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EDチューブの看護|適応・目的、NGチューブ(マーゲンチューブ)との違い、管理方法(2017/03/13)

公開日: : 最終更新日:2022/12/01 看護技術 東京都 全科共通 

EDチューブ看護

EDチューブとは経管栄養を投与する目的で挿入されるチューブのことです。EDチューブは胃だけでなく、十二指腸や空腸にも留置することがあります。

EDチューブの基礎知識や適応・目的、NGチューブ(マーゲンチューブ、Mチューブ、Sチューブ)との違い、長さ、管理する時の注意点をまとめました。EDチューブが挿入されている患者の看護をする時の参考にしてください。

 

1、EDチューブとは

EDチューブ(Elemental Diet Tube)とは経管栄養を投与する目的で、鼻腔から胃または十二指腸、空腸へ挿入して留置するチューブのことです。

EDチューブとは

出典:ファイコンEDチューブ | 富士システムズ株式会社

EDチューブは長期間留置することがありますし、胃ではなく十二指腸や空腸に留置することもありますので、患者に負担がかからないように柔らかい素材でできていて、一般的なマーゲンチューブよりも長くなっています。

また、先端にはがついていて、幽門部を通って十二指腸や空腸に到達しやすいような造りになっているものが一般的です。さらにX線不透視線がついていて、挿入後にレントゲン撮影で留置位置を確認できるようになっています。

 

2、EDチューブの適応・目的

EDチューブの目的は、消化管を使って栄養を投与することです。経口摂取はできないけれど、消化管を安全に使えるという場合は、経腸栄養の適応になりますので、EDチューブを挿入して、経腸栄養を投与します。

経口摂取できない人は、経腸栄養か静脈栄養の2択となりますが、消化管を使っての栄養摂取は生体へのメリットが多いので、消化管が機能していて、安全に使えるというのであれば、静脈栄養ではなく経腸栄養が第一選択となるのです。

<経腸栄養のメリット>

  • 腸管粘膜の萎縮を予防できる
  • 免疫機能を維持できる
  • 代謝反応の亢進の抑制
  • 胆汁うっ滞の予防
  • 超蠕動運動や消化管ホルモンの分泌などの生理機能の維持
  • CV挿入よりも侵襲・リスクが少ない
  • 静脈栄養選択時のカテーテル感染のリスクがない

また、EDチューブを幽門部を越えて、十二指腸や空腸に留置することで、胃に留置するよりも嘔吐のリスクが少なくなりますし、それに伴う誤嚥のリスクも少なくなるというメリットがあります。

 

3、EDチューブとNGチューブ(別名マーゲンチューブ、Mチューブ、Sチューブ)の違い

EDチューブと似たようなものに、NGチューブ(Nasogastric Tube)があります。NGチューブも、EDチューブ同様に鼻腔から挿入するチューブですが、特徴や適応に違いがあります。EDチューブとNGチューブの特徴や違いをまとめました。

 

■挿入目的

・EDチューブは経管栄養投与のためだけに挿入する。

・NGチューブは経管栄養投与以外に、胃洗浄や胃内の排液、減圧目的にも使われる。

 

■チューブの硬さや太さ

・EDチューブは、患者への負担を軽減するために、ガイドワイヤー(スタイレット)がないと挿入できないほど柔らかく、太さは8Fr以下のものが一般的になっている。

・NGチューブは、ガイドワイヤーなしでも挿入できるほどの硬さで、サイズは10~18Frが一般的になっている。

 

■留置位置

・EDチューブは胃内に留置することもあるが、幽門部を通過して、十二指腸や空腸に留置することも可能。

・NGチューブは胃にのみ留置可能で、幽門部より先には留置することができない。

 

■挿入方法

・EDチューブは幽門部を通って十二指腸や空腸に挿入する時には、医師でないと挿入が難しい。EDチューブは幽門部を通過しやすいように錘がついているが、医師でも盲目的に挿入すると、失敗することもたびたびある。内視鏡を用いて挿入することもある。

・NGチューブは看護師でも比較的容易に挿入することが可能である。

 

