合奏|保育園で使えるおすすめの楽譜、楽器、衣装を紹介(2017/05/24)
竹村氏1)は、合奏の楽しさとは『楽譜どおり間違わずに演奏することよりも、いっしょに演奏しているメンバー同士の「やりとり=コミュニケーション」を楽しむこと』だとしています。保育園における合奏は、子どもたちが音楽の楽しさを知り、情操豊かな子どもへと育っていくために大切な役割を果たします。保育士にとっては負担が大きいかもしれませんが、曲や楽器の選び方を工夫し、素敵な合奏を作り上げてください。
目次
1、保育園における合奏への取り組み方
1−1、よく使われる合奏曲
子どもたちに楽しんで取り組んでもらうためには、難しい曲ではなく、みんながよく知っている曲を選びましょう。例えばメリーさんのひつじやおもちゃのチャチャチャ、ドレミの歌といった童謡、アンパンマンマーチやおどるポンポコリン、夢をかなえてドラえもんといったアニメソングなどが取り組みやすいです。聖者の行進、よろこびのうたなどのクラシックも知っている子どもたちが多いので、比較的スムーズに練習できるでしょう。
また、クリスマス頃であれば赤鼻のトナカイやあわてんぼうのサンタクロース、春であればチューリップなど、発表時期に合わせた曲を選ぶのも大切です。合奏曲集なども参考にして、取り組みやすい曲を選んでください。
出典:2-5歳児のやさしい・楽しい器楽合奏集
1−2、合奏で使われる楽器
合奏では様々な楽器が使われます。使う種類は園によって違いますし、担当する楽器の決め方もそれぞれの園で方針があるでしょう。「リズム感のある子が太鼓」「しっかりしている子が木琴」などと決めるところもありますが、保育士の一方的な決め方によって子どもたちの不満や不信感につながらないよう、慎重に担当決め・発表を行う必要があります。まずは子どもたちの希望を聞き、希望通りにいかない場合は適切なフォローを入れるなど、保育士からの思いやりを忘れないようにしてください。
■打楽器・パーカッション
大太鼓や小太鼓、バスドラムなど全体のリズムを刻む楽器の他、トライアングルやカスタネット、タンバリンや鈴のように合奏に華を添える楽器もあります。低年齢のクラスなどでは、手作りのマラカスを使っても可愛いですね。保育園によってはマリンバやハンドベルを入れるところもあるかもしれません。メロディ楽器に比べて取り組みやすいものが多いので、最初はこうした楽器から始めてみるのも良いでしょう。
■ピアニカ・ハーモニカ・アコーディオン
合奏においてメロディーを奏でることのできる重要な楽器です。ただし打楽器に消されてしまうことがあるため、1曲につき複数人に担当してもらう必要があります。また、ピアニカ(鍵盤ハーモニカ)は、早くても3歳児以上から取り組むこととなるでしょう。ハーモニカやアコーディオンも難しいため、低年齢のうちは難しいかもしれません。異年齢を混ぜて合奏を行う際は、年長さんや年中さんにこういった楽器を任せてあげると良いですね。
■木琴・鉄琴
ピアニカほどの音量は出ませんが、合奏に彩りを与えてくれる楽器です。楽器数の関係上あまり担当人数を増やすことができないため、競争率の高くなる楽器ではないでしょうか。家で練習することができないので、担当となった子には保育園でしっかり練習してもらいましょう。
1−3、楽譜を使った練習
既存の楽譜をそのまま子どもたちに配布しても、当然ですがうまくはいきません。年長さんでも楽譜を読むことのできる子どもは多くないでしょう。そのため、子どもが演奏しやすい楽譜を作る、あるいは子どもが演奏しやすいように楽譜をアレンジすることが必要となります。打楽器であればリズム譜で問題ないですし、メロディ楽器であれば音階も書いてあげるとわかりやすいですね。
最初は楽器を使わず、楽譜を見ながら音源を聞き、自分のパートを歌うところから練習してみましょう。それに慣れたら楽器ごとに分かれて、実際に演奏してみてください。このとき、事前に保育士が録音しておくなどして、他のパートの音を流せるようにしておくとスムーズに練習することができますよ。
