強いウイルスであるため、インフルエンザにかかった場合は一定の期間が過ぎるまで登園はできません。インフルエンザが流行する時期には保護者へも声をかけ、気になる症状があった場合はまず病院へ行き、インフルエンザかどうかの検査をしてもらってください。
1−2、保育園の出席停止期間はどのくらい?
保育所における感染症対策ガイドライン(厚生労働省 2012年改訂)の規定では、『発熱した日を0日目として発症から5日間が経過し、かつ解熱した日を0日目として解熱後3日間が経過するまでは保育所を休んでもらう』となっています。これは体内からウイルスが排出される日数を基に定められた期間であり、言い換えると感染力がなくなるまでの期間ということです。そのため熱が下がっていても、保育園内での感染拡大を防ぐため、この期間中は登園を控えてもらう必要があります。インフルエンザにかかったという連絡を受けた際は、いつから登園できるのか保護者と共に確認してください。
1−3、インフルエンザによる保育園閉鎖はある?
学校保健安全法が根拠となり、学校や幼稚園では学級閉鎖(臨時休業)が行われます。基準は自治体によって異なりますが、クラスの児童数の2割以上が欠席した時点で学校長が判断するところが多いようです。元気なお子さんを持つ保護者にとっては、「うちの子は元気なのになぜ休まなければいけないのか」という考えの方もいるかもしれません。ですが、流行を防ぐためには有効な方法とも言えるでしょう。
一方で、保育園は教育施設ではないため、この法律は適応されません。保育所保育指針等でも、保育園の閉鎖について述べているものはありません。どれだけインフルエンザが流行しても、法律上は保育園を閉鎖する必要はないのです。「閉鎖してはいけない」というわけではなく、施設長の判断に任されているのですが、保護者の気持ちなどを考えると、なかなか施設長の判断だけで閉鎖することは難しいでしょう。感染が心配な保護者は自主的に子どもを休ませるでしょうが、子どもを預けて安心して働きたい、という保護者がいる以上、現状では保育園の閉鎖は行われにくいところです。
1−4、保育園への送迎にも注意
先に挙げた厚生労働省のガイドラインには、『保護者等の送迎者がインフルエンザを発症している疑いがある場合等は、送迎を控えてもらいます。やむを得ない場合は、必ずマスクを着用し、また保育所内には入らないようにしてもらいます』という文があります。つい子ども同士の接触による感染拡大を心配してしまいがちですが、保育園に出入りする大人も感染経路となり得ます。どうしても発症している保護者が送迎をしなければいけない場合は、事前に連絡してもらい、保育園の入り口まで保育者が迎えに行くなどの体制をとるようにしましょう。
2、兄弟がインフルエンザにかかった場合の対応
兄弟が罹患した場合の対応については、明確な規定は存在しません。そのため、それぞれの管理者の判断に任せられます。保育園に通う本人が元気であれば登園可能としているところもありますし、兄弟が発症した場合は登園を控えることをルールとしているところもあります。
発熱前の潜伏期間であってもウイルスは感染するため、兄弟がインフルエンザになった場合は本人にもウイルスが潜伏している可能性はあります。そう考えると、兄弟が罹患した場合も登園禁止にした方が良いように思えるかもしれません。一方で、保護者によっては「本人は元気なのに預けることが出来ないと、仕事に行けないから困る」という方もいるでしょう。どちらの策を取るかは園次第ですが、事前にはっきりとルールの徹底をしておくことが必要です。インフルエンザが流行し始める前に、保育園でのルールを理解していただきましょう。
3、インフルエンザを流行させないために保育園で出来る予防策
3−1、保健だよりの活用
保育園において最も手軽に保護者への情報提供ができるツールは、保健だよりです。先述の保育所における感染症対策ガイドラインでも感染症対策として『保護者に対して、口頭で、又は保健だよりや掲示等を通じてわかりやすく伝えること』が求められるとしています。保健だよりを通じて、家庭で出来るインフルエンザの予防策や保育園内のインフルエンザ流行状況、罹患した際の注意事項などをしっかり伝えましょう。こういった情報をシンプルな言葉で分かりやすく伝えましょう。うるま市の公立保育所保健だよりなども参考にしてみてください。
(引用元:うるま市 公立保育所保健だより 2月号)
3−2、保育園内でのインフルエンザ予防策
情報提供をするだけでなく、保育園内でも出来るだけの予防策を取りましょう。
■マスク着用の徹底
インフルエンザが流行する時期には、職員一人ひとりが意識してマスクを着用するようにしましょう。これには予防としての意味はもちろん、もう1つ大切な意味があります。発症前だとあまり気にかけないことですが、職員自身がすでにウイルスを有している可能性もあるのです。その場合はマスクをすることで、飛沫感染などでウイルスを拡大させてしまうことを防ぐことができます。実際に発症した時には、もうウイルスをまき散らしていた…ということを避けるために、職員全体でマスク着用を心がけてください。
ただ、マスクをすると顔の半分が隠れ、表情が見えにくくなってしまいます。それによって不安を抱く子どもや保護者もいるため、職員がマスクをする意味をきちんと伝え、理解してもらうことが大切です。
■咳エチケット
これについては、インフルエンザの時期でなくとも普段から行ってください。職員が実行するのはもちろんのこと、子どもたちに対しても「人の方を向いて咳をしない」「咳をする時は口に手を当てる」ということを日常的に指導していく必要があります。また、咳が出ている子どもにはマスクを着用してもらうよう、保護者の方へも声かけをしていくと良いでしょう。飛沫感染を防ぐには、シンプルで有効な方法となります。
■アルコール消毒
インフルエンザがうつる経路には、飛沫感染と接触感染があります。接触感染とは、感染した人がウイルスの付着した手でドアノブやスイッチに触り、健康な人がその部分に触れ、その手で鼻や口を触ってしまうことで起こります。そのため、定期的にドアノブやスイッチなどを消毒すると効果的です。また、昼食やおやつの前などに、手洗いとアルコール消毒を徹底することも有効となります。
■湿度・室温の管理
湿度が50%より低くなると、ウイルスは活性化しやすくなってしまいます。一方で60%以上になると、ダニやカビが繁殖してしまいます。そのため、冬の室内は湿度50%ほどを目安として適度に加湿を行うようにしてください。室温は20〜23度を保つようにしましょう。特に冬場は乾燥しやすいので、湿度計などを設置し、こまめにチェックするようにすると良いでしょう。
まとめ
保育園は子どもたちが至近距離で長時間一緒にいるため、インフルエンザが流行しやすい環境にあります。また、乳幼児は抵抗力が弱く、感染すると重症化する恐れもあるため、出来る限りの対策を打ちたいところです。保護者に正しい情報を伝えつつ、園内の環境も整え、多くの子どもたちが健康に通えるようにしてあげましょう。
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