NGチューブは、太くて硬いため、患者さんの不快感・負担は大きいものの、幅広い用途で使うことができます。それに対し、EDチューブは細くて柔らかいのですが、経管栄養投与目的以外では使用できないことが特徴です。

NGチューブ(マーゲンチューブ)の看護については、「マーゲンチューブの看護|種類や目的、看護技術(挿入・交換・固定方法)」を参考にしてください。

 

4、EDチューブの長さ

EDチューブはNGチューブよりも長く、120cmあるものがほとんどです。挿入の長さは、留置位置によって異なります。胃内に留置する場合は45~55cmを挿入するのが一般的ですので、十二指腸や空腸に留置させる場合は、それよりも長く挿入することになります。

EDチューブの挿入の長さは、留置位置や患者の体格によって変わりますので、挿入した医師に、挿入部位と挿入の長さをきちんと確認しておくようにしましょう。

 

5、EDチューブの看護(管理の注意点)

EDチューブはNGチューブに比べて、細いことと挿入が難しいことが特徴です。このことを念頭に置いて、看護師はEDチューブの管理をしなければいけません。

 

■閉塞に注意する

EDチューブの患者の看護をする上で、注意すべきことの1つ目は閉塞予防です。EDチューブはとても細いので、NGチューブに比べて、すぐに閉塞してしまいます。

そのため、経管栄養を投与する前には、必ず白湯でフラッシュして開通していることを確認してから、経管栄養を投与してください。

そして、経管栄養を投与した後は、白湯でフラッシュして、チューブ内の栄養剤を洗い流すようにしましょう。

また、薬剤をチューブから投与する時は、散剤がチューブを詰まらせる可能性がありますので、事前にしっかりと白湯に溶いてから投与すること、投与後は白湯で確実にフラッシュして、チューブ内を洗浄することを忘れずに行いましょう。

もし、白湯のフラッシュで抵抗を感じた場合は、無理にフラッシュすると、チューブの内圧が上昇して、チューブが破損・断裂する可能性がありますので、力を入れて無理にフラッシュしないようにしてください。

 

■固定をしっかりとする

EDチューブを十二指腸や空腸内に留置する場合は、挿入が難しいので、事故抜去がないようにしっかり固定をしておく必要があります。

固定は鼻翼と頬の2ヶ所で固定するのが一般的です。鼻翼ではテープの中央に切り込みを入れて、それをEDチューブに巻き付けるようにして固定し、頬ではチューブをテープで包み込むようにして、チューブが直接頬に当たらないようにすると良いでしょう。

固定する時にはチューブが皮膚に直接当たらないようにしてから固定しないと、すぐに潰瘍ができてしまいます。潰瘍ができてしまったら、もう片方の鼻腔から再挿入しなければいけないこともありますので、EDチューブの固定は、抜けないようにしっかりと固定しつつ、皮膚の保護にも注意する必要があるのです。

また、耳の後ろを通して固定したり、服の中を通すなど、患者が引っ張ったり、間違って引っかけたりしないような工夫も必要になります。

 

まとめ

EDチューブの基礎知識や適応・目的、NGチューブとの違い、長さや管理する上での注意点をまとめました。

EDチューブはNGチューブとは違って、経管栄養投与のためだけに使われるチューブです。NGチューブと違って細く、すぐに閉塞する可能性がありますので、閉塞させないように、経管栄養投与前後はしっかりフラッシュしておくようにしましょう。

また、いくら細くて柔らかいといっても、患者さんにとっては異物が挿入されていることになりますので、挿入のストレスを少しでも少なくするために、皮膚の保護に気をつけながら、固定方法を工夫するようにしてください。

山岸愛梨 看護師

東京都在住、正看護師。自身が幼少期にアトピー体質だったこともあり、看護学生の頃から皮膚科への就職を熱願。看護学校を経て、看護師国家資格取得後に都内の皮膚科クリニックへ就職。ネット上に間違った情報が散見することに疑問を感じ、現在は同クリニックで働きながら、正しい情報を広めるべく、ライターとしても活動している。

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