1−4、合奏で着る衣装
普段の保育の中で合奏をするだけでなく、発表会など保護者の前で合奏を披露する場面もあるでしょう。そうした場合には、衣装にも気を配る必要があります。もちろんデザインは大切ですが、自分できちんと着替えられる子どもばかりではないため、脱ぎ着しやすいつくりにすることが基本です。ボタンではなくファスナーやマジックテープにする、上下セパレートのタイプにするなどの工夫ができます。
季節に合わせた小物をつける、おそろいの帽子をかぶる、スカーフをつけるなど、ちょっとした工夫でも統一感があって見応えのあるステージになるでしょう。参考になる本もたくさんあるので、いろいろ試してみてはいかがでしょうか。
出典:十全保育園
2、おすすめできる簡単な合奏曲
ここでは合奏に初めて取り組む場合や、低年齢クラスで取り組む場合におすすめの合奏曲をいくつか紹介します。保育士の弾くピアノに合わせて打楽器を入れる、という合奏スタイルが取り組みやすいのではないでしょうか。
■3つ打ち・7つ打ちで出来る曲
例えばチューリップや手をたたきましょう、などは「タンタンタン(休)タンタンタン(休)」という3つ打ちの繰り返しで合奏が成り立ちます。慣れてきたら「タンタンタンタンタンタンタン」という7つ打ちも入れましょう。タンバリンや鈴、カスタネットなどの小物打楽器を使ってフレーズごとに順番に叩いていき、最後のフレーズは全体で叩く…などのアレンジも出来ます。
■7つ打ちの繰り返しで出来る曲
どんぐりころころや大きな栗の木の下で、やきいもグーチーパーなどは7つ打ちの繰り返しで出来る曲です。3つ打ちより少し難しい7つ打ちですが、途中でリズムが変わらないため、比較的取り組みやすいでしょう。
もちろん楽器によって叩くタイミングを変えていっても面白い演奏ができます。例えばトライアングルは「タン(休)(休)(休)タン(休)(休)(休)」のようにフレーズの頭で鳴らして、タンバリンやカスタネットは基本の7つ打ちをする、などのアレンジができます。子どもたちの様子を見ながら、少しずつ変えていっても良いですね。
3、年長クラスでの合奏
石田氏・中村氏2)が年長クラスでの合奏指導について『♪♩♪のリズムは(ヒコーキ)、♪♪♩は(パトカー)というように指導すると効果がある』と述べていますが、指導次第でかなりのリズムパターンが分かってくる時期です。
また、使える楽器も増えるため、見応えのある合奏をすることができます。それに伴い、ピアニカなどのメロディ楽器を目立たせる一方で、打楽器の音量を調整するなどの工夫も必要になります。さらに、太鼓のスティックやトライアングル、ウッドストックのビーターなどを使う際は、ケガにつながる場合があるので目を離さないようにしましょう。
年長クラスでは、聞き慣れた童謡だけでなく、よろこびの歌やクシコスポストなどのクラシック音楽も上手に合奏できるようになります。アニメソングを中心としたポップスを取り入れているところも多いです。選べる曲の幅が広いだけに選択が難しいかもしれませんが、保育士がふさわしいと思う曲を選び、それをクラスの人数・使用する楽器などに応じてアレンジを加えてください。
まとめ
合奏は曲を選ぶ、アレンジを加えて楽譜を作成する、子どもたちを指導する、衣装の準備をする、など保育士にとっては大変なことも多いかもしれません。ですが、保護者にとっては子どもの成長を見ることのできる素敵な機会ですし、子どもたちも音楽の楽しさと「出来た」という達成感を味わうことができます。
中には希望の楽器が出来なかった、という子どもも出てしまうかもしれません。そういう時にはどの楽器も合奏において大切な役割を持っているということをきちんと伝え、みんなが前向きに取り組むことができるようにしてあげてくださいね。
参考文献
1)保育における表現の問題(竹村壽美子|2007)
2)音楽表現力を高めるための指導法に関する一考察(石田陽子・中村佳世子|2015)